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キノコマスター、旅立つ。
魔王は王様でした。
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徒歩30分ほどで、城門に着いた。
魔王城は、とんでもなく大きく、豪華な城だった。
全然禍々しくない。白いし。
色々頭が混乱してるけど。
とりあえず、バルから詳しく話を聞きたい。
とことん話を聞いて、このモヤモヤをどうにかしたい。
ライオンっぽい動物の顔をかたどったノッカーを叩くと。
巨大で重厚な扉が、ギギギ、と開いた。
『勇者の小鳥遊優輝様ですね。ようこそいらっしゃいました。私、ウルタード・スマヘスタの側近、エリアスと申します。どうぞこちらへ。ご案内致します』
腰までありそうな銀色の髪に青い目の美青年が優雅に出迎えた。スーツもネクタイもシャツも黒。全身真っ黒だ。
俺の名前の発音は、まるで漢字がわかってるみたいにしっかりしていた。
さすがにいきなりバル本人が出迎えてくれるとは思ってなかったけど。側近かあ。
何か、上流階級っぽい感じ?
魔王だし。本当に王様だったりして。ははは。
*****
赤い絨毯が敷かれた広くて長い廊下を進んでいくと。
目の前の豪華な扉が、自動的に開いた。
高い天井。
正面に、王座のようなものが見える。
そこに優雅に足を組んで座っているのは。
魔王……じゃなくて。
『ようこそ、勇者殿。……いや、私のリンドガティート。こちらへおいで』
やっぱり、バルだった。
今日は黒い鎧じゃなく、黒い軍服っぽい衣装だけど。これも格好いい。
バルの言葉を聞くなり、ぶはっ、と側近が吹き出した。
何で笑ってんの?
そういえば、何度か、リンド……なんとかと言われてた気がする。
何なんだ?
あまりにトンデモな展開に、言葉も出なくて。
その場で固まっていたら。
「うわ、」
身体がふわりと浮いて。
勝手にバルの所に引き寄せられていく。
これ、魔法? ……だよな。
また呪文も唱えずに、こんな難しい魔法を……。
引き寄せられて。
何故か、バルの膝の上に乗せられてしまった。
いや、膝に乗っけられるような子供じゃないってば。年齢言ったよな?
っていうか。
『バル、偉い人? 何故、村の人、バル、魔王、言う?』
混乱して、また言葉が拙くなってしまう。
『わざわざ”勇者”を異世界から呼び寄せて。何も知らない君を騙すなんて、悪い村人達だ。やはり、滅ぼすべきだな』
優しく、頭を撫でられる。
そんな優しい声で、何を言い出すかな。
『ダメ!』
慌てて見上げると。バルは苦笑して、肩を竦めてみせた。
『……”勇者”が召喚された理由を聞けば、君も同意すると思うがね』
バルの手に、本が現れた。
絵本みたいで言葉もやさしく、俺にも読めた。
*****
昔々。大きな木が小さな芽だった頃よりもずっと前のおはなし。
とある国に、幼い頃から魔法を学び、魔術を極め。
それにより不老不死になった王がいた。
その名はバルタサール=ウルタード=ディル・レイ。
王は、大陸の半分以上もある広大な国土を所有し、その強大な魔法の力を使って国を統治した。
天候を自在に操り、土を肥えさせ、作物の実りを助け。水と緑を豊かにした。
しかし、どこからか移住してきた不法侵入者が、領地の動物などを狩り、勝手に森を開拓し、農地や住居を広げていった。
命を奪うことを望まない王は、魔法で動物を魔物に変え、作物を枯らし。不法侵入者を自らの意志で領地より追い出そうとした。
しかし、不法侵入者の長は、王に生贄を差し出し、赦しを乞うた。
差し出された生贄に思うところあった王は、不法侵入者が住む村を一時的に見逃すことにした。
それから百年が経った頃。
村の者が再び森に手をつけようとしたため、王は再び罰を与え。
村の長は、また生贄を差し出した。
そうして、同じことを何度も繰り返した。
それが現在のスデステ村である。
王は、村人にとって理不尽に生贄を求める”魔王”と呼ばれるようになり。
村のために自分の生命を投げ出した”生贄”は。
いつしか村人から”勇者”と呼ばれるようになった。
*****
……えーと。
つまり。
俺は、生贄として”魔王”に差し出されたってこと?
レベル上げしていたのを無駄だな、みたいに見られてたのは。
最初っから俺が魔王を倒すことなんて、期待されてなくて。魔王に献上するための生贄なんだから早く行け、って感じだったのか?
今まで生贄として”魔王城”に差し出された人たちは、ここの従業員になって。村にいた頃より幸せに暮らしたらしい。
生贄といっても、食われたり殺されたって訳じゃないのか。
バルはそんな残虐なことをする人には見えなかったけど。ほっとした。
『自分の村から出すなら許せたが。無関係な者をわざわざ異世界より召喚し、騙して寄越すようになるとは。かくも度し難い』
バルの声が低くなってる。
うわあ。
色が白いから、血管が浮き出てるのが良く見える。ブチ切れ寸前だ。
「で、でも。俺が来るまでは本当に貧乏な村で。働き手が減ったらそれこそ餓えて死んでもおかしくないような感じだったんだ。それに、村長の息子のファビオは勇者が人質なんてこと知らなかったと思う。魔王を倒したら戻ってきてって言ったし。お祖母ちゃんの形見の本も渡してくれて。それに、みんな、泣いてたよ」
早く旅に出て欲しかったのは。
長く住んだら、情が移ってしまうからかもしれない。
村の人は、罪悪感で泣いてたんだ。
魔王城は、とんでもなく大きく、豪華な城だった。
全然禍々しくない。白いし。
色々頭が混乱してるけど。
とりあえず、バルから詳しく話を聞きたい。
とことん話を聞いて、このモヤモヤをどうにかしたい。
ライオンっぽい動物の顔をかたどったノッカーを叩くと。
巨大で重厚な扉が、ギギギ、と開いた。
『勇者の小鳥遊優輝様ですね。ようこそいらっしゃいました。私、ウルタード・スマヘスタの側近、エリアスと申します。どうぞこちらへ。ご案内致します』
腰までありそうな銀色の髪に青い目の美青年が優雅に出迎えた。スーツもネクタイもシャツも黒。全身真っ黒だ。
俺の名前の発音は、まるで漢字がわかってるみたいにしっかりしていた。
さすがにいきなりバル本人が出迎えてくれるとは思ってなかったけど。側近かあ。
何か、上流階級っぽい感じ?
魔王だし。本当に王様だったりして。ははは。
*****
赤い絨毯が敷かれた広くて長い廊下を進んでいくと。
目の前の豪華な扉が、自動的に開いた。
高い天井。
正面に、王座のようなものが見える。
そこに優雅に足を組んで座っているのは。
魔王……じゃなくて。
『ようこそ、勇者殿。……いや、私のリンドガティート。こちらへおいで』
やっぱり、バルだった。
今日は黒い鎧じゃなく、黒い軍服っぽい衣装だけど。これも格好いい。
バルの言葉を聞くなり、ぶはっ、と側近が吹き出した。
何で笑ってんの?
そういえば、何度か、リンド……なんとかと言われてた気がする。
何なんだ?
あまりにトンデモな展開に、言葉も出なくて。
その場で固まっていたら。
「うわ、」
身体がふわりと浮いて。
勝手にバルの所に引き寄せられていく。
これ、魔法? ……だよな。
また呪文も唱えずに、こんな難しい魔法を……。
引き寄せられて。
何故か、バルの膝の上に乗せられてしまった。
いや、膝に乗っけられるような子供じゃないってば。年齢言ったよな?
っていうか。
『バル、偉い人? 何故、村の人、バル、魔王、言う?』
混乱して、また言葉が拙くなってしまう。
『わざわざ”勇者”を異世界から呼び寄せて。何も知らない君を騙すなんて、悪い村人達だ。やはり、滅ぼすべきだな』
優しく、頭を撫でられる。
そんな優しい声で、何を言い出すかな。
『ダメ!』
慌てて見上げると。バルは苦笑して、肩を竦めてみせた。
『……”勇者”が召喚された理由を聞けば、君も同意すると思うがね』
バルの手に、本が現れた。
絵本みたいで言葉もやさしく、俺にも読めた。
*****
昔々。大きな木が小さな芽だった頃よりもずっと前のおはなし。
とある国に、幼い頃から魔法を学び、魔術を極め。
それにより不老不死になった王がいた。
その名はバルタサール=ウルタード=ディル・レイ。
王は、大陸の半分以上もある広大な国土を所有し、その強大な魔法の力を使って国を統治した。
天候を自在に操り、土を肥えさせ、作物の実りを助け。水と緑を豊かにした。
しかし、どこからか移住してきた不法侵入者が、領地の動物などを狩り、勝手に森を開拓し、農地や住居を広げていった。
命を奪うことを望まない王は、魔法で動物を魔物に変え、作物を枯らし。不法侵入者を自らの意志で領地より追い出そうとした。
しかし、不法侵入者の長は、王に生贄を差し出し、赦しを乞うた。
差し出された生贄に思うところあった王は、不法侵入者が住む村を一時的に見逃すことにした。
それから百年が経った頃。
村の者が再び森に手をつけようとしたため、王は再び罰を与え。
村の長は、また生贄を差し出した。
そうして、同じことを何度も繰り返した。
それが現在のスデステ村である。
王は、村人にとって理不尽に生贄を求める”魔王”と呼ばれるようになり。
村のために自分の生命を投げ出した”生贄”は。
いつしか村人から”勇者”と呼ばれるようになった。
*****
……えーと。
つまり。
俺は、生贄として”魔王”に差し出されたってこと?
レベル上げしていたのを無駄だな、みたいに見られてたのは。
最初っから俺が魔王を倒すことなんて、期待されてなくて。魔王に献上するための生贄なんだから早く行け、って感じだったのか?
今まで生贄として”魔王城”に差し出された人たちは、ここの従業員になって。村にいた頃より幸せに暮らしたらしい。
生贄といっても、食われたり殺されたって訳じゃないのか。
バルはそんな残虐なことをする人には見えなかったけど。ほっとした。
『自分の村から出すなら許せたが。無関係な者をわざわざ異世界より召喚し、騙して寄越すようになるとは。かくも度し難い』
バルの声が低くなってる。
うわあ。
色が白いから、血管が浮き出てるのが良く見える。ブチ切れ寸前だ。
「で、でも。俺が来るまでは本当に貧乏な村で。働き手が減ったらそれこそ餓えて死んでもおかしくないような感じだったんだ。それに、村長の息子のファビオは勇者が人質なんてこと知らなかったと思う。魔王を倒したら戻ってきてって言ったし。お祖母ちゃんの形見の本も渡してくれて。それに、みんな、泣いてたよ」
早く旅に出て欲しかったのは。
長く住んだら、情が移ってしまうからかもしれない。
村の人は、罪悪感で泣いてたんだ。
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