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キノコマスター、悩む。
スデステ村との交渉
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……俺も、へこんでる場合じゃない。
気持ちを切り替えないと。
村人にしてみればここが正念場、文字通り、死活問題なんだ。
ちゃんと、村人達を説得しなきゃ。
移動は馬車だ。
徒歩30分くらいの距離だけど、エリアスの立派な靴がぬかるみで汚れちゃうと困るもんな。
底がフラットな靴は、舗装されてない道を歩くのに向いてない。
今日は黒装束じゃなく、上品なグレーのスーツだ。
シャツは白、アスコットタイは薄い黄色。靴は白と黒の革靴。
俺が白い服で、バルが黒いから間を取って灰色にしたとか?
バルと何かあったのか気取ったのか、エリアスは質問してこなかった。
さすがは優秀な側近だ。助かる。
*****
村の前に着くと。
不安そうな村長や村民たちが、クワなどの農具を手に、見知らぬ馬車の様子を見に集まって来ていた。
「ただいま! いい話を持ってきたよ!」
馬車から飛び降りる。
「……ユーキ?」
「勇者が戻ってきた!?」
村長はもちろん、村民も驚いている。
「ユーキだって!?」
ばたばたと足音が聞こえて。
「おかえり! ほら、やっぱり生きて帰ってきた!」
ファビオが勢いよく抱き着いてきた。
ちょ、潰される……!
半泣きになったファビオにぎゅうぎゅう抱き締められて苦しかったけど。
どうにか、村長に重要な話があるんだ、と言うと。
村長の家で話すことになって。
村の全員が、集まった。
巨人ばかりなので、全員が一部屋に集まると、圧迫感が半端ない。
階段に座ってるのもいるし。
とりあえず、今までの”勇者”はみんな城に雇われて、無事に暮らしてたということ。
この辺りの土地は元々、バル……セントロ王国の領地であって。
所有者がちゃんといたことを話した。
「そんな……、代々、住んできたんだぞ!」
前から住んでいたのだから、自分達の土地だ、と言う。
そう思ってるだろうことは、予想できていた。
「その前から、ずっと王様の土地だったんだ。これが、土地の所有者を示す書類だよ」
エリアスから写本を受け取って、村長に見せた。
論より証拠ってやつだ。
「む、むう……。確かに、書類の年代は古い。本当の話のようだが。……それで、我々にここから出て行けと?」
村長は、写本を何度も見返して。俺に不安そうな顔を向けた。
「ううん、この国の王様は、領民としてちゃんと税を支払えば、このままここに住んでいいって、許可してくれたんだ」
「しかし、日々暮らしていくだけで大変なのに、税を払うほどの余裕は……」
とりあえず、出て行かなくてすむことにはほっとしたようだけど。
みんな、不安そうに顔を見合わせている。
「大丈夫。国王は自国の民には優しいよ。旱魃なら、雨を降らしてくれるし。土砂崩れが起きても元に戻してくれる。王様は、偉大な魔術師の王様だからね。ここが大変だってことは話したから、生活に余裕ができるまで、税金の猶予期間をくれるって」
その辺りのことが記載された書類を見せる。
エリアスが作成してくれて。
今朝、バルが捺印してくれたものだ。
*****
「ユーキ。……まさか。あんたが、魔王を……いや、王様を、説得してくれたのか……?」
村長は信じられない、という顔をした。
「その、聞かされたんじゃないのか? 勇者がどういう存在かを……、」
「怒っていないのか?」
村人達も、信じられない様子だ。
生贄にされるために、異世界に召喚されて。
勇者だと持ち上げられて、魔王に差し出されたんだ。
俺だって、聖人君子ってわけじゃない。
ショックだったことはショックだったけど。怒ってはいない。
不思議に平静でいる。
たぶん、それはバルのおかげだと思う。
俺よりも怒ってくれたし。
「何言ってんだよ。異世界から、”勇者”を召喚したんだろ。ユーキが本物の勇者なのは当たり前じゃないか!」
ファビオは得意そうに言った。
ああ。
差し出すための”生贄”を呼び寄せたんじゃなく。
召喚したのは、弱いながらも”勇者”だった。
旅の魔法使いは、俺は魔王の力を抑える運命の星を持ってる、とか言ってた。
村人でもない、関係ない立場だから。
お互い誤解したままこじれてしまった話をまとめることが出来たのかもしれない。
*****
「それで、これからユーキはどうするんだ? この村に戻って来るんだよな?」
ファビオに言われて。
これから?
いや、このごたごたが解決したら。
……日本に戻る……んだよな?
そう思いながら、村長を見ると。
「申し訳ない!!」
村長が勢いよく頭を下げた。
「召喚術は、召喚することは出来ても、元の世界に戻すことは不可能なんだ……!」
”勇者”は、生贄だから。
今まで、生きて村に戻ってきた者はいない。
生贄を出せば、しばらくは魔物も出ず、平穏だからと。
それだけで。
てっきり魔王に食われたか、殺されたものと考えていた。
なので。
戻ることが出来なくても別に問題ないだろう、と思っていたことを謝罪される。
え?
ちょ、ちょっと待って。
俺、元の世界に帰れないの……? もう、二度と?
マジで!?
気持ちを切り替えないと。
村人にしてみればここが正念場、文字通り、死活問題なんだ。
ちゃんと、村人達を説得しなきゃ。
移動は馬車だ。
徒歩30分くらいの距離だけど、エリアスの立派な靴がぬかるみで汚れちゃうと困るもんな。
底がフラットな靴は、舗装されてない道を歩くのに向いてない。
今日は黒装束じゃなく、上品なグレーのスーツだ。
シャツは白、アスコットタイは薄い黄色。靴は白と黒の革靴。
俺が白い服で、バルが黒いから間を取って灰色にしたとか?
バルと何かあったのか気取ったのか、エリアスは質問してこなかった。
さすがは優秀な側近だ。助かる。
*****
村の前に着くと。
不安そうな村長や村民たちが、クワなどの農具を手に、見知らぬ馬車の様子を見に集まって来ていた。
「ただいま! いい話を持ってきたよ!」
馬車から飛び降りる。
「……ユーキ?」
「勇者が戻ってきた!?」
村長はもちろん、村民も驚いている。
「ユーキだって!?」
ばたばたと足音が聞こえて。
「おかえり! ほら、やっぱり生きて帰ってきた!」
ファビオが勢いよく抱き着いてきた。
ちょ、潰される……!
半泣きになったファビオにぎゅうぎゅう抱き締められて苦しかったけど。
どうにか、村長に重要な話があるんだ、と言うと。
村長の家で話すことになって。
村の全員が、集まった。
巨人ばかりなので、全員が一部屋に集まると、圧迫感が半端ない。
階段に座ってるのもいるし。
とりあえず、今までの”勇者”はみんな城に雇われて、無事に暮らしてたということ。
この辺りの土地は元々、バル……セントロ王国の領地であって。
所有者がちゃんといたことを話した。
「そんな……、代々、住んできたんだぞ!」
前から住んでいたのだから、自分達の土地だ、と言う。
そう思ってるだろうことは、予想できていた。
「その前から、ずっと王様の土地だったんだ。これが、土地の所有者を示す書類だよ」
エリアスから写本を受け取って、村長に見せた。
論より証拠ってやつだ。
「む、むう……。確かに、書類の年代は古い。本当の話のようだが。……それで、我々にここから出て行けと?」
村長は、写本を何度も見返して。俺に不安そうな顔を向けた。
「ううん、この国の王様は、領民としてちゃんと税を支払えば、このままここに住んでいいって、許可してくれたんだ」
「しかし、日々暮らしていくだけで大変なのに、税を払うほどの余裕は……」
とりあえず、出て行かなくてすむことにはほっとしたようだけど。
みんな、不安そうに顔を見合わせている。
「大丈夫。国王は自国の民には優しいよ。旱魃なら、雨を降らしてくれるし。土砂崩れが起きても元に戻してくれる。王様は、偉大な魔術師の王様だからね。ここが大変だってことは話したから、生活に余裕ができるまで、税金の猶予期間をくれるって」
その辺りのことが記載された書類を見せる。
エリアスが作成してくれて。
今朝、バルが捺印してくれたものだ。
*****
「ユーキ。……まさか。あんたが、魔王を……いや、王様を、説得してくれたのか……?」
村長は信じられない、という顔をした。
「その、聞かされたんじゃないのか? 勇者がどういう存在かを……、」
「怒っていないのか?」
村人達も、信じられない様子だ。
生贄にされるために、異世界に召喚されて。
勇者だと持ち上げられて、魔王に差し出されたんだ。
俺だって、聖人君子ってわけじゃない。
ショックだったことはショックだったけど。怒ってはいない。
不思議に平静でいる。
たぶん、それはバルのおかげだと思う。
俺よりも怒ってくれたし。
「何言ってんだよ。異世界から、”勇者”を召喚したんだろ。ユーキが本物の勇者なのは当たり前じゃないか!」
ファビオは得意そうに言った。
ああ。
差し出すための”生贄”を呼び寄せたんじゃなく。
召喚したのは、弱いながらも”勇者”だった。
旅の魔法使いは、俺は魔王の力を抑える運命の星を持ってる、とか言ってた。
村人でもない、関係ない立場だから。
お互い誤解したままこじれてしまった話をまとめることが出来たのかもしれない。
*****
「それで、これからユーキはどうするんだ? この村に戻って来るんだよな?」
ファビオに言われて。
これから?
いや、このごたごたが解決したら。
……日本に戻る……んだよな?
そう思いながら、村長を見ると。
「申し訳ない!!」
村長が勢いよく頭を下げた。
「召喚術は、召喚することは出来ても、元の世界に戻すことは不可能なんだ……!」
”勇者”は、生贄だから。
今まで、生きて村に戻ってきた者はいない。
生贄を出せば、しばらくは魔物も出ず、平穏だからと。
それだけで。
てっきり魔王に食われたか、殺されたものと考えていた。
なので。
戻ることが出来なくても別に問題ないだろう、と思っていたことを謝罪される。
え?
ちょ、ちょっと待って。
俺、元の世界に帰れないの……? もう、二度と?
マジで!?
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