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キノコマスター、悩む。
約束のキノコ
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「これからのことでしたら問題ありません!」
今まで黙って話を聞いていたエリアスが席を立ち。
胸を張って、誇らしげに言った。
「優輝様は、我がセントロ王国の国王、バルタサール=ウルタード陛下の王妃として迎えるのですから。近々、国をあげて盛大に結婚のお祝いをする予定なのです!」
あんた誰だ、という視線が集まる。
そういえばエリアスがついてきてくれてたんだった。一瞬、存在を忘れてた。
美形なのに、気配を消しすぎだ。
「遅ればせながら、わたくしは国王の側近にして、陛下の従兄弟でありますエリアス=ジュステと申します」
優雅に礼をしてみせた。
ああ、エリアスってバルの従兄弟だったんだ。
だからわりと遠慮ないこと言ってたのか。
……じゃなくて! いやいやいや、ちょっと待ってくれよ!?
俺を、王妃として迎えるって?
誰が?
結婚って。
誰と、誰の?
まさか、俺とバルが!?
いつ、そんな話になってたんだよ!?
そういえば。領主たちも、式とか、おめでとうとか言ってたな。
バルも。式の前だから、とか……。
でも。
俺、何にも聞いてないよ!?
*****
わっ、と。
場が一気にお祝いムードになった。
「そうか。……なるほど。それで、我々を許してくださったのか」
「可愛い女房の頼みなら、断れねえもんな」
「ありがてえな……、」
「おめでとう、ユーキ。……いえ、王妃ユーキ様!」
おいおい。なに納得してんだよ! どうしてそんな、手放しで祝えるんだ?
この世界、男同士で結婚ってアリなの? 普通なの?
それも、一国の王様と、異世界人だよ?
っていうか。
いつの間に、そんな話になってたんだよ!?
元の世界には戻れない、という、本来大変ショッキングな事実もぶっ飛ぶ、とんでもない話だった。
国王の王妃になる俺を召喚したことで、村にはお祝い金が支払われる、と聞いて。
村人たちは大喜びだった。
おめでとう、ありがとう、と。村のみんなから泣きながらお詫びとお礼を言われて。
俺は引きつった笑顔のまま、固まっていた。
そうだった。
ここは、異世界だった。
常識が全く違っていてもおかしくはなかったんだ。
どっかの国じゃ、女の人が短パン穿いて外出しただけで鞭打ち刑って聞いた。
地方ルールこわい。
*****
いったいいつ、俺とバルが結婚する、なんて話になってたんだろうか。
思い返せば。
バルは最初っから、俺のことを”可愛い子猫ちゃん”とか呼んでいた気がする。
それは関係あるのかな?
「……”可愛い子猫ちゃん”って、何か他に意味のある言葉なのかな……」
聞いてみると。
「他の意味も何も。そのままですよ。子猫のように抱き締めたいほど可愛らしく思う相手に囁く、愛の言葉じゃないですか」
エリアスはふふ、っと笑いながら言った。
……愛の言葉かあ。
そっかあ。
初耳だよ!
バルは人前で堂々と愛の言葉を囁くようなタイプじゃないと思ってたから驚いたって?
驚いたっていうか、めちゃくちゃ笑ってたよな。
「突然チャンピニョンの生息地を聞かれた時は驚いたものです。今まで全く色恋に興味なさそうな朴念仁でしたから」
エリアスはくすくすと、思い出し笑いをした。
「……チャンピニョン?」
稀少キノコのチャンピニョンがどうしたって?
と、思わずキノコの話には反応してしまうキノコマスターな俺だった。
「ええ。バルタサール陛下から戴いたでしょう? 求婚の証に。二度受け取れば了承した、と。いうことに……」
有能な側近は、気付いたようだ。
頬を染め、上気していたのが、さっと顔色が変わった。
「そういえば、優輝様は異世界の方でした。……我が国の決まりごとを、ご存知では、ありません……よね……?」
こくこくと頷いてみせた。
*****
セントロ王国では昔から、好きな相手にチャンピニョンを贈る風習があった。
ひとつめは、相手に好意を示す証だという。
この世界では言葉で告白をしないのだろうか? 真っ赤なバラの花束みたいな感じかも。
ここまでは、あなたに好意を持ちましたよ、って意思表示をするだけなので、人によっては挨拶代わりに何人かに贈ることもあるらしい。
ただし、チャンピニョンは稀少な上、高級品なので、挨拶代わりにするには相当な財力、それか自力で狩れるほどの武力が必要である。
財力や武力の証明みたいなものか?
問題は、それからだ。
ふたつめを渡すのは、求婚の証である。
チャンピニョンは神様が作ったキノコといわれていて、神聖なものであり、特別な誓いなので。ふたつめを渡せるのは、一生に一度、相手は一人だけ。
若いうちに婚約のつもりで渡してしまって、将来心変わりしたとしても。
挨拶代わりに配ってたら間違って二回渡してたとしても。撤回は絶対に許されないとか。
ただし、それは相手が喜んで受け取った場合である。
受け取りを拒否されたら、きっぱり諦めなくてはならない。
相手がふたつめのチャンピニョンを喜んで受け取った場合、めでたく求婚が成立したことになる。
お互い結婚可能な年齢であれば、すぐにでも結婚していいと答えたのも同然だという。
うん。
俺、喜んで受け取ってたよな。
だって。そんな大変なシロモノだとは知らなかったし……!
ひょいって気軽に渡されたし!
今まで黙って話を聞いていたエリアスが席を立ち。
胸を張って、誇らしげに言った。
「優輝様は、我がセントロ王国の国王、バルタサール=ウルタード陛下の王妃として迎えるのですから。近々、国をあげて盛大に結婚のお祝いをする予定なのです!」
あんた誰だ、という視線が集まる。
そういえばエリアスがついてきてくれてたんだった。一瞬、存在を忘れてた。
美形なのに、気配を消しすぎだ。
「遅ればせながら、わたくしは国王の側近にして、陛下の従兄弟でありますエリアス=ジュステと申します」
優雅に礼をしてみせた。
ああ、エリアスってバルの従兄弟だったんだ。
だからわりと遠慮ないこと言ってたのか。
……じゃなくて! いやいやいや、ちょっと待ってくれよ!?
俺を、王妃として迎えるって?
誰が?
結婚って。
誰と、誰の?
まさか、俺とバルが!?
いつ、そんな話になってたんだよ!?
そういえば。領主たちも、式とか、おめでとうとか言ってたな。
バルも。式の前だから、とか……。
でも。
俺、何にも聞いてないよ!?
*****
わっ、と。
場が一気にお祝いムードになった。
「そうか。……なるほど。それで、我々を許してくださったのか」
「可愛い女房の頼みなら、断れねえもんな」
「ありがてえな……、」
「おめでとう、ユーキ。……いえ、王妃ユーキ様!」
おいおい。なに納得してんだよ! どうしてそんな、手放しで祝えるんだ?
この世界、男同士で結婚ってアリなの? 普通なの?
それも、一国の王様と、異世界人だよ?
っていうか。
いつの間に、そんな話になってたんだよ!?
元の世界には戻れない、という、本来大変ショッキングな事実もぶっ飛ぶ、とんでもない話だった。
国王の王妃になる俺を召喚したことで、村にはお祝い金が支払われる、と聞いて。
村人たちは大喜びだった。
おめでとう、ありがとう、と。村のみんなから泣きながらお詫びとお礼を言われて。
俺は引きつった笑顔のまま、固まっていた。
そうだった。
ここは、異世界だった。
常識が全く違っていてもおかしくはなかったんだ。
どっかの国じゃ、女の人が短パン穿いて外出しただけで鞭打ち刑って聞いた。
地方ルールこわい。
*****
いったいいつ、俺とバルが結婚する、なんて話になってたんだろうか。
思い返せば。
バルは最初っから、俺のことを”可愛い子猫ちゃん”とか呼んでいた気がする。
それは関係あるのかな?
「……”可愛い子猫ちゃん”って、何か他に意味のある言葉なのかな……」
聞いてみると。
「他の意味も何も。そのままですよ。子猫のように抱き締めたいほど可愛らしく思う相手に囁く、愛の言葉じゃないですか」
エリアスはふふ、っと笑いながら言った。
……愛の言葉かあ。
そっかあ。
初耳だよ!
バルは人前で堂々と愛の言葉を囁くようなタイプじゃないと思ってたから驚いたって?
驚いたっていうか、めちゃくちゃ笑ってたよな。
「突然チャンピニョンの生息地を聞かれた時は驚いたものです。今まで全く色恋に興味なさそうな朴念仁でしたから」
エリアスはくすくすと、思い出し笑いをした。
「……チャンピニョン?」
稀少キノコのチャンピニョンがどうしたって?
と、思わずキノコの話には反応してしまうキノコマスターな俺だった。
「ええ。バルタサール陛下から戴いたでしょう? 求婚の証に。二度受け取れば了承した、と。いうことに……」
有能な側近は、気付いたようだ。
頬を染め、上気していたのが、さっと顔色が変わった。
「そういえば、優輝様は異世界の方でした。……我が国の決まりごとを、ご存知では、ありません……よね……?」
こくこくと頷いてみせた。
*****
セントロ王国では昔から、好きな相手にチャンピニョンを贈る風習があった。
ひとつめは、相手に好意を示す証だという。
この世界では言葉で告白をしないのだろうか? 真っ赤なバラの花束みたいな感じかも。
ここまでは、あなたに好意を持ちましたよ、って意思表示をするだけなので、人によっては挨拶代わりに何人かに贈ることもあるらしい。
ただし、チャンピニョンは稀少な上、高級品なので、挨拶代わりにするには相当な財力、それか自力で狩れるほどの武力が必要である。
財力や武力の証明みたいなものか?
問題は、それからだ。
ふたつめを渡すのは、求婚の証である。
チャンピニョンは神様が作ったキノコといわれていて、神聖なものであり、特別な誓いなので。ふたつめを渡せるのは、一生に一度、相手は一人だけ。
若いうちに婚約のつもりで渡してしまって、将来心変わりしたとしても。
挨拶代わりに配ってたら間違って二回渡してたとしても。撤回は絶対に許されないとか。
ただし、それは相手が喜んで受け取った場合である。
受け取りを拒否されたら、きっぱり諦めなくてはならない。
相手がふたつめのチャンピニョンを喜んで受け取った場合、めでたく求婚が成立したことになる。
お互い結婚可能な年齢であれば、すぐにでも結婚していいと答えたのも同然だという。
うん。
俺、喜んで受け取ってたよな。
だって。そんな大変なシロモノだとは知らなかったし……!
ひょいって気軽に渡されたし!
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