巨人の国に勇者として召喚されたけどメチャクチャ弱いのでキノコ狩りからはじめました。

篠崎笙

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キノコマスター、悩む。

プロポーズについて考える

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スデステ村の人たちも、元は他国の生まれだ。そんな決まりがあることすら、知らなかったんだろう。
ただ、高く売れるものだとしか聞いてない。

でないと俺も、居候元だった村長のマルシオに告白して求婚したことになってしまう。それは全力でお断りしたい。

自分で捕まえたのは、傷がついたので鍋に入れて食べてしまった。
美味しかった。……じゃなくて!


だって。
はい、お土産、みたいな感じで。ぽんと渡されたから。

まさかあれが、求婚の証だったなんて思いもしなかった。

でも、あれがプロポーズだった、とわかってみれば。
これまでバルが、かなりストレートに愛情表現をしてたことに気付いた。


しかも俺。
そんなバルのすることを、拒否することなく、普通に受け入れてたよ!


*****


でもまさか、こんな、その辺にいる男子高校生な俺なんかを。
最強の魔術師な王様で不老不死の美形で。剣の腕も強くて。

どんな美女美男だってより取り見取りだろうバルが選ぶなんて。
夢にも思わないじゃん! 常識で考えて!


あ、この世界には俺みたいな男子高校生はいないのか。

180cmって、こっちじゃ10歳以下の子供みたいな大きさらしいし。
この大きさで17歳とか、逆に新鮮だったとか? 合法ロリ的な?

って、それじゃバルがまるで変態みたいじゃないか。
何か強く否定できない気がするけど。


俺にひとつめのチャンピニョンをくれたのって、出会ってすぐだったよな。

レベル1歩きキノコとの戦闘の後。
胞子や涙とかで顔もぐちゃぐちゃで。散々な姿だよ? あれで惚れたの!? 好意を持っちゃったの!?

あのみっともない姿のどこに、惹かれる要素があったんだよ!?


……そうだ。
よく思い返してみれば。

ふたつめのチャンピニョンを受け取った後。

確かに、あれから、態度が甘い感じになってた気がする。
前よりも距離を詰めて来たっていうか。

乳キノコを絞った指とか舐められたし……。


城に行った俺を、膝の上に乗っけて頭を撫でてたのも。

”私の可愛い子猫ちゃん”とか言ってたのも。

全部。
俺のことを子供扱いしてたわけじゃなくて。愛情表現だったのか……!?


*****


うっかりスルーしてたけど。
言葉を何とかするのに、ベロチューされたのも変だった。

バルの舌から、何か伝わってきた感覚は確かにあった。あれでこっちの言葉を理解できるようになったのは事実だろう。
ファビオから預かった魔術書には、そういった魔法は無かったけど。

もしかして、必ずベロチューしなきゃいけない魔法ではなかったんじゃないか?


うう。
あんな形で、俺のファーストキスが……!

まあそれは置いといて。


太股でされたのも。ちょうど近くにいたから、誰でもいいから便利に使ったわけじゃなくて。
結婚前だから。手を出せないから、って意味だったんだ。

そうか。
あんなに爆発寸前状態だったのに。必死に、我慢してたんだ。

プロポーズするほど好きな相手に握られたら。そりゃ、あんな状態になっちゃうよな。
それなのに。俺が泣いたから、耐えてくれたんだ。


うわあああ! 俺ってば何てことを……!!

どうしよう。
恥ずかしすぎる。これからまともにバルの顔が見られないかもしれない。


うぎゃああああ……!!
奇声を上げながらその辺転げまわりたいくらいだ!


*****


あまりに衝撃的な事実に、内心悶絶してたら。

「すみませんが、優輝様。元の世界では通常、結婚を申し込むにはどのような作法で行われるものでしょうか?」
エリアスが質問してきた。

「え、元の世界? えーと、まずはしばらく恋人として付き合って。プロポーズの言葉と一緒に婚約指輪を渡すとか、かな? 結婚指輪とは別に」


母ちゃんから聞いた話だと、指輪の値段は給料三か月分だったとか何とか。
そんな大金、貯金して結婚とか生活費に使ったほうがよくない?

見合い結婚だと、仲人を間に立てて、やりとりして。
結納にノシイカとか結納金とか渡すんだっけ?

詳しくは知らない。


「なるほど、求婚の証にチャンピニョンではなく、指輪を贈るのですか。こちらも結婚式では”誓いの指輪”を交換しますよ。”プロポーズの言葉”とは、どのような感じなのでしょう。自分の年収などを言って、将来の確実性を約束するのでしょうか?」
エリアスは、異世界の求婚に興味津々の様子だ。

いや、年収とかで相手を決めるのは、むしろ見合い結婚の場合じゃないか?

普通、プロポーズって、しばらく恋人として付き合った後で。
もっと相手の人柄とか、生活環境とかを知った後にするものだろうし。

出会って即、プロポーズする人もいなくはないだろうけど。


「んー、普通に……『好きです』とか『愛してます』って告白してから、『幸せにするので結婚してください』とかかな?」

「な、な、何と淫らな!!」
エリアスは真っ赤になった。


えええ……。

淫らって。つまり、エロいってことだよな?
のどこが、領主たちが下ネタ発言してても涼しい顔だったエリアスが真っ赤になるくらいのエロワードだったんだ?

異世界ルール、さっぱりわかんないよ!
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