巨人の国に勇者として召喚されたけどメチャクチャ弱いのでキノコ狩りからはじめました。

篠崎笙

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キノコマスター、悩む。

魔法の練習をする

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「いけませんよ。いくら異世界人といっても慎みを持たなくては。そういった言葉は、式を挙げ、婚姻を認められた夫婦同士が、閨でのみ、言うものです。こんな昼日中に言うようなことではありません! 今回は仕方ないですが。今後、気をつけてくださいね!」


「そ、そうなんだ……」
怒涛の勢いで叱られて、ちょっと引いた。

普通の告白が。
ここではそんなエロワード扱いなのか……。

18禁なら、17歳な俺もアウトだ。

でもこの国では15歳で成人扱いだっていうから、15禁になるのかな?
……あれ? それならセーフじゃね?


似ているかと思ったけど、やはりここは異世界なんだ。
文化が違った。

『好き』や『愛してる』はアウトで、領主が言ってた、アレをキノコに例えるのはセーフなのか。
俺も乗っちゃった気がするから、ノーカウントでいいや。


今考えたら、バルが俺に、乳キノコを搾るところが見たい、とか言ってたの。
あれ、完全にセクハラだったんじゃないのか?

あれはギリギリセーフなのか。
エリアスはドン引いてたようだけど。よくわからない。


とりあえず。
この世界では、ストレートな言い方は良くないようだ


*****


城に着いたら、エリアスに図書室へ案内されて。
お茶とお茶菓子を出されて。

しばらくここで読書でもしながら待っていて欲しい、と言われた。

バルに、村のことを報告するそうだけど。
俺は行かなくていいのかな?


クッキー的なもの、美味しいな。
でもサイズが大きいから2個も食べればお腹いっぱいだ。

ティーカップもどんぶりみたいにでかい。

お茶もお茶菓子も、砂糖がたっぷり入っていて、甘い。
いやな甘さではないけど。贅沢だなって感じる。

スデステ村は貧しくて、砂糖が高級品だったから、甘い味のする乳キノコはすごく喜ばれたよな。塩は、ちょっと遠いけど海から作ったり、その辺の山に岩塩があるから大丈夫らしかったけど。
これからは堂々と、セントロ王国の国民として働いて。美味しいものを腹いっぱい食べられるようになるといい。


おやつを食べ終わったので、本を広げた。
植物図鑑だ。

へえ、タリョドゥルセ、ってサトウキビみたいに絞ると甘い汁が出る植物があるんだ。

なんか見覚えがあると思ったら。これ、城の庭に雑草みたいに生えてた。
産業として、これを栽培するのを勧めてみようかな。

貴族階級の人は樹液、蜂蜜などで味付けしたものを好むらしいし。

そういえば、昨夜食べたパンもメープルシロップみたいな味がしたっけ。
王様の城だから、当たり前みたいに出されたけど。この世界では贅沢品なんだろうな。


……本の内容が、あんまり頭に入ってこない。


バルは、完全に俺が求婚を受け入れたものとして、領主達にも紹介したんだよな。
俺がこっちの決まりごとを知らないって、知らなかったから。

会議が長引いたのも、結婚式の話があったからかもしれない。

国王の結婚、って国の一大事だよな。
相手がこんな得体の知れない異世界人じゃ、反対するだろうし。

王様の結婚か。

エリアスの口ぶりだと、やっぱり通常、結婚は男女でするものらしい。
禁忌ではないけど、王族では滅多にないとか。

王子が沢山生まれた所では、王位継承問題で争わないよう、男に嫁がせたりすることはあるらしい。


バルは不老不死だから、跡取り問題は不問でいいのかな? 従兄弟のエリアスもいるから、血統的には問題ないとか?

エリアスも不老不死になってるのかな。
長い付き合いっぽいし。


……ん? 何か胸の辺りがもやもやする。
何だろう。


*****


「いいやもう、魔法の練習しよっと!」


倒すべき魔王なんて、いなかった。
だから、レベルを上げる必要なんてないのかもしれないけど。

これが一番、異世界に来たって実感するんだよな。魔法なんて、元の世界じゃ使えないもん。


……元の世界。

もう、帰れないんだよな。

いや。
何も考えるな。集中集中。


「パロマ・テレスコピオ」
口から出た呪文が、煙のようになって、形になるイメージ。


白い鳥。
一羽の鳩が、窓から飛び立っていく。

魔法で出来た鳥と視覚を共有する、遠見の魔法だ。


城を見下ろして。
窓から誰か見えるかな、と思ったけど。見えないや。


あ、スデステ村だ。

夕食の時間のようだ。
あはは、みんな俺が狩ったキノコを食べてる。

キノコマスター目指して、かなり狩ったもんな。


「今日の糧を与えてくださった神と勇者様に感謝を」
村人達が夕食を前に、祈っているのが見えた。


俺が聞いてるなんて、知らないのに。

こうして、感謝してくれてたんだ。
キノコ狩りはレベル上げのためだよ。感謝しなくていいのに。


でも、嬉しいな。
ありがとう。


*****


スデステ村を通り過ぎて、その先に行くと。

高く長い壁がそびえ立っているのが見えた。
これが、隣国との国境か。隣の国って、どうなってるんだろ。


……うわっ!?

ちょっと越えて見てみようかと思ったら、空中で跳ね返されてしまった。
見えない壁に阻まれている感じだ。


これ、魔法の結界かな?
バルが建てた壁は、上空も通れないのか。厳しいなあ。

でも、渡り鳥とかは普通に塀を越えて通ってる。スパイとか、魔法での侵入を防御するものなのかも。
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