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キノコマスター、決意する。
誓いの枷
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「それでは、私はお先に失礼します。……陛下、お願いします」
エリアスが礼をして。
バルがパチリと指を鳴らすと、エリアスの姿が消えた。
移動魔法をかけたようだ。エリアスだけ、先に城に戻ったんだ。
帰りは馬車じゃないのかな?
気がつけば、バルは花婿の衣装から、黒い騎士みたいな、いつもの格好に戻っていた。
その姿が、煙に包まれたようになって。
俺を腕に抱えたまま、大きな黒いドラゴンに変身した。
変身すると同時に空に舞い上がったドラゴンを。
わあっ、と。国民が、感心したように見上げている。
みんな、子供みたいな表情で。
ぐんぐん上昇して、地面が遠ざかってくけど。大きな手の中、不安はなかった。
だって、まるで大事な宝物みたいに守られてる感じがするから。
*****
黒いドラゴンは、翼をはためかせて、城へ向かって飛んだ。
地上では、みんなが嬉しそうにドラゴンを見上げて。国王陛下、と手を振ってる。
バルが慕われているのを見て、何だか俺も嬉しくなる。
「さあ、帰ろう。私達の家へ」
バルが言う。
お城だし。家って大きさじゃないけど。
そうか。
これからは、あの城が、俺の。俺たちが帰る家になるんだ。
何だか胸がいっぱいになって。ドラゴンに変化したバルの腕に、ぎゅっと抱きついた。
「うん、帰ろう。俺たちの家に」
今日からは、大好きな夫である、バルと共に。
「おかえりなさいませ。夕食の準備は整っております」
城に到着すると。
エリアスが扉の前で待っていて、恭しく礼をされた。
バルが黒いドラゴンの姿から人の姿に戻ったら、再び、花婿の格好になってる。
俺を抱えたまま変化するとか、凄いなあ。魔法陣とか、頭の中どうなってるんだろ?
「ご苦労」
バルは俺を抱えたまま、城に入った。
使用人たちからも、おめでとうございます、って口々に言われながら食堂に向かう。やっぱり、人前でこうやって抱っこされるのは照れる。バルが嬉しそうなんで、まあいいか。
それにしても、花嫁を歩かせない決まりって、どこまで有効なんだろう。
家に着いたら、もう、いいんじゃないかな。
席に下ろされて。
ありがとう、と言ったら頭を撫でられた。
子供じゃないけど、バルに撫でられるのは嬉しいんだ。
*****
「あ、これ……」
前菜に、チャンピニョンが入ってた。
「先日、陛下が狩ってこられたのですよ」
おめでたい物だから、結婚式の食事にも出されるんだそうだ。
群生地があるみたいだけど。どこにあるんだろ?
やっぱり美味しいな。
求婚に使われるのは、美味しいからって理由もあったりして。美味しいものを食べると、幸せな気持ちになるもんな。
乳キノコのシチューも、ウサギのミートパイも美味しかった。
俺の皿は、ちゃんと俺に合わせたサイズで、バルたちのより小さめの皿だった。
小鳥の食事だな、とか言われるけど。これでも、同い年の男の中でも多いなんだけど。
体育会系高校生男子である俺より食べる量が多いんだから困る。食費が大変そうだ。
本来、結婚式の日の夕食には、精のつく料理がいっぱい出されるそうだ。でも、今回はエリアスが気を遣って、メニューを変えてくれたらしい。
特別メニューは魔王封印後、ということにして。急遽、俺の好物を優先して作ってもらったようだ。覚えててくれたんだな。
……まあ、精がつく料理を出されても困るもんな。
発散させようがないし。
結婚式を焦ってたくらいだから。バルは魔王を一刻も早く封じたいんだろう。
でも、俺のレベル上げの問題もあるし。しばらく我慢しなくちゃならなくなって複雑だ、って顔してる。
わかりやすすぎだよ。
俺も男だから、したいって気持ちはわかるけど。
受け入れる立場だから、ちょっと猶予が出来て、ほっとしてたり。
……あのサイズは、覚悟がいるよなあ。
「あ。そういえば、エリアスは”誓いの指輪”を交換するって言ってたけど。何で俺は指輪じゃなくて、腕輪とかなの?」
シャラシャラ鳴る腕輪を、袖を引いて見せると。
エリアスは真っ赤になって。
困った顔をして、バルの方を見た。
ん?
また何か、まずいこと言った?
告白の言葉はそういう時しか言っちゃいけない的な、エロ関係だったとか?
「……それは、後で私が教える」
気まずそうに咳払いをして、バルが言った。
……あ、やっぱりそういう意味があるシロモノだったか。
後で、二人になった時に聞けばよかったんだな。
文化の違い、難しいな……。
*****
デザートと、食後のお茶を飲んで。
バルに食事はもういいか? と聞かれて。
「ん、もうお腹いっぱい」
頷いてみせたら、また抱え上げられた。
まだ歩かせないルール、有効なの!?
「おやすみなさいませ」
エリアスが礼をして、下がった。
ああ、なるほど。
こうやって、花嫁をベッドまで運ぶのがお約束なのか!
これは恥ずかしい……。
しかし、花婿は大変だなあ。相当腕力が必要だもんな。
人によってはこれで体力使いきっちゃって、そのままベッドで寝ちゃいそう。
バルはまだまだ余裕がありそうだけど。
「優輝、私の愛しい半身。……愛しているよ」
甘く、囁かれる。
何だかくすぐったくて首をすくめてたら、そっと、ベッドに降ろされて。
額にキスをされた。
頬にも、口にも。
エリアスが礼をして。
バルがパチリと指を鳴らすと、エリアスの姿が消えた。
移動魔法をかけたようだ。エリアスだけ、先に城に戻ったんだ。
帰りは馬車じゃないのかな?
気がつけば、バルは花婿の衣装から、黒い騎士みたいな、いつもの格好に戻っていた。
その姿が、煙に包まれたようになって。
俺を腕に抱えたまま、大きな黒いドラゴンに変身した。
変身すると同時に空に舞い上がったドラゴンを。
わあっ、と。国民が、感心したように見上げている。
みんな、子供みたいな表情で。
ぐんぐん上昇して、地面が遠ざかってくけど。大きな手の中、不安はなかった。
だって、まるで大事な宝物みたいに守られてる感じがするから。
*****
黒いドラゴンは、翼をはためかせて、城へ向かって飛んだ。
地上では、みんなが嬉しそうにドラゴンを見上げて。国王陛下、と手を振ってる。
バルが慕われているのを見て、何だか俺も嬉しくなる。
「さあ、帰ろう。私達の家へ」
バルが言う。
お城だし。家って大きさじゃないけど。
そうか。
これからは、あの城が、俺の。俺たちが帰る家になるんだ。
何だか胸がいっぱいになって。ドラゴンに変化したバルの腕に、ぎゅっと抱きついた。
「うん、帰ろう。俺たちの家に」
今日からは、大好きな夫である、バルと共に。
「おかえりなさいませ。夕食の準備は整っております」
城に到着すると。
エリアスが扉の前で待っていて、恭しく礼をされた。
バルが黒いドラゴンの姿から人の姿に戻ったら、再び、花婿の格好になってる。
俺を抱えたまま変化するとか、凄いなあ。魔法陣とか、頭の中どうなってるんだろ?
「ご苦労」
バルは俺を抱えたまま、城に入った。
使用人たちからも、おめでとうございます、って口々に言われながら食堂に向かう。やっぱり、人前でこうやって抱っこされるのは照れる。バルが嬉しそうなんで、まあいいか。
それにしても、花嫁を歩かせない決まりって、どこまで有効なんだろう。
家に着いたら、もう、いいんじゃないかな。
席に下ろされて。
ありがとう、と言ったら頭を撫でられた。
子供じゃないけど、バルに撫でられるのは嬉しいんだ。
*****
「あ、これ……」
前菜に、チャンピニョンが入ってた。
「先日、陛下が狩ってこられたのですよ」
おめでたい物だから、結婚式の食事にも出されるんだそうだ。
群生地があるみたいだけど。どこにあるんだろ?
やっぱり美味しいな。
求婚に使われるのは、美味しいからって理由もあったりして。美味しいものを食べると、幸せな気持ちになるもんな。
乳キノコのシチューも、ウサギのミートパイも美味しかった。
俺の皿は、ちゃんと俺に合わせたサイズで、バルたちのより小さめの皿だった。
小鳥の食事だな、とか言われるけど。これでも、同い年の男の中でも多いなんだけど。
体育会系高校生男子である俺より食べる量が多いんだから困る。食費が大変そうだ。
本来、結婚式の日の夕食には、精のつく料理がいっぱい出されるそうだ。でも、今回はエリアスが気を遣って、メニューを変えてくれたらしい。
特別メニューは魔王封印後、ということにして。急遽、俺の好物を優先して作ってもらったようだ。覚えててくれたんだな。
……まあ、精がつく料理を出されても困るもんな。
発散させようがないし。
結婚式を焦ってたくらいだから。バルは魔王を一刻も早く封じたいんだろう。
でも、俺のレベル上げの問題もあるし。しばらく我慢しなくちゃならなくなって複雑だ、って顔してる。
わかりやすすぎだよ。
俺も男だから、したいって気持ちはわかるけど。
受け入れる立場だから、ちょっと猶予が出来て、ほっとしてたり。
……あのサイズは、覚悟がいるよなあ。
「あ。そういえば、エリアスは”誓いの指輪”を交換するって言ってたけど。何で俺は指輪じゃなくて、腕輪とかなの?」
シャラシャラ鳴る腕輪を、袖を引いて見せると。
エリアスは真っ赤になって。
困った顔をして、バルの方を見た。
ん?
また何か、まずいこと言った?
告白の言葉はそういう時しか言っちゃいけない的な、エロ関係だったとか?
「……それは、後で私が教える」
気まずそうに咳払いをして、バルが言った。
……あ、やっぱりそういう意味があるシロモノだったか。
後で、二人になった時に聞けばよかったんだな。
文化の違い、難しいな……。
*****
デザートと、食後のお茶を飲んで。
バルに食事はもういいか? と聞かれて。
「ん、もうお腹いっぱい」
頷いてみせたら、また抱え上げられた。
まだ歩かせないルール、有効なの!?
「おやすみなさいませ」
エリアスが礼をして、下がった。
ああ、なるほど。
こうやって、花嫁をベッドまで運ぶのがお約束なのか!
これは恥ずかしい……。
しかし、花婿は大変だなあ。相当腕力が必要だもんな。
人によってはこれで体力使いきっちゃって、そのままベッドで寝ちゃいそう。
バルはまだまだ余裕がありそうだけど。
「優輝、私の愛しい半身。……愛しているよ」
甘く、囁かれる。
何だかくすぐったくて首をすくめてたら、そっと、ベッドに降ろされて。
額にキスをされた。
頬にも、口にも。
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