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異世界の王様、日本へ行く。
結婚宣言
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とりあえず、バルを居間まで案内した。
来客用のスリッパを出したら、首を傾げてた。
あっちは基本、土足だもんな……。
木造建築にモルタルの壁にも興味津々だ。
「あらあら、異人のお客さん? 優輝のお友達かしら? いらっしゃい。この暑い中わざわざありがとうね」
祖母ちゃんも来て、バルに冷たい麦茶を出した。
居間のソファーに、バルと俺が並んで座って。
母ちゃんが向かいのソファー、婆ちゃんが定位置の座椅子に座った。
……くっ、今、気付いた。
気付きたくなかった事実に。
足が長いから、俺より背が高いのに、座高が変わらないんですけど!
「えーと。学校の帰り、何かいきなり異世界に召喚されて、俺を召喚した魔法使いに、俺は勇者だとか言われて。魔王を倒せっていうから最初の村でレベル上げしてたらバルと会って。求婚されて、オッケーして、倒せって言われた魔王はバルで。でも、別に魔王がいて。……ええと……どこまで話したっけ?」
母ちゃんは心底呆れた顔をした。
「……ごめん。あんたに説明させようと思った私がバカだった」
ひどい。
それが実の母親が息子に言うことかよ!?
*****
「ええと、バルさん、でしたっけ……?」
隅々まで効く殺虫剤みたいな呼び方やめて。
本来、様をつけるべき相手だぞ。
知らなかったとはいえ、俺もたいがい失礼だったけど。
母ちゃんの記憶力も、俺と良い勝負じゃないか。
俺は一回で覚えたし。
でもバルでいいってバルが言ったんだもん。
「バルタサール=ウルタード。バルは愛称ですから、バルでも結構ですよ」
微笑みがイケメンすぎる。
母ちゃんだけでなく、祖母ちゃんまで見惚れてしまったくらいだ。
はっ、と正気に返った母ちゃんが、バルに向き直った。
「ではバルタサールさん、この子説明下手なので、代わりに説明お願いできます?」
「承知しました。私が知っている範囲でお話しすると、優輝がこちらの世界に来て、間もなくのことで……」
優雅に頷いて。
俺の代わりに、バルが最初からわかりやすく説明してくれた。
考えてみれば、波乱万丈だなあ。
と、他人事のように思う。
でも、バルの説明は、かなり伴侶の欲目が入ってて、俺に対しての装飾語が過剰だった。
聞いてて、すごく恥ずかしかった。
母ちゃんは、え、この子のどこがそんなに愛らしいって? みたいな顔をした。
可愛くない息子で悪かったな!
そこは、未だに俺も疑問だよ!!
誤解があったものの、俺がバルのプロポーズを受けて、結婚式を挙げたこと。
魔王を封印する使命のこと。修行をしたこと。
魔王クレプスクロの結末には、さすがの母ちゃんも涙を見せた。
鬼の目にも涙ってやつか。
それで、魔王騒ぎも一段落したし。
こっちと異世界の行き来が可能になったので挨拶に来た、と言った。
「こうして事後承諾となりましたが。どうかご両親、祖母君にも結婚を認めていただきたいと思い、こちらにお邪魔しました」
いつの間にか、バルは王様の正装に着替えてた。
正式に挨拶するからだって。
鎧姿もいいけど。こっちも格好良いなあ。
*****
それまでは半信半疑な様子だったけど。
目の前で魔法を使われて、こうして王様の格好を見れば。いくら現実主義の母ちゃんだって信じるだろう。
これは一大事、と親父に連絡して。
親父は半休とって、大急ぎで帰ってくるそうだ。
祖母ちゃんは、今のはどんなトックリ? とか聞いてる。
トリックのことかな? 相変わらず横文字弱いな! 俺もだけどさ!
「これは、麦の煮汁かな? この暑い最中、氷を贅沢に使うとは。……冷蔵庫? 氷室のようなものか……」
氷の入った麦茶を飲んだバルが母ちゃんに聞いて。
母ちゃんは電気で冷やすんですよ、と大雑把に説明してる。
冷蔵庫の仕組みを聞かれても、俺にもわからない。
昔は箱に、氷を上に置いて冷やしてたんだって。
祖母ちゃんが教えてくれた。
「ふむ、電気とは、かくも便利な物なのだな……」
こちらで得た知識を、どう活用しようかと思いを巡らせてる様子で。
バルはいい王様だから、国民のより良い暮らしの為にいつも頭を悩ませてるんだ。
俺も、出来るかぎりそれを手伝いたい。
*****
「優輝が一大事って、どうした!?」
親父が慌てて帰ってきた。
駅からタクシーを飛ばしてきたようだ。
自家用車は持ってるけど、駐車代やガソリン代が出ないのでバス+電車通勤だ。
バルがまた、義父上殿、と挨拶をかまして。
親父は目を回しそうになっていた。
前振りもなしにこんなことになってちゃ、そりゃ驚くよな。
バルは親父にも、最初から丁寧に説明して。
両親と、祖母ちゃん、三つ巴の家族会議の結果。
親父がバルに向き直った。
「わざわざ異世界? からご挨拶にいらしてくださり、大変ご足労かけていただいたようで。一国の王から息子を是非にと望まれて、光栄なことだと思います。……しかし、息子はまだ高校生なのです。せめて、高校を卒業するまで連れて行くのを待っていただけませんか?」
と、バルに頭を下げた。
さすが中間管理職。
バルがどれだけ偉い人だかわかるんだろう。
見た目は若いけど、ものすごい年上だし。
祖母ちゃんよりずっと上だ。千年は生きてるもんな。
来客用のスリッパを出したら、首を傾げてた。
あっちは基本、土足だもんな……。
木造建築にモルタルの壁にも興味津々だ。
「あらあら、異人のお客さん? 優輝のお友達かしら? いらっしゃい。この暑い中わざわざありがとうね」
祖母ちゃんも来て、バルに冷たい麦茶を出した。
居間のソファーに、バルと俺が並んで座って。
母ちゃんが向かいのソファー、婆ちゃんが定位置の座椅子に座った。
……くっ、今、気付いた。
気付きたくなかった事実に。
足が長いから、俺より背が高いのに、座高が変わらないんですけど!
「えーと。学校の帰り、何かいきなり異世界に召喚されて、俺を召喚した魔法使いに、俺は勇者だとか言われて。魔王を倒せっていうから最初の村でレベル上げしてたらバルと会って。求婚されて、オッケーして、倒せって言われた魔王はバルで。でも、別に魔王がいて。……ええと……どこまで話したっけ?」
母ちゃんは心底呆れた顔をした。
「……ごめん。あんたに説明させようと思った私がバカだった」
ひどい。
それが実の母親が息子に言うことかよ!?
*****
「ええと、バルさん、でしたっけ……?」
隅々まで効く殺虫剤みたいな呼び方やめて。
本来、様をつけるべき相手だぞ。
知らなかったとはいえ、俺もたいがい失礼だったけど。
母ちゃんの記憶力も、俺と良い勝負じゃないか。
俺は一回で覚えたし。
でもバルでいいってバルが言ったんだもん。
「バルタサール=ウルタード。バルは愛称ですから、バルでも結構ですよ」
微笑みがイケメンすぎる。
母ちゃんだけでなく、祖母ちゃんまで見惚れてしまったくらいだ。
はっ、と正気に返った母ちゃんが、バルに向き直った。
「ではバルタサールさん、この子説明下手なので、代わりに説明お願いできます?」
「承知しました。私が知っている範囲でお話しすると、優輝がこちらの世界に来て、間もなくのことで……」
優雅に頷いて。
俺の代わりに、バルが最初からわかりやすく説明してくれた。
考えてみれば、波乱万丈だなあ。
と、他人事のように思う。
でも、バルの説明は、かなり伴侶の欲目が入ってて、俺に対しての装飾語が過剰だった。
聞いてて、すごく恥ずかしかった。
母ちゃんは、え、この子のどこがそんなに愛らしいって? みたいな顔をした。
可愛くない息子で悪かったな!
そこは、未だに俺も疑問だよ!!
誤解があったものの、俺がバルのプロポーズを受けて、結婚式を挙げたこと。
魔王を封印する使命のこと。修行をしたこと。
魔王クレプスクロの結末には、さすがの母ちゃんも涙を見せた。
鬼の目にも涙ってやつか。
それで、魔王騒ぎも一段落したし。
こっちと異世界の行き来が可能になったので挨拶に来た、と言った。
「こうして事後承諾となりましたが。どうかご両親、祖母君にも結婚を認めていただきたいと思い、こちらにお邪魔しました」
いつの間にか、バルは王様の正装に着替えてた。
正式に挨拶するからだって。
鎧姿もいいけど。こっちも格好良いなあ。
*****
それまでは半信半疑な様子だったけど。
目の前で魔法を使われて、こうして王様の格好を見れば。いくら現実主義の母ちゃんだって信じるだろう。
これは一大事、と親父に連絡して。
親父は半休とって、大急ぎで帰ってくるそうだ。
祖母ちゃんは、今のはどんなトックリ? とか聞いてる。
トリックのことかな? 相変わらず横文字弱いな! 俺もだけどさ!
「これは、麦の煮汁かな? この暑い最中、氷を贅沢に使うとは。……冷蔵庫? 氷室のようなものか……」
氷の入った麦茶を飲んだバルが母ちゃんに聞いて。
母ちゃんは電気で冷やすんですよ、と大雑把に説明してる。
冷蔵庫の仕組みを聞かれても、俺にもわからない。
昔は箱に、氷を上に置いて冷やしてたんだって。
祖母ちゃんが教えてくれた。
「ふむ、電気とは、かくも便利な物なのだな……」
こちらで得た知識を、どう活用しようかと思いを巡らせてる様子で。
バルはいい王様だから、国民のより良い暮らしの為にいつも頭を悩ませてるんだ。
俺も、出来るかぎりそれを手伝いたい。
*****
「優輝が一大事って、どうした!?」
親父が慌てて帰ってきた。
駅からタクシーを飛ばしてきたようだ。
自家用車は持ってるけど、駐車代やガソリン代が出ないのでバス+電車通勤だ。
バルがまた、義父上殿、と挨拶をかまして。
親父は目を回しそうになっていた。
前振りもなしにこんなことになってちゃ、そりゃ驚くよな。
バルは親父にも、最初から丁寧に説明して。
両親と、祖母ちゃん、三つ巴の家族会議の結果。
親父がバルに向き直った。
「わざわざ異世界? からご挨拶にいらしてくださり、大変ご足労かけていただいたようで。一国の王から息子を是非にと望まれて、光栄なことだと思います。……しかし、息子はまだ高校生なのです。せめて、高校を卒業するまで連れて行くのを待っていただけませんか?」
と、バルに頭を下げた。
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見た目は若いけど、ものすごい年上だし。
祖母ちゃんよりずっと上だ。千年は生きてるもんな。
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