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異世界の王様、日本へ行く。
花嫁修業?
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「あれ? 誰も反対しないの?」
てっきり、結婚には大反対されるかと思ったけど。男同士だし。
特に母ちゃんからは。
親父は言いにくそうに。
「その、あれだ。お互い、す、好いているんだろう? 見ればわかる。わたし達がいくら反対しようと、この方と一緒に、その異世界とやらに行く気だと」
それは。
確かにそうだけど。
「この方なら、おまえを任せられるという安心感がある。だから反対はしない」
親父……。さすが、見る目があるぜ。
「この子、素直なだけが取り柄で。こんな不出来な息子が王妃で、本当にいいんですか?」
母ちゃんひどい。
「とんでもない。我が国……いえ、向こうの世界にとって、優輝は世界を救った救世主です。彼が召喚されなかったら、どうなっていたことか。それと、謙虚というか、卑下をするのはこちらの国の習慣なのでしょうか? しかし、私の愛する人を悪く言うのはやめていただけますか? 優輝は私にとって、何よりも愛おしい、かけがえのない伴侶ですので」
きっぱりと言って。
俺を含め、その場にいる全員が、照れて赤くなった。
言った当人も真っ赤だ。
本来、あっちじゃ愛してるとか人前では言わない言葉なのに、言ってくれたんだよな。
ああもう、バル大好き。
*****
「成績がアヒルの競争なのは謙虚じゃなく、確固たる事実なんですけどね。……将来どうなるか不安だったけど、この王様なら安泰そうで何よりじゃない。イケメンな上、優しそうだし」
母ちゃんが俺に言う。
アヒルの競争って。1,2、1、2ってこと?
そこまでひどくねえよ!? 体育はいつも5だったよ!?
あと、出席すれば理科Ⅱは4くれるし! 国語も一応、4だったし。
悪かったのは数学と英語と音楽と美術だけだもん……。
3年は選択授業だから美術と音楽はないけど。
「でもせめて、一般常識くらい叩き込んでから嫁に出したいですよね? お義母さん」
母ちゃんは祖母ちゃんに同意を求めてる。
それは。
俺も、もっと勉強しておけばよかった、って思ったから。
できれば、今のうちに色々勉強しておきたい。
国の発展に役立つようなこととか。
おこがましいだろうけど。いつかは公私ともに、バルを支えられる存在になりたいと思うんだ。
「今から優輝に花嫁修業をさせるっていうのかい? でも、バルタさんはお大尽さまなんでしょう? 家事はしないでも大丈夫じゃないかしらねえ」
「祖母ちゃん、バルは大臣じゃなくて王様だよ? お手伝いさんはいっぱいいるけど。料理長、すごい腕がいいんだ。あとバルタさんじゃなくてバルタサールな」
「……役職の大臣じゃなく、大尽、お金持ちのことだ」
親父に突っ込まれた。
なにそれ、時代劇語?
「……そういう訳ですので。優輝が高校を卒業するまで、連れて行くのを待って欲しいのですが」
親父が強引に締めた。どういう訳だよ。
*****
「承知しました。ご家族から結婚を認めていただけてよかった。……卒業まで、どのくらいの期間待てば良いのでしょうか」
バルも、俺が高校を卒業するまで待ってくれると言う。
召喚された日に戻って来れたように、戻る時間を調整すればいいだけだって。
なるほど。
「えーと、今は7月の19日だから……6ヶ月くらい?」
「おバカ。卒業式は3月1日なんだから、7ヶ月とちょっとでしょ」
そうだっけ?
「今日からだと、226日後になる」
え、今計算したの? 親父すげえ。天才かよ。
何で俺、頭の出来が母ちゃんに似ちゃったのかな……。
この背は母方の爺ちゃん似で、この家では俺が一番でかい。
何か親父とこっちの暦に興味を覚えたバルが、太陽暦について話してるけど。
さっぱりついていけない……。
「ばあばは、優輝が元気で笑っててくれればそれでいいからね」
皺だらけの手が、俺の手を握った。
あれ?
こんなに小さかったっけ?
あったかい手なのは、俺が小さい時から変わってないけど。
「祖母ちゃん……」
卒業して、向こうに行くまで。色々勉強もするけど。
なるべく孝行しようと思った。
*****
「ところで、その両腕のアクセサリーは何? 夏休みデビューでもする気なの?」
母ちゃんが、俺の腕のシークロに気付いて訊かれた。
不良デビューみたいに言うな。
「さっきバルが言ってたじゃん。誓いの指輪を交換するとき、俺にずっといて欲しいから、指輪じゃなくて両腕両足用のシークロを贈ったって」
シャラシャラ振って見せる。
愛は重いけど、シークロは重くないぜ。
「ああ、これがその、シークロってやつ? 綺麗だけど。校則違反じゃない?」
「あ、そっか……」
すっかり忘れてた。
何の話だ、と首を傾げていたバルに、母ちゃんが説明した。
「こっちじゃ、学校にはこういったアクセサリー類をつけて行ってはいけないんですよ」
「成程。……優輝、」
バルは俺の手を取って。
手首にあったシークロを、袖で隠れる辺りまで上げて、そこに固定させたようだ。
何だか手つきが結婚指輪をはめてるみたいな感じだった。
事実、指輪みたいなもんだけど。
「これでどうかな?」
「うん、足のは靴下で隠れるし。大丈夫だと思う」
幸い、うちの高校にプールは無いのだ。
靴下を脱ぐようなことも滅多にないだろうし。
「……外すって選択肢は無いわけね……」
母ちゃんは半目で見てる。
当たり前じゃないか。
絶対外れない、呪いのアイテムに近いやつだぞこれ。
てっきり、結婚には大反対されるかと思ったけど。男同士だし。
特に母ちゃんからは。
親父は言いにくそうに。
「その、あれだ。お互い、す、好いているんだろう? 見ればわかる。わたし達がいくら反対しようと、この方と一緒に、その異世界とやらに行く気だと」
それは。
確かにそうだけど。
「この方なら、おまえを任せられるという安心感がある。だから反対はしない」
親父……。さすが、見る目があるぜ。
「この子、素直なだけが取り柄で。こんな不出来な息子が王妃で、本当にいいんですか?」
母ちゃんひどい。
「とんでもない。我が国……いえ、向こうの世界にとって、優輝は世界を救った救世主です。彼が召喚されなかったら、どうなっていたことか。それと、謙虚というか、卑下をするのはこちらの国の習慣なのでしょうか? しかし、私の愛する人を悪く言うのはやめていただけますか? 優輝は私にとって、何よりも愛おしい、かけがえのない伴侶ですので」
きっぱりと言って。
俺を含め、その場にいる全員が、照れて赤くなった。
言った当人も真っ赤だ。
本来、あっちじゃ愛してるとか人前では言わない言葉なのに、言ってくれたんだよな。
ああもう、バル大好き。
*****
「成績がアヒルの競争なのは謙虚じゃなく、確固たる事実なんですけどね。……将来どうなるか不安だったけど、この王様なら安泰そうで何よりじゃない。イケメンな上、優しそうだし」
母ちゃんが俺に言う。
アヒルの競争って。1,2、1、2ってこと?
そこまでひどくねえよ!? 体育はいつも5だったよ!?
あと、出席すれば理科Ⅱは4くれるし! 国語も一応、4だったし。
悪かったのは数学と英語と音楽と美術だけだもん……。
3年は選択授業だから美術と音楽はないけど。
「でもせめて、一般常識くらい叩き込んでから嫁に出したいですよね? お義母さん」
母ちゃんは祖母ちゃんに同意を求めてる。
それは。
俺も、もっと勉強しておけばよかった、って思ったから。
できれば、今のうちに色々勉強しておきたい。
国の発展に役立つようなこととか。
おこがましいだろうけど。いつかは公私ともに、バルを支えられる存在になりたいと思うんだ。
「今から優輝に花嫁修業をさせるっていうのかい? でも、バルタさんはお大尽さまなんでしょう? 家事はしないでも大丈夫じゃないかしらねえ」
「祖母ちゃん、バルは大臣じゃなくて王様だよ? お手伝いさんはいっぱいいるけど。料理長、すごい腕がいいんだ。あとバルタさんじゃなくてバルタサールな」
「……役職の大臣じゃなく、大尽、お金持ちのことだ」
親父に突っ込まれた。
なにそれ、時代劇語?
「……そういう訳ですので。優輝が高校を卒業するまで、連れて行くのを待って欲しいのですが」
親父が強引に締めた。どういう訳だよ。
*****
「承知しました。ご家族から結婚を認めていただけてよかった。……卒業まで、どのくらいの期間待てば良いのでしょうか」
バルも、俺が高校を卒業するまで待ってくれると言う。
召喚された日に戻って来れたように、戻る時間を調整すればいいだけだって。
なるほど。
「えーと、今は7月の19日だから……6ヶ月くらい?」
「おバカ。卒業式は3月1日なんだから、7ヶ月とちょっとでしょ」
そうだっけ?
「今日からだと、226日後になる」
え、今計算したの? 親父すげえ。天才かよ。
何で俺、頭の出来が母ちゃんに似ちゃったのかな……。
この背は母方の爺ちゃん似で、この家では俺が一番でかい。
何か親父とこっちの暦に興味を覚えたバルが、太陽暦について話してるけど。
さっぱりついていけない……。
「ばあばは、優輝が元気で笑っててくれればそれでいいからね」
皺だらけの手が、俺の手を握った。
あれ?
こんなに小さかったっけ?
あったかい手なのは、俺が小さい時から変わってないけど。
「祖母ちゃん……」
卒業して、向こうに行くまで。色々勉強もするけど。
なるべく孝行しようと思った。
*****
「ところで、その両腕のアクセサリーは何? 夏休みデビューでもする気なの?」
母ちゃんが、俺の腕のシークロに気付いて訊かれた。
不良デビューみたいに言うな。
「さっきバルが言ってたじゃん。誓いの指輪を交換するとき、俺にずっといて欲しいから、指輪じゃなくて両腕両足用のシークロを贈ったって」
シャラシャラ振って見せる。
愛は重いけど、シークロは重くないぜ。
「ああ、これがその、シークロってやつ? 綺麗だけど。校則違反じゃない?」
「あ、そっか……」
すっかり忘れてた。
何の話だ、と首を傾げていたバルに、母ちゃんが説明した。
「こっちじゃ、学校にはこういったアクセサリー類をつけて行ってはいけないんですよ」
「成程。……優輝、」
バルは俺の手を取って。
手首にあったシークロを、袖で隠れる辺りまで上げて、そこに固定させたようだ。
何だか手つきが結婚指輪をはめてるみたいな感じだった。
事実、指輪みたいなもんだけど。
「これでどうかな?」
「うん、足のは靴下で隠れるし。大丈夫だと思う」
幸い、うちの高校にプールは無いのだ。
靴下を脱ぐようなことも滅多にないだろうし。
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絶対外れない、呪いのアイテムに近いやつだぞこれ。
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