巨人の国に勇者として召喚されたけどメチャクチャ弱いのでキノコ狩りからはじめました。

篠崎笙

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異世界の王様、日本へ行く。

王様、日本の昔を知る

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一旦元の世界に帰るのかと思ったら。もう少し、この世界のことを学んでみたい、とバルが言うので。
今日はうちに泊っていくことになった。

そういえば、こっちの世界に興味津々だったっけ。
俺の説明より、実際に見た方がいいだろうし。

異世界の王様、日本の一般家庭にお泊りする。……なんて。動画にでもしたらバズりそうだな。しないけど。


無理してご馳走を出すより、いつもの食事の方が王様的には珍しくて面白いんじゃないかと言ったけど。
その日の夕食は、いつもよりも豪華だった。

お刺身なんて、お祝い事くらいでしか見ないぞ。

あ、俺の結婚祝いがあったか。
やったー。


あっちでは野菜も魚も火を通さないと食べないってバルが言ったら、ここでは衛生的に問題ないので生食可なんだって親父が説明してた。

堆肥を使ってたころは、食事時に言えないようなこともあったらしい。
うええ。


*****


夕食の後。
この国のことを聞きたいと言ったバルに。

祖母ちゃんは、自分が生まれた頃には終わったけど。世界的な戦争があったって話をした。


今は平和に見えるこの国も。
戦時中は敵国からの空襲でこの辺りも一面焼け野原になって、人が大勢死んだとか。敗戦した日本は、しばらく外国のいいなりになってたとか。

そこから今みたいに発達したのは、他の国の良いところを真似したり、失敗しても諦めず、発展させようと頑張った人たちのお陰だという。

今でも地震や台風で被害が出たりしてるけど。
今まであった情報の蓄積により、更に耐震強化したり、土手や堤防などの対策を立てたり。
他の国に支援したお礼に、他の国が復興支援してくれたこととか。

外国は相変わらず宗教問題とか部族間の争いとかでドンパチしてるけど、日本は軍隊の所持をせず戦争をしないことが憲法で決まってるとか。


へえ、スマホが出来たのはつい最近なのか。
祖母ちゃんが子供の頃は、電話には交換手とかいたって。

携帯電話が俺みたいな子供にも普及したのはここ最近で。
30年くらい前には写真も撮れないしwebも見れない、鞄みたいに大きいのしかなかったって。

すげえ。
ポケベル? なにそれポケモンのグッズ?


百年くらい前まで、東京は江戸で。着物姿のお侍さんがいて、日本刀持ってたんだよな?
そう考えると、進化が早いなあ。

だいたいの歴史は習ったつもりだけど。リアルな昔話は初めて聞いたかも。


周りのものみんな、あるのが当たり前みたいに思ってた。
でも、異世界に行ってわかったよ。

先祖たち、昔の人たちの、それこそ命をかけて得た知識と経験の積み重ねで、日本の今があるんだ。


「魔法で元通りに直してしまうのは、民の成長を阻害するのだろうか……?」

過保護すぎたのか、と悩むバルに。
親父が言った。

「すぐに解決できる方法があれば、手を貸すのは間違いではないかと。今までされてた事を急にやめたら、それはそれで不満が出るものです。これは施される国民側の勝手な意見ですが」


人間は、欲深いから。
それが当たり前になっちゃうと、無くなったら不満を覚える。それ以上を求める。

やっぱりバルみたいに、発展を抑えて人口管理しながらやってくしかないのかな。


セントロ王国以外の国は、どんな様子なんだろう?
バルも諦めたくらいだし。

神様が絶望しちゃうような状況なんだろうな。


*****


風呂に入る時、バルはスイッチ一つで風呂が沸くのにも驚いてた。

これ? これはガスで沸かしてるんだよ。
仕組みは知らない。


知らないのに使えるって、考えてみたらすごいことだよな。

あっちの世界ではボイラーで沸かしてるそうだ。
薪をくべるの? キャンプみたいだ。でも、毎日だと大変そうだな。


狭いから、一人ずつしか入れないし、足を伸ばせないけど。
狭いユニットバスも、これはこれで面白い、と笑った。

バルから見れば、小人の家だもんな。今はサイズ感合わせてるけど。


風呂から出て。
バルは脱衣所に用意されてた俺の甚平を着てる。

XXLなんだけど。足が長いから、まるで短パンみたいに見えるな……。


我が家には客室なんていう洒落たものはないので、バルが寝るのは俺の部屋だ。
珍しそうに見回してる。

普通の男子高校生の部屋が珍しいようだ。そりゃそうか。
生まれながらの王様だもんな……。


「エロ本とかは隠しておきな」
母ちゃんが、予備の布団と枕、替えのカバー一式を抱えてきた。

「ももも、持ってねえし!?」

エロ本なんて。
友達が買ってきたのをみんなで見ることはあったけど、あんまりぐっとこなかったし。

そんなもん買う金があったら、おやつ買って食う。


*****


俺のベッドのシーツとか枕カバーを交換して。
床に布団を敷いて。

母ちゃんは、バルに俺のベッドを勧めると、あんたは布団で寝な、って言って部屋を出て行った。

もちろん俺もそのつもりだったんだけど。
マットも無く、布団じかに敷くとか。息子に冷たくない?


「じゃあ、バルはそこで寝て」
ベッドを指差す。

「……独り身のように、私に寂しく一人寝をさせるつもりか?」

バルに腕を引っ張られて。
ベッドの上に、正面で向かい合った格好で、横になった。


一応、俺が足を伸ばしても大丈夫な大きさだけど。
バルには狭い。

「一人用なんで、狭くてごめん」
「なに、たまにはこういうのも良いものだ」

ぎゅっと抱き締められて。
クーラーは効いてるけど、身体が熱くなってきた。

もう、脊髄反射みたいに身体に教え込まれちゃってるし。
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