巨人の国に勇者として召喚されたけどメチャクチャ弱いのでキノコ狩りからはじめました。

篠崎笙

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キノコマスター、再び修行する。

打撃キノコとタリョドゥルセ

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「単独でゴルペアールオンゴを狩るなんて、それはもう、特級魔導騎士級じゃないですか! 私より強いですよ!」
「え、そうなの?」

ミゲルは最近、自分がかなり強くなってることを自覚したらしい。
確かに、自分より強い相手と戦っていると、飛躍的にレベルが上がるからな。


「でも俺も順調にレベル上がってるし。今のままで問題ないんじゃない?」
「……ないですかね?」

問題ないと思う。
Win-Winだ。やったね。


「俺も、飛びながらの戦いに慣れてきたし。ミゲルには悪いけど、もう少しだけ、訓練に付き合って欲しいんだけど」

国一番の魔導騎士であるミゲルを、午後中だけとはいえ、こうして独占している状態だ。申し訳ないとは思ってる。
国とか、隊の士気とかに影響が無ければいいけど。

まあ、国どころか世界の危機になる訳だから、この際、多少の影響は仕方ないのかな?


「いえ、それは大変光栄なのですが。私などが相手でよろしいのでしょうか?」
自信なさげに言った。

ミゲルは、俺の方がずっと強いって言ってるけど。
俺は対人戦にはまだ自信ないし。ミゲルだってガンガンレベル上がってるから、戦力的にはかなり拮抗してるんじゃないと思う。

「うん。お願い」

「はい。了解しました」
ミゲルは騎士の礼をして、爽やかに笑った。


*****


訓練を再開して、しばらく後。

「やっぱ人間相手は難しいなあ……」
つくづく実感する。

「それ以前に、自分で仕掛けた罠の位置を忘れてはいけないと思いますが……」


罠の魔法に挑戦してみたんだけど。
触れたら展開する蜘蛛の巣状の罠に、うっかり自分で引っ掛かってしまったのだった。

スパイダーネット超強力。
外そうとしてくれたミゲルの剣や手も引っ掛かってしまった。これがミイラ取りがミイラになるってやつ?

さてどうしよう、って感じ。

ミゲルは、翼の魔法があるから大丈夫だけど。
俺はマントが絡まった状態だから、解除したら頭から落っこちるだろうな。……泡を真下に出してから解除するか。


あ、バルが戻ってきた。

「……何をしているのかな?」
絡まってるのを、呆れたように見上げられた。

「とりあえず、これ外してー」
「わかった」

バルはパチンと指を鳴らして、罠を解除してくれた。
俺がそのまま頭から落っこちたのを、力強い両腕で受け止めてくれる。ミゲルは自力で着地した。さすがだ。

「いや、自分で仕掛けた蜘蛛の巣に引っ掛かっちゃってさ、」

「空中で? 蜘蛛の巣の罠を、どうやって空中に固定したのか……聞いてもわからないかな」
バルは上空を見て、残念そうに呟いた。


うん。
何となくでごめん。

理論的に説明できるといいんだけど。


*****


じゃあそろそろ夕飯にしよう、ってことになり。
今日は打撃キノコが四つも獲れたから、ミゲルも夕飯に誘ったので、普段より賑やかだ。


「噂は耳にしておりましたが、ゴルペアールオンゴがこんな美味しいものだとは存じませんでした」
エリアスは打撃キノコに舌鼓を打ってる。

「この、コリコリとした歯ごたえがまた、たまらないですね。素晴らしい。刺激せずに狩れば、こんなに美味いものだったとは。驚きです」
エリアスの向かいの席で、ミゲルも感心して食べている。


攻撃モードに入って、石みたいに硬くなってしまった打撃キノコなら見たことがあったらしい。
隊のみんなで掛かって、何とかやっつけたとか。

ああなった状態では食べられないよね。

「私でも、瞬間移動して仕留めなければ気取られるというのに。移動魔法も使わず狩るとは凄い。優輝は一流のマエステロデオンゴスだ」
バルは手放しで褒めてくれた。えへへ。


デザートは、黒糖のケーキだった。

シンプルだけど美味しい。
料理長は食材に合わせた料理を色々考えてくれて、どれも素材の味を生かしていて美味しい。すごいな。

「タリョドゥルセから、新たな砂糖を見出したのも優輝なのだぞ」
自慢げに言ったバルに、ミゲルは素直に驚いて。

「えっ、これタリョドゥルセなんですか!? 子供の頃、腹が減った時によく齧ってましたが。あれって砂糖になるんですね! しかし、タリョドゥルセは直接齧ると少しえぐみを感じるのに、糖分のみ抽出すると、こんなに美味しくなるんですね!」
お茶に入れる用の黒糖を齧ってみて、感心している。

ああ、その辺に生えてる花の蜜とか、舐めるよな。
ミゲルの庶民っぽさにちょっと親近感。

バルとエリアスは不思議そうな顔をしてるけど。
二人とも王族だから、その辺に生えてる植物とか口にしたことなんてないだろう。


「新しく領地になったスデステ村で、栽培を試みている。安定して供給できる栽培方法を確立次第、他の町にもそれを伝授するつもりだ」
「それは楽しみです!」

社交辞令じゃなく、ミゲルは本当に楽しみな様子だった。


*****


和気藹々とした食事が終わって。


「……ちょうどミゲルもいることだ。話しておこう」
バルは、改まって言った。

エリアスもミゲルも、笑顔をひっこめ。
姿勢を正して聞いている。

つられて俺も緊張してきた。


「魔王の位置を特定した。マリスマの先、アルタマール・イスラだ。……もう、目覚めている」


「……なんと……!!」
「ああ、とうとう……」

魔王の覚醒。
とうとう、来るべき時が来てしまったようだ。

もう少し、猶予があればと思ったけど。
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