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キノコマスター、魔王と対峙する。
魔王の正体は
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ああ、そうか。わかった。
先代の勇者は、魔王……この子猫を、二年半かけて、懐かせたんだ。
言葉も理解できなかっただろうし。大変だっただろうな……。
でも、こいつにしてみたら、裏切られたような気分だったんだろう。
信頼して眠って。起きたら、ここに一人で埋められてたんだし。
どっちも気持ちが理解できるだけに。
困ったな。
”魔王を封じる”っていうのは。
このクレプスクロを、落ち着かせること。
……バルが言ってたように、眠らせるのが正解だったんだ。
どうやら、天変地異や魔物が発生するのは、このクレプスクロの気分による影響だったようだ。
怒ると火山が活性化するし、イライラすると地震が起こる。
寂しいと思うと、魔物化した動物がやってくるのか。
こいつには動物を魔物化するつもりはなくても。
この、強すぎる魔力にあてられて、魔物に変化してしまうようだ。
どうしたもんか。
*****
邪魔だって捨てられた、っていうのは。
善神から悪い感情……自分を切り捨てられた時の記憶だろうな。
こいつから伝わるのは。
人間に対する怒り、憎しみ、悔しさ、悲しさ、寂しさ、といったマイナス感情だ。
異世界人の俺からは、こちらの人間っぽい匂いがしないのかも。
人間に嫌悪感を感じてるから、なかなかおとなしく寝てくれない、ってことかな?
魔王の姿が公式な記録に残ってないのは……自分で見たことが信じられないからかな?
だって、こんな小さな子猫、この世界じゃありえないサイズだし。
魔王は小さな子猫ちゃんでした、なんて。
古文書に書かれていても、絶対信じないだろう。
「俺はここに来るの初めてなんだ。この島を見て回りたいんだけど、案内してくれる?」
と言うと。
クレプスクロは短いしっぽをぴんと立てた。可愛い。
「いいぞ。この島は、おれの庭みたいなもんだ!」
でも、巨大な草が邪魔そうなので。
俺の背中に乗るように言った。
背中じゃなく、何故か俺の頭の上に乗ったクレプスクロは、俺に方向を指示した。
「あっちは磯だ。カニがいっぱいいたけど、みんな黒いニンゲンにやられた」
魚や、魔物化しそうな生き物は全部バルが追い出したようだ。
多分、俺のために危険なものを排除したんだろうな……。
「あっちは崖になってる。落ちたら痛いぞ」
ああ、落ちたんだ……。
大型犬サイズな俺でも、小一時間ほどで一周できるくらいの小さな島だけど。
この世界では小さい俺の手のひらに乗るほど小さい子猫にとっては、大冒険だったんだろうな。
クレプスクロが危ない思いや痛い思いをしたら、災害が起こる。
こいつ自身がそれを望んだわけじゃないのに。
同じ動物だと思ってるからだろうとはいえ。
さっき会ったばかりの俺に、こんなになついてるのに。
寂しがってるのに。
また、信じて眠って。
埋められたりしたら、悲しむだろうな。
こいつには、感情があるんだ。
出来れば、こいつを封じたくはない。
だけど。封じないと、災害がやまないんだ。
どうすればいいんだろう。
*****
「そこに泉がある。おいしいぞ」
森の中に、綺麗な泉が湧いていた。
そこで、クレプスクロと一緒に水を飲んだ。
冷たくて美味しい。天然水って、何となく甘い味がする。
泉に落ちそうになったクレプスクロをしっぽで掬い上げたりして。
ちょこちょこ動き回るから、危なっかしくて目が離せない。
話しているうちに、ぎこちなかった言葉もなめらかになっていく。
こうしていると、やんちゃな子猫で。
魔王だなんて思えないけど。
何もしなくても、凄まじい魔力を放っている。
これにあてられた動物たちが魔物化してしまうほどの影響がある。
俺が大丈夫なのは、異世界の人間だからだろうか?
それと、かなりレベルを上げたおかげで魔力に耐性がついているのかも。
「うれしいな、うれしいな。仲間は初めて見たぞ」
クレプスクロは、スキップしてるような足取りで。
嬉しそうに擦り寄ってくる。
今まで、魔物化してしまった動物しか見たことがなかったんだろう。
無防備なくらい、なつかれてる。
そんなクレプスクロが、可愛くて。
悲しくなる。
何で善神は、クレプスクロに、この姿と、感情を与えたんだろう。
感情さえも切り離さないと、この世界を維持できないのかな?
そのくらい、人間は神から見離されてしまったのか。
「クレプスクロは、人間のことが嫌い?」
「きらい。あっちもおれがきらいだし。あいつら、すぐ嘘をつくし。攻撃してくるんだぞ」
毛を逆立てた。
クレプスクロの言葉は人間には通じないけど。クレプスクロは、人間の言葉を理解していたようだ。
そして、クレプスクロと話をしてみようとした人間は、今まで一人もいなかった。
クレプスクロは、理由がわからないまま、人間から忌み嫌われて。
会えばいきなり攻撃されたりして。怖いし。腹が立つという。
今まで、攻撃をしてこないのは。この世界の人間じゃない、異世界人だけだったようだ。
異世界の人なら、子猫に偏見を持ってないだろうしな。
じゃあ、クレプスクロに今の状況を説明してみるか。
このまま、何も知らないでいるよりは、理由を知っていた方がいいだろう。
先代の勇者は、魔王……この子猫を、二年半かけて、懐かせたんだ。
言葉も理解できなかっただろうし。大変だっただろうな……。
でも、こいつにしてみたら、裏切られたような気分だったんだろう。
信頼して眠って。起きたら、ここに一人で埋められてたんだし。
どっちも気持ちが理解できるだけに。
困ったな。
”魔王を封じる”っていうのは。
このクレプスクロを、落ち着かせること。
……バルが言ってたように、眠らせるのが正解だったんだ。
どうやら、天変地異や魔物が発生するのは、このクレプスクロの気分による影響だったようだ。
怒ると火山が活性化するし、イライラすると地震が起こる。
寂しいと思うと、魔物化した動物がやってくるのか。
こいつには動物を魔物化するつもりはなくても。
この、強すぎる魔力にあてられて、魔物に変化してしまうようだ。
どうしたもんか。
*****
邪魔だって捨てられた、っていうのは。
善神から悪い感情……自分を切り捨てられた時の記憶だろうな。
こいつから伝わるのは。
人間に対する怒り、憎しみ、悔しさ、悲しさ、寂しさ、といったマイナス感情だ。
異世界人の俺からは、こちらの人間っぽい匂いがしないのかも。
人間に嫌悪感を感じてるから、なかなかおとなしく寝てくれない、ってことかな?
魔王の姿が公式な記録に残ってないのは……自分で見たことが信じられないからかな?
だって、こんな小さな子猫、この世界じゃありえないサイズだし。
魔王は小さな子猫ちゃんでした、なんて。
古文書に書かれていても、絶対信じないだろう。
「俺はここに来るの初めてなんだ。この島を見て回りたいんだけど、案内してくれる?」
と言うと。
クレプスクロは短いしっぽをぴんと立てた。可愛い。
「いいぞ。この島は、おれの庭みたいなもんだ!」
でも、巨大な草が邪魔そうなので。
俺の背中に乗るように言った。
背中じゃなく、何故か俺の頭の上に乗ったクレプスクロは、俺に方向を指示した。
「あっちは磯だ。カニがいっぱいいたけど、みんな黒いニンゲンにやられた」
魚や、魔物化しそうな生き物は全部バルが追い出したようだ。
多分、俺のために危険なものを排除したんだろうな……。
「あっちは崖になってる。落ちたら痛いぞ」
ああ、落ちたんだ……。
大型犬サイズな俺でも、小一時間ほどで一周できるくらいの小さな島だけど。
この世界では小さい俺の手のひらに乗るほど小さい子猫にとっては、大冒険だったんだろうな。
クレプスクロが危ない思いや痛い思いをしたら、災害が起こる。
こいつ自身がそれを望んだわけじゃないのに。
同じ動物だと思ってるからだろうとはいえ。
さっき会ったばかりの俺に、こんなになついてるのに。
寂しがってるのに。
また、信じて眠って。
埋められたりしたら、悲しむだろうな。
こいつには、感情があるんだ。
出来れば、こいつを封じたくはない。
だけど。封じないと、災害がやまないんだ。
どうすればいいんだろう。
*****
「そこに泉がある。おいしいぞ」
森の中に、綺麗な泉が湧いていた。
そこで、クレプスクロと一緒に水を飲んだ。
冷たくて美味しい。天然水って、何となく甘い味がする。
泉に落ちそうになったクレプスクロをしっぽで掬い上げたりして。
ちょこちょこ動き回るから、危なっかしくて目が離せない。
話しているうちに、ぎこちなかった言葉もなめらかになっていく。
こうしていると、やんちゃな子猫で。
魔王だなんて思えないけど。
何もしなくても、凄まじい魔力を放っている。
これにあてられた動物たちが魔物化してしまうほどの影響がある。
俺が大丈夫なのは、異世界の人間だからだろうか?
それと、かなりレベルを上げたおかげで魔力に耐性がついているのかも。
「うれしいな、うれしいな。仲間は初めて見たぞ」
クレプスクロは、スキップしてるような足取りで。
嬉しそうに擦り寄ってくる。
今まで、魔物化してしまった動物しか見たことがなかったんだろう。
無防備なくらい、なつかれてる。
そんなクレプスクロが、可愛くて。
悲しくなる。
何で善神は、クレプスクロに、この姿と、感情を与えたんだろう。
感情さえも切り離さないと、この世界を維持できないのかな?
そのくらい、人間は神から見離されてしまったのか。
「クレプスクロは、人間のことが嫌い?」
「きらい。あっちもおれがきらいだし。あいつら、すぐ嘘をつくし。攻撃してくるんだぞ」
毛を逆立てた。
クレプスクロの言葉は人間には通じないけど。クレプスクロは、人間の言葉を理解していたようだ。
そして、クレプスクロと話をしてみようとした人間は、今まで一人もいなかった。
クレプスクロは、理由がわからないまま、人間から忌み嫌われて。
会えばいきなり攻撃されたりして。怖いし。腹が立つという。
今まで、攻撃をしてこないのは。この世界の人間じゃない、異世界人だけだったようだ。
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このまま、何も知らないでいるよりは、理由を知っていた方がいいだろう。
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