9 / 38
45歳童貞、異世界へ行く
俺氏、テルマエを満喫する
「さあて、あんまり熱いカルダリウムに浸かってるとロブスターみたいに茹だっちゃいますぜ。そろそろ上がりましょうや」
ひょい、と騎士長官に持ち上げられて。
部屋の隅にある小さな浴槽から水を汲んで、頭からかぶる。
ぷるぷる身体を振って、水気を飛ばす。
さっぱりした。
けど、控えていた風呂専門の使用人にタオルで更に拭かれて、薔薇の油を塗られてしまった。
ローマのサウナ風呂では、発汗をチェックするため、衣服を着る前にオイルを塗布したんだけど。
何でここでは、風呂上りにオイルを塗るんだろう。
乾燥防止か何か?
でも、騎士長官は塗られてないな。
まあ薔薇の匂いがする騎士長官は、ちょっとイヤだけど。
*****
「ひと汗かいたところで、ジェラートでもいかがです?」
ジェラートもあるんだ。
うん、と頷くと。
騎士長官の肩に乗せられた。
視界が高い。
騎士長官の手つきはエロくないから、安心して掴まっていられるな。
しっぽをモフモフされないし。
「こらオクタ、私の后をどこへ連れて行く」
神祇官を振り切り、ガイウスが追いかけてきた。
「そこの休憩所ですよ?」
騎士長官は、売店がある中庭を指差した。
中庭にはガラス製の天井があって、陽が差していてあたたかい。
貸切なので、兵士達がのんびり日光浴などしている。
見張りは交代制のようだ。
「どれがいいです?」
騎士長官の肩から、ジェラートの並んでいるケースを覗き込む。
電気はないようだけど、魔法があるので、魔法で鉄板を冷やしてアイスを作れるようだ。
どれも美味しそうだ。悩むなあ。
「ミルクのやつ、ください」
「はい坊や」
売店のおばさんが、ワッフルのカップいっぱいに盛ってくれた。
大サービスだ。
「ありがとう」
可愛いって、得なこともあるんだな。
騎士長官がおばさんに可愛い子だね、息子さん? とか聞かれて必死に否定してる。
今日は売店も貸切なので、代金は無料だそうだ。
椅子に座って、舐めてみる。
甘くて美味しい。
牛乳シャーベットって感じだ。
ガイウスは隣に座って、俺と同じミルクのを食べてる。
3口くらいで食べ終わった。
早っ。
ワイルドだな。
騎士長官はチョコレート、神祇官はレモンにしたみたいだ。
そっちも美味しそうだな、と見てたら。
二人ともスプーンで一口掬って、食べさせてくれた。美味しかった。
ガイウスはそれを見て、悔し気に椅子を叩いていた。
食べたいならおかわりすればいいのに。
*****
「ジェラートはもうよろしいですか?」
と訊かれて頷くと。
「よし、いいぞ」
騎士長官が手を上げて合図をすると。
その辺で日光浴していた兵士達が、わっと売店に群がった。
ああ、みんな遠慮して待ってたのか。
皇帝とその連れに神祇官、騎士長官を差し置いては食べられなかったんだな。
城の兵士のほとんどが来ているためか、ジェラートはすぐ売り切れた、というか無くなったようだ。
美味しいもんな。
大人気だ。
売店のおばさんは、上機嫌で店じまいをしている。
どんな大富豪様が貸切にしたのか知らないけど嬉しい、と言って。
俺の隣に居らっしゃる、帝国皇帝陛下でございます。
隣のガイウスを見上げたら、にっこり笑った。
まさか皇帝陛下が半裸で公衆浴場に居るとは思わないようだ。
そりゃそうだ。
ローマの休日みたいだな。違うか。
でも、国民全員が皇帝の顔を知ってる訳でもないんだな。
横顔刻んだ貨幣でも出さないと駄目かなあ。
いよいよローマっぽい。
*****
いい天気だな。
中庭のモザイクタイルも綺麗だ。
在りし日のカラカラ大浴場も、こんなだったのだろうか。
憧れのローマ風呂に入れるなんて、夢のようだ。
ローマではないからあくまでもローマ風、だけど。
神様ありがとう。
それと。
「ありがとう、ガイウス」
見上げてお礼を言ったら、情けないへの字眉になって。
「ひゃっ!?」
ぎゅうっと抱きつかれた。
「私はカナメにあんな酷いことをしたというのに。……私には、そんな風に礼を言われる資格など、ないのに」
耳は伏せてへたれている。
「酷いことをして、すまなかった……」
ガイウス。
一度、謝ったのに。
何でまた、謝るんだろう。
ガイウスのしたことと、憧れの場所に連れて来てくれたことは別の話だ。
やられたことは、許した訳じゃないけど。
嬉しかったから、お礼を言っただけだし。
「すまない」
皇帝で一番偉いのに、そんな何度も謝っちゃうのか。
『私は何をしても許される身ですから』などと言った光源氏はガイウスの爪の垢でも煎じて飲むべき。
「純真なお子様に手を出してしまったことの罪深さに、ようやく気付いたようですね!」
神祇官は生き生きとしていた。
いや、俺、中身はオッサンだぞ……。
*****
ガイウスは顔を上げ。
「しかし、カナメにかけた呪……オマジナイは、解除できないものなのだ。后にするのは確定事項で、もう撤回できない」
……おい。
今、呪いって言い掛けたよな!?
素直に認めろよ、黒魔法でしたって!!
「何ですって!? あれを……『魂結の術』を使ったんですか!? 本人に無許可で!?」
「へ、陛下。まさか、冗談でしょう……!?」
神祇官と騎士長官は、無茶苦茶驚いてる。
そんな有名な術なのか? あれ。
代々皇帝に伝わる秘術の類かと思ってたけど。
「この腕に抱いたら、どうしても、欲しくなって。……気付けば床に押さえつけて唱えていた」
ガイウスは俯いて、神妙な顔をして言った。
「うわ、最低だ!」
騎士長官もドン引き。
神祇官なんか、言葉も出ないようだ。呆然としてる。
ええ……。
どんなあくどい術だよ。
黒魔術の項目を検索してみるか。
さっき神祇官が言ってた名前でいいのかな?
たとえば『天使の羽』は……。
天使の羽:消費MP100。神聖魔法。
効果:天使の羽が生えて空を飛べる。
方法:呪文を唱える。
有効:集中が解けるまで。翼への集中が必要。
などの注意書きがあった。
なるほど。
だからしっぽをひっぱられたショックで魔法が解けたんだ。
効果とか、ちゃんと読まないと駄目だな。
うっかり空中で集中解けたら真っ逆さま死だったよ。
……ああ、あった。『魂結の術』。
魂結の術:消費MP666。黒魔法。
効果:対象者の魂を術者の魂と永遠に縛り付ける。
うん、そこまではかけられた時にわかった。
ええと、続きは……。
そうそう簡単にはかけられないように、やり方に制約があって。それをしないと掛からない仕様みたいだ。
方法:術者は相手の名を呼び、対象者と互いの手を繋ぎ、目を合わせたまま呪文を唱えること。
……バッチリやってたな。
でもって、どれくらいの期間、有効なんだ?
有効:死ぬか子供が出来るまで。ただし婚姻を結び、毎夜番わねば術者・対象者共に死ぬ。
何だそれ!?
死ぬか子供が出来るまで有効って。
男同士じゃ、死ぬまで無理ってことじゃないか!
その上、毎晩ヤらなきゃ死ぬって。
縛り、厳しくないか!?
ひょい、と騎士長官に持ち上げられて。
部屋の隅にある小さな浴槽から水を汲んで、頭からかぶる。
ぷるぷる身体を振って、水気を飛ばす。
さっぱりした。
けど、控えていた風呂専門の使用人にタオルで更に拭かれて、薔薇の油を塗られてしまった。
ローマのサウナ風呂では、発汗をチェックするため、衣服を着る前にオイルを塗布したんだけど。
何でここでは、風呂上りにオイルを塗るんだろう。
乾燥防止か何か?
でも、騎士長官は塗られてないな。
まあ薔薇の匂いがする騎士長官は、ちょっとイヤだけど。
*****
「ひと汗かいたところで、ジェラートでもいかがです?」
ジェラートもあるんだ。
うん、と頷くと。
騎士長官の肩に乗せられた。
視界が高い。
騎士長官の手つきはエロくないから、安心して掴まっていられるな。
しっぽをモフモフされないし。
「こらオクタ、私の后をどこへ連れて行く」
神祇官を振り切り、ガイウスが追いかけてきた。
「そこの休憩所ですよ?」
騎士長官は、売店がある中庭を指差した。
中庭にはガラス製の天井があって、陽が差していてあたたかい。
貸切なので、兵士達がのんびり日光浴などしている。
見張りは交代制のようだ。
「どれがいいです?」
騎士長官の肩から、ジェラートの並んでいるケースを覗き込む。
電気はないようだけど、魔法があるので、魔法で鉄板を冷やしてアイスを作れるようだ。
どれも美味しそうだ。悩むなあ。
「ミルクのやつ、ください」
「はい坊や」
売店のおばさんが、ワッフルのカップいっぱいに盛ってくれた。
大サービスだ。
「ありがとう」
可愛いって、得なこともあるんだな。
騎士長官がおばさんに可愛い子だね、息子さん? とか聞かれて必死に否定してる。
今日は売店も貸切なので、代金は無料だそうだ。
椅子に座って、舐めてみる。
甘くて美味しい。
牛乳シャーベットって感じだ。
ガイウスは隣に座って、俺と同じミルクのを食べてる。
3口くらいで食べ終わった。
早っ。
ワイルドだな。
騎士長官はチョコレート、神祇官はレモンにしたみたいだ。
そっちも美味しそうだな、と見てたら。
二人ともスプーンで一口掬って、食べさせてくれた。美味しかった。
ガイウスはそれを見て、悔し気に椅子を叩いていた。
食べたいならおかわりすればいいのに。
*****
「ジェラートはもうよろしいですか?」
と訊かれて頷くと。
「よし、いいぞ」
騎士長官が手を上げて合図をすると。
その辺で日光浴していた兵士達が、わっと売店に群がった。
ああ、みんな遠慮して待ってたのか。
皇帝とその連れに神祇官、騎士長官を差し置いては食べられなかったんだな。
城の兵士のほとんどが来ているためか、ジェラートはすぐ売り切れた、というか無くなったようだ。
美味しいもんな。
大人気だ。
売店のおばさんは、上機嫌で店じまいをしている。
どんな大富豪様が貸切にしたのか知らないけど嬉しい、と言って。
俺の隣に居らっしゃる、帝国皇帝陛下でございます。
隣のガイウスを見上げたら、にっこり笑った。
まさか皇帝陛下が半裸で公衆浴場に居るとは思わないようだ。
そりゃそうだ。
ローマの休日みたいだな。違うか。
でも、国民全員が皇帝の顔を知ってる訳でもないんだな。
横顔刻んだ貨幣でも出さないと駄目かなあ。
いよいよローマっぽい。
*****
いい天気だな。
中庭のモザイクタイルも綺麗だ。
在りし日のカラカラ大浴場も、こんなだったのだろうか。
憧れのローマ風呂に入れるなんて、夢のようだ。
ローマではないからあくまでもローマ風、だけど。
神様ありがとう。
それと。
「ありがとう、ガイウス」
見上げてお礼を言ったら、情けないへの字眉になって。
「ひゃっ!?」
ぎゅうっと抱きつかれた。
「私はカナメにあんな酷いことをしたというのに。……私には、そんな風に礼を言われる資格など、ないのに」
耳は伏せてへたれている。
「酷いことをして、すまなかった……」
ガイウス。
一度、謝ったのに。
何でまた、謝るんだろう。
ガイウスのしたことと、憧れの場所に連れて来てくれたことは別の話だ。
やられたことは、許した訳じゃないけど。
嬉しかったから、お礼を言っただけだし。
「すまない」
皇帝で一番偉いのに、そんな何度も謝っちゃうのか。
『私は何をしても許される身ですから』などと言った光源氏はガイウスの爪の垢でも煎じて飲むべき。
「純真なお子様に手を出してしまったことの罪深さに、ようやく気付いたようですね!」
神祇官は生き生きとしていた。
いや、俺、中身はオッサンだぞ……。
*****
ガイウスは顔を上げ。
「しかし、カナメにかけた呪……オマジナイは、解除できないものなのだ。后にするのは確定事項で、もう撤回できない」
……おい。
今、呪いって言い掛けたよな!?
素直に認めろよ、黒魔法でしたって!!
「何ですって!? あれを……『魂結の術』を使ったんですか!? 本人に無許可で!?」
「へ、陛下。まさか、冗談でしょう……!?」
神祇官と騎士長官は、無茶苦茶驚いてる。
そんな有名な術なのか? あれ。
代々皇帝に伝わる秘術の類かと思ってたけど。
「この腕に抱いたら、どうしても、欲しくなって。……気付けば床に押さえつけて唱えていた」
ガイウスは俯いて、神妙な顔をして言った。
「うわ、最低だ!」
騎士長官もドン引き。
神祇官なんか、言葉も出ないようだ。呆然としてる。
ええ……。
どんなあくどい術だよ。
黒魔術の項目を検索してみるか。
さっき神祇官が言ってた名前でいいのかな?
たとえば『天使の羽』は……。
天使の羽:消費MP100。神聖魔法。
効果:天使の羽が生えて空を飛べる。
方法:呪文を唱える。
有効:集中が解けるまで。翼への集中が必要。
などの注意書きがあった。
なるほど。
だからしっぽをひっぱられたショックで魔法が解けたんだ。
効果とか、ちゃんと読まないと駄目だな。
うっかり空中で集中解けたら真っ逆さま死だったよ。
……ああ、あった。『魂結の術』。
魂結の術:消費MP666。黒魔法。
効果:対象者の魂を術者の魂と永遠に縛り付ける。
うん、そこまではかけられた時にわかった。
ええと、続きは……。
そうそう簡単にはかけられないように、やり方に制約があって。それをしないと掛からない仕様みたいだ。
方法:術者は相手の名を呼び、対象者と互いの手を繋ぎ、目を合わせたまま呪文を唱えること。
……バッチリやってたな。
でもって、どれくらいの期間、有効なんだ?
有効:死ぬか子供が出来るまで。ただし婚姻を結び、毎夜番わねば術者・対象者共に死ぬ。
何だそれ!?
死ぬか子供が出来るまで有効って。
男同士じゃ、死ぬまで無理ってことじゃないか!
その上、毎晩ヤらなきゃ死ぬって。
縛り、厳しくないか!?
あなたにおすすめの小説
過保護な父の歪んだ愛着。旅立ちを控えた俺の身体は、夜ごとに父の形で塗り潰される
中山(ほ)
BL
「パックの中、僕の形になっちゃったね」
夢か現か。耳元で囁かれる甘い声と、内側を執拗に掻き回す熱。翌朝、自室で目覚めたパックに、昨夜の記憶はない。ただ、疼くような下腹部の熱だけが残っていた。
相談しようと向かった相手こそが、自分を侵食している張本人だとも知らずに、パックは父の部屋の扉を開く。
このお話はムーンライトでも投稿してます〜
美貌の騎士候補生は、愛する人を快楽漬けにして飼い慣らす〜僕から逃げないで愛させて〜
飛鷹
BL
騎士養成学校に在席しているパスティには秘密がある。
でも、それを誰かに言うつもりはなく、目的を達成したら静かに自国に戻るつもりだった。
しかし美貌の騎士候補生に捕まり、快楽漬けにされ、甘く喘がされてしまう。
秘密を抱えたまま、パスティは幸せになれるのか。
美貌の騎士候補生のカーディアスは何を考えてパスティに付きまとうのか……。
秘密を抱えた二人が幸せになるまでのお話。
身体検査
RIKUTO
BL
次世代優生保護法。この世界の日本は、最適な遺伝子を残し、日本民族の優秀さを維持するとの目的で、
選ばれた青少年たちの体を徹底的に検査する。厳正な検査だというが、異常なほどに性器と排泄器の検査をするのである。それに選ばれたとある少年の全記録。
学園の卒業パーティーで卒業生全員の筆下ろしを終わらせるまで帰れない保険医
ミクリ21
BL
学園の卒業パーティーで、卒業生達の筆下ろしをすることになった保険医の話。
筆下ろしが終わるまで、保険医は帰れません。
人気アイドルの俺、なぜかメンバー全員に好かれてます
七瀬
BL
デビュー4年目の人気アイドルグループ「ECLIPSE(エクリプス)」に所属する芹沢 美澄(せりざわみすみ)は、昔からどこか抜けていてマイペースな性格。
歌もダンスも決して一番ではないはずなのに、なぜかファンからもメンバーからも目を離されない存在だった。
世話焼きな幼なじみ、明るく距離の近い同い年、しっかり者で面倒見のいい年上、掴みどころのない自由人、そして無言で隣にいるリーダー——。
気づけば、美澄の周りにはいつも誰かがいて、当たり前のように甘やかされていく。
王様お許しください
nano ひにゃ
BL
魔王様に気に入られる弱小魔物。
気ままに暮らしていた所に突然魔王が城と共に現れ抱かれるようになる。
性描写は予告なく入ります、冒頭からですのでご注意ください。
転移先で辺境伯の跡継ぎとなる予定の第四王子様に愛される
Hazuki
BL
五歳で父親が無くなり、七歳の時新しい父親が出来た。
中1の雨の日熱を出した。
義父は大工なので雨の日はほぼ休み、パートに行く母の代わりに俺の看病をしてくれた。
それだけなら良かったのだが、義父は俺を犯した、何日も。
晴れた日にやっと解放された俺は散歩に出掛けた。
連日の性交で身体は疲れていたようで道を渡っているときにふらつき、車に轢かれて、、、。
目覚めたら豪華な部屋!?
異世界転移して森に倒れていた俺を助けてくれた次期辺境伯の第四王子に愛される、そんな話、にする予定。
⚠️最初から義父に犯されます。
嫌な方はお戻りくださいませ。
久しぶりに書きました。
続きはぼちぼち書いていきます。
不定期更新で、すみません。