2 / 46
2 新しい客
しおりを挟む
俺は週に2回、月曜日と金曜日にルークのもとへ通っていた。彼はすごい額の給料を提示してくれるから、それだけでもかなりの収入になる。
王都でバイトを探すより全然稼げた。しかしまだ金が足らない。
妹の学園は金持ち向けのエリート校だから学費はバカ高いんだ。
あとルークのもとへ通いやすくするため、俺も王都に住んでいた。だから生活費、家賃代がかなりかかっていた。今にも壊れそうなボロボロアパートでも王都の地価はかなり高い。
そろそろ客を増やそうか。フリーターには時間だけはある。追加で週3日ぐらい仕事を入れても大丈夫だろう。
この仕事を始めて2ヶ月目にして、ようやく流れが掴めてきた。抱かれるのも吸血されるのもそこまで危険はないことに気づいた。
ヴァンパイアの好みの血液であれば案外仕事はもらえるんだ。体を張る仕事だしライバルはあまりいない。
ありがたいことにルークは俺の血を絶品だと言ってくれる。
俺は仕事を仲介してくれる施設にいき血液のサンプルをとってもらった。
あとは依頼が来るのを待つだけ。運良くお気に入りになれたらルークのように月単位で継続してくれるかもしれない。
翌日早速何件か依頼がきた。まずはその中で一番収入が高い依頼主のもとへ行くことにした。
ルーク程ではないがかなりの金額を提示している。高額依頼は大抵危険か面倒な仕事か体を要求されるかのどれかだと思う。
でも背に腹は代えられない。もしかしたらルークみたいに優しく羽振りがいい当たりの客かもしれないし。
指定された場所は大きな大きな屋敷だった。王都でここまでの敷地があるのはかなりのお金持ちだと思う。なんか怖くなってきた…。
屋敷のインターフォンを鳴らし名乗るとすぐに執事のような男性が俺を出迎えた。
「お待ちしておりました」
黒いスーツに、白髪の混じった髪をワックスでしっかり固めた男性は深くお辞儀をする。
最低限のマナーしかわからない俺は緊張して勢いよく頭を下げた。
「よ、よろしくお願いします!」
その後門をくぐり抜け敷地内に通された。庭は真っ赤なバラが咲き誇っており、きちんと手入れされている。計算しつくされた美しい庭はもはや芸術の域に達していた。
屋敷の中もやはりとてつもなく広い。
玄関を入ると真っ赤なカーペットに大きなシャンデリア、そして至る所に絵画が飾られていた。
「うわぁ」
こんなすごいところ俺の泥だらけの靴であがっていいのか本気で心配になる。
そのままスーツの男性は1階の小さな部屋へと案内した。
そして小さな机を挟んで対面に座ると早速話を切り出す。書類のようなものをこちらに差し出してきた。どうやら契約書のようだ。
「依頼内容の件なんですが…。実はお坊ちゃんの吸血の練習になっていただきたいのです」
「吸血の練習ですか」
あらかじめ送られてきた依頼内容の通りだった。
「お坊ちゃんは今年18歳になるのですが、まだ生きた人間から吸血したことがないのです」
ヴァンパイアにとって血は嗜好品だから飲まなくても別に死ぬわけではない。大抵は人間の恋人を作ってその人からもらうことが多い。
もしくは俺みたいな人間を雇って血をもらう金持ちもいる。一般的なのは輸血パックを買って飲むという方法。鮮度は落ちるが手軽に入手することができる。まぁ、ジュースみたいなものか。
18の男の子が生の血を飲んだことがないというのは有りがちなことだと思うけど。
「吸血はヴァンパイアの本能。お坊ちゃんにも若いうちから経験してほしいと旦那さまから申し付けられているのです」
彼は次に、厚みのある封筒を手渡した。
「これは本日のお給料でございます」
「え、こ、こんなに頂いてもいいんですか?!」
重さで分かる。かなりの金額が入っている。しかも前払いなんて…。
「継続することができれば更に上乗せしますよ」
「はぁ…」
多分当初の依頼内容の倍は貰っていると思う。なんだか怪しくなってきた。こんなにうまい話があっていいのか。
「継続することができればというのは…?どのくらいの期間の契約になりそうですか?」
俺は探りを入れるように質問を重ねた。
執事は眉を下げながら小さな声で呟く。
「今まであなたのようなお方に何人か依頼をしました。ですがみんな初日でやめていったんですよ」
「そうなんですか…」
「いえ実際には追い払われてしまったのです。お坊ちゃんは少々気が強く…」
男性はそこで言葉を濁した。
「とりあえずお坊ちゃんの気に障るようなことはしないで頂きたいのです。逆らわないこと、身長・見た目に触れないこと。約束してください」
「わ、わかりました」
もしかしたらお坊ちゃんはかなり気性が荒いのかもしれない。怪我でもさせられないか心配だ…。
でもこんなに高額なバイトはそうそうない。できるだけ気に入られるように頑張ろう…っ。やばかったら逃げればいい。
王都でバイトを探すより全然稼げた。しかしまだ金が足らない。
妹の学園は金持ち向けのエリート校だから学費はバカ高いんだ。
あとルークのもとへ通いやすくするため、俺も王都に住んでいた。だから生活費、家賃代がかなりかかっていた。今にも壊れそうなボロボロアパートでも王都の地価はかなり高い。
そろそろ客を増やそうか。フリーターには時間だけはある。追加で週3日ぐらい仕事を入れても大丈夫だろう。
この仕事を始めて2ヶ月目にして、ようやく流れが掴めてきた。抱かれるのも吸血されるのもそこまで危険はないことに気づいた。
ヴァンパイアの好みの血液であれば案外仕事はもらえるんだ。体を張る仕事だしライバルはあまりいない。
ありがたいことにルークは俺の血を絶品だと言ってくれる。
俺は仕事を仲介してくれる施設にいき血液のサンプルをとってもらった。
あとは依頼が来るのを待つだけ。運良くお気に入りになれたらルークのように月単位で継続してくれるかもしれない。
翌日早速何件か依頼がきた。まずはその中で一番収入が高い依頼主のもとへ行くことにした。
ルーク程ではないがかなりの金額を提示している。高額依頼は大抵危険か面倒な仕事か体を要求されるかのどれかだと思う。
でも背に腹は代えられない。もしかしたらルークみたいに優しく羽振りがいい当たりの客かもしれないし。
指定された場所は大きな大きな屋敷だった。王都でここまでの敷地があるのはかなりのお金持ちだと思う。なんか怖くなってきた…。
屋敷のインターフォンを鳴らし名乗るとすぐに執事のような男性が俺を出迎えた。
「お待ちしておりました」
黒いスーツに、白髪の混じった髪をワックスでしっかり固めた男性は深くお辞儀をする。
最低限のマナーしかわからない俺は緊張して勢いよく頭を下げた。
「よ、よろしくお願いします!」
その後門をくぐり抜け敷地内に通された。庭は真っ赤なバラが咲き誇っており、きちんと手入れされている。計算しつくされた美しい庭はもはや芸術の域に達していた。
屋敷の中もやはりとてつもなく広い。
玄関を入ると真っ赤なカーペットに大きなシャンデリア、そして至る所に絵画が飾られていた。
「うわぁ」
こんなすごいところ俺の泥だらけの靴であがっていいのか本気で心配になる。
そのままスーツの男性は1階の小さな部屋へと案内した。
そして小さな机を挟んで対面に座ると早速話を切り出す。書類のようなものをこちらに差し出してきた。どうやら契約書のようだ。
「依頼内容の件なんですが…。実はお坊ちゃんの吸血の練習になっていただきたいのです」
「吸血の練習ですか」
あらかじめ送られてきた依頼内容の通りだった。
「お坊ちゃんは今年18歳になるのですが、まだ生きた人間から吸血したことがないのです」
ヴァンパイアにとって血は嗜好品だから飲まなくても別に死ぬわけではない。大抵は人間の恋人を作ってその人からもらうことが多い。
もしくは俺みたいな人間を雇って血をもらう金持ちもいる。一般的なのは輸血パックを買って飲むという方法。鮮度は落ちるが手軽に入手することができる。まぁ、ジュースみたいなものか。
18の男の子が生の血を飲んだことがないというのは有りがちなことだと思うけど。
「吸血はヴァンパイアの本能。お坊ちゃんにも若いうちから経験してほしいと旦那さまから申し付けられているのです」
彼は次に、厚みのある封筒を手渡した。
「これは本日のお給料でございます」
「え、こ、こんなに頂いてもいいんですか?!」
重さで分かる。かなりの金額が入っている。しかも前払いなんて…。
「継続することができれば更に上乗せしますよ」
「はぁ…」
多分当初の依頼内容の倍は貰っていると思う。なんだか怪しくなってきた。こんなにうまい話があっていいのか。
「継続することができればというのは…?どのくらいの期間の契約になりそうですか?」
俺は探りを入れるように質問を重ねた。
執事は眉を下げながら小さな声で呟く。
「今まであなたのようなお方に何人か依頼をしました。ですがみんな初日でやめていったんですよ」
「そうなんですか…」
「いえ実際には追い払われてしまったのです。お坊ちゃんは少々気が強く…」
男性はそこで言葉を濁した。
「とりあえずお坊ちゃんの気に障るようなことはしないで頂きたいのです。逆らわないこと、身長・見た目に触れないこと。約束してください」
「わ、わかりました」
もしかしたらお坊ちゃんはかなり気性が荒いのかもしれない。怪我でもさせられないか心配だ…。
でもこんなに高額なバイトはそうそうない。できるだけ気に入られるように頑張ろう…っ。やばかったら逃げればいい。
132
あなたにおすすめの小説
性悪なお嬢様に命令されて泣く泣く恋敵を殺りにいったらヤられました
まりも13
BL
フワフワとした酩酊状態が薄れ、僕は気がつくとパンパンパン、ズチュッと卑猥な音をたてて激しく誰かと交わっていた。
性悪なお嬢様の命令で恋敵を泣く泣く殺りに行ったら逆にヤラれちゃった、ちょっとアホな子の話です。
(ムーンライトノベルにも掲載しています)
ブラコンすぎて面倒な男を演じていた平凡兄、やめたら押し倒されました
あと
BL
「お兄ちゃん!一肌脱ぎます!」
完璧公爵跡取り息子許嫁攻め×ブラコン兄鈍感受け
可愛い弟と攻めの幸せのために、平凡なのに面倒な男を演じることにした受け。毎日の告白、束縛発言などを繰り広げ、上手くいきそうになったため、やめたら、なんと…?
攻め:ヴィクター・ローレンツ
受け:リアム・グレイソン
弟:リチャード・グレイソン
pixivにも投稿しています。
ひよったら消します。
誤字脱字はサイレント修正します。
また、内容もサイレント修正する時もあります。
定期的にタグも整理します。
批判・中傷コメントはお控えください。
見つけ次第削除いたします。
穏やかに生きたい(隠れ)夢魔の俺が、癖強イケメンたちに執着されてます。〜平穏な学園生活はどこにありますか?〜
春凪アラシ
BL
「平穏に生きたい」だけなのに、
癖強イケメンたちが俺を狙ってくるのは、なぜ!?
トラブルを避ける為、夢魔の血を隠して学園生活を送るフレン(2年)。
彼は見た目は天使、でも本人はごく平凡に過ごしたい穏健派。
なのに、登校初日から出会ったのは最凶の邪竜後輩(1年)!?
他にも幼馴染で完璧すぎる優等生騎士(3年)に、不良だけど面倒見のいい悪友ワーウルフ(同級生)まで……なぜか異種族イケメンたちが次々と接近してきて――
運命の2人を繋ぐ「刻印制度」なんて知らない!
恋愛感情もまだわからない!
それでも、騒がしい日々の中で、少しずつ何かが変わっていく。
個性バラバラな異種族イケメンたちに囲まれて、フレンの学園生活は今日も波乱の予感!?
甘くて可笑しい、そして時々執着も見え隠れする
愛され体質な主人公の青春ファンタジー学園BLラブコメディ!
月、水、金、日曜日更新予定!(番外編は更新とは別枠で不定期更新)
基本的にフレン視点、他キャラ視点の話はside〇〇って表記にしてます!
【完結】国に売られた僕は変態皇帝に育てられ寵妃になった
cyan
BL
陛下が町娘に手を出して生まれたのが僕。後宮で虐げられて生活していた僕は、とうとう他国に売られることになった。
一途なシオンと、皇帝のお話。
※どんどん変態度が増すので苦手な方はお気を付けください。
臣下が王の乳首を吸って服従の意を示す儀式の話
八億児
BL
架空の国と儀式の、真面目騎士×どスケベビッチ王。
古代アイルランドには臣下が王の乳首を吸って服従の意を示す儀式があったそうで、それはよいものだと思いましたので古代アイルランドとは特に関係なく王の乳首を吸ってもらいました。
平凡なぼくが男子校でイケメンたちに囲まれています
七瀬
BL
あらすじ
春の空の下、名門私立蒼嶺(そうれい)学園に入学した柊凛音(ひいらぎ りおん)。全寮制男子校という新しい環境で、彼の無自覚な美しさと天然な魅力が、周囲の男たちを次々と虜にしていく——。
政治家や実業家の子息が通う格式高い学園で、凛音は完璧な兄・蒼真(そうま)への憧れを胸に、新たな青春を歩み始める。しかし、彼の純粋で愛らしい存在は、学園の秩序を静かに揺るがしていく。
****
初投稿なので優しい目で見守ってくださると助かります‼️ご指摘などございましたら、気軽にコメントよろしくお願いしますm(_ _)m
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる