オーセンスハート

大吟醸

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いらないモノ 後編

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「―――――――」

何も言えなかった。
ニルも両手で口元を押さえて〝信じられない〟と絶望する

その数秒の沈黙が用件が済んだのだろうと受け取った科学者とメアは
独房を出ようとする。
そこでやっとミリノが憎悪を現した。

「ゆる……さない。許さないっ!!殺してやる!!アンタなんてブッ殺してやるっ」

それでも枷が無情に二人に近づくことを許さない。
科学者が嘲笑った。

「クク…レディが『ブッ殺す』はいけないナ」

部屋を出て行く二人にミリノの怒りもニルの悲しみもどうすることも出来なかった。
無力感。
鎖に繋がられている事に言い訳をしたいが
メアと呼ばれていた少女一人に対しても何もすることができなかった。
加えて未知数の科学者…
自身の圧倒的な実力不足。
悲壮、嫌悪、憎悪。それ以外に出来る事などなかった。


数時間がたった。
壁には無数のモニター、そしていったいどのように使用するのかも一見わからない機械の数々。
その部屋の中央にて佇む科学者。
今までとはすこし違う。若干の緊張が見て取れる。
準備の済んだサイモンは一度深く深呼吸をし、被験体のどちらから実験しようか迷っていた。


その時だった。


巨大な爆裂音が響いた。

「なんダ!?」

急いでモニターに跳び付くサイモン。
驚愕した。
モニターの向こうの監視カメラが映したのは二つの影。
見覚えが―――――――ある。
無ければおかしい。
自分のモンスターに喰われて殺されたはずの二人なのだから。

「あの二人ハッ!何故生きている!?。殺したはずだろウ!!?」

一気にその殺したと認めたはずのモンスターを睨む。
だが、そのモンスターはなんの動きも見せない。

「どうシタっ!?何故答えなイ、何故殺さなかっ―――――――」

そこでやっとサイモンは理解した。

『これは驚いタ。君はサマナーだったのカ・・・・・』

そうだ、自分で言ったことだ。

『ククック、そのゴウルだけではナイ。まだまだワタシのコレクションはあるゾ、見るかネ?』

そうだ、そのコレクションは皆〝モンスター〟なのだ。

「しまっタ…。〝カームダウン〟カ!!」




「いやぁ、正面突破気持ちええなぁ♪」
「死んだやつらが奇襲しに来たなんざ、今頃理解不能でビビッてんだろうな」

大きな建物の正面玄関に黒髪のサマナーと長身の方言を操る技師が立つ。

「ほんなら、ワイは〝回り道〟通るさかい」
「任せろ」

正面に顔を向け一呼吸をし、異様な鉄造りの建物を睨む。
無造作にポケットへと手を突っ込み、空中へと中身を放った。
空へと散らばる複数の小枝に対し、腕を向け印を組む。
印と同時に紫色に不気味に光りだした。

「〝プラナ〟連続使用による持続状態を発令。刻印式簡易召喚、レッドエレメンタル」

大気を揺るがす鈍い音と共に、赤い精霊が姿を現した。

「お前こそ失敗するなよ。それとあのツインテールのチビにも要注意だ」
「ちょい待ちぃな、ワイを誰や思ぉてんねん。攪乱戦やったらだ~れにも負けへん」

ふっ、と吹き出すサマナー。

「あぁ…信頼してるぜ。〝降り注ぐ爆弾魔〟ザッシュ」
「ふっふ~ん。その二つ名はシークレットやで相棒♪」

そう言って建物の陰に消えていく技師を見送り、サマナーは正面を見直す。

「―――――――この俺にモンスターをけしかけることの恐ろしさを、教えてやる……っ!!」
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