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五天将星 前編
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それは世界のなかで起こるほんの小さな出来事。
だから誰もが気付くことじゃない。
必然。
それは当たり前のこと。
ボクにとっての必然はいつだってボクを否定する現実だ。
こういうのをシビアっていうんだと思うけど、実際はけっこうグダグダだったような気がする。
あの出逢いも…偶然に見えて、実は必然だったんだろうね。
〝キミ〟はボクを救ってくれた。
追手からだけじゃなくて、暗闇から救ってくれた。
深い…深い暗闇から救ってくれた。
困っていたボクに手を差し伸べてくれた〝キミ〟
死ぬよりも先に護ることを考えてくれた〝キミ〟
場違いだと自虐するボクを怒ってくれた〝キミ〟
ボクのせいで死んでしまった〝キミ〟
出会わない方が良かったのかな?
迷惑になるからって断れば良かったのかな?
独りぼっちでいたほうが…良かったのかな…
『ごめん』って言えなかった。
それが辛くて…苦しくて…悲しくて。
頭の中で言うボクはおかしいかな?
もし許してくれるなら、言うね。
今隣にいてくれたら
笑いながらボクよりも大きな掌で髪の毛ぐしゃぐしゃってされるかな
それとも、怒られちゃうかな…
ごめん……
ごめんなさい……ボクの、ボクのせいでごめんなさい
………ごめんなさい、〝ナギ君〟
「―――――――え?」
ふと、誰かに呼ばれた気がしてカンナギは歩いてきた道を振り返る。
そこには無機質な暗い通路が続いていた。
モンスター達の無数の骸が通路に落ちていた。
どのモンスターもカンナギが知っているこの世界のモンスターとは若干どこかが違う。
身体に合わない発達しすぎている筋肉。
付け足された四肢。
痛みに全く怯む様子を窺えなかった行動。
脳裏に白衣を着た男の張り付いた狂気の顔が浮かぶ。
「気のせいか……」
再び歩き出そうとしたその時
機械的な音と共に視界の端で扉が開いた。
人工的な光が差し込んでくる。
「……誘ってんな」
一人で呟くカンナギは入ろうかどうか考えようとしたが
視界にはいった物で考えるのをやめた。
「というか、むしろ挑発みたいだな」
その扉の向こうの巨大な部屋に二つの影。
サイモンとメアだ。
カンナギも迷うことなく扉をくぐった。
一歩一歩確実に。
一定の距離で歩を進めるのをやめた。
互いに視線が交差するがお互いまだ口を開く気はなさそうだ。
一分程だろうか。
痺れを切らしたように先に口を開いたのはサイモンだった。
「…そうだっタ。君がサマナーであった事を失念してイタ」
カンナギは意地の悪い笑いで返す。
「『あの』モンスターは殺しちまったみたいだな。血の気配が、さっき途切れた」
「カームダウン、カ」
「ご明察。あの時しこたま俺の血をかっ喰らったからな…簡単に気を静められたよ」
おもむろに右手を見せるカンナギ。
手の平には紅い血が煙を立てながら「シュゥゥゥゥ」と溶けるような音を発している。
挑発するように仰々しくおどけた素振りをしてみせた。
「ポータル使ったって無駄だぜ。俺の血を『モンスターが喰ってる』ならどこにいたって場所が割り出せる」
「…………」
黙り込むサイモン。
そこにはもう張り付いた笑いすらない。
カンナギは強く一歩を踏んだ。その距離およそ30メートル。
「さぁ。ウチの依頼人と暴れん坊のお姫様ふたり。返してもらおうか」
冷えた口調でサイモンは口を開く。
「そうはさせなイ。ワタシから知識への渇望を諌めることは許さナイ」
怒りがサイモンの声をヒステリックに変える。
「誰一人としてワタシを止めることは許さなイ!!!」
〝凶知への欲望〟
カンナギは思い出した。この男の二つ名を。
だから誰もが気付くことじゃない。
必然。
それは当たり前のこと。
ボクにとっての必然はいつだってボクを否定する現実だ。
こういうのをシビアっていうんだと思うけど、実際はけっこうグダグダだったような気がする。
あの出逢いも…偶然に見えて、実は必然だったんだろうね。
〝キミ〟はボクを救ってくれた。
追手からだけじゃなくて、暗闇から救ってくれた。
深い…深い暗闇から救ってくれた。
困っていたボクに手を差し伸べてくれた〝キミ〟
死ぬよりも先に護ることを考えてくれた〝キミ〟
場違いだと自虐するボクを怒ってくれた〝キミ〟
ボクのせいで死んでしまった〝キミ〟
出会わない方が良かったのかな?
迷惑になるからって断れば良かったのかな?
独りぼっちでいたほうが…良かったのかな…
『ごめん』って言えなかった。
それが辛くて…苦しくて…悲しくて。
頭の中で言うボクはおかしいかな?
もし許してくれるなら、言うね。
今隣にいてくれたら
笑いながらボクよりも大きな掌で髪の毛ぐしゃぐしゃってされるかな
それとも、怒られちゃうかな…
ごめん……
ごめんなさい……ボクの、ボクのせいでごめんなさい
………ごめんなさい、〝ナギ君〟
「―――――――え?」
ふと、誰かに呼ばれた気がしてカンナギは歩いてきた道を振り返る。
そこには無機質な暗い通路が続いていた。
モンスター達の無数の骸が通路に落ちていた。
どのモンスターもカンナギが知っているこの世界のモンスターとは若干どこかが違う。
身体に合わない発達しすぎている筋肉。
付け足された四肢。
痛みに全く怯む様子を窺えなかった行動。
脳裏に白衣を着た男の張り付いた狂気の顔が浮かぶ。
「気のせいか……」
再び歩き出そうとしたその時
機械的な音と共に視界の端で扉が開いた。
人工的な光が差し込んでくる。
「……誘ってんな」
一人で呟くカンナギは入ろうかどうか考えようとしたが
視界にはいった物で考えるのをやめた。
「というか、むしろ挑発みたいだな」
その扉の向こうの巨大な部屋に二つの影。
サイモンとメアだ。
カンナギも迷うことなく扉をくぐった。
一歩一歩確実に。
一定の距離で歩を進めるのをやめた。
互いに視線が交差するがお互いまだ口を開く気はなさそうだ。
一分程だろうか。
痺れを切らしたように先に口を開いたのはサイモンだった。
「…そうだっタ。君がサマナーであった事を失念してイタ」
カンナギは意地の悪い笑いで返す。
「『あの』モンスターは殺しちまったみたいだな。血の気配が、さっき途切れた」
「カームダウン、カ」
「ご明察。あの時しこたま俺の血をかっ喰らったからな…簡単に気を静められたよ」
おもむろに右手を見せるカンナギ。
手の平には紅い血が煙を立てながら「シュゥゥゥゥ」と溶けるような音を発している。
挑発するように仰々しくおどけた素振りをしてみせた。
「ポータル使ったって無駄だぜ。俺の血を『モンスターが喰ってる』ならどこにいたって場所が割り出せる」
「…………」
黙り込むサイモン。
そこにはもう張り付いた笑いすらない。
カンナギは強く一歩を踏んだ。その距離およそ30メートル。
「さぁ。ウチの依頼人と暴れん坊のお姫様ふたり。返してもらおうか」
冷えた口調でサイモンは口を開く。
「そうはさせなイ。ワタシから知識への渇望を諌めることは許さナイ」
怒りがサイモンの声をヒステリックに変える。
「誰一人としてワタシを止めることは許さなイ!!!」
〝凶知への欲望〟
カンナギは思い出した。この男の二つ名を。
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