1 / 1
婚活の憂鬱
しおりを挟む
〇会社オフィス
ナルセ食品。
オフィスいる30名ほどが、せわしく仕事をしている。
食品メーカー会社員、夢野淳一が上司の遠藤にパワハラを受けられている。
遠藤「今日中にやっとけよ」
淳一「・・・・・はい」
遠藤「終わらせるまで帰らせないからな」
コーヒーメーカーから吹き出る湯気。遠藤がカップに入れたコーヒーを啜る。
淳一がうつむき、眉間に皺を寄せる。
〇会社の休憩室
淳一と同僚の立花浩司が休憩室で愚痴をこぼしている。
浩司「ったく、あのクソ上司。マジで死んでほしい」
淳一「まぁ、そうだな」
浩司「お前は大丈夫かよ」
淳一「まぁ、何とかね」
浩司「証拠を録音して、内部通報してやればいいじゃん」
淳一「まぁね。・・・・・限界が来たら、辞める前に証拠集めて、労働基準監督署とか裁判で会社を訴えてやるぞ」
浩司「俺もそうするわ」
〇淳一の自宅マンション
淳一がベッドに横たわりながら、スマホからマッチングアプリを弄る。
スワイプをしているが、なかなかマッチングしない。現在、マッチングしている女性は四名。
淳一がため息をつく。
〇会社の休憩室
スーツ姿の淳一と浩司が雑談している。
浩司「お前、どうやって女と出会っているの?」
淳一「マッチンングアプリ使っているよ」
浩司「へー、そうなんだ。どのくらいマッチしているの?」
淳一「今だと、100人くらいかな」
淳一、スマホを強く握る。
浩司「へー、結構多いじゃん」
淳一「まぁーね」
浩司「実際どれくらい会えるの?」
淳一「うーん、月に三、四人くらいかな」
浩司「結構、会えるんだ」
淳一(嘘だ。本当はそんなに会えていない)
浩司「どんな感じの女が多いの?」
淳一「普通の会社員とかフリーランスが多いよ」
浩司「そうなんだ。・・・よくさ、マッチングアプリって、怪しそう
な人、多いって言うじゃん。実際、会ってみて、そんな風に
感じた人いた?」
淳一「・・・・まぁ、ぼったくりバー、食い逃げ&即ブロック、マ
ルチや投資勧誘山ほどあるね。運営も対策しているらしいけ
ど、今でもなかなかなくならないね。でも俺レベルになると
そういう奴は見分けつくから」
淳一、真顔になり、吹き出る汗を何とか抑えようとする。
浩司「お前、凄いな。けど、やっぱりそうなんだ」
淳一は二年前にマッチングアプリで出会った女に食い逃げ被害、一年半前には百五十万円の投資詐欺にあった。
結局、どちらも泣き寝入りしたのである。
〇個室居酒屋の回想シーン。食い逃げ。
淳一と女が個室居酒屋にいる。
淳一「改めて淳一と言います」
女「よろしくお願いします。」
暫く淳一と女が談笑する。
女「お手洗い行ってきますね」
女が手荷物をすべて持って、手洗い場に行く。
暫くしても、女が手洗い場から戻ってこない。
淳一が個室居酒屋で一人いる。会計時に唖然として顔でいる。
〇カフェの回想シーン。投資詐欺。
淳一と別の女がカフェで二回目のデート。
淳一「この前はありがとうございます。また会えて嬉しいです」
女「淳一さん、私もまた会えて嬉しいです」
女が笑顔で握手をする。
一時間後。
女「この暗号通貨はNFTと連携していて・・・・・」
淳一が困惑そうな顔をする。女はお構いなく、力説する。
〇淳一の自宅マンション
淳一が女から教えてもらったサイトに振り込みする。
その数日後に女からの連絡が途絶える。淳一が愕然とする。
〇会社の休憩室
浩司「俺もマッチンングアプリ始めてさ」
淳一「そうなんだ。・・・・・でどうよ」
浩司「マッチングして、もう、何回か会っている女の子いるよ」
淳一「そうなんだ。凄いじゃん」
浩司「でさ、俺さ、その何回か出会った女から不動産投資勧められて、始めたんだ」
淳一「えっ、そうなの?」
浩司「ああ、都内の3000万円の新築ワンルームマンションを35年ローンで買ったんだ。35年間のサブリースっていう契約で、もし空室になっても家賃が入っていくスキームだ」
淳一「都内の3000万円の新築ワンルームマンション?35年、サブリースを謳っている?」
淳一「お前それ、騙されているぞ」
浩司「えっ、なんだよ急に」
淳一「新築は買った瞬間に中古マンションになる。だから、売るときには、大幅に買った値段以下になることが大半だ」
浩司「だから売る気はないってば、35年ローンの返済が終われば、資産は全て俺のものになるし、その間はサブリース契約によって家賃が保証され続けるんだ」
淳一「それが騙されているっていう話だ。金利が上がった時、収入が下がった時、突発的な修理が入った時、持ち出しが大幅にマイナスになるんだぞ。それに、サブリース、ローン契約中は逆を言えば、35年間ずっとローンによる金利、管理会社へのサブリース手数料を払い続けなければならないってことなんだぞ。そんなこと本当にできると思うか?」
浩司「・・・・・」
浩司、顔が顔面蒼白になる。
淳一「サブリース費用の値上げはできないし、例え家賃の値上げできたとしても、ただ管理会社の利益が上がるだけで、オーナーにサブリース費用が上がるわけではない。敷金は管理会社に預けられ、礼金も管理会社の懐に入る。マンションを売らなければならない時が来たとき、売るときにはサブリース契約がされている会社だと解約してからでないと買い取らない会社が多い。なぜなら、サブリース契約が買い取り業者にも継承され、そもそもサブリース契約は手数料が高く、実質利回りが低くなるからだ。そういった場合、サブリース契約の解約違約金として、違約金が大抵、サブリース費用の6か月分の家賃がかかる。これを払ったら、大赤字だ」
浩司「・・・・・」
淳一「サブリース契約は不動産会社に手厚い法律で守られている。
サブリース契約は一方的なオーナーの理由では解約できないし、基本的には契約は更新され続ける。例え、双方の合意の上の契約だとしても、簡単に解約できない。逆を言えば、管理会社は35年間、手数料が入ってくる仕組みだ」
浩司「・・・・・」
浩司、汗が止まらない。
淳一「新築を買った時点で、中古もうだ。もう既に、資産価値が下がっているし、業者は手数料で儲けたいだけだ。数年後、資産価値下落などを適当な理由をつけられて、サブリース費用の値下げもさせられる可能性が高い。・・・・・一体、そんな話、持ち掛けたのはどこの会社でなんていう名前で、どんな女だよ?」
浩司「なっ、夏目美里っていう不動産会社の営業をしているって言っていた。ただ、名刺は貰っていないから会社の名前は分からない・・・・・俺の人生どうなるんだ!!!」
浩司が頭を抱えながら、そう叫ぶ。
〇会社のオフィス
遠藤「おい、夢野!昨日任せた仕事終わったか!」
遠藤が淳一の席に近づき、周りに聞こえるくらいの声で放つ。
淳一「・・・・いえ、まだ終わっていません」
遠藤「ったく。お前、一体、いつまでかかっているんだ」
淳一「すみません」
遠藤「立花!お前は終わったのか!」
遠藤が隣に座っている浩司に向かって叫ぶ。
遠藤「おい、お前聞いているのか・・・・・おい」
浩司は黙ったままいる。立花は遠藤を凄い形相で睨みつける。
遠藤「おい、立花!なんだその顔はおい!」
浩司「・・・・うるせーな!お前、パワハラで通報してやるぞ!」
浩司が立ち上がり、いきなり、そう叫んだ。周りの視線が浩司たちに集まる。
遠藤「・・・・なんだ、お前いきなり叫びやがって」
遠藤が呆気に取られている。どこかおびえている表情になる。
浩司「だから、この会社辞めて、会社やお前をパワハラで訴えてやるって言っているんだ」
遠藤「お前誰に向かって、その口の利き方をしているんだ。訴えられるものなら、訴えてみろ!」
浩司「ああ、そうしてやるよ。前から証拠は撮っているんだからな」
浩司が啖呵を切り、オフィスを出て行く。淳一が浩司の後を追いかける。他の社員は呆気に取られている。遠藤は睨みつけている。
〇オフィス街
淳一「待てよ、お前」
淳一が足早に会社を去っていく浩司の肩に手を掛けた。
淳一「辞めて、会社訴えるってお前、本当かよ」
浩司が振り返った。
浩司「ああ、本当だ」
浩司が落ち着きを取り戻した口調になる。
淳一「マジかよ」
浩司「俺は多額の借金を背負うことになるかもしれないからな。これから、その裁判もあるし。だけど、今までパワハラ受けてきた分を取り返してやるよ。証拠は既に沢山、取っているからな」
淳一「・・・・・」
浩司「まぁ、お前もこの会社に残るなら、せいぜい俺にみたいに精神に異常を起こさないようにな」
淳一「・・・・・ああ」
浩司「いい弁護士知っていたら、教えてくれよ」
そう言い残して、そう言い残して浩司は去っていく。
〇電車の中
淳一、うつむき加減でスマホを弄る。軽くため息を吐く。
SNSの動画見ながら、帰宅までの時間を潰す。
動画投稿サイトの広告に婚活パーティー情報が流れてきた。
淳一がボタンをクリックし、じっくり読む。
「東京で異性と知り合う」というキャッチコピーが目に飛び込んでくる。
会場は新宿、男女の募集人数は150名、参加資格年齢は男性24~39歳、女性20~35歳まで。
暫くし、淳一、スマホを操作し、婚活パーティーに申し込む。
〇婚活パーティー会場
淳一、婚活パーティーに参加するために、銀座に向かう。服装はジャケットにシャツにチノパン。受付開始、十分前に到着し、少し離れたところをから、スマホを観ながら会場の様子を伺う。
案内の女(小泉)「パーティーのご参加者の皆様はこちらにお並びください。また、お申し込み時に届きましたQRコードをご準備の上、お並びください」
淳一、スマホからQRコードを立ち上げる。
受付の女(恵)「申し込み時のQRコードと身分証を拝見させていただいてもよろしいでしょうか?」
淳一、無言で免許証を差し出す。
受付の女(恵)「ありがとうございます。はい、確認取れました」
淳一、会場の中に入る。オシャレな会場には既に百十名を超えている。
近くにいる参加者がパーティー開始前にちょっとした交流を始めている。
司会の男(陣内)「それでは本日は素敵な出会いになれますように、乾杯!」
参加者たちが一斉にグラスを合わせて、ドリンクを飲みだす。
淳一、覚悟を決めて、女性に話しかける。
淳一「はっ、はじめまして。よろしければお話ししませんか?」
淳一が近くにいた可愛らしい参加女性に話しかける。
参加女「はい、よろしくお願いします」
淳一「ありがとうございます。淳一って言います。お名前、何とおっしゃるのですか?」
参加女「美穂って言います」
淳一「美穂さんですね。・・・・・今日はどちらからいらっしゃったんですか?」
美穂「都内からですね。どちらからいらっしゃったんですか?」
淳一「僕も都内ですね。大田区です。」
美穂「私も大田区に住んでいます。」
淳一「えっ、そうなんですね。凄い偶然ですね」
美穂「そうですね」
淳一「大田区のどの辺りなんですか?」
美穂「大森ですね」
淳一「えっ、僕も大森です!」
美穂「えっ、めちゃくちゃ近いですね」
淳一「本当に!」
淳一が笑顔になる。
淳一「お休みの日は何されることが多いんですか?」
美穂「うーん、そうですね。家でネットフリックス見ているか、友達とカフェやご飯いったりすることが多いですね。あとはたまに旅行行ったりします」
淳一「いいですね。どの辺りにご飯行ったりすることが多いんですか?」
美穂「家の近くか。銀座や恵比寿や表参道が多いですね」
淳一「オシャレですね。家近そうですし、良かったら、今度、食事にも行きませんか?」
美穂「はい、ご都合合えばぜひ」
司会の男(陣内)「では、残り五分でお相手交代となるシャッフルタイムとなりますので、ご連絡先の交換はこの時間帯でお願いいたします」
淳一「よろしければ、LINE交換しませんか?」
美穂「はい、いいですよ」
淳一と美穂が参加連絡先交換をし、その場は別れた。
淳一、その後、4人の女と話し、全員と連絡先交換をする。
〇電車の中
淳一、電車の中で連絡先交換をした女との顔を思い出し、人物を照合し始める。
淳一、連絡先交換した女にLINEを送る。
LINE文章
美穂さん。本日はありがとうございました☺まさかの同じ区に住んでいるとは、凄い偶然でしたね!また、ぜひ、お会いしましょう☺
淳一にやつきながら、送信ボタンを押す。
〇淳一の自宅マンション
淳一、自宅に戻り、別途に横たわった。まだ、美穂を始め、誰から連絡が返ってこない。風呂に入り終わり、スマホをみてもまだ、誰からも連絡が返ってこない。
淳一「やっぱりダメか」
淳一、ため息をつく。寝ようとしたとき、スマホの着信が鳴った。美穂からLINE が返ってきた。
LINE文章
淳一さん。こちらこそ、本日はありがとうございました。はい、近いので是非、食事かカフェにでも行きましょう☺
LINE文章
美穂さん。ご返信、ありがとうございます。嬉しいです!是非、食事かカフェ行きましょう☺
淳一が微笑み、手にスマホを持ちながら、興奮し、しばらく寝付けない。
〇カフェ
数日後、予定を合わせて、美穂とデートをする。
淳一、服装は今日もシンプルにジャケットと襟付きのシャツとチノパンにした。
待ち合わせのカフェに一足早く着き、席を確保する。
待ち合わせ時間にちょうど美穂がやってくる。
服装は婚活パーティーのときは黒色のワンピースだったが、今はブラウスにスカートというカジュアルな服装だ。淳一が席から立ち上がる。
淳一「こんにちは、今日はお時間作ってもらってありがとうございます」
美穂「こちらこそ、前回はありがとうございました」
淳一「また、お会いできて嬉しいです」
淳一と美穂が席に座る。
淳一「何か注文しましょう」
美穂「そうですね。ホットカフェラテにします」
淳一「いいですね。僕はホットコーヒーにしますね」
淳一「すみません」
店員が淳一たちの席に来る。
淳一「ホットカフェラテとホットコーヒーください」
店員「ホットカフェラテとホットコーヒーですね。かしこまりました」
注文したホットカフェラテとホットコーヒーの湯気が立つ。
淳一「この前は少ししかお話しできなかったので、今日はじっくり話ができそうで嬉しいです」
美穂「私もお近くに住んでいる方と知り合えて嬉しいです」
淳一「美穂さんって普段お仕事何されているんですか?」
美穂「えーと、銀行の事務職ですね。淳一さんはお仕事、何されているんですか?」
淳一「僕は食品メーカーの営業職ですね」
美穂「へー、そうなんですね。お仕事お忙しいですか?」
淳一「そこそこですね。基本、外回りなので、移動時間が長いですね。美穂さんはお仕事お忙しいですか?」
美穂「私もそこそこですね」
淳一と美穂が笑い、飲み物を啜る。
淳一「ところでパーティーで連絡先交換した人ともう会いましたか?」
美穂「いえ、淳一さんが初めてですね。淳一さんは?」
淳一「僕も美穂さんが初めてですね」
美穂「ところで淳一さんはどれくらい恋人いないんですか?」
淳一「・・・・うーん、実はお恥ずかしい話、彼女いない歴=年齢です」
美穂「えっ、そうなんですか?意外です」
淳一「そうなんですよ。美穂さんは?」
美穂「私は2年くらいですね」
淳一「2年なんですね。なんで別れちゃったんですか?」
美穂「うーん、彼氏の浮気ですね」
淳一「えっ、そうなんですね。こんなに可愛らしい方なのになんで浮気しちゃうんですかね」
美穂が怪訝そうな顔をする。しばらく、時間が経過した。
美穂「私、次の予定があるので、そろそろ行きませんか?」
淳一「あっ、そうなんですね。じゃ、そろそろ行きましょうか」
淳一が立ち上がり、会計を持って、レジに行く。
美穂「ご馳走してもらってありがとうございます」
淳一「いえ、また今度は食事でも行きましょう」
美穂「はい、是非」
美穂が笑顔になる。淳一と美穂が別れる。
〇淳一の自宅マンション
淳一が美穂にメッセージをする。
LINE文章
美穂さん。本日はありがとうございました☺今日はお会いできて、前回よりもじっくりお話しできて嬉しかったです!また、是非、食事にでも行きましょう☺
淳一、高ぶる気持ちを抑えて、送信ボタンを押す。
一日経過した。返信が返ってこない。
二日経過した。まだ、返信が返ってこない。
三日経過しても、返信が返ってこない。
淳一、一週間経過し、とうとう我慢できずに追いLINEをする。
LINE文章
美穂さん、お元気でしょうか?お時間あるときに、返信いただけると嬉しいです。
しかし、それから半年経過しても返信はなかった。
〇会社のオフィス
結局、浩司は会社を訴えなかった。浩司が反旗を翻したことは抑止力にならずに、逆に淳一へのパワハラは一段の厳しくなる。
遠藤「夢野、お前。伊吹商事の仕事、終わったか?」
淳一「・・・・いえ、まだです」
遠藤「たっく、一体いつになったら終わるんだ。お前の代わりなんていくらでもいるんだからな!いつでも辞めてもらっても構わないからな」
淳一「・・・・すみません」
遠藤「まぁ、いい。本当にいつでも辞めてもらっても構わないからな」
淳一「・・・・・」
淳一が頭を下げ、遠藤が去っていく。
〇淳一の自宅マンション
淳一、帰宅し、机の中から、封筒を取り出す。ペンを握ったまましばらく固まる。
パソコンを開いた。ブラウザで「退職届書き方」と検索した。サンプルに従って、ペンを進める。
全て記入し、封をした。水を一杯飲む。ふと、ホームページ広告に半年前、参加した婚活パーティーの広告が目に入ってくる。クリックした。華やかなパーティーの写真が写る。スタッフも笑顔だ。
淳一(辞めた後、どうする?しばらくは貯金と失業保険でなんとかなるが、それも数か月間の話。一体、再就職はできるのか?)
婚活パーティーのホームページを検索し、求人募集ページをみた。現場のアルバイトスタッフの求人を募集していた。
淳一(会社辞める前に副業アルバイトはどうだ?もし、会社辞めた後の無職、転職活動時の資金を貯めるなら・・・・・)
淳一、求人ページから応募ボタンをクリックする。履歴書と職務経歴書をフォルダーから探し、最新のものに更新し、送信ボタンをクリックする。すぐに応募完了メールの返信がくる。
メール内容
夢野 淳一様
この度は弊社求人にご応募いただきまして、誠にありがとうございます。
担当者よりご連絡さしあげますので、少々お待ちください。
ご不明な点があれば本メールに直接ご返信ください。
よろしくお願いいたします。
三日後。メールが返ってきた。
夢野 淳一様
お世話になっております。
株式会社メルンの関田でございます。
この度は弊社の求人にご応募いただきまして誠にありがとうございます。
早速書類選考させていただきまして、是非面接にご参加いただきたくご連絡いたしました。
つきまして、ご都合のつく日程をご返信いただいてもよろしいでしょうか。
よろしくお願いいたします。
淳一が安堵の表情を浮かべる。早速、メールの返信をする。
〇バイトの面接
一週間後。淳一が面接の待ち合わせ場所のカフェに行く。メールを見ると、関田は既に到着している。
淳一、カフェに入り関田を探す。
関田「はじめまして。夢野さんですか?関田です」
マックブックを開いている50代の男性が淳一に声を掛ける。
淳一「はじめまして。はい、夢野です。本日はよろしくお願いいたします」
関田「どうぞ、お掛けになってください」
淳一が席に座る。
関田「お好きな飲み物注文してください」
淳一「あっ、ありがとうございます。では、ホットコーヒーにします」
関田が、スタッフを呼び、ホットコーヒーを二つ注文する。
関田「改めて、株式会社メルンの関田です」
関田が株式会社メルン 代表取締役社長 関田浩太と記載された名刺をテーブルの上に置く。
淳一「ありがとうございます。夢野淳一です。普段は食品メーカーで会社員をしています」
関田「なぜ、副業で婚活パーティーのアルバイト始めようと思ったんですか?」
淳一「正直に申しますと今の会社を辞めようと思っていて、まずは在籍中にアルバイトを始めようと思った理由です。また、以前、御社の婚活パーティーに参加させていただいたことがあるのですが、そこでのパーティーでのスタッフの皆さんとパーティーが素敵だったので、是非とも御社の婚活パーティーのスタッフとして働きたいと思ったのがきっかけです」
関田「そういえば、うちの婚活パーティーに参加したことあるんだよね」
淳一「はい、半年ほど前に」
関田「どうだった?」
淳一「はい、パーティー自体はとても素敵なパーティーでした」
店員が、二つホットコーヒーを運んでくる。
関田「そうなんだ。ところで、さっき今の会社辞めたいと言っていたけど、どうして辞めたいの?」
淳一「・・・・・正直に申しまして、ずっと前から上司からパワハラを受けておりまして・・・・・仕事も楽しくないし、辛いですし、毎日、何のために働いているんだか分からなくなってしまいます。・・・・同僚もどんどん辞めていくので、私もそろそろ限界かなと」
関田「・・・・・そうなんだ。それは辛いね。けど、今時そんなパワハラをする上司がいる会社なんてあるんだね」
淳一「はい、昔ながらの体育会系の会社でして、部署自体がそのような体質です。・・・・ノルマはきつく、急な仕事を振ってきて、業務時間内でできなければ残業は当たり前。それでも翌日までに終わっていなければ、上司から毎日のように、罵詈雑言を浴びせられます」
関田「そんな会社さっさと辞めればいいのに」
淳一「本当にそうですよね。・・・・・でも、この先、再就職できるか不安ですし、そんな決心、なかなかつかないまま数年が経とうとしています」
関田「そっか・・・・・・分かった、アルバイトとして、君を採用にするよ」
淳一「えっ、よろしいのでしょうか?」
関田「うん、いいよ。男性スタッフは今、足りないから、副業での今、アルバイトスタッフを募集しているんだ。・・・・・話した感じ物腰柔らかそうだし、言葉遣いも丁寧だし、建前ではなく本音で働きたい理由を話してくれたからね。・・・・・何よりも、以前うちの婚活パーティーに参加して、そこでのパーティーが良かったから、スタッフとして働きたいという理由は嬉しいからね」
淳一「ありがとうございます!」
関田「ただし、まずは試用期間として三回パーティーの現場での働きぶりを見させてもらうけど。そこで動きが悪かったり、勤務態度が悪かったりしたら、本採用は見送らせていただくけどね。・・・・それでもいいかい?」
淳一「はい、もちろんです」
関田「わかった。君の指導係は小泉という社員に担当させるね。のちほど、君のメールの連絡先に小泉から三回の試用期間のパーティーの場所と日時を送らせるから、その指定の日時に現場に行ってもらうことにするよ」
淳一「承知いたしました。ありがとうございます」
関田「ちなみに、土日のみ入れるんだよね?」
淳一「はい、平日は仕事がありますので、土日のみ入れます」
関田「分かった。小泉に伝えるよ。じゃ、今日の面接はこれで終わりにします。・・・・・では、行こうか」
ホットコーヒーを飲みほして、関田と淳一が席を立った。
〇婚活パーティー会場
淳一がジャケットに襟付きシャツにチノパンでバイト初日の会場のカフェへ向かう。会場の目の前には女性が立っている。
淳一「あのー、もしかして小泉さんでしょうか?」
小泉「はい、小泉です。夢野さんですか?」
淳一「はい、今日から、スタッフとして働くことになりました夢野です。よろしくお願いします」
小泉「夢野さん、よろしくお願いします。改めまして、社員の小泉です」
女性社員の小泉。 30代。
小泉「では、説明しますので、こちらへお願いします」
小泉と淳一が会場のカフェに入っていく。
小泉「こちら、本日からスタッフの初勤務の夢野さんです」
淳一「夢野です。本日はよろしくお願いします」
淳一がお辞儀をする。
小泉「まず今日、同じ現場となりますスタッフを紹介します。こちら、陣内君です」
陣内「陣内です。よろしくお願いします」
男性アルバイトスタッフの陣内。二十代後半。
小泉「そして、こちら目黒さん」
恵「目黒です」
女性アルバイトスタッフの恵。大学生。
小泉「こちら、立松さん」
麗「立松です」
女性アルバイトスタッフの恵。大学生。
小泉「そして、あのカウンターにいらっしゃるのがこちらのカフェのスタッフの井上さんと牧さんで、お客様へ提供するドリンクを作ってくれます」
視線の先には二人男性スタッフがいる。
小泉「そして、こちらの方がこのカフェのオーナーの上田さんです」
上田「上田です。よろしくお願いします」
淳一「よろしくお願いします」
小泉「では、今日の役割を教えます。司会は陣内君、受付は目黒さんと立花さん、お客様は私とヘルプで夢野さんでやってもらいます。本日もよろしくお願いします」
皆、一斉に「よろしくお願いします」と言う。
小泉「夢野さん。スタッフバッチです」
陣内が“STAFF”と記載されたバッチを淳一に渡す。
淳一「ありがとうございます」
小泉「正式に採用になったら、名前が書かれたバッチをお渡しします。試用期間中はこれをしていて、パーティーが終わったら私に返却してください」
スタッフは椅子や机を片付け、会場設置中。
恵「夢野さんって、普段は何やっている方なんですか?」
淳一「会社員やっています」
恵「そうなんですね。陣内さんと同じですね」
淳一「陣内さんも普段は会社員なんですね」
陣内「はい、平日は会社員です」
恵「最近の日本は副業でアルバイトする人多いんですね」
麗「まぁ、会社員の全然給料上がんないってよくSNSで見ますからね」
淳一「陣内さんはこのバイト始めて、どれくらいなんですか?」
陣内「うーん、半年くらいですね」
淳一「他の皆さんはどれくらいなんですか?」
麗「私は一年くらいですね」
恵「私は陣内さんと同じく半年ほどですね」
パーティーが始まり、淳一は小泉と一緒に参加者の案内をする。
淳一「パーティーのご参加者の皆様はこちらにお並びください。また、お申し込み時に届きましたQRコードをご準備の上、お並びください」
淳一が参加者を誘導する。
恵「申し込み時のQRコードと身分証を拝見させていただいてもよろしいでしょうか?」
会場はすでに受付を終えた参加者たちであふれかえっている。会場にはすでに50名以上いる。近くにいる参加者がパーティー開始前にちょっとした交流を始めている。
陣内「それでは本日は素敵な出会いになれますように、乾杯!」
参加者たちが一斉にグラスを合わせて、ドリンクを飲みだす。カウンターの井上と牧が素早くドリンクを提供する。
小泉「パーティー中やパーティー終了後に参加客を装って、会場外で連絡先交換する怪しい人もいるので、会場の外も常に見張っていなければなりません」
淳一「そんな人もいるんですね」
小泉「ええ、一年ほど前も怪しいサングラスにマスクの男が一年程前、常に会場の外をうろうろしていて、会社でも噂になっていたんです」
淳一「そんな怪しい人もいるんですね」
小泉「まぁ、最近見なくなったけど」
淳一はパーティーの様子を遠目から伺いながら、会場の外を注視する。
パーティーは大盛況で終了する。
スタッフがパーティーの後片付けをする。
小泉「お疲れさまでした」
淳一「お疲れさまでした」
小泉「今日、実際働いてみてどうでしたか?」
淳一「本当に素敵なパーティーだと思いました。楽しかったです」
小泉「良かったです。本日、パーティー中に教えた次回の現場では受付をやってもらいます。受付が終わったら、受付時に参加済みとなったお客様の人数集計と売上計算をシステムに入力していただきます」
淳一「わかりました」
小泉「パーティーの現場によってはドリンクをスタッフが作るパーティーもあるので、三回目の現場はドリンクを作ってもらいます」
それから、淳一はパーティーを二回の現場の仕事をこなし、見事に正式採用となる。
〇婚活パーティー会場
ある日のパーティー
淳一、婚活パーティーのバイトの回数を重ね、常連客が誰なのか分かってくる。
事件当日にも参加する男女のそれぞれの描写。金城沙良。上埜遥。中野桃子。児玉伸。守田瑛大。塩谷巧
このパーティーでは交流はしない。
〇婚活パーティー会場
今日も150人規模の立食形式のパーティーだ。会場は上田のカフェ。
小泉「本日もよろしくお願いします」
淳一&陣内&恵&麗「よろしくお願いします」
小泉「本日は特別企画で、参加者のお客様、一名につき一個、同じ種類のケーキを配布します。受付で参加者の方にこちらの札を渡して、カウンターで札とケーキの交換をします。受付担当の方は、必ずこちらの札が受付での参加人数と配布した札の数が一致するようにしてください」
パーティーが始まった。司会は陣内、受付は恵、麗、麗、誘導は小泉。参加者たちがカウンターで札とケーキを交換し、ドリンクを取る。テーブルにたくさんのケーキが置いてある。その映像の中で陣内がケーキを受け取るシーンを流す。
陣内「それでは本日は素敵な出会いになれますように、乾杯!」
参加者たちが一斉にグラスを合わせて、ドリンクを飲みだす。パーティー開始30分後。
参加男性(児玉)「よかったらお話ししませんか?」
参加女性(金城)「ええ、是非よろしくお願いします」
参加男性(児玉)「今日はどこから来たんですか?」
参加女性(金城)「目黒の方ですね」
参加男性(児玉)「いいところに住んでいますね」
参加女性(金城)「どちらに住んでいるんですか?」
参加男性(児玉)「僕は港区ですね」
参加男性(金城)「えっ、児玉さんこそいいところに住んでいらっしゃいますね」
参加者男性(児玉)「ケーキ、食べないんですか?美味しいですよ」
参加者女性(金城)「いえ、食べますよ」
金城が手つかずのケーキを食べる。
参加者女性(金城)「確かに美味しいですね」
参加者男性(児玉)「ね!」
陣内「なお、配布したケーキは長く常温状態に置くといたむので、できる限りお早めにお食べください。・・・・・それでは本日、三回目のシャッフルタイムを始めたいと思います。今お話ししている方とは別の方とのご交流をお願いいたします」
参加男性(児玉)「あれ?もうシャッフルタイムか。良かったら連絡先交換だけいいですか?」
参加男性(金城)「はい、いいですよ」
二人は連絡先交換をする。五分後。
参加女性(金城)「はじめまして、よかったら私も混ぜてください」
参加男性(守田)「ええ、いいですよ。守田です。よろしくお願いします。」
参加男性(塩谷)「塩谷です。よろしくお願いします。」
参加女性(上埜)「上埜と申します。よろしくお願いします。」
参加女性(中野)「中野と申します。よろしくお願いします。」
金城「ありがとうございます。金城沙良って言います。よろしくお願いします」
五分後。
守田「金城さん、様子が変ですが、大丈夫ですか?」
金城「ええ、だいじょうぶ・・・・で・・・・・」
突然、金城が口から血を吐いて、倒れる。持っていたドリンクがこぼれ落ちる。
上埜&中野「きゃーーーーーー」
守田&上埜「うわぁーーーーーー」
参加者が一斉に注目して、叫び喚く。
小泉「どうされましたか!」
陣内「誰か救急車を呼んでください!」
淳一、恵、麗、突然のことに呆然となる。他の参加者客もこの状況に、叫ぶ。中には会場の外へ出る参加者もいる。金城は救急車で病院に運ばれたが、一時間後、死亡が確認された。
警察が到着した。警察官が50名近くパーティー会場の中に入る。
不破「警視庁の不破です。どなたが、このパーティーの責任者ですか?」
小泉「私です。今、当社の取締役に連絡して、あと数十分後に到着するようです」
不破「正式には病院での解剖結果待ちですが、少なくとも金城沙良は毒殺された可能性が高いです」
小泉「・・・・・さっ、殺人ってことですか?」
不破「ええ、そうです。毒の混入は恐らく、ドリンクです。参加者、スタッフ、全員、ここに残ってください。全員と事情聴取します。参加者の中には既に帰った人もいますが、本日のパーティーの参加者リストをください。後日、帰った人の自宅へ事情聴取に行きます」
淳一「あのー、すみません」
不破「どうしましたか?」
淳一「俺、ちらほらと亡くなった女性の様子を見ていたのですが、倒れる前には、あちらの方々と一緒に交流していて、その前のシャッフルタイムの前はあちらの方と交流をしていました。容疑者を絞られるかは分かりませんが、一応。」
淳一たちの視線の先には、上埜、中野、守田、塩谷、児玉がいる。
不破「そうですか。ありがとうございます。ところでシャッフルタイムってなんでしょう?」
小泉「当社では一人のお方がずっと同じ相手と話さないように、15分間隔でお相手交代のシャッフルタイムを設けさせていただいております」
不破「そうですか。では、あの五人にまずはお話を聞こうとしましょうか」
不破が五人に近づく。
守田「えっ、俺たち疑われているんですか?」
不破「このパーティーの参加者とスタッフは全員容疑者です。ですから、いづれにしても全員から話を聞くことになります」
児玉「俺も疑われているんですか?俺ってあの人が倒れる十分以上前に交流していたんですよ。俺がもし毒を入れていたのならば、彼女はもっと早く倒れていたはずだ」
不破「摂取してから、即効性を持たない毒も世の中にはあるんですよ」
児玉「・・・・・そうなんですね」
不破「あなたたちは亡くなった金城さんとは元々、お友達なんですか?」
上埜「いえ、私たちが交流していたら、彼女が加わってきたので、今日、たまたま、会場で知り合っただけです」
不破「あなたたちも?」
塩谷「ええ、俺たちもです」
不破「彼女に何か変わった様子などはありましたか?」
守田「・・・・・女性にしては積極的な方だなって思っていました。俺たちが二対二で話しているときに突然割って入ってきたので、純粋に凄いなと。・・・・・そうしたら、突然、彼女の様子がおかしくなったので、大丈夫ですか?と聞いたら、血を吐いてその場に倒れました」
警察官「不破警視・・・・・」
警察官が不破の耳元で伝える。
不破「・・・・・そうか。容疑者が飲んでいたドリンクから、致死量の10倍の青酸カリが検出されました」
陣内「あの、その青酸カリっていう毒は摂取から何分で効くんですか?」
不破「人にもよりますが一般的な青酸カリですと摂取後、約10~15分で全身に回って、最悪死に至りますね」
井上「・・・・・あの、いいですか?」
不破「どうぞ」
井上「彼女にドリンクを提供していたカフェのスタッフの井上と申します。直前の三回目のシャッフルタイムの前も亡くなった女性はドリンクの交換などなく、その前のドリンク交換は二回目のシャッフルタイム終了後でしたので、もし、ドリンクに毒を混入できるチャンスがあるとしたら、やはり、亡くなる直前に交流していた方々が疑わしいかと」
児玉が井上を睨みつける。
不破「わかりました。それでは今から参加者の方々、全員、事情聴取をします。参加者リストはスタッフの方からいただきましたので、呼ばれた方から順番に聴取します」
警察官たちが参加者たちとスタッフ全員に事情聴取をする。
その間、現場に関田がやってきた。
関田「遅くなった。すまない。全く、こんなことが起こるなんて」
小泉「ほっ、本当にそうですね」
関田「とんだことになったな」
小泉「えっ、ええ」
一時間半時間後。
不破「これまでの状況と聞き込みの結果、容疑者の絞り込みをします。容疑者ではない方はご帰宅して構いません。まず、三回目のシャッフルタイムで交流していた児玉さん、そして、ドリンク提供していた井上さんと牧さん、そして、最後に三回目のシャッフルタイム後、亡くなる直前まで交流をしていた上埜、中野、守田、塩谷さんはここに残ってください。また、パーティースタッフの皆さんはまだ聞きたいこともありますので、申し訳ないですが、まだ残ってください。今、名前が上がらなかった他の参加者の皆さんはご帰宅していただいても構いません」
名前が呼ばれなかった参加者たちが帰っていく。
上田「うちの従業員はそんなことしませんよ。第一、亡くなった女性とは元々何の関係もない」
不破「彼女との交流関係は今後、金城沙良の身辺調査をすれば明らかになることです」
守田「俺たちもなんで残っているのか分かりませんね。だって、俺たちから話しかけたのではなく、彼女の方から俺たちに話しかけて
きたんですよ」
不破「ええ、あなた方、四人が犯人という可能性は低いです。ただ、状況として、殺害できる可能性があるというのは間違いないので、残ってもらっています。・・・・・児玉さん、正直に答えてくださいね。パーティー中、被害者女性にあなたの方から話しかけていましたか?」
児玉「・・・・・はい、そうです」
不破「でしたら、容疑者の中であなただけが自分の意志で彼女と接触していたということになりますね」
児玉「だっ、だから何だって言うんですか?そんなのたまたま俺が彼女に話しかけただけの話ですよ」
不破「ええ、でもあなただけが意図的に被害者と接触したというのはまた事実です」
警察官「不破警視、実は・・・・・」
警察官が不破の耳元で話す。
不破「・・・・・なに、そうか」
小泉「どうかされましたか?」
不破「実は殺された金城沙良は偽名で本名は、湯浅美玖で、クレア不動産という不動産会社の営業をしている会社員でした」
守田「婚活パーティーに偽名で参加できるんですね」
関田「うちの婚活パーティーは身分証明書の提出を義務付けられているので、恐らく身分証明書を巧妙に偽造したんですよ」
不破「それよりもなぜ、湯浅美玖は偽名を使ってまでパーティーに参加したということです」
関田「そうですね。一般的に婚活パーティーで偽名を使ったり、年齢を詐称する人の目的はパーティーに年齢制限があるからそれを誤魔化したり、過去に何かトラブルを起こして、出禁を喰らっているからですね」
しばらく、ざわつく。
井上「けっ、警視さん、少しいいですか?」
井上が小声で陣内に話しかける。
不破「どうしましたか?」
井上「・・・・・スタッフだから疑わなかったのですが、実はあちら方が・・・・・」
不破「それは本当ですか」
井上「はい、本当です」
淳一がその先を見つめる。
不破「ところで、小泉さん、パーティーの事前の予約者人数から実際の参加人数はどうやってわかるんですか?」
小泉「・・・・・はい、専用のシステムがありまして、予約者の方が受付で予約時に発行されるQRコードを見せていただきます。そして、身分証明書を見せてもらった後、QRコードから読み取った参加者情報から参加ボタンを押すと、予約者を参加済みとなります。その参加済みの人数が実際の参加者数となります」
不破「それは必ず、その予約者が来ていないと参加済みにはできないんですか?」
小泉「はい、参加者様が来場していただいて、参加済みとするのでそうです」
不破「今日のパーティーは予約者たち全員、来ていたんですか?」
小泉「はい、本日はパーティー開始直後で、予約者の皆様は全員いらしていました」
不破「ちなみに、本日の参加者人数は何名でしたか?」
小泉「調べますのでお待ちください」
小泉がタブレットからシステムで参加者人数を調べる。
小泉「123名です」
不破「ということはパーティーで用意したケーキと参加者の数は123で一致するということですか?」
小泉「ご用意いたしましたケーキは急な参加者や落としてしまったなどのために、予備を用意しておりますので、配布したケーキの数とご参加様の数は一致します」
不破「わかりました。ありがとうございます。・・・・・では、今、この場にいる関田さん以外の身体チェックと指紋採取にご協力お願いいたします。もし、何も疑わしものが出てきませんでしたら、本日はご帰宅頂いても構いません」
男女の警察官がこの場にいる者の身体チェックと指紋採取を始める。
警察署「不破警視、全員の身体チェックと指紋採取が終わりました。しかし、何も疑わしきものは出てきませんでした。また、会場で毒入りのケースを探していましたが、ゴミ袋の中やゴミ捨て場のゴミもすべて持ち帰ってチェックします」
不破「・・・・・そうか。また、明日出直しだな」
この日の捜査は終了した。
〇淳一の自宅マンション
テレビから婚活パーティー殺人事件のニュースが流れる。
淳一、自宅のパソコンからスタッフデータベースから、事件の参加者済みのリストを見る。顔を上げる。
淳一(・・・・いや、あの警視の質問のニュアンスは違うはず・・・・そして、俺もあれをたまたま見てしまった・・・・・まさか、あの人が犯人なのか・・・・・)
淳一再び、スタッフデータベースを見る。
(・・・・・まさか、この参加済み参加者の中にあの人がいて・・・・・)
淳一がデータベースに参加済みとなっている男性について疑う。
(・・・・・やはり、あの人が犯人なのか・・・・・)
〇警視庁
不破をはじめ、刑事が会議室で婚活パーティーの殺人事件の会議をする。
不破「あの証言から、これはもしかしたら、犯人はスタッフ中にいるかもしれないな」
刑事「そうですね」
不破「しかし、参加者が来なければ、スタッフが参加済みにできないとなると」
刑事「ええ」
警察の受付「重要参考人として、夢野さんという例の事件の婚活パーティーのスタッフの方が不破警視に話したいことがあるそうです。受付までよろしいでしょうか?」
不破「・・・・・ああ、今行く」
不破が受付で待っている淳一の元に行く。
不破「昨日はどうも、本日はどうされましたか?」
淳一「実は、不破さんにお話ししたいことがありまして」
不破「なんでしょうか?」
淳一「・・・・・昨日、小泉さんは「参加者が来場しなければ、参加済みにできない」と言いましたが、実はスタッフなら、参加者を名前と身分証明書を確認せずとも参加済みにすることはできるんです」
不破「・・・・・どういうことですか?小泉さんが嘘をついていたということですか?」
淳一「いえ、嘘はついていません。ニュアンスが違うということです。小泉さんは恐らく不破さんの質問の意図を勘違いしたということです。小泉さんはルールとしての質問の意図を捉えて、恐らく、不破さんはシステム上の質問としてした筈です。つまりはシステム上は別に参加者が来ていなくても、スタッフが参加済みにすることはできるが、ルール上参加者が来場しなければ、スタッフが参加済みにすることはできないということを伝えたかったのです」
不破「・・・・・なるほど」
淳一「あの婚活パーティーのシステムは参加者の一覧があり、そこにはパーティーの全ての予約者情報が記載されています。そこからある参加者の詳細をクリックし、参加済みにすることはそのURLとログイン名、パスワードを知っていて、ログインしているスタッフでしたらできます。通常は受付で参加者がパーティーのQRコードを見せると、同じシステムに飛び、参加者の詳細が表示され、身分証明書を見せた後、身分証明書を確認済みにして、参加済みボタンを押すという流れとなります」
不破「つまりは身分証明書を確認済みも別にシステム上は実際に身分証確認せずともそこのボタンを押し、参加済みにすることはスタッフならできたということですか?」
淳一「はい、そうです」
不破「受付で顧客のデータベースを見ることができ、現場にいたスタッフが疑わしいということか・・・・・いや、もう全てが解決する。そして、それができた犯人はあの人しかいない」
淳一「・・・・・はい、実は俺も犯人の目星はついています」
不破「そうなのか」
淳一「はい、実はある方のパーティー中の発言がずっと気になっていて・・・・・」
〇婚活パーティー会場のカフェ
翌日、夢野、上埜、中野、児玉、守田、塩谷、小泉、陣内、恵、麗、井上、牧、上田、容疑者たちそして、関田ら不破の連絡で集めさせられた。
不破「犯人が分かりました」
場がざわめく。
関田「一体、誰なんですか?」
不破「児玉さん、警察署に来てもらえますか?」
児玉「えっ、おっ、俺ですか?」
不破「はい、そうです。会場内のゴミ捨て場から、あなたの指紋付きの睡眠剤のカプセルが出てきました」
児玉「・・・・・俺じゃない。確かに、パーティー終盤で狙っていた女のドリンクを取ってあげて、睡眠剤を混入しようとしたのは間違いないが、パーティー終了後に飲ませて、狙っていた女とホテルに行こうと企んでいただけだ。・・・・・でもおっ、俺じゃない。俺は殺していない!!!」
不破「睡眠剤を持ったままだと、身体チェックで怪しまれると思ったから、捨てたわけですね。・・・・・詳しいことは署の方で」
児玉「だっ、だから、俺じゃない」
警察官が児玉を連れていく。
不破「他の方々は帰宅していただいて構いません」
容疑者が帰宅し始める。
〇婚活パーティー会場の近くのごみ捨て場
真犯人が証拠確認に来る。
不破「やっぱり来ましたね」
待ち構えていた不破が真犯人の前に現れる。
真犯人「・・・・・」
不破「あなたが真犯人ですね。・・・・陣内さん。あなたは今、真の証拠となるあるゴミが回収されているかどうかの確認に来たんですよね。気になって仕方ありませんよね」
陣内が不破や淳一たちを見つめる。
陣内「・・・・・一体、何のことですか?犯人は児玉っていう参加者じゃないんですか?」
不破「彼は犯人ではないし、私は一言も彼が犯人だとは言っていない。ただ、睡眠剤の件で署に事情聴取をお願いしただけです。・・・・・今、あなたがここに来たのは本当の毒が混入されたあるものを回収するためですね」
陣内「だからと言って、なんで私が犯人となるんですか?私はただ、パーティー中に大事なスタッフバッチをなくしてしまったので、探しに来ただけですよ」
不破「わかりました。今から今回の事件の全貌を明らかにしたいと思います」
陣内「・・・・・」
不破「まず、この事件は青酸カリによる毒殺です。そして、毒は被害者の湯浅美玖のこぼしたドリンクから検出された。・・・・・しかし、本当に毒を摂ってしまったものは別のものだったのです」
陣内「・・・・一体、どういうことですか?」
不破「声を見ていただければわかります。これがあなたが探していたものですね。またはもうここにはなく、あなたは、株式会社メルンが出したこのゴミ袋の中でこのフォークが今頃、ゴミ焼却炉の中に眠っていることをお祈りしにきたのですよね」
不破が陣内に紙のフォークを見せる。
陣内「一体、なんで僕がそんなゴミを探さなければならないもしくはそんな願いをしなくてはならないのですか?」
不破「これに湯浅美玖が摂取してしまった毒が付着されているからです。湯浅美玖のこのフォークに付着していた唾液を調べたところ、湯浅美玖のDNAと一致しました。つまり、このフォークはあの事件があった日に湯浅美玖が使っていたものです。そして、このフォークから青酸カリが検出されました」
陣内「・・・・だから何だって言うんですか?ドリンクに混入していた毒がフォークに付着したって可笑しくはないでしょ」
不破「いや、言いたいことはそんなことではないですし、そんな偶然は起きません。言いたいことは、毒の混入がドリンクだという前提の元、推理していましたが、実際には本当の毒の混入は参加客に配布されたケーキだったということです。・・・・・ケーキ自体は全て食べてしまえば、毒の証拠は残りません。ドリンクはカモフラージュのために、湯浅美玖が倒れた後、ドリンクこぼれ、皆が死体に注目が集まる中、あなたがドリンクに青酸カリを垂らしたんです」
陣内「・・・・・いや、例え、そうだとしてもケーキを全部食べない可能性はあったでしょう」
不破「はい、確かに可能性はありました。しかしあなたは司会者の特権を利用して、その可能性をできる限り低くしたのです」
陣内「一体どうやって」
不破「湯浅美玖がケーキを一口目食べるのを見届けたあなたはマイクを通して堂々とこう言えばいいのです。「なお、配布したケーキは長く常温状態に置くといたむので、できる限りお早めにお食べください」と。・・・・・このセリフをあなたが言ったことは夢野さんが証言してくれました。この言葉で結果的に湯浅美玖は毒が体内に回りきる前に食べ終わったのです。・・・・・パーティー中でしたら、ケーキを食べ始めるタイミングはいつでもいいですが、一口目からできる限り早く食べてほしいので、あなたは司会特権のアナウンスで三回目のシャッフルタイム宣言の前にそう参加者たちに促したのです」
陣内の眉間に皺が寄る
陣内「・・・・そもそも、どうやって、そのケーキ自体を手に入れたんですか?だって、ケーキはちゃんと参加者全員分の個数だけ配布されたんでしょ?一体、僕がどうやって、参加者のケーキを入手して、毒を入れたと言うんですか?」
不破「それは単純にあなたが直接、堂々と井上さんからケーキを受け取り、毒を混入させて、湯浅美玖がドリンクなどを取りに行く際に、持っていたケーキをテーブルに置く際に隙を見て、入れ替えただけです。参加者たちは常にケーキを持っているわけではないですからね」
陣内「だから、それだと参加者人数とケーキの数は合いません」
不破「いえ、合うんですよ。これが」
陣内「だからなぜ?」
不破「あなたがパーティーに参加者として参加していたからです」
陣内「どういうことですか?」
不破「あなたが偽名を使って自分自身であのパーティーに事前にWebサイトから予約して、参加したんです。いやシステム上、参加済みにしたのです。・・・・・システム上は123名の参加者で全員参加でした。つまり、配布されたケーキは123個です。しかし、実際のパーティーの参加者はあなたを引かなければならないので、122名だったのです」
陣内「・・・・・」
不破「あなたが偽名を使って、あのパーティーに架空の人物として予約し、当日あなた自身のスマホから、パーティーのシステムにログインし、受付一覧画面であなたの架空参加者を年齢確認にチェックし、参加済みにすれば、システム上は123名の参加者となります。しかし、あなたはある意味での司会と参加者一人二役を演じていたので、実際のあの会場にいた参加者は122名で、あなたがシステム上カウントしていたその幻の参加者だったんですよ」
陣内「・・・・・でっ、でも、それが僕がやったという証拠はあるんですか?」
不破「あなた自身がカウンターから自分の予約者分の分のケーキを貰い、持っていた青酸カリ入りのケーキと彼女の元々のケーキを一瞬の隙を見て、取り換えることができたのは、あなたしかいないんです。井上さんはケーキを貰うのはスタッフであるあなたでしたので、最初は怪しむことはなかったのです」
井上が頷く。
不破「あれだけの大人数パーティーだから、パーティー中にカウントしなければ、本当の参加者の人数は誰もわからない。システム上、参加済みとなっている人数が参加者と人数と誰だって思うはずです。だから、あなた自身が偽名を使って、参加者の予約していた架空人物がいても誰も気づかなかったのです」
陣内「・・・・・」
不破「私からは最後ですが、先ほど、司会者特権の話をしましたが、もう一つあなたは司会者特権を使いました。それはタイムコントロールです」
淳一「タイムコントロール?」
不破「はい、陣内さんは自分が疑われにくくするため、できる限り参加者の容疑者を多くするために司会者特権を使った毒入りケーキを食べたタイミングでパーティーのスケジュールの時間調整をしていたのです。そのタイミングこそ、シャッフルタイムだったのです。シャッフルタイムを調整して、毒の摂取後の湯浅美玖がより多くの参加者と交えるように間隔調整をしたんです。陣内さんは第三回目のシャッフルタイムに入る時間を通常の15分よりも、短くすることにより、毒の摂取後から毒が体内に回る前の間、シャッフルタイムを跨ぐことにより多くの参加者と交流できるようにしたのです。・・・・・結果的に毒の摂取からシャッフルタイム跨ぎのお陰で、毒の摂取後から死亡直前までの湯浅美玖の交流人数が、5人となり、容疑者が増えたのです。・・・・・司会であるあなたがパーティーのタイムコントロールをして、毒が効く時間を調整して、シャッフルタイムを設ける。数分の誤差なら、参加客やスタッフすらもパーティーの会話や仕事に夢中で誰も気づかない。だけど、感覚的には気づいた人もいます。・・・・・第三回目のシャッフルタイムになる時間が少し早く感じたことは、これはここにいる参加者の皆さんも証言してくれました」
上埜、中野、守田、塩谷が頷く。
不破「パーティー中のタイムコントロールは司会であるあなたしかできないんですよ!」
不破の声が大きくなる。
陣内「・・・・・」
不破「あとはゆっくり、署の方で話を聞きましょうか」
陣内が警察官に連行され、パトカーに乗る。こうして、事件は終結した。
〇警察の取調室
不破と陣内が対面で向かい合う。複数の刑事がその様子を見る。
不破「・・・・なんで、殺したんだ?」
陣内「・・・・・奴が、数年前、恋人装って、不動産投資で騙してきたからですよ。奴は騙した奴の顔すらも覚えていなかった。あの女、定期的に化粧も髪型も変え、名前も変え、身分証明書も偽装して、なりすましで参加しています。もちろん、あの日の現場以外のパーティーでも何回も会っている。だけど、俺が働き始めたことも気づきもせず、俺のスタッフバッチ見ても名前も顔を覚えもいやがりもしない」
不破「不動産投資?」
陣内「ええ、あの女、昔あの婚活パーティーで出会って、後日、付き合うことになったんだ。付き合い始めて、収集看護、俺に不動産投資を持ち掛けてきたんだ。でもそれは奴のインセンティブ、金儲けのための、詐欺案件で、多額の借金を俺は追うことになり、とうとう自己破産したんだ。・・・・・あいつは俺の人生を狂わせやがった」
不破「・・・・・だから、湯浅を殺害するために婚活パーティーのスタッフの仕事始めたんだな。・・・・・不特定多数の人がいる婚活パーティーでの殺人だと犯人が特定しづらい。だからそれを狙ったということか」
陣内「ああ、あの女、あの会社のパーティーに何回も参加している常連だ。一年ほど前、あの婚活パーティーの会場の外に隠れて、中の様子を見ていたんだ。・・・・・そしたら案の定、あの女がいた。
化粧や髪型で誤魔化していたが、あの声とあの目は間違いなく、あの女だった。・・・・・だから、スタッフになった。・・・・・スタッフになればあの女が参加するパーティーがどこになるのかがわかる。そのパーティーのシフトを希望して、そこに入れば、どこかのタイミングで殺せるってことですよ」
不破「でもどうやって、本名の湯浅美玖でない偽名を使っている湯浅が参加予定のパーティーを知ることができたんだ?」
陣内「毎回、偽名ってわけではなく、ここ数か月間、あの女は金城沙良として、来ていた。この前のパーティーの受付で顔と名前が一致して、狙った」
不破「そして、児玉も金城と一緒に参加するパーティーも狙ったんだな?」
陣内「ああ、児玉も参加することは分かっていました。あの参加者、前々から女性からのクレームが多く、罪をなすりつけができそうだから、あの女と児玉が一緒のパーティーに参加するパーティーを選んだんだ。・・・・・まさか、睡眠剤まで用意しているとは思わなかったが」
陣内、不気味な笑顔になる。
不破「分かった、・・・・・よし、連れていけ」
陣内が警察官に連行される。
不破「婚活パーティーに潜む憂鬱か・・・・・これは一般社会にも通じるものがあるな」
湯浅美玖の自宅から押収した、自身が偽名を使っていたリストの中に夏目美里の名前がある。
〇会社のオフィス
変わらぬに日常。遠藤が相変わらず、今日も淳一に怒鳴っている。
遠藤「お前、なんでこんなものもできないんだ」
淳一「・・・・すみません」
遠藤「まぁ、いい。コーヒー淹れてくれ。お前はそれくらいしかできないんだからな」
淳一「・・・・・はい、そうですね」
淳一、そう小声で答え、不気味な笑顔でコーヒーサーバーに近づく。
終わり。
ナルセ食品。
オフィスいる30名ほどが、せわしく仕事をしている。
食品メーカー会社員、夢野淳一が上司の遠藤にパワハラを受けられている。
遠藤「今日中にやっとけよ」
淳一「・・・・・はい」
遠藤「終わらせるまで帰らせないからな」
コーヒーメーカーから吹き出る湯気。遠藤がカップに入れたコーヒーを啜る。
淳一がうつむき、眉間に皺を寄せる。
〇会社の休憩室
淳一と同僚の立花浩司が休憩室で愚痴をこぼしている。
浩司「ったく、あのクソ上司。マジで死んでほしい」
淳一「まぁ、そうだな」
浩司「お前は大丈夫かよ」
淳一「まぁ、何とかね」
浩司「証拠を録音して、内部通報してやればいいじゃん」
淳一「まぁね。・・・・・限界が来たら、辞める前に証拠集めて、労働基準監督署とか裁判で会社を訴えてやるぞ」
浩司「俺もそうするわ」
〇淳一の自宅マンション
淳一がベッドに横たわりながら、スマホからマッチングアプリを弄る。
スワイプをしているが、なかなかマッチングしない。現在、マッチングしている女性は四名。
淳一がため息をつく。
〇会社の休憩室
スーツ姿の淳一と浩司が雑談している。
浩司「お前、どうやって女と出会っているの?」
淳一「マッチンングアプリ使っているよ」
浩司「へー、そうなんだ。どのくらいマッチしているの?」
淳一「今だと、100人くらいかな」
淳一、スマホを強く握る。
浩司「へー、結構多いじゃん」
淳一「まぁーね」
浩司「実際どれくらい会えるの?」
淳一「うーん、月に三、四人くらいかな」
浩司「結構、会えるんだ」
淳一(嘘だ。本当はそんなに会えていない)
浩司「どんな感じの女が多いの?」
淳一「普通の会社員とかフリーランスが多いよ」
浩司「そうなんだ。・・・よくさ、マッチングアプリって、怪しそう
な人、多いって言うじゃん。実際、会ってみて、そんな風に
感じた人いた?」
淳一「・・・・まぁ、ぼったくりバー、食い逃げ&即ブロック、マ
ルチや投資勧誘山ほどあるね。運営も対策しているらしいけ
ど、今でもなかなかなくならないね。でも俺レベルになると
そういう奴は見分けつくから」
淳一、真顔になり、吹き出る汗を何とか抑えようとする。
浩司「お前、凄いな。けど、やっぱりそうなんだ」
淳一は二年前にマッチングアプリで出会った女に食い逃げ被害、一年半前には百五十万円の投資詐欺にあった。
結局、どちらも泣き寝入りしたのである。
〇個室居酒屋の回想シーン。食い逃げ。
淳一と女が個室居酒屋にいる。
淳一「改めて淳一と言います」
女「よろしくお願いします。」
暫く淳一と女が談笑する。
女「お手洗い行ってきますね」
女が手荷物をすべて持って、手洗い場に行く。
暫くしても、女が手洗い場から戻ってこない。
淳一が個室居酒屋で一人いる。会計時に唖然として顔でいる。
〇カフェの回想シーン。投資詐欺。
淳一と別の女がカフェで二回目のデート。
淳一「この前はありがとうございます。また会えて嬉しいです」
女「淳一さん、私もまた会えて嬉しいです」
女が笑顔で握手をする。
一時間後。
女「この暗号通貨はNFTと連携していて・・・・・」
淳一が困惑そうな顔をする。女はお構いなく、力説する。
〇淳一の自宅マンション
淳一が女から教えてもらったサイトに振り込みする。
その数日後に女からの連絡が途絶える。淳一が愕然とする。
〇会社の休憩室
浩司「俺もマッチンングアプリ始めてさ」
淳一「そうなんだ。・・・・・でどうよ」
浩司「マッチングして、もう、何回か会っている女の子いるよ」
淳一「そうなんだ。凄いじゃん」
浩司「でさ、俺さ、その何回か出会った女から不動産投資勧められて、始めたんだ」
淳一「えっ、そうなの?」
浩司「ああ、都内の3000万円の新築ワンルームマンションを35年ローンで買ったんだ。35年間のサブリースっていう契約で、もし空室になっても家賃が入っていくスキームだ」
淳一「都内の3000万円の新築ワンルームマンション?35年、サブリースを謳っている?」
淳一「お前それ、騙されているぞ」
浩司「えっ、なんだよ急に」
淳一「新築は買った瞬間に中古マンションになる。だから、売るときには、大幅に買った値段以下になることが大半だ」
浩司「だから売る気はないってば、35年ローンの返済が終われば、資産は全て俺のものになるし、その間はサブリース契約によって家賃が保証され続けるんだ」
淳一「それが騙されているっていう話だ。金利が上がった時、収入が下がった時、突発的な修理が入った時、持ち出しが大幅にマイナスになるんだぞ。それに、サブリース、ローン契約中は逆を言えば、35年間ずっとローンによる金利、管理会社へのサブリース手数料を払い続けなければならないってことなんだぞ。そんなこと本当にできると思うか?」
浩司「・・・・・」
浩司、顔が顔面蒼白になる。
淳一「サブリース費用の値上げはできないし、例え家賃の値上げできたとしても、ただ管理会社の利益が上がるだけで、オーナーにサブリース費用が上がるわけではない。敷金は管理会社に預けられ、礼金も管理会社の懐に入る。マンションを売らなければならない時が来たとき、売るときにはサブリース契約がされている会社だと解約してからでないと買い取らない会社が多い。なぜなら、サブリース契約が買い取り業者にも継承され、そもそもサブリース契約は手数料が高く、実質利回りが低くなるからだ。そういった場合、サブリース契約の解約違約金として、違約金が大抵、サブリース費用の6か月分の家賃がかかる。これを払ったら、大赤字だ」
浩司「・・・・・」
淳一「サブリース契約は不動産会社に手厚い法律で守られている。
サブリース契約は一方的なオーナーの理由では解約できないし、基本的には契約は更新され続ける。例え、双方の合意の上の契約だとしても、簡単に解約できない。逆を言えば、管理会社は35年間、手数料が入ってくる仕組みだ」
浩司「・・・・・」
浩司、汗が止まらない。
淳一「新築を買った時点で、中古もうだ。もう既に、資産価値が下がっているし、業者は手数料で儲けたいだけだ。数年後、資産価値下落などを適当な理由をつけられて、サブリース費用の値下げもさせられる可能性が高い。・・・・・一体、そんな話、持ち掛けたのはどこの会社でなんていう名前で、どんな女だよ?」
浩司「なっ、夏目美里っていう不動産会社の営業をしているって言っていた。ただ、名刺は貰っていないから会社の名前は分からない・・・・・俺の人生どうなるんだ!!!」
浩司が頭を抱えながら、そう叫ぶ。
〇会社のオフィス
遠藤「おい、夢野!昨日任せた仕事終わったか!」
遠藤が淳一の席に近づき、周りに聞こえるくらいの声で放つ。
淳一「・・・・いえ、まだ終わっていません」
遠藤「ったく。お前、一体、いつまでかかっているんだ」
淳一「すみません」
遠藤「立花!お前は終わったのか!」
遠藤が隣に座っている浩司に向かって叫ぶ。
遠藤「おい、お前聞いているのか・・・・・おい」
浩司は黙ったままいる。立花は遠藤を凄い形相で睨みつける。
遠藤「おい、立花!なんだその顔はおい!」
浩司「・・・・うるせーな!お前、パワハラで通報してやるぞ!」
浩司が立ち上がり、いきなり、そう叫んだ。周りの視線が浩司たちに集まる。
遠藤「・・・・なんだ、お前いきなり叫びやがって」
遠藤が呆気に取られている。どこかおびえている表情になる。
浩司「だから、この会社辞めて、会社やお前をパワハラで訴えてやるって言っているんだ」
遠藤「お前誰に向かって、その口の利き方をしているんだ。訴えられるものなら、訴えてみろ!」
浩司「ああ、そうしてやるよ。前から証拠は撮っているんだからな」
浩司が啖呵を切り、オフィスを出て行く。淳一が浩司の後を追いかける。他の社員は呆気に取られている。遠藤は睨みつけている。
〇オフィス街
淳一「待てよ、お前」
淳一が足早に会社を去っていく浩司の肩に手を掛けた。
淳一「辞めて、会社訴えるってお前、本当かよ」
浩司が振り返った。
浩司「ああ、本当だ」
浩司が落ち着きを取り戻した口調になる。
淳一「マジかよ」
浩司「俺は多額の借金を背負うことになるかもしれないからな。これから、その裁判もあるし。だけど、今までパワハラ受けてきた分を取り返してやるよ。証拠は既に沢山、取っているからな」
淳一「・・・・・」
浩司「まぁ、お前もこの会社に残るなら、せいぜい俺にみたいに精神に異常を起こさないようにな」
淳一「・・・・・ああ」
浩司「いい弁護士知っていたら、教えてくれよ」
そう言い残して、そう言い残して浩司は去っていく。
〇電車の中
淳一、うつむき加減でスマホを弄る。軽くため息を吐く。
SNSの動画見ながら、帰宅までの時間を潰す。
動画投稿サイトの広告に婚活パーティー情報が流れてきた。
淳一がボタンをクリックし、じっくり読む。
「東京で異性と知り合う」というキャッチコピーが目に飛び込んでくる。
会場は新宿、男女の募集人数は150名、参加資格年齢は男性24~39歳、女性20~35歳まで。
暫くし、淳一、スマホを操作し、婚活パーティーに申し込む。
〇婚活パーティー会場
淳一、婚活パーティーに参加するために、銀座に向かう。服装はジャケットにシャツにチノパン。受付開始、十分前に到着し、少し離れたところをから、スマホを観ながら会場の様子を伺う。
案内の女(小泉)「パーティーのご参加者の皆様はこちらにお並びください。また、お申し込み時に届きましたQRコードをご準備の上、お並びください」
淳一、スマホからQRコードを立ち上げる。
受付の女(恵)「申し込み時のQRコードと身分証を拝見させていただいてもよろしいでしょうか?」
淳一、無言で免許証を差し出す。
受付の女(恵)「ありがとうございます。はい、確認取れました」
淳一、会場の中に入る。オシャレな会場には既に百十名を超えている。
近くにいる参加者がパーティー開始前にちょっとした交流を始めている。
司会の男(陣内)「それでは本日は素敵な出会いになれますように、乾杯!」
参加者たちが一斉にグラスを合わせて、ドリンクを飲みだす。
淳一、覚悟を決めて、女性に話しかける。
淳一「はっ、はじめまして。よろしければお話ししませんか?」
淳一が近くにいた可愛らしい参加女性に話しかける。
参加女「はい、よろしくお願いします」
淳一「ありがとうございます。淳一って言います。お名前、何とおっしゃるのですか?」
参加女「美穂って言います」
淳一「美穂さんですね。・・・・・今日はどちらからいらっしゃったんですか?」
美穂「都内からですね。どちらからいらっしゃったんですか?」
淳一「僕も都内ですね。大田区です。」
美穂「私も大田区に住んでいます。」
淳一「えっ、そうなんですね。凄い偶然ですね」
美穂「そうですね」
淳一「大田区のどの辺りなんですか?」
美穂「大森ですね」
淳一「えっ、僕も大森です!」
美穂「えっ、めちゃくちゃ近いですね」
淳一「本当に!」
淳一が笑顔になる。
淳一「お休みの日は何されることが多いんですか?」
美穂「うーん、そうですね。家でネットフリックス見ているか、友達とカフェやご飯いったりすることが多いですね。あとはたまに旅行行ったりします」
淳一「いいですね。どの辺りにご飯行ったりすることが多いんですか?」
美穂「家の近くか。銀座や恵比寿や表参道が多いですね」
淳一「オシャレですね。家近そうですし、良かったら、今度、食事にも行きませんか?」
美穂「はい、ご都合合えばぜひ」
司会の男(陣内)「では、残り五分でお相手交代となるシャッフルタイムとなりますので、ご連絡先の交換はこの時間帯でお願いいたします」
淳一「よろしければ、LINE交換しませんか?」
美穂「はい、いいですよ」
淳一と美穂が参加連絡先交換をし、その場は別れた。
淳一、その後、4人の女と話し、全員と連絡先交換をする。
〇電車の中
淳一、電車の中で連絡先交換をした女との顔を思い出し、人物を照合し始める。
淳一、連絡先交換した女にLINEを送る。
LINE文章
美穂さん。本日はありがとうございました☺まさかの同じ区に住んでいるとは、凄い偶然でしたね!また、ぜひ、お会いしましょう☺
淳一にやつきながら、送信ボタンを押す。
〇淳一の自宅マンション
淳一、自宅に戻り、別途に横たわった。まだ、美穂を始め、誰から連絡が返ってこない。風呂に入り終わり、スマホをみてもまだ、誰からも連絡が返ってこない。
淳一「やっぱりダメか」
淳一、ため息をつく。寝ようとしたとき、スマホの着信が鳴った。美穂からLINE が返ってきた。
LINE文章
淳一さん。こちらこそ、本日はありがとうございました。はい、近いので是非、食事かカフェにでも行きましょう☺
LINE文章
美穂さん。ご返信、ありがとうございます。嬉しいです!是非、食事かカフェ行きましょう☺
淳一が微笑み、手にスマホを持ちながら、興奮し、しばらく寝付けない。
〇カフェ
数日後、予定を合わせて、美穂とデートをする。
淳一、服装は今日もシンプルにジャケットと襟付きのシャツとチノパンにした。
待ち合わせのカフェに一足早く着き、席を確保する。
待ち合わせ時間にちょうど美穂がやってくる。
服装は婚活パーティーのときは黒色のワンピースだったが、今はブラウスにスカートというカジュアルな服装だ。淳一が席から立ち上がる。
淳一「こんにちは、今日はお時間作ってもらってありがとうございます」
美穂「こちらこそ、前回はありがとうございました」
淳一「また、お会いできて嬉しいです」
淳一と美穂が席に座る。
淳一「何か注文しましょう」
美穂「そうですね。ホットカフェラテにします」
淳一「いいですね。僕はホットコーヒーにしますね」
淳一「すみません」
店員が淳一たちの席に来る。
淳一「ホットカフェラテとホットコーヒーください」
店員「ホットカフェラテとホットコーヒーですね。かしこまりました」
注文したホットカフェラテとホットコーヒーの湯気が立つ。
淳一「この前は少ししかお話しできなかったので、今日はじっくり話ができそうで嬉しいです」
美穂「私もお近くに住んでいる方と知り合えて嬉しいです」
淳一「美穂さんって普段お仕事何されているんですか?」
美穂「えーと、銀行の事務職ですね。淳一さんはお仕事、何されているんですか?」
淳一「僕は食品メーカーの営業職ですね」
美穂「へー、そうなんですね。お仕事お忙しいですか?」
淳一「そこそこですね。基本、外回りなので、移動時間が長いですね。美穂さんはお仕事お忙しいですか?」
美穂「私もそこそこですね」
淳一と美穂が笑い、飲み物を啜る。
淳一「ところでパーティーで連絡先交換した人ともう会いましたか?」
美穂「いえ、淳一さんが初めてですね。淳一さんは?」
淳一「僕も美穂さんが初めてですね」
美穂「ところで淳一さんはどれくらい恋人いないんですか?」
淳一「・・・・うーん、実はお恥ずかしい話、彼女いない歴=年齢です」
美穂「えっ、そうなんですか?意外です」
淳一「そうなんですよ。美穂さんは?」
美穂「私は2年くらいですね」
淳一「2年なんですね。なんで別れちゃったんですか?」
美穂「うーん、彼氏の浮気ですね」
淳一「えっ、そうなんですね。こんなに可愛らしい方なのになんで浮気しちゃうんですかね」
美穂が怪訝そうな顔をする。しばらく、時間が経過した。
美穂「私、次の予定があるので、そろそろ行きませんか?」
淳一「あっ、そうなんですね。じゃ、そろそろ行きましょうか」
淳一が立ち上がり、会計を持って、レジに行く。
美穂「ご馳走してもらってありがとうございます」
淳一「いえ、また今度は食事でも行きましょう」
美穂「はい、是非」
美穂が笑顔になる。淳一と美穂が別れる。
〇淳一の自宅マンション
淳一が美穂にメッセージをする。
LINE文章
美穂さん。本日はありがとうございました☺今日はお会いできて、前回よりもじっくりお話しできて嬉しかったです!また、是非、食事にでも行きましょう☺
淳一、高ぶる気持ちを抑えて、送信ボタンを押す。
一日経過した。返信が返ってこない。
二日経過した。まだ、返信が返ってこない。
三日経過しても、返信が返ってこない。
淳一、一週間経過し、とうとう我慢できずに追いLINEをする。
LINE文章
美穂さん、お元気でしょうか?お時間あるときに、返信いただけると嬉しいです。
しかし、それから半年経過しても返信はなかった。
〇会社のオフィス
結局、浩司は会社を訴えなかった。浩司が反旗を翻したことは抑止力にならずに、逆に淳一へのパワハラは一段の厳しくなる。
遠藤「夢野、お前。伊吹商事の仕事、終わったか?」
淳一「・・・・いえ、まだです」
遠藤「たっく、一体いつになったら終わるんだ。お前の代わりなんていくらでもいるんだからな!いつでも辞めてもらっても構わないからな」
淳一「・・・・すみません」
遠藤「まぁ、いい。本当にいつでも辞めてもらっても構わないからな」
淳一「・・・・・」
淳一が頭を下げ、遠藤が去っていく。
〇淳一の自宅マンション
淳一、帰宅し、机の中から、封筒を取り出す。ペンを握ったまましばらく固まる。
パソコンを開いた。ブラウザで「退職届書き方」と検索した。サンプルに従って、ペンを進める。
全て記入し、封をした。水を一杯飲む。ふと、ホームページ広告に半年前、参加した婚活パーティーの広告が目に入ってくる。クリックした。華やかなパーティーの写真が写る。スタッフも笑顔だ。
淳一(辞めた後、どうする?しばらくは貯金と失業保険でなんとかなるが、それも数か月間の話。一体、再就職はできるのか?)
婚活パーティーのホームページを検索し、求人募集ページをみた。現場のアルバイトスタッフの求人を募集していた。
淳一(会社辞める前に副業アルバイトはどうだ?もし、会社辞めた後の無職、転職活動時の資金を貯めるなら・・・・・)
淳一、求人ページから応募ボタンをクリックする。履歴書と職務経歴書をフォルダーから探し、最新のものに更新し、送信ボタンをクリックする。すぐに応募完了メールの返信がくる。
メール内容
夢野 淳一様
この度は弊社求人にご応募いただきまして、誠にありがとうございます。
担当者よりご連絡さしあげますので、少々お待ちください。
ご不明な点があれば本メールに直接ご返信ください。
よろしくお願いいたします。
三日後。メールが返ってきた。
夢野 淳一様
お世話になっております。
株式会社メルンの関田でございます。
この度は弊社の求人にご応募いただきまして誠にありがとうございます。
早速書類選考させていただきまして、是非面接にご参加いただきたくご連絡いたしました。
つきまして、ご都合のつく日程をご返信いただいてもよろしいでしょうか。
よろしくお願いいたします。
淳一が安堵の表情を浮かべる。早速、メールの返信をする。
〇バイトの面接
一週間後。淳一が面接の待ち合わせ場所のカフェに行く。メールを見ると、関田は既に到着している。
淳一、カフェに入り関田を探す。
関田「はじめまして。夢野さんですか?関田です」
マックブックを開いている50代の男性が淳一に声を掛ける。
淳一「はじめまして。はい、夢野です。本日はよろしくお願いいたします」
関田「どうぞ、お掛けになってください」
淳一が席に座る。
関田「お好きな飲み物注文してください」
淳一「あっ、ありがとうございます。では、ホットコーヒーにします」
関田が、スタッフを呼び、ホットコーヒーを二つ注文する。
関田「改めて、株式会社メルンの関田です」
関田が株式会社メルン 代表取締役社長 関田浩太と記載された名刺をテーブルの上に置く。
淳一「ありがとうございます。夢野淳一です。普段は食品メーカーで会社員をしています」
関田「なぜ、副業で婚活パーティーのアルバイト始めようと思ったんですか?」
淳一「正直に申しますと今の会社を辞めようと思っていて、まずは在籍中にアルバイトを始めようと思った理由です。また、以前、御社の婚活パーティーに参加させていただいたことがあるのですが、そこでのパーティーでのスタッフの皆さんとパーティーが素敵だったので、是非とも御社の婚活パーティーのスタッフとして働きたいと思ったのがきっかけです」
関田「そういえば、うちの婚活パーティーに参加したことあるんだよね」
淳一「はい、半年ほど前に」
関田「どうだった?」
淳一「はい、パーティー自体はとても素敵なパーティーでした」
店員が、二つホットコーヒーを運んでくる。
関田「そうなんだ。ところで、さっき今の会社辞めたいと言っていたけど、どうして辞めたいの?」
淳一「・・・・・正直に申しまして、ずっと前から上司からパワハラを受けておりまして・・・・・仕事も楽しくないし、辛いですし、毎日、何のために働いているんだか分からなくなってしまいます。・・・・同僚もどんどん辞めていくので、私もそろそろ限界かなと」
関田「・・・・・そうなんだ。それは辛いね。けど、今時そんなパワハラをする上司がいる会社なんてあるんだね」
淳一「はい、昔ながらの体育会系の会社でして、部署自体がそのような体質です。・・・・ノルマはきつく、急な仕事を振ってきて、業務時間内でできなければ残業は当たり前。それでも翌日までに終わっていなければ、上司から毎日のように、罵詈雑言を浴びせられます」
関田「そんな会社さっさと辞めればいいのに」
淳一「本当にそうですよね。・・・・・でも、この先、再就職できるか不安ですし、そんな決心、なかなかつかないまま数年が経とうとしています」
関田「そっか・・・・・・分かった、アルバイトとして、君を採用にするよ」
淳一「えっ、よろしいのでしょうか?」
関田「うん、いいよ。男性スタッフは今、足りないから、副業での今、アルバイトスタッフを募集しているんだ。・・・・・話した感じ物腰柔らかそうだし、言葉遣いも丁寧だし、建前ではなく本音で働きたい理由を話してくれたからね。・・・・・何よりも、以前うちの婚活パーティーに参加して、そこでのパーティーが良かったから、スタッフとして働きたいという理由は嬉しいからね」
淳一「ありがとうございます!」
関田「ただし、まずは試用期間として三回パーティーの現場での働きぶりを見させてもらうけど。そこで動きが悪かったり、勤務態度が悪かったりしたら、本採用は見送らせていただくけどね。・・・・それでもいいかい?」
淳一「はい、もちろんです」
関田「わかった。君の指導係は小泉という社員に担当させるね。のちほど、君のメールの連絡先に小泉から三回の試用期間のパーティーの場所と日時を送らせるから、その指定の日時に現場に行ってもらうことにするよ」
淳一「承知いたしました。ありがとうございます」
関田「ちなみに、土日のみ入れるんだよね?」
淳一「はい、平日は仕事がありますので、土日のみ入れます」
関田「分かった。小泉に伝えるよ。じゃ、今日の面接はこれで終わりにします。・・・・・では、行こうか」
ホットコーヒーを飲みほして、関田と淳一が席を立った。
〇婚活パーティー会場
淳一がジャケットに襟付きシャツにチノパンでバイト初日の会場のカフェへ向かう。会場の目の前には女性が立っている。
淳一「あのー、もしかして小泉さんでしょうか?」
小泉「はい、小泉です。夢野さんですか?」
淳一「はい、今日から、スタッフとして働くことになりました夢野です。よろしくお願いします」
小泉「夢野さん、よろしくお願いします。改めまして、社員の小泉です」
女性社員の小泉。 30代。
小泉「では、説明しますので、こちらへお願いします」
小泉と淳一が会場のカフェに入っていく。
小泉「こちら、本日からスタッフの初勤務の夢野さんです」
淳一「夢野です。本日はよろしくお願いします」
淳一がお辞儀をする。
小泉「まず今日、同じ現場となりますスタッフを紹介します。こちら、陣内君です」
陣内「陣内です。よろしくお願いします」
男性アルバイトスタッフの陣内。二十代後半。
小泉「そして、こちら目黒さん」
恵「目黒です」
女性アルバイトスタッフの恵。大学生。
小泉「こちら、立松さん」
麗「立松です」
女性アルバイトスタッフの恵。大学生。
小泉「そして、あのカウンターにいらっしゃるのがこちらのカフェのスタッフの井上さんと牧さんで、お客様へ提供するドリンクを作ってくれます」
視線の先には二人男性スタッフがいる。
小泉「そして、こちらの方がこのカフェのオーナーの上田さんです」
上田「上田です。よろしくお願いします」
淳一「よろしくお願いします」
小泉「では、今日の役割を教えます。司会は陣内君、受付は目黒さんと立花さん、お客様は私とヘルプで夢野さんでやってもらいます。本日もよろしくお願いします」
皆、一斉に「よろしくお願いします」と言う。
小泉「夢野さん。スタッフバッチです」
陣内が“STAFF”と記載されたバッチを淳一に渡す。
淳一「ありがとうございます」
小泉「正式に採用になったら、名前が書かれたバッチをお渡しします。試用期間中はこれをしていて、パーティーが終わったら私に返却してください」
スタッフは椅子や机を片付け、会場設置中。
恵「夢野さんって、普段は何やっている方なんですか?」
淳一「会社員やっています」
恵「そうなんですね。陣内さんと同じですね」
淳一「陣内さんも普段は会社員なんですね」
陣内「はい、平日は会社員です」
恵「最近の日本は副業でアルバイトする人多いんですね」
麗「まぁ、会社員の全然給料上がんないってよくSNSで見ますからね」
淳一「陣内さんはこのバイト始めて、どれくらいなんですか?」
陣内「うーん、半年くらいですね」
淳一「他の皆さんはどれくらいなんですか?」
麗「私は一年くらいですね」
恵「私は陣内さんと同じく半年ほどですね」
パーティーが始まり、淳一は小泉と一緒に参加者の案内をする。
淳一「パーティーのご参加者の皆様はこちらにお並びください。また、お申し込み時に届きましたQRコードをご準備の上、お並びください」
淳一が参加者を誘導する。
恵「申し込み時のQRコードと身分証を拝見させていただいてもよろしいでしょうか?」
会場はすでに受付を終えた参加者たちであふれかえっている。会場にはすでに50名以上いる。近くにいる参加者がパーティー開始前にちょっとした交流を始めている。
陣内「それでは本日は素敵な出会いになれますように、乾杯!」
参加者たちが一斉にグラスを合わせて、ドリンクを飲みだす。カウンターの井上と牧が素早くドリンクを提供する。
小泉「パーティー中やパーティー終了後に参加客を装って、会場外で連絡先交換する怪しい人もいるので、会場の外も常に見張っていなければなりません」
淳一「そんな人もいるんですね」
小泉「ええ、一年ほど前も怪しいサングラスにマスクの男が一年程前、常に会場の外をうろうろしていて、会社でも噂になっていたんです」
淳一「そんな怪しい人もいるんですね」
小泉「まぁ、最近見なくなったけど」
淳一はパーティーの様子を遠目から伺いながら、会場の外を注視する。
パーティーは大盛況で終了する。
スタッフがパーティーの後片付けをする。
小泉「お疲れさまでした」
淳一「お疲れさまでした」
小泉「今日、実際働いてみてどうでしたか?」
淳一「本当に素敵なパーティーだと思いました。楽しかったです」
小泉「良かったです。本日、パーティー中に教えた次回の現場では受付をやってもらいます。受付が終わったら、受付時に参加済みとなったお客様の人数集計と売上計算をシステムに入力していただきます」
淳一「わかりました」
小泉「パーティーの現場によってはドリンクをスタッフが作るパーティーもあるので、三回目の現場はドリンクを作ってもらいます」
それから、淳一はパーティーを二回の現場の仕事をこなし、見事に正式採用となる。
〇婚活パーティー会場
ある日のパーティー
淳一、婚活パーティーのバイトの回数を重ね、常連客が誰なのか分かってくる。
事件当日にも参加する男女のそれぞれの描写。金城沙良。上埜遥。中野桃子。児玉伸。守田瑛大。塩谷巧
このパーティーでは交流はしない。
〇婚活パーティー会場
今日も150人規模の立食形式のパーティーだ。会場は上田のカフェ。
小泉「本日もよろしくお願いします」
淳一&陣内&恵&麗「よろしくお願いします」
小泉「本日は特別企画で、参加者のお客様、一名につき一個、同じ種類のケーキを配布します。受付で参加者の方にこちらの札を渡して、カウンターで札とケーキの交換をします。受付担当の方は、必ずこちらの札が受付での参加人数と配布した札の数が一致するようにしてください」
パーティーが始まった。司会は陣内、受付は恵、麗、麗、誘導は小泉。参加者たちがカウンターで札とケーキを交換し、ドリンクを取る。テーブルにたくさんのケーキが置いてある。その映像の中で陣内がケーキを受け取るシーンを流す。
陣内「それでは本日は素敵な出会いになれますように、乾杯!」
参加者たちが一斉にグラスを合わせて、ドリンクを飲みだす。パーティー開始30分後。
参加男性(児玉)「よかったらお話ししませんか?」
参加女性(金城)「ええ、是非よろしくお願いします」
参加男性(児玉)「今日はどこから来たんですか?」
参加女性(金城)「目黒の方ですね」
参加男性(児玉)「いいところに住んでいますね」
参加女性(金城)「どちらに住んでいるんですか?」
参加男性(児玉)「僕は港区ですね」
参加男性(金城)「えっ、児玉さんこそいいところに住んでいらっしゃいますね」
参加者男性(児玉)「ケーキ、食べないんですか?美味しいですよ」
参加者女性(金城)「いえ、食べますよ」
金城が手つかずのケーキを食べる。
参加者女性(金城)「確かに美味しいですね」
参加者男性(児玉)「ね!」
陣内「なお、配布したケーキは長く常温状態に置くといたむので、できる限りお早めにお食べください。・・・・・それでは本日、三回目のシャッフルタイムを始めたいと思います。今お話ししている方とは別の方とのご交流をお願いいたします」
参加男性(児玉)「あれ?もうシャッフルタイムか。良かったら連絡先交換だけいいですか?」
参加男性(金城)「はい、いいですよ」
二人は連絡先交換をする。五分後。
参加女性(金城)「はじめまして、よかったら私も混ぜてください」
参加男性(守田)「ええ、いいですよ。守田です。よろしくお願いします。」
参加男性(塩谷)「塩谷です。よろしくお願いします。」
参加女性(上埜)「上埜と申します。よろしくお願いします。」
参加女性(中野)「中野と申します。よろしくお願いします。」
金城「ありがとうございます。金城沙良って言います。よろしくお願いします」
五分後。
守田「金城さん、様子が変ですが、大丈夫ですか?」
金城「ええ、だいじょうぶ・・・・で・・・・・」
突然、金城が口から血を吐いて、倒れる。持っていたドリンクがこぼれ落ちる。
上埜&中野「きゃーーーーーー」
守田&上埜「うわぁーーーーーー」
参加者が一斉に注目して、叫び喚く。
小泉「どうされましたか!」
陣内「誰か救急車を呼んでください!」
淳一、恵、麗、突然のことに呆然となる。他の参加者客もこの状況に、叫ぶ。中には会場の外へ出る参加者もいる。金城は救急車で病院に運ばれたが、一時間後、死亡が確認された。
警察が到着した。警察官が50名近くパーティー会場の中に入る。
不破「警視庁の不破です。どなたが、このパーティーの責任者ですか?」
小泉「私です。今、当社の取締役に連絡して、あと数十分後に到着するようです」
不破「正式には病院での解剖結果待ちですが、少なくとも金城沙良は毒殺された可能性が高いです」
小泉「・・・・・さっ、殺人ってことですか?」
不破「ええ、そうです。毒の混入は恐らく、ドリンクです。参加者、スタッフ、全員、ここに残ってください。全員と事情聴取します。参加者の中には既に帰った人もいますが、本日のパーティーの参加者リストをください。後日、帰った人の自宅へ事情聴取に行きます」
淳一「あのー、すみません」
不破「どうしましたか?」
淳一「俺、ちらほらと亡くなった女性の様子を見ていたのですが、倒れる前には、あちらの方々と一緒に交流していて、その前のシャッフルタイムの前はあちらの方と交流をしていました。容疑者を絞られるかは分かりませんが、一応。」
淳一たちの視線の先には、上埜、中野、守田、塩谷、児玉がいる。
不破「そうですか。ありがとうございます。ところでシャッフルタイムってなんでしょう?」
小泉「当社では一人のお方がずっと同じ相手と話さないように、15分間隔でお相手交代のシャッフルタイムを設けさせていただいております」
不破「そうですか。では、あの五人にまずはお話を聞こうとしましょうか」
不破が五人に近づく。
守田「えっ、俺たち疑われているんですか?」
不破「このパーティーの参加者とスタッフは全員容疑者です。ですから、いづれにしても全員から話を聞くことになります」
児玉「俺も疑われているんですか?俺ってあの人が倒れる十分以上前に交流していたんですよ。俺がもし毒を入れていたのならば、彼女はもっと早く倒れていたはずだ」
不破「摂取してから、即効性を持たない毒も世の中にはあるんですよ」
児玉「・・・・・そうなんですね」
不破「あなたたちは亡くなった金城さんとは元々、お友達なんですか?」
上埜「いえ、私たちが交流していたら、彼女が加わってきたので、今日、たまたま、会場で知り合っただけです」
不破「あなたたちも?」
塩谷「ええ、俺たちもです」
不破「彼女に何か変わった様子などはありましたか?」
守田「・・・・・女性にしては積極的な方だなって思っていました。俺たちが二対二で話しているときに突然割って入ってきたので、純粋に凄いなと。・・・・・そうしたら、突然、彼女の様子がおかしくなったので、大丈夫ですか?と聞いたら、血を吐いてその場に倒れました」
警察官「不破警視・・・・・」
警察官が不破の耳元で伝える。
不破「・・・・・そうか。容疑者が飲んでいたドリンクから、致死量の10倍の青酸カリが検出されました」
陣内「あの、その青酸カリっていう毒は摂取から何分で効くんですか?」
不破「人にもよりますが一般的な青酸カリですと摂取後、約10~15分で全身に回って、最悪死に至りますね」
井上「・・・・・あの、いいですか?」
不破「どうぞ」
井上「彼女にドリンクを提供していたカフェのスタッフの井上と申します。直前の三回目のシャッフルタイムの前も亡くなった女性はドリンクの交換などなく、その前のドリンク交換は二回目のシャッフルタイム終了後でしたので、もし、ドリンクに毒を混入できるチャンスがあるとしたら、やはり、亡くなる直前に交流していた方々が疑わしいかと」
児玉が井上を睨みつける。
不破「わかりました。それでは今から参加者の方々、全員、事情聴取をします。参加者リストはスタッフの方からいただきましたので、呼ばれた方から順番に聴取します」
警察官たちが参加者たちとスタッフ全員に事情聴取をする。
その間、現場に関田がやってきた。
関田「遅くなった。すまない。全く、こんなことが起こるなんて」
小泉「ほっ、本当にそうですね」
関田「とんだことになったな」
小泉「えっ、ええ」
一時間半時間後。
不破「これまでの状況と聞き込みの結果、容疑者の絞り込みをします。容疑者ではない方はご帰宅して構いません。まず、三回目のシャッフルタイムで交流していた児玉さん、そして、ドリンク提供していた井上さんと牧さん、そして、最後に三回目のシャッフルタイム後、亡くなる直前まで交流をしていた上埜、中野、守田、塩谷さんはここに残ってください。また、パーティースタッフの皆さんはまだ聞きたいこともありますので、申し訳ないですが、まだ残ってください。今、名前が上がらなかった他の参加者の皆さんはご帰宅していただいても構いません」
名前が呼ばれなかった参加者たちが帰っていく。
上田「うちの従業員はそんなことしませんよ。第一、亡くなった女性とは元々何の関係もない」
不破「彼女との交流関係は今後、金城沙良の身辺調査をすれば明らかになることです」
守田「俺たちもなんで残っているのか分かりませんね。だって、俺たちから話しかけたのではなく、彼女の方から俺たちに話しかけて
きたんですよ」
不破「ええ、あなた方、四人が犯人という可能性は低いです。ただ、状況として、殺害できる可能性があるというのは間違いないので、残ってもらっています。・・・・・児玉さん、正直に答えてくださいね。パーティー中、被害者女性にあなたの方から話しかけていましたか?」
児玉「・・・・・はい、そうです」
不破「でしたら、容疑者の中であなただけが自分の意志で彼女と接触していたということになりますね」
児玉「だっ、だから何だって言うんですか?そんなのたまたま俺が彼女に話しかけただけの話ですよ」
不破「ええ、でもあなただけが意図的に被害者と接触したというのはまた事実です」
警察官「不破警視、実は・・・・・」
警察官が不破の耳元で話す。
不破「・・・・・なに、そうか」
小泉「どうかされましたか?」
不破「実は殺された金城沙良は偽名で本名は、湯浅美玖で、クレア不動産という不動産会社の営業をしている会社員でした」
守田「婚活パーティーに偽名で参加できるんですね」
関田「うちの婚活パーティーは身分証明書の提出を義務付けられているので、恐らく身分証明書を巧妙に偽造したんですよ」
不破「それよりもなぜ、湯浅美玖は偽名を使ってまでパーティーに参加したということです」
関田「そうですね。一般的に婚活パーティーで偽名を使ったり、年齢を詐称する人の目的はパーティーに年齢制限があるからそれを誤魔化したり、過去に何かトラブルを起こして、出禁を喰らっているからですね」
しばらく、ざわつく。
井上「けっ、警視さん、少しいいですか?」
井上が小声で陣内に話しかける。
不破「どうしましたか?」
井上「・・・・・スタッフだから疑わなかったのですが、実はあちら方が・・・・・」
不破「それは本当ですか」
井上「はい、本当です」
淳一がその先を見つめる。
不破「ところで、小泉さん、パーティーの事前の予約者人数から実際の参加人数はどうやってわかるんですか?」
小泉「・・・・・はい、専用のシステムがありまして、予約者の方が受付で予約時に発行されるQRコードを見せていただきます。そして、身分証明書を見せてもらった後、QRコードから読み取った参加者情報から参加ボタンを押すと、予約者を参加済みとなります。その参加済みの人数が実際の参加者数となります」
不破「それは必ず、その予約者が来ていないと参加済みにはできないんですか?」
小泉「はい、参加者様が来場していただいて、参加済みとするのでそうです」
不破「今日のパーティーは予約者たち全員、来ていたんですか?」
小泉「はい、本日はパーティー開始直後で、予約者の皆様は全員いらしていました」
不破「ちなみに、本日の参加者人数は何名でしたか?」
小泉「調べますのでお待ちください」
小泉がタブレットからシステムで参加者人数を調べる。
小泉「123名です」
不破「ということはパーティーで用意したケーキと参加者の数は123で一致するということですか?」
小泉「ご用意いたしましたケーキは急な参加者や落としてしまったなどのために、予備を用意しておりますので、配布したケーキの数とご参加様の数は一致します」
不破「わかりました。ありがとうございます。・・・・・では、今、この場にいる関田さん以外の身体チェックと指紋採取にご協力お願いいたします。もし、何も疑わしものが出てきませんでしたら、本日はご帰宅頂いても構いません」
男女の警察官がこの場にいる者の身体チェックと指紋採取を始める。
警察署「不破警視、全員の身体チェックと指紋採取が終わりました。しかし、何も疑わしきものは出てきませんでした。また、会場で毒入りのケースを探していましたが、ゴミ袋の中やゴミ捨て場のゴミもすべて持ち帰ってチェックします」
不破「・・・・・そうか。また、明日出直しだな」
この日の捜査は終了した。
〇淳一の自宅マンション
テレビから婚活パーティー殺人事件のニュースが流れる。
淳一、自宅のパソコンからスタッフデータベースから、事件の参加者済みのリストを見る。顔を上げる。
淳一(・・・・いや、あの警視の質問のニュアンスは違うはず・・・・そして、俺もあれをたまたま見てしまった・・・・・まさか、あの人が犯人なのか・・・・・)
淳一再び、スタッフデータベースを見る。
(・・・・・まさか、この参加済み参加者の中にあの人がいて・・・・・)
淳一がデータベースに参加済みとなっている男性について疑う。
(・・・・・やはり、あの人が犯人なのか・・・・・)
〇警視庁
不破をはじめ、刑事が会議室で婚活パーティーの殺人事件の会議をする。
不破「あの証言から、これはもしかしたら、犯人はスタッフ中にいるかもしれないな」
刑事「そうですね」
不破「しかし、参加者が来なければ、スタッフが参加済みにできないとなると」
刑事「ええ」
警察の受付「重要参考人として、夢野さんという例の事件の婚活パーティーのスタッフの方が不破警視に話したいことがあるそうです。受付までよろしいでしょうか?」
不破「・・・・・ああ、今行く」
不破が受付で待っている淳一の元に行く。
不破「昨日はどうも、本日はどうされましたか?」
淳一「実は、不破さんにお話ししたいことがありまして」
不破「なんでしょうか?」
淳一「・・・・・昨日、小泉さんは「参加者が来場しなければ、参加済みにできない」と言いましたが、実はスタッフなら、参加者を名前と身分証明書を確認せずとも参加済みにすることはできるんです」
不破「・・・・・どういうことですか?小泉さんが嘘をついていたということですか?」
淳一「いえ、嘘はついていません。ニュアンスが違うということです。小泉さんは恐らく不破さんの質問の意図を勘違いしたということです。小泉さんはルールとしての質問の意図を捉えて、恐らく、不破さんはシステム上の質問としてした筈です。つまりはシステム上は別に参加者が来ていなくても、スタッフが参加済みにすることはできるが、ルール上参加者が来場しなければ、スタッフが参加済みにすることはできないということを伝えたかったのです」
不破「・・・・・なるほど」
淳一「あの婚活パーティーのシステムは参加者の一覧があり、そこにはパーティーの全ての予約者情報が記載されています。そこからある参加者の詳細をクリックし、参加済みにすることはそのURLとログイン名、パスワードを知っていて、ログインしているスタッフでしたらできます。通常は受付で参加者がパーティーのQRコードを見せると、同じシステムに飛び、参加者の詳細が表示され、身分証明書を見せた後、身分証明書を確認済みにして、参加済みボタンを押すという流れとなります」
不破「つまりは身分証明書を確認済みも別にシステム上は実際に身分証確認せずともそこのボタンを押し、参加済みにすることはスタッフならできたということですか?」
淳一「はい、そうです」
不破「受付で顧客のデータベースを見ることができ、現場にいたスタッフが疑わしいということか・・・・・いや、もう全てが解決する。そして、それができた犯人はあの人しかいない」
淳一「・・・・・はい、実は俺も犯人の目星はついています」
不破「そうなのか」
淳一「はい、実はある方のパーティー中の発言がずっと気になっていて・・・・・」
〇婚活パーティー会場のカフェ
翌日、夢野、上埜、中野、児玉、守田、塩谷、小泉、陣内、恵、麗、井上、牧、上田、容疑者たちそして、関田ら不破の連絡で集めさせられた。
不破「犯人が分かりました」
場がざわめく。
関田「一体、誰なんですか?」
不破「児玉さん、警察署に来てもらえますか?」
児玉「えっ、おっ、俺ですか?」
不破「はい、そうです。会場内のゴミ捨て場から、あなたの指紋付きの睡眠剤のカプセルが出てきました」
児玉「・・・・・俺じゃない。確かに、パーティー終盤で狙っていた女のドリンクを取ってあげて、睡眠剤を混入しようとしたのは間違いないが、パーティー終了後に飲ませて、狙っていた女とホテルに行こうと企んでいただけだ。・・・・・でもおっ、俺じゃない。俺は殺していない!!!」
不破「睡眠剤を持ったままだと、身体チェックで怪しまれると思ったから、捨てたわけですね。・・・・・詳しいことは署の方で」
児玉「だっ、だから、俺じゃない」
警察官が児玉を連れていく。
不破「他の方々は帰宅していただいて構いません」
容疑者が帰宅し始める。
〇婚活パーティー会場の近くのごみ捨て場
真犯人が証拠確認に来る。
不破「やっぱり来ましたね」
待ち構えていた不破が真犯人の前に現れる。
真犯人「・・・・・」
不破「あなたが真犯人ですね。・・・・陣内さん。あなたは今、真の証拠となるあるゴミが回収されているかどうかの確認に来たんですよね。気になって仕方ありませんよね」
陣内が不破や淳一たちを見つめる。
陣内「・・・・・一体、何のことですか?犯人は児玉っていう参加者じゃないんですか?」
不破「彼は犯人ではないし、私は一言も彼が犯人だとは言っていない。ただ、睡眠剤の件で署に事情聴取をお願いしただけです。・・・・・今、あなたがここに来たのは本当の毒が混入されたあるものを回収するためですね」
陣内「だからと言って、なんで私が犯人となるんですか?私はただ、パーティー中に大事なスタッフバッチをなくしてしまったので、探しに来ただけですよ」
不破「わかりました。今から今回の事件の全貌を明らかにしたいと思います」
陣内「・・・・・」
不破「まず、この事件は青酸カリによる毒殺です。そして、毒は被害者の湯浅美玖のこぼしたドリンクから検出された。・・・・・しかし、本当に毒を摂ってしまったものは別のものだったのです」
陣内「・・・・一体、どういうことですか?」
不破「声を見ていただければわかります。これがあなたが探していたものですね。またはもうここにはなく、あなたは、株式会社メルンが出したこのゴミ袋の中でこのフォークが今頃、ゴミ焼却炉の中に眠っていることをお祈りしにきたのですよね」
不破が陣内に紙のフォークを見せる。
陣内「一体、なんで僕がそんなゴミを探さなければならないもしくはそんな願いをしなくてはならないのですか?」
不破「これに湯浅美玖が摂取してしまった毒が付着されているからです。湯浅美玖のこのフォークに付着していた唾液を調べたところ、湯浅美玖のDNAと一致しました。つまり、このフォークはあの事件があった日に湯浅美玖が使っていたものです。そして、このフォークから青酸カリが検出されました」
陣内「・・・・だから何だって言うんですか?ドリンクに混入していた毒がフォークに付着したって可笑しくはないでしょ」
不破「いや、言いたいことはそんなことではないですし、そんな偶然は起きません。言いたいことは、毒の混入がドリンクだという前提の元、推理していましたが、実際には本当の毒の混入は参加客に配布されたケーキだったということです。・・・・・ケーキ自体は全て食べてしまえば、毒の証拠は残りません。ドリンクはカモフラージュのために、湯浅美玖が倒れた後、ドリンクこぼれ、皆が死体に注目が集まる中、あなたがドリンクに青酸カリを垂らしたんです」
陣内「・・・・・いや、例え、そうだとしてもケーキを全部食べない可能性はあったでしょう」
不破「はい、確かに可能性はありました。しかしあなたは司会者の特権を利用して、その可能性をできる限り低くしたのです」
陣内「一体どうやって」
不破「湯浅美玖がケーキを一口目食べるのを見届けたあなたはマイクを通して堂々とこう言えばいいのです。「なお、配布したケーキは長く常温状態に置くといたむので、できる限りお早めにお食べください」と。・・・・・このセリフをあなたが言ったことは夢野さんが証言してくれました。この言葉で結果的に湯浅美玖は毒が体内に回りきる前に食べ終わったのです。・・・・・パーティー中でしたら、ケーキを食べ始めるタイミングはいつでもいいですが、一口目からできる限り早く食べてほしいので、あなたは司会特権のアナウンスで三回目のシャッフルタイム宣言の前にそう参加者たちに促したのです」
陣内の眉間に皺が寄る
陣内「・・・・そもそも、どうやって、そのケーキ自体を手に入れたんですか?だって、ケーキはちゃんと参加者全員分の個数だけ配布されたんでしょ?一体、僕がどうやって、参加者のケーキを入手して、毒を入れたと言うんですか?」
不破「それは単純にあなたが直接、堂々と井上さんからケーキを受け取り、毒を混入させて、湯浅美玖がドリンクなどを取りに行く際に、持っていたケーキをテーブルに置く際に隙を見て、入れ替えただけです。参加者たちは常にケーキを持っているわけではないですからね」
陣内「だから、それだと参加者人数とケーキの数は合いません」
不破「いえ、合うんですよ。これが」
陣内「だからなぜ?」
不破「あなたがパーティーに参加者として参加していたからです」
陣内「どういうことですか?」
不破「あなたが偽名を使って自分自身であのパーティーに事前にWebサイトから予約して、参加したんです。いやシステム上、参加済みにしたのです。・・・・・システム上は123名の参加者で全員参加でした。つまり、配布されたケーキは123個です。しかし、実際のパーティーの参加者はあなたを引かなければならないので、122名だったのです」
陣内「・・・・・」
不破「あなたが偽名を使って、あのパーティーに架空の人物として予約し、当日あなた自身のスマホから、パーティーのシステムにログインし、受付一覧画面であなたの架空参加者を年齢確認にチェックし、参加済みにすれば、システム上は123名の参加者となります。しかし、あなたはある意味での司会と参加者一人二役を演じていたので、実際のあの会場にいた参加者は122名で、あなたがシステム上カウントしていたその幻の参加者だったんですよ」
陣内「・・・・・でっ、でも、それが僕がやったという証拠はあるんですか?」
不破「あなた自身がカウンターから自分の予約者分の分のケーキを貰い、持っていた青酸カリ入りのケーキと彼女の元々のケーキを一瞬の隙を見て、取り換えることができたのは、あなたしかいないんです。井上さんはケーキを貰うのはスタッフであるあなたでしたので、最初は怪しむことはなかったのです」
井上が頷く。
不破「あれだけの大人数パーティーだから、パーティー中にカウントしなければ、本当の参加者の人数は誰もわからない。システム上、参加済みとなっている人数が参加者と人数と誰だって思うはずです。だから、あなた自身が偽名を使って、参加者の予約していた架空人物がいても誰も気づかなかったのです」
陣内「・・・・・」
不破「私からは最後ですが、先ほど、司会者特権の話をしましたが、もう一つあなたは司会者特権を使いました。それはタイムコントロールです」
淳一「タイムコントロール?」
不破「はい、陣内さんは自分が疑われにくくするため、できる限り参加者の容疑者を多くするために司会者特権を使った毒入りケーキを食べたタイミングでパーティーのスケジュールの時間調整をしていたのです。そのタイミングこそ、シャッフルタイムだったのです。シャッフルタイムを調整して、毒の摂取後の湯浅美玖がより多くの参加者と交えるように間隔調整をしたんです。陣内さんは第三回目のシャッフルタイムに入る時間を通常の15分よりも、短くすることにより、毒の摂取後から毒が体内に回る前の間、シャッフルタイムを跨ぐことにより多くの参加者と交流できるようにしたのです。・・・・・結果的に毒の摂取からシャッフルタイム跨ぎのお陰で、毒の摂取後から死亡直前までの湯浅美玖の交流人数が、5人となり、容疑者が増えたのです。・・・・・司会であるあなたがパーティーのタイムコントロールをして、毒が効く時間を調整して、シャッフルタイムを設ける。数分の誤差なら、参加客やスタッフすらもパーティーの会話や仕事に夢中で誰も気づかない。だけど、感覚的には気づいた人もいます。・・・・・第三回目のシャッフルタイムになる時間が少し早く感じたことは、これはここにいる参加者の皆さんも証言してくれました」
上埜、中野、守田、塩谷が頷く。
不破「パーティー中のタイムコントロールは司会であるあなたしかできないんですよ!」
不破の声が大きくなる。
陣内「・・・・・」
不破「あとはゆっくり、署の方で話を聞きましょうか」
陣内が警察官に連行され、パトカーに乗る。こうして、事件は終結した。
〇警察の取調室
不破と陣内が対面で向かい合う。複数の刑事がその様子を見る。
不破「・・・・なんで、殺したんだ?」
陣内「・・・・・奴が、数年前、恋人装って、不動産投資で騙してきたからですよ。奴は騙した奴の顔すらも覚えていなかった。あの女、定期的に化粧も髪型も変え、名前も変え、身分証明書も偽装して、なりすましで参加しています。もちろん、あの日の現場以外のパーティーでも何回も会っている。だけど、俺が働き始めたことも気づきもせず、俺のスタッフバッチ見ても名前も顔を覚えもいやがりもしない」
不破「不動産投資?」
陣内「ええ、あの女、昔あの婚活パーティーで出会って、後日、付き合うことになったんだ。付き合い始めて、収集看護、俺に不動産投資を持ち掛けてきたんだ。でもそれは奴のインセンティブ、金儲けのための、詐欺案件で、多額の借金を俺は追うことになり、とうとう自己破産したんだ。・・・・・あいつは俺の人生を狂わせやがった」
不破「・・・・・だから、湯浅を殺害するために婚活パーティーのスタッフの仕事始めたんだな。・・・・・不特定多数の人がいる婚活パーティーでの殺人だと犯人が特定しづらい。だからそれを狙ったということか」
陣内「ああ、あの女、あの会社のパーティーに何回も参加している常連だ。一年ほど前、あの婚活パーティーの会場の外に隠れて、中の様子を見ていたんだ。・・・・・そしたら案の定、あの女がいた。
化粧や髪型で誤魔化していたが、あの声とあの目は間違いなく、あの女だった。・・・・・だから、スタッフになった。・・・・・スタッフになればあの女が参加するパーティーがどこになるのかがわかる。そのパーティーのシフトを希望して、そこに入れば、どこかのタイミングで殺せるってことですよ」
不破「でもどうやって、本名の湯浅美玖でない偽名を使っている湯浅が参加予定のパーティーを知ることができたんだ?」
陣内「毎回、偽名ってわけではなく、ここ数か月間、あの女は金城沙良として、来ていた。この前のパーティーの受付で顔と名前が一致して、狙った」
不破「そして、児玉も金城と一緒に参加するパーティーも狙ったんだな?」
陣内「ああ、児玉も参加することは分かっていました。あの参加者、前々から女性からのクレームが多く、罪をなすりつけができそうだから、あの女と児玉が一緒のパーティーに参加するパーティーを選んだんだ。・・・・・まさか、睡眠剤まで用意しているとは思わなかったが」
陣内、不気味な笑顔になる。
不破「分かった、・・・・・よし、連れていけ」
陣内が警察官に連行される。
不破「婚活パーティーに潜む憂鬱か・・・・・これは一般社会にも通じるものがあるな」
湯浅美玖の自宅から押収した、自身が偽名を使っていたリストの中に夏目美里の名前がある。
〇会社のオフィス
変わらぬに日常。遠藤が相変わらず、今日も淳一に怒鳴っている。
遠藤「お前、なんでこんなものもできないんだ」
淳一「・・・・すみません」
遠藤「まぁ、いい。コーヒー淹れてくれ。お前はそれくらいしかできないんだからな」
淳一「・・・・・はい、そうですね」
淳一、そう小声で答え、不気味な笑顔でコーヒーサーバーに近づく。
終わり。
0
この作品の感想を投稿する
あなたにおすすめの小説
百合ランジェリーカフェにようこそ!
楠富 つかさ
青春
主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?
ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!!
※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。
表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。
あるフィギュアスケーターの性事情
蔵屋
恋愛
この小説はフィクションです。
しかし、そのようなことが現実にあったかもしれません。
何故ならどんな人間も、悪魔や邪神や悪神に憑依された偽善者なのですから。
この物語は浅岡結衣(16才)とそのコーチ(25才)の恋の物語。
そのコーチの名前は高木文哉(25才)という。
この物語はフィクションです。
実在の人物、団体等とは、一切関係がありません。
セーラー服美人女子高生 ライバル同士の一騎討ち
ヒロワークス
ライト文芸
女子高の2年生まで校内一の美女でスポーツも万能だった立花美帆。しかし、3年生になってすぐ、同じ学年に、美帆と並ぶほどの美女でスポーツも万能な逢沢真凛が転校してきた。
クラスは、隣りだったが、春のスポーツ大会と夏の水泳大会でライバル関係が芽生える。
それに加えて、美帆と真凛は、隣りの男子校の俊介に恋をし、どちらが俊介と付き合えるかを競う恋敵でもあった。
そして、秋の体育祭では、美帆と真凛が走り高跳びや100メートル走、騎馬戦で対決!
その結果、放課後の体育館で一騎討ちをすることに。
わたしの下着 母の私をBBA~と呼ぶことのある息子がまさか...
MisakiNonagase
青春
39才の母・真知子は息子が私の下着を持ち出していることに気づいた。
ネットで同様の事象がないか調べると、案外多いようだ。
さて、真知子は息子を問い詰める? それとも気づかないふりを続けてあげるか?
そのほかに外伝も綴りました。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる