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第14話 ご褒美あざす
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地元の駅から神戸は三ノ宮駅までは一本でいける。大体一時間程度の電車の旅となる。
しかしまぁ、休日の朝だってのに、やっぱりこの路線は人が多いなぁ。ほとんどの人が新大阪で新幹線に乗り換えたり、大阪梅田に遊びに行く人なんだろうね。
人が多くて座ることができないや。でも、立ちながら日夏と他愛もない学校の話をしていると、すぐに新大阪に着く。かと思ったら、すぐさま大阪に着いた。
そりゃ二〇分程度で着くんだから、あっという間だわな。
大阪駅で、ゾロゾロと一気に人が降りて行くのでふたり席が空いた。そこへ、ササッと俺達はふたり席を確保する。
日夏が窓際、俺が通路側で腰を下ろした。
大阪で一気に人が降りたかと思うと、再び、ゾロゾロと人が入って来て座席は一気に埋まった。立ちの人が出るが、みんな立つのが当たり前だと思っている人が多いみたい。無の表情で立っている。
二分程大阪で停車していた電車は西に向かって動き出した。
「なんだか良いわね。こういう電車の旅って」
さきほどまでしていた他愛もない話の続きではなく、ポツリと思いついたことを日夏がこぼした。
「普段は電子に乗らない人?」
「そうね。乗ってたと言えば新幹線くらいかしら。小さい頃から移動は基本的に両親の車だったし。中学になって、出雲琴になったらマネージャーの車か、タクシーだもの」
「さっすが芸能人様。普通の学生とは大違いだ」
「別に威張ってるわけじゃないわよ。私の今までの人生で電車に乗る機会がなかっただけ」
「じゃあ、次のデートはもっと遠くへ行く電車デートで決まりだな」
「あら。うまいこと誘ってくるじゃない」
「だめ?」
「考えといてあげるわよ」
日夏とお喋りをしていると、電車は西宮で停車した。その時、小さな子供と手を繋ぎ、抱っこヒモで赤ちゃんを抱っこしながら畳んだベビーカーを押したお母さんが乗って来る。
ありゃ大変だ。
「日夏」
反射的に夏枝の手を握って立ち上がる。
「……え?」
「わり」
いきなり手を握られて困惑する彼女へ説明なしでお母さんのところへと向かう。
「すみません。席、どうぞ」
「あ、す、すみません。すみません。ありがとうございます」
随分と疲れた様子のお母さんはペコペコしてくれる。
いえいえと手を振りながらこちらもペコっと頭を下げ、そそくさとドア付近の方へと移動した。
ぷしゅーとドアが閉まっめ更に西に向かって電車が動き出す。
「そんなに私と手を繋ぎたかった?」
ガタンゴトンと電車が動く音と共に放たれた日夏のセリフに、はっ、となってしまう。そこでようやく、彼女と手を繋ぎっぱなしだということに気が付く。
「っと……。ごめん、つい」
手を離そうとすると、日夏はギュッと握ってくる。
「無意識にあんな行動ができるあなたへ握手のご褒美」
「ご褒美って……。席を譲るくらい普通だろ」
「四ツ木くんにとっての普通は、世の中の人にとっては普通じゃないこともあるわよ。少なくとも、私は四ツ木くんを見てご褒美をあげたくなったわ」
日夏はなんだか嬉しそうに言ってのける。
「ご褒美なら、キスのひとつでもどう?」
「調子に乗るな」
そう言って足を軽く踏んで来る。
「なぁ、日夏。世の中の大体の人は足を踏まれて罰だと思うけど、一定数は足を踏まれてご褒美だという輩も少なくないんだぞ」
「なにが言いたいの?」
「ご褒美あざす」
「ばぁか」
罵声を浴びせてながら、なんだかかんだと、握手のご褒美は三ノ宮まで続いてくれた。
しかしまぁ、休日の朝だってのに、やっぱりこの路線は人が多いなぁ。ほとんどの人が新大阪で新幹線に乗り換えたり、大阪梅田に遊びに行く人なんだろうね。
人が多くて座ることができないや。でも、立ちながら日夏と他愛もない学校の話をしていると、すぐに新大阪に着く。かと思ったら、すぐさま大阪に着いた。
そりゃ二〇分程度で着くんだから、あっという間だわな。
大阪駅で、ゾロゾロと一気に人が降りて行くのでふたり席が空いた。そこへ、ササッと俺達はふたり席を確保する。
日夏が窓際、俺が通路側で腰を下ろした。
大阪で一気に人が降りたかと思うと、再び、ゾロゾロと人が入って来て座席は一気に埋まった。立ちの人が出るが、みんな立つのが当たり前だと思っている人が多いみたい。無の表情で立っている。
二分程大阪で停車していた電車は西に向かって動き出した。
「なんだか良いわね。こういう電車の旅って」
さきほどまでしていた他愛もない話の続きではなく、ポツリと思いついたことを日夏がこぼした。
「普段は電子に乗らない人?」
「そうね。乗ってたと言えば新幹線くらいかしら。小さい頃から移動は基本的に両親の車だったし。中学になって、出雲琴になったらマネージャーの車か、タクシーだもの」
「さっすが芸能人様。普通の学生とは大違いだ」
「別に威張ってるわけじゃないわよ。私の今までの人生で電車に乗る機会がなかっただけ」
「じゃあ、次のデートはもっと遠くへ行く電車デートで決まりだな」
「あら。うまいこと誘ってくるじゃない」
「だめ?」
「考えといてあげるわよ」
日夏とお喋りをしていると、電車は西宮で停車した。その時、小さな子供と手を繋ぎ、抱っこヒモで赤ちゃんを抱っこしながら畳んだベビーカーを押したお母さんが乗って来る。
ありゃ大変だ。
「日夏」
反射的に夏枝の手を握って立ち上がる。
「……え?」
「わり」
いきなり手を握られて困惑する彼女へ説明なしでお母さんのところへと向かう。
「すみません。席、どうぞ」
「あ、す、すみません。すみません。ありがとうございます」
随分と疲れた様子のお母さんはペコペコしてくれる。
いえいえと手を振りながらこちらもペコっと頭を下げ、そそくさとドア付近の方へと移動した。
ぷしゅーとドアが閉まっめ更に西に向かって電車が動き出す。
「そんなに私と手を繋ぎたかった?」
ガタンゴトンと電車が動く音と共に放たれた日夏のセリフに、はっ、となってしまう。そこでようやく、彼女と手を繋ぎっぱなしだということに気が付く。
「っと……。ごめん、つい」
手を離そうとすると、日夏はギュッと握ってくる。
「無意識にあんな行動ができるあなたへ握手のご褒美」
「ご褒美って……。席を譲るくらい普通だろ」
「四ツ木くんにとっての普通は、世の中の人にとっては普通じゃないこともあるわよ。少なくとも、私は四ツ木くんを見てご褒美をあげたくなったわ」
日夏はなんだか嬉しそうに言ってのける。
「ご褒美なら、キスのひとつでもどう?」
「調子に乗るな」
そう言って足を軽く踏んで来る。
「なぁ、日夏。世の中の大体の人は足を踏まれて罰だと思うけど、一定数は足を踏まれてご褒美だという輩も少なくないんだぞ」
「なにが言いたいの?」
「ご褒美あざす」
「ばぁか」
罵声を浴びせてながら、なんだかかんだと、握手のご褒美は三ノ宮まで続いてくれた。
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