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第30話 ねんねデートをご所望みたい
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ようやくと新型やくもの乗車時間がやって来てくれた。
俺達は運良く、セミコンパートメント席を予約することができた。
この席は新型やくもの特徴みたいだね。大きな窓はさんで向かい合える構成になっている。
真ん中にテーブルもあるし、気分はレストランってね。
足を伸ばせるフラット席にも早変わりするみたいだが、俺達はそのまま座席に座ると、真ん中にあるテーブルに先程のお土産を広げた。
「おっ。きびんだんごって美味しいな」
ひょいっときびだんごを一口食べてみると、声に出して感想を述べた。
「ね。美味しいわね」
八雲も同意見らしく、うんうんと頷いて食べている。
「こりゃ桃太郎に付いて行く動物達の気持ちがわかるわ」
桃太郎なんて詳しくはないが、これを本当に犬と猿とキジが食べたってんなら、その気持ちも頷けるというもの。
「ふふっ。世津は完全に猿よね」
小馬鹿にしたかのように言われちまう。
「おうおう。犬系男子と謳われている俺がどうして猿なのか聞こうじゃねぇか」
「なんとなく。変態っぽいし」
「猿って変態なん?」
そのイメージはなんとなくわかる気がする。猿って欲望のままに生きているように見えるからかな。
「それじゃ、八雲は鬼だな」
ターゲットを俺から八雲に逸らしてやると、ムスッとした顔を見した。
「ちょっと。なんで私が敵側なのよ」
「気が強いところとかまんま鬼だわ」
「よぉし、わかった。そこんところを徹底的に話し合いましょう。安心しなさい。時間はたっぷりとあるわ」
本当に鬼みたいな顔をして言ってのける彼女と、笑いながらくだらない話で盛り上がる。
岡山から出雲までの旅は八雲の言う通りたっぷりとあるため、会話が途切れたらスマホをいじる。シンデレラ効果のことを調べたり、出雲琴についての掲示板を探したりしてみた。
こんな異常事態はシンデレラ効果で間違いないと思う。俺の肩が治ったことと照らし合わせると、やはり間違いないように思える。
だが、有力な情報なんて簡単には転がっておらず、出雲琴について書かれているであろう掲示板も見つからない。
「やっぱり出雲大社よね」
スマホを見ながら声を出した彼女へ視線を向ける。
「世津も一緒に島根のことについて調べましょ。ね?」
なんだか俺がなにを調べたかわかっていたかのような目で見つめられる。
無意識に目が血走っていたのか、それとも画面がたまたま目に入ったのか。
遠回しにやめろと言われている気がして、俺は素直にスマホをテーブルに置いた。
「確かに、島根県といえば出雲大社ってイメージがあるな」
「出雲大社に行きたいわね。でも営業時間は終了しているみたい」
「なら明日行こう」
今日やっていないのなら明日に行くのは当然のこと。
だが、彼女は不安そうな顔でこちらを見てくる。
それがなにを意味するかなんとなくわかる。
「大丈夫だっての。明日になっても明後日になっても忘れることなんてないから」
「……ほんと?」
「ほんと」
「そ」
こちらの言葉に不安を拭いきれていない声を漏らしながら、少し無理をした笑みを浮かべる。
「それじゃ、今日は適当なホテルに泊まって明日の朝一で行くわよ」
「ホテル……」
東京に向かう時に、あわよくば一泊と妄想していたことが現実となり、気持ち悪い笑みが出ちまった。
「ちょっと。気持ち悪い笑みを浮かべるな、変態」
「おい、変態とは心外な。もっと言ってください」
「私、こんな変態と一緒の部屋に泊まるの……」
大きなため息を吐きながら、手で顔を覆う彼女へ論破を仕掛ける。
「いや、部屋は別々で取れば良いんじゃない?」
「あ……」
なんともまぁ間抜けな声が漏れる。そんな考えは微塵もなかったって声だ。
「あれあれ。もしかして八雲ちゃんは世津きゅんと一緒の部屋が良かったでちゅか?」
「ち、ちがっ……!」
「もしかして世津きゅんしゅきしゅき過ぎて一緒のお布団でねんねデートをご所望でちたかねー?」
煽りマックスで言ってやると、下唇を噛んでぷるぷると震え出す。
「う、うっさい! 別々の部屋にしたら料金が高くなるから、仕方なく一緒の部屋にするだけだから!」
「貯金なら引くほどあるんだろ?」
「貯金と節約を一緒にすんな! これからずっと一緒なんだから少しでも節約は大事よ!」
「それって遠回しのプロポーズ?」
「っ!?」
自分の言った言葉に気がついたのか、顔が一気に赤くなる。
「とにかく! 一緒の部屋だから! 異論は認めないわよ! ばかっ!」
ふんっと鼻を鳴らしてそのまま窓の外を眺め始めた。
これからずっと一緒、か。
そのセリフが嬉しくって、ついついニヤニヤしちまうな。
「そこっ。ニヤニヤすんな」
俺達は運良く、セミコンパートメント席を予約することができた。
この席は新型やくもの特徴みたいだね。大きな窓はさんで向かい合える構成になっている。
真ん中にテーブルもあるし、気分はレストランってね。
足を伸ばせるフラット席にも早変わりするみたいだが、俺達はそのまま座席に座ると、真ん中にあるテーブルに先程のお土産を広げた。
「おっ。きびんだんごって美味しいな」
ひょいっときびだんごを一口食べてみると、声に出して感想を述べた。
「ね。美味しいわね」
八雲も同意見らしく、うんうんと頷いて食べている。
「こりゃ桃太郎に付いて行く動物達の気持ちがわかるわ」
桃太郎なんて詳しくはないが、これを本当に犬と猿とキジが食べたってんなら、その気持ちも頷けるというもの。
「ふふっ。世津は完全に猿よね」
小馬鹿にしたかのように言われちまう。
「おうおう。犬系男子と謳われている俺がどうして猿なのか聞こうじゃねぇか」
「なんとなく。変態っぽいし」
「猿って変態なん?」
そのイメージはなんとなくわかる気がする。猿って欲望のままに生きているように見えるからかな。
「それじゃ、八雲は鬼だな」
ターゲットを俺から八雲に逸らしてやると、ムスッとした顔を見した。
「ちょっと。なんで私が敵側なのよ」
「気が強いところとかまんま鬼だわ」
「よぉし、わかった。そこんところを徹底的に話し合いましょう。安心しなさい。時間はたっぷりとあるわ」
本当に鬼みたいな顔をして言ってのける彼女と、笑いながらくだらない話で盛り上がる。
岡山から出雲までの旅は八雲の言う通りたっぷりとあるため、会話が途切れたらスマホをいじる。シンデレラ効果のことを調べたり、出雲琴についての掲示板を探したりしてみた。
こんな異常事態はシンデレラ効果で間違いないと思う。俺の肩が治ったことと照らし合わせると、やはり間違いないように思える。
だが、有力な情報なんて簡単には転がっておらず、出雲琴について書かれているであろう掲示板も見つからない。
「やっぱり出雲大社よね」
スマホを見ながら声を出した彼女へ視線を向ける。
「世津も一緒に島根のことについて調べましょ。ね?」
なんだか俺がなにを調べたかわかっていたかのような目で見つめられる。
無意識に目が血走っていたのか、それとも画面がたまたま目に入ったのか。
遠回しにやめろと言われている気がして、俺は素直にスマホをテーブルに置いた。
「確かに、島根県といえば出雲大社ってイメージがあるな」
「出雲大社に行きたいわね。でも営業時間は終了しているみたい」
「なら明日行こう」
今日やっていないのなら明日に行くのは当然のこと。
だが、彼女は不安そうな顔でこちらを見てくる。
それがなにを意味するかなんとなくわかる。
「大丈夫だっての。明日になっても明後日になっても忘れることなんてないから」
「……ほんと?」
「ほんと」
「そ」
こちらの言葉に不安を拭いきれていない声を漏らしながら、少し無理をした笑みを浮かべる。
「それじゃ、今日は適当なホテルに泊まって明日の朝一で行くわよ」
「ホテル……」
東京に向かう時に、あわよくば一泊と妄想していたことが現実となり、気持ち悪い笑みが出ちまった。
「ちょっと。気持ち悪い笑みを浮かべるな、変態」
「おい、変態とは心外な。もっと言ってください」
「私、こんな変態と一緒の部屋に泊まるの……」
大きなため息を吐きながら、手で顔を覆う彼女へ論破を仕掛ける。
「いや、部屋は別々で取れば良いんじゃない?」
「あ……」
なんともまぁ間抜けな声が漏れる。そんな考えは微塵もなかったって声だ。
「あれあれ。もしかして八雲ちゃんは世津きゅんと一緒の部屋が良かったでちゅか?」
「ち、ちがっ……!」
「もしかして世津きゅんしゅきしゅき過ぎて一緒のお布団でねんねデートをご所望でちたかねー?」
煽りマックスで言ってやると、下唇を噛んでぷるぷると震え出す。
「う、うっさい! 別々の部屋にしたら料金が高くなるから、仕方なく一緒の部屋にするだけだから!」
「貯金なら引くほどあるんだろ?」
「貯金と節約を一緒にすんな! これからずっと一緒なんだから少しでも節約は大事よ!」
「それって遠回しのプロポーズ?」
「っ!?」
自分の言った言葉に気がついたのか、顔が一気に赤くなる。
「とにかく! 一緒の部屋だから! 異論は認めないわよ! ばかっ!」
ふんっと鼻を鳴らしてそのまま窓の外を眺め始めた。
これからずっと一緒、か。
そのセリフが嬉しくって、ついついニヤニヤしちまうな。
「そこっ。ニヤニヤすんな」
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