11 / 20
第11話 尊い東都に片思い
しおりを挟む
「……んん」
どうやら薬が効いて眠っていたみたいだ。
「にゃっ!?」
目が覚めると、学校の制服にネコミミを付けた東都が目の前にいた。
「なに、してんの……?」
そういえば、東都のネコミミを誰にも見られたくなくて没収してたな。そのまま家で保管していたのを忘れていた。
「や、やや、こ、ここ、これは……」
頭に付けたネコミミを触りながら何か言い訳を模索している様子。
「そこにネコミミがあったから」
「そこに山があったからみたいなノリの返しだね」
「だ、だめかな?」
「いや、別に良いけど」
ネコミミ東都さいこぉ!!
なんて素直に言えないお年頃。
「俺、どんだけ寝てた?」
うーんと伸びをする。まだ関節痛は治っていない。
「二時間くらいかな」
「二時間かぁ……ん?」
部屋を見渡すと、少しばかり違和感があった。
「あれ? もしかして掃除してくれた?」
「うん。勝手にごめんね」
「いやいや。めちゃくちゃありがたいよ。看病もしてくれて、掃除もしてくれてありがとう」
「掃除って言っても全然片付いてたから、そんな大袈裟なもんじゃないけどね」
そう言いながら、彼女は感心するように言ってくれる。
「千田くんは凄いね。一人暮らしなのに家事もちゃんとしてて」
「そんなことないよ」
「いやいや凄いよー。同級生で一人暮らしだなんて尊敬しちゃうよ」
「尊敬される程のもんでないさ。生きるために必死なだけだ」
ついそんな大袈裟な言い方をしてしまった。
「千田くんはどうして一人暮らしをしているの?」
彼女の素朴な疑問に対して、サラッと返しても良かった。
「……」
普段の俺ならば適当に返していただろう。
「小さい頃、さ……」
学校を抜け出してまで看病してくれる東都には聞いて欲しかった。
「父親が蒸発して……それで母親は精神的な病におかされて施設に入っちまった。取り残された俺は親戚の家に預けられた」
「……そう、だったんだね」
唐突に始めた重い話を、東都は親身になって聞いてくれる。
「別に親戚の家になにかをされたわけじゃない。ただ俺に無関心だったからな。自分のことは自分でやらないと生きていけなかった」
親戚の子供を預かるのはストレスだと思う。そう考えると、いじめられなかっただけ俺はまだありがたかった方だと思える。
「高校生になったら一人で生きて行こうって決めてた。仕送りなんてないから高校は特待生制度のある学校を選んだ。成績上位は学費が無償になるから成績は落とせない。生活費はバイトでなんとかなる計算」
「それで、初めて私にバイトがバレた時に必死にお願いしてたんだね」
「ああ。偏差値が高くて成績上位は学費が無償化するところって、バイト禁止ばっかりだったんだよ。どうするか悩んだけど、俺も東都と同じさ」
「私と同じ?」
「大学行きたいからさ。偏差値が高くてバイト禁止の方を選んでこっそりバイトするのを選んだ。バレなきゃバイトしてないのと同じだって精神だ。どうだ、悪いだろ」
「うん。わるわるだね」
話していると、随分と重い話をしてしまったと思い、笑って誤魔化す。
「ま、あーだ、こーだ言ったけど、家族がいない一人暮らしってのは気楽で、良い、もんだよ」
話の締め方が明らかに無理している感じが出てしまった。
こちらの気持ちを察した東都が、優しく俺の手を握ってくれる。
「千田くんの壮大な過去を教えてくれてありがとう。千田くんのこと知れて嬉しいよ」
そう言って優しい母親のような瞳で俺を見てくれる。
「家族はいないかもしれないけど、千田くんには私がいるから」
いつもの俺なら、
それってプロポーズか?
なんて軽口を叩いているのだろう。
だけど、今の俺の口からはそんな軽口は出なかった。
「ありがとう」
「忘れないで。私がいることを……」
そんな言葉をかけてもらったのは初めてで素直に嬉しかった。
それでまた熱が上がったんだから、俺は東都のこと、ひとりの女性として好きなんだと思う。
どうやら薬が効いて眠っていたみたいだ。
「にゃっ!?」
目が覚めると、学校の制服にネコミミを付けた東都が目の前にいた。
「なに、してんの……?」
そういえば、東都のネコミミを誰にも見られたくなくて没収してたな。そのまま家で保管していたのを忘れていた。
「や、やや、こ、ここ、これは……」
頭に付けたネコミミを触りながら何か言い訳を模索している様子。
「そこにネコミミがあったから」
「そこに山があったからみたいなノリの返しだね」
「だ、だめかな?」
「いや、別に良いけど」
ネコミミ東都さいこぉ!!
なんて素直に言えないお年頃。
「俺、どんだけ寝てた?」
うーんと伸びをする。まだ関節痛は治っていない。
「二時間くらいかな」
「二時間かぁ……ん?」
部屋を見渡すと、少しばかり違和感があった。
「あれ? もしかして掃除してくれた?」
「うん。勝手にごめんね」
「いやいや。めちゃくちゃありがたいよ。看病もしてくれて、掃除もしてくれてありがとう」
「掃除って言っても全然片付いてたから、そんな大袈裟なもんじゃないけどね」
そう言いながら、彼女は感心するように言ってくれる。
「千田くんは凄いね。一人暮らしなのに家事もちゃんとしてて」
「そんなことないよ」
「いやいや凄いよー。同級生で一人暮らしだなんて尊敬しちゃうよ」
「尊敬される程のもんでないさ。生きるために必死なだけだ」
ついそんな大袈裟な言い方をしてしまった。
「千田くんはどうして一人暮らしをしているの?」
彼女の素朴な疑問に対して、サラッと返しても良かった。
「……」
普段の俺ならば適当に返していただろう。
「小さい頃、さ……」
学校を抜け出してまで看病してくれる東都には聞いて欲しかった。
「父親が蒸発して……それで母親は精神的な病におかされて施設に入っちまった。取り残された俺は親戚の家に預けられた」
「……そう、だったんだね」
唐突に始めた重い話を、東都は親身になって聞いてくれる。
「別に親戚の家になにかをされたわけじゃない。ただ俺に無関心だったからな。自分のことは自分でやらないと生きていけなかった」
親戚の子供を預かるのはストレスだと思う。そう考えると、いじめられなかっただけ俺はまだありがたかった方だと思える。
「高校生になったら一人で生きて行こうって決めてた。仕送りなんてないから高校は特待生制度のある学校を選んだ。成績上位は学費が無償になるから成績は落とせない。生活費はバイトでなんとかなる計算」
「それで、初めて私にバイトがバレた時に必死にお願いしてたんだね」
「ああ。偏差値が高くて成績上位は学費が無償化するところって、バイト禁止ばっかりだったんだよ。どうするか悩んだけど、俺も東都と同じさ」
「私と同じ?」
「大学行きたいからさ。偏差値が高くてバイト禁止の方を選んでこっそりバイトするのを選んだ。バレなきゃバイトしてないのと同じだって精神だ。どうだ、悪いだろ」
「うん。わるわるだね」
話していると、随分と重い話をしてしまったと思い、笑って誤魔化す。
「ま、あーだ、こーだ言ったけど、家族がいない一人暮らしってのは気楽で、良い、もんだよ」
話の締め方が明らかに無理している感じが出てしまった。
こちらの気持ちを察した東都が、優しく俺の手を握ってくれる。
「千田くんの壮大な過去を教えてくれてありがとう。千田くんのこと知れて嬉しいよ」
そう言って優しい母親のような瞳で俺を見てくれる。
「家族はいないかもしれないけど、千田くんには私がいるから」
いつもの俺なら、
それってプロポーズか?
なんて軽口を叩いているのだろう。
だけど、今の俺の口からはそんな軽口は出なかった。
「ありがとう」
「忘れないで。私がいることを……」
そんな言葉をかけてもらったのは初めてで素直に嬉しかった。
それでまた熱が上がったんだから、俺は東都のこと、ひとりの女性として好きなんだと思う。
0
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
友達の妹が、入浴してる。
つきのはい
恋愛
「交換してみない?」
冴えない高校生の藤堂夏弥は、親友のオシャレでモテまくり同級生、鈴川洋平にバカげた話を持ちかけられる。
それは、お互い現在同居中の妹達、藤堂秋乃と鈴川美咲を交換して生活しようというものだった。
鈴川美咲は、美男子の洋平に勝るとも劣らない美少女なのだけれど、男子に嫌悪感を示し、夏弥とも形式的な会話しかしなかった。
冴えない男子と冷めがちな女子の距離感が、二人暮らしのなかで徐々に変わっていく。
そんなラブコメディです。
フラレたばかりのダメヒロインを応援したら修羅場が発生してしまった件
遊馬友仁
青春
校内ぼっちの立花宗重は、クラス委員の上坂部葉月が幼馴染にフラれる場面を目撃してしまう。さらに、葉月の恋敵である転校生・名和リッカの思惑を知った宗重は、葉月に想いを諦めるな、と助言し、叔母のワカ姉やクラスメートの大島睦月たちの協力を得ながら、葉月と幼馴染との仲を取りもつべく行動しはじめる。
一方、宗重と葉月の行動に気付いたリッカは、「私から彼を奪えるもの奪ってみれば?」と、挑発してきた!
宗重の前では、態度を豹変させる転校生の真意は、はたして―――!?
※本作は、2024年に投稿した『負けヒロインに花束を』を大幅にリニューアルした作品です。
クラスメイトの美少女と無人島に流された件
桜井正宗
青春
修学旅行で離島へ向かう最中――悪天候に見舞われ、台風が直撃。船が沈没した。
高校二年の早坂 啓(はやさか てつ)は、気づくと砂浜で寝ていた。周囲を見渡すとクラスメイトで美少女の天音 愛(あまね まな)が隣に倒れていた。
どうやら、漂流して流されていたようだった。
帰ろうにも島は『無人島』。
しばらくは島で生きていくしかなくなった。天音と共に無人島サバイバルをしていくのだが……クラスの女子が次々に見つかり、やがてハーレムに。
男一人と女子十五人で……取り合いに発展!?
自称未来の妻なヤンデレ転校生に振り回された挙句、最終的に責任を取らされる話
水島紗鳥
青春
成績優秀でスポーツ万能な男子高校生の黒月拓馬は、学校では常に1人だった。
そんなハイスペックぼっちな拓馬の前に未来の妻を自称する日英ハーフの美少女転校生、十六夜アリスが現れた事で平穏だった日常生活が激変する。
凄まじくヤンデレなアリスは拓馬を自分だけの物にするためにありとあらゆる手段を取り、どんどん外堀を埋めていく。
「なあ、サインと判子欲しいって渡された紙が記入済婚姻届なのは気のせいか?」
「気にしない気にしない」
「いや、気にするに決まってるだろ」
ヤンデレなアリスから完全にロックオンされてしまった拓馬の運命はいかに……?(なお、もう一生逃げられない模様)
表紙はイラストレーターの谷川犬兎様に描いていただきました。
小説投稿サイトでの利用許可を頂いております。
わたしの下着 母の私をBBA~と呼ぶことのある息子がまさか...
MisakiNonagase
青春
39才の母・真知子は息子が私の下着を持ち出していることに気づいた。
ネットで同様の事象がないか調べると、案外多いようだ。
さて、真知子は息子を問い詰める? それとも気づかないふりを続けてあげるか?
そのほかに外伝も綴りました。
ヤンデレ美少女転校生と共に体育倉庫に閉じ込められ、大問題になりましたが『結婚しています!』で乗り切った嘘のような本当の話
桜井正宗
青春
――結婚しています!
それは二人だけの秘密。
高校二年の遙と遥は結婚した。
近年法律が変わり、高校生(十六歳)からでも結婚できるようになっていた。だから、問題はなかった。
キッカケは、体育倉庫に閉じ込められた事件から始まった。校長先生に問い詰められ、とっさに誤魔化した。二人は退学の危機を乗り越える為に本当に結婚することにした。
ワケありヤンデレ美少女転校生の『小桜 遥』と”新婚生活”を開始する――。
*結婚要素あり
*ヤンデレ要素あり
久々に幼なじみの家に遊びに行ったら、寝ている間に…
しゅうじつ
BL
俺の隣の家に住んでいる有沢は幼なじみだ。
高校に入ってからは、学校で話したり遊んだりするくらいの仲だったが、今日数人の友達と彼の家に遊びに行くことになった。
数年ぶりの幼なじみの家を懐かしんでいる中、いつの間にか友人たちは帰っており、幼なじみと2人きりに。
そこで俺は彼の部屋であるものを見つけてしまい、部屋に来た有沢に咄嗟に寝たフリをするが…
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる