こちらを無意識に尊死させようとしてくる東都詩音

すずと

文字の大きさ
18 / 20

第18話 東都は連続で告られる

しおりを挟む
 東都とのカラオケめちゃくちゃ楽しかったなぁ。

 まだ脳内に彼女の歌声がリピートされて、脳みそがとろけている状態で学校に来た。

「おーい、陽。またお客さんだぞぉ」

 晴人が俺の席にやって来て教えてくれる。

 教室のドアの方には西府の姿が見えた。

「やっぱり付き合ってるのか?」

「晴人よ、よぉく考えろ。あの西府だぞ?」

「だよなぁ」

 あっさりと言われるのも複雑だ。

 晴人に礼を言いながら西府の所へと行く。

「千田くん。例の件、今からでもええ?」

「ああ、お好み焼きの件だよな」

「ほな図書室で」

「あれ。ツッコミなし?」

「関西人が全員お笑い好きやと思わんといて。少なくともウチはあんまり興味ないわ」

「そりゃ悪かった。偏見が過ぎたな。ごめん」

「別に謝る必要はないわ。ほな行きましょ」



 例の件ってのは塾の模試が近い西府の勉強を見ることなんだけど……。

 学年二位なだけあってこちらから教えることはなにもないな。

「千田くん。ここってあんたやったらどう解く?」

「俺なら──」

「そういうやり方もあるんやね」

 こんな感じで、教えるというよりも、意見交換と言った方が近いかも。

「千田くんはやっぱり尊大《とーだい》目指してるん?」

「うーん。どうだろ。まだ詳しくは決めてないが……」

「うそやろ? そんな頭良くて尊大やないなんておかしくない?」

「授業料が心配なんだ。尊大の特待生制度なんて神の子じゃないと無理だろうからな。ある程度レベルの高いところで特待生制度を受けれるところが良いかなって思ってる」

「授業料……」

 西府は呟くと、頭を下げてくる。

「ごめなさい。千田くんの家庭の事情も知らずに軽口叩いてもうたね」

「いやいや、何も気にしてないよ。西府は尊大志望?」

「せやね。尊大やないとあかんねん……」

 そう言う彼女には、なにか使命めいたものが見える。

 西府はこれ以上は喋る気がないみたいに窓の外を見た。

「あ、東都さんやん」

 つられて俺も窓の外を見る。

 どこか見覚えのある同学年の男子となにか喋っている様子だ。

「東都さんも大変やねぇ」

「どういうこと?」

「ありゃ告られてるんとちゃうん?」

 ドキンと心臓が嫌な跳ね方をした。

「夏休みも近いし、ワンチャン告って夏を謳歌したいって感じなんやろなぁ」

「ワンチャンで告るもんなのかな」

「さぁ。男子の気持ちはよぉわからんけど、ウチもここ最近、ああいうの多いで」

「あ、学園人気No.1の美少女がここに」

「そんなもんに興味ないから、テストでNo.1になりたいわ」

 はぁと大きくため息を吐く。

「ウチはウチより頭ええ人が良いから断るけど、東都さんも存外理想高いんやね」

 言いながら窓の外に視線を送ると、ごめんなさいをしているのが見えた。

「それとも」

 言いながらこちらを見てくる。

「もう既に好きな人がおる、とかかな」

「東都に好きな人……」

 考えただけで暗くなるな。そいつはきっと東都より年上で外資系で働いている金持ちで、俺なんかよりも背が高くて……。

「ぅぁぁ……」

「なんで勝手に落ち込んでるん?」

「あ、ツッコミ入れた」

「今のは誰でも入れるやろ」

 睨まれてしまった。

「ま、人の色恋なんて気にしてる場合やない。ウチは勉強せなあかんし。ほら、千田くん。勉強の続きするで──って!」

 西府は窓の外にあり得ないものを見る目で見つめていた。

「ダブルヘッダー!? 東都さん、また違う男子に告られてるやん!」

「うそぉ」

 窓の外を見ると、さっきとは違う男子が東都に告白していた。

「あの子、どんだけモテるんよ……」

「流石の西府でも一日二回はないのか?」

「ないない。一週間連続はあったけど、同じ日に二回連続なんてなかったわ」

 それはそれで凄い気もするが……。

「東都さん。めっちゃすごいな……」

 西府は驚きのあまり、勉強の手が止まってしまっていた。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

わたしの下着 母の私をBBA~と呼ぶことのある息子がまさか...

MisakiNonagase
青春
39才の母・真知子は息子が私の下着を持ち出していることに気づいた。 ネットで同様の事象がないか調べると、案外多いようだ。 さて、真知子は息子を問い詰める? それとも気づかないふりを続けてあげるか? そのほかに外伝も綴りました。

久々に幼なじみの家に遊びに行ったら、寝ている間に…

しゅうじつ
BL
俺の隣の家に住んでいる有沢は幼なじみだ。 高校に入ってからは、学校で話したり遊んだりするくらいの仲だったが、今日数人の友達と彼の家に遊びに行くことになった。 数年ぶりの幼なじみの家を懐かしんでいる中、いつの間にか友人たちは帰っており、幼なじみと2人きりに。 そこで俺は彼の部屋であるものを見つけてしまい、部屋に来た有沢に咄嗟に寝たフリをするが…

クラスで1番の美少女のことが好きなのに、なぜかクラスで3番目に可愛い子に絡まれる

グミ食べたい
青春
高校一年生の高居宙は、クラスで一番の美少女・一ノ瀬雫に一目惚れし、片想い中。 彼女と仲良くなりたい一心で高校生活を送っていた……はずだった。 だが、なぜか隣の席の女子、三間坂雪が頻繁に絡んでくる。 容姿は良いが、距離感が近く、からかってくる厄介な存在――のはずだった。 「一ノ瀬さんのこと、好きなんでしょ? 手伝ってあげる」 そう言って始まったのは、恋の応援か、それとも別の何かか。 これは、一ノ瀬雫への恋をきっかけに始まる、 高居宙と三間坂雪の、少し騒がしくて少し甘い学園ラブコメディ。

友達の妹が、入浴してる。

つきのはい
恋愛
 「交換してみない?」  冴えない高校生の藤堂夏弥は、親友のオシャレでモテまくり同級生、鈴川洋平にバカげた話を持ちかけられる。  それは、お互い現在同居中の妹達、藤堂秋乃と鈴川美咲を交換して生活しようというものだった。  鈴川美咲は、美男子の洋平に勝るとも劣らない美少女なのだけれど、男子に嫌悪感を示し、夏弥とも形式的な会話しかしなかった。  冴えない男子と冷めがちな女子の距離感が、二人暮らしのなかで徐々に変わっていく。  そんなラブコメディです。

クラスメイトの美少女と無人島に流された件

桜井正宗
青春
 修学旅行で離島へ向かう最中――悪天候に見舞われ、台風が直撃。船が沈没した。  高校二年の早坂 啓(はやさか てつ)は、気づくと砂浜で寝ていた。周囲を見渡すとクラスメイトで美少女の天音 愛(あまね まな)が隣に倒れていた。  どうやら、漂流して流されていたようだった。  帰ろうにも島は『無人島』。  しばらくは島で生きていくしかなくなった。天音と共に無人島サバイバルをしていくのだが……クラスの女子が次々に見つかり、やがてハーレムに。  男一人と女子十五人で……取り合いに発展!?

百合ランジェリーカフェにようこそ!

楠富 つかさ
青春
 主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?  ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!! ※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。 表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。

『お兄ちゃんのオタクを卒業させてみせるんだからね❤ ~ブラコン妹と幼馴染オタク姫の果てしなき戦い~』

本能寺から始める常陸之介寛浩
青春
「大好きなはずなのに……! 兄の『推し活』が止まらない!?」 かつて、私は信じていた。 優しくて、頼もしくて、ちょっと恥ずかしがり屋な── そんな普通のお兄ちゃんを。 でも── 中学卒業の春、 帰ってきた幼馴染みの“オタク姫”に染められて、 私のお兄ちゃんは**「推し活命」**な存在になってしまった! 家では「戦利品だー!」と絶叫し、 年末には「聖戦(コミケ)」に旅立ち、 さらには幼馴染みと「同人誌合宿」まで!? ……ちがう。 こんなの、私の知ってるお兄ちゃんじゃない! たとえ、世界中がオタクを称えたって、 私は、絶対に── お兄ちゃんを“元に戻して”みせる! これは、 ブラコン妹と 中二病オタク姫が、 一人の「兄」をめぐって 全力でぶつかり合う、果てしなき戦いの物語──! そしていつしか、 誰も予想できなかった 本当の「大好き」のカタチを探す、 壮大な青春ストーリーへと変わっていく──。

処理中です...