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第8話 どうやら血は争えないらしいです
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鳴り響くアラーム音。
自分の好きな曲が流れているって言うのに、不快な気分になるのは睡眠を邪魔されているからに他ならない。
毎日イヤホンで聴く曲だし、何だったらカラオケでの俺の十八番である。
そんな曲がこの瞬間に限っては本当に鬱陶しい。
寝ぼけた頭と半開きの目で枕元に充電器が刺さってあるスマホを操作し、音楽を止めて時間を確認する。
「――ろ……く……。ろくっ……? 6時? 何でこんな時間に……。昨日の俺は馬鹿か? 後1時間は寝れるぞ……」
スマホを適当に放り投げ、2度寝の快楽へと身を委ねようとした瞬間に昨日の様々な出来事が思い返される。
「――あれだわ……。あの無表情お嬢様を起こす為だわ……」
寝ぼけた声を出し、だるいまだ起きたての身体を無理に起こすのは、まるで鞭を打たれた様な苦しさである。
この眠たいのに起きなければならない瞬間というのはむしろ鞭で身体を打たれた方がマシなのでは? なんて錯覚が起きてしまう。
脳も全然覚醒せず、目も半開き以下の状態、酸素不足で大きな欠伸をしながら自分の部屋を後にする――。
――寝ぼけた頭でリビングに行くと、目が覚める位に綺麗なミディアムヘアの女性がダイニングテーブルで朝ご飯を食べていた。
「兄さん?」
妹の南方 紗雪だ。
妹の事を綺麗だと言うのもシスコンみたいで痛い奴だが、身内贔屓を取り除いても彼女は綺麗な女性と言える。
その証拠に男子から逆にバレンタインチョコレートを貰う程だし、今の時代にラブレターなんて超レアなアイテムも貰う位だ。
中学3年生とは思えない大人びたルックスが為せる技だろう。
だが、どうやら彼氏はいないらしい。
「サユキ……。朝――ふぁ~ぇな……」
「もう兄さん。欠伸しながらだと何言ってるか分からないよ?」
上品かつ可愛らしく微笑むサユキ。
「――うん……。ごみん、ごみん」
こっくり、こっくり頭が船を漕いで寝ぼけた声を出しながらいつもの席に座る。
「どうしたの兄さん? こんなに朝早くに起きて」
「ちょっと……バイト……」
「バイト?」
サユキは首を傾げる。
「バイトってコンビニの? 早朝バイトだと朝学校遅刻しちゃうって前言ってなかった?」
「言ってた……。ウチのコンビニの早朝バイトは6時から9時だから」
俺の言葉にサユキはリビングにある時計を反射的に見る。
「それじゃあ出勤も今の時点でアウトだね。えっと……。そしたら何のバイト?」
そう聞かれて何と答えるのがベストなのか、半分以上眠っている脳ではろくな答えが出なかった。
「――なんというか……。良く言えば執事的な?」
「執事?」
執事なんて現代では非現実なワードにサユキの頭の上には?マークを出す。
「あー……。と……。悪く言えばパシリ的な?」
「パシリ!?」
我が妹は目を丸くして驚いた声を出す。
「そんな……。そんなバイトダメだよ兄さん。パシリなんて……」
「じゃあ執事のバイトという事で……」
「結局どっちなの?」
笑いながらツッコミをいれてくれる。
「今からご主人様を起こしに行かなければならない……」
「そうなんだ。大変だね」
「大変だわ……。でも給料良いから今度サユキに何か買ってやるよ」
「ホント?」
手を叩いて嬉しそうに言ってくる。
「わぁい。何買ってもらおうかな?」
「ふふ……。何でも良いぜ。これから俺は社会人並に金が手に入るからな」
「すごーい。――でも、それって大丈夫? 重労働じゃない?」
「でぇじょぶでぇじょぶ……。多分……」
重労働では……ないよな?
「――俺よりもサユキのがキツくない? いつもこんなに朝早いのか?」
「もうすぐ最後の大会だし、朝練も気合い入れていかないと」
最後の大会とは部活の事だろう。
サユキは中学3年で受験生だが、その前にバスケットに青春を捧げる部活少女でもある。
これまでの3年間に華を添える為に朝も晩も部活動に励んでいるのだろう。
これが彼女が彼氏を作らない理由と言えよう。部活が恋人というわけだ。
「そっか……。もうすぐ夏の大会ね……。それが終われば高校受験か」
「もぅ……。考えたくない事思い出させないでよ」
「ごみんごみん」
「受験勉強分からない所教えてよね」
「約束だからな。俺で力になれれば良いけど」
「兄さん成績良いし教え方上手だから頼りにしてるね。――っと、もう行くね」
「あいあい。いてらー」
サユキは朝食の食器をキッチンのシンクに入れて家を出て行った。
こんな朝早くから女子バスケ部は活動しているのか……。凄いな………。
それにしても、昨日はアヤノとの会話が多かったので、朝のちょっとしたサユキとのやりとりで会話という重要性を再認識する。
やっぱり会話って大事だよな。
そんな事を思いながら母さんがいつも寝ている隣の和室を見てみる。
襖が閉まっているという事はまだ寝ていると言う事だろう。
体調は大丈夫だろうか? 昨日帰って来た時も襖は閉められていたから、まだ回復してないと思われるので少し心配だ。
しかし、無理に起こしてまで体調を聞くのもおかしな話なので、今はそっとしておく事にした。
♦︎
――さて、こんな平日の朝っぱらから相棒のYZF忍250こと【忍たん】に乗るとは思わなかったが、忍たんのおかげで脳が覚醒してくれる。
約8時間振りの病院のバイク置き場。昨日と全く同じ場所が空いていたのでそこに止めた。
てか、これってここから俺も学校へ向かうって事になるんだよな?
家から歩いて20分、自転車で10分で着く学校をわざわざ電車と徒歩で通わなければならないのか……。めっちゃアホみたいな事してるやん。
しかしお金を稼ぐとはしんどい事だ。ここはグッと我慢しよう――。
――すぐに仕事場である高層マンション最上階へ到着する。
朝起こしに来いと言われたが、一体何時に涼太郎アラームを御所望なのか分からなかった。だから起きてすぐに顔を洗い、朝ご飯を食べずに来たのだが――。
――少し早すぎた? まだ午前7時になっていない時間。
いや、この時間に起こして学校に行けば余裕で間に合う時間だ。余裕を持って学校に行くのは大事な事だよな。
俺は昨日同様にカードキーで豪邸の家の玄関を開けた。
「お邪魔ー」
こっそりと言いながら昨日と全く同じ光景の玄関を抜けてリビングへ向かう。
リビングを開けるとそこには誰もいなかった。
お医者様のお父さんはもう出勤したのかな?
医者の仕事は忙しくて朝早いイメージがあるな。
それともトイレなり風呂だろうか? ともかくリビングには誰もおらず、その光景は昨日となんら変わらない風景が広がっている。
そりゃそうだ、昨日出て行ってからそこまで時間が経っている訳じゃないからな。
だからバルコニーを見ても洗濯物は干しっぱなしである。
あー……っと。これでは洗濯物がしけってしまうではないか。昨日回収するの忘れてた。
俺は急いで洗濯物を回収しにバルコニーへ出る。
出てすぐに洗濯物の水色のパンツを触る。そして匂いを嗅いだ。
――いや、これはあれだよ? 洗濯物が乾いたのと、生乾きの匂いがしないかの確認よ?
だが、こんなところを見られればマジもの変態だな。
無意識にアヤノのパンツを手に取ったのは俺の内なる変態性が本性を表した訳か。
「ふっ……。俺も変態という名の神に踊らされた1人というわけ――あ……」
バルコニーからリビングを見ると、ガッツリ、バッチリとスーツ姿のアヤノの父親と目が合う。
いたの? お父さん……。
これは、あれだ……。あれだよ……。うん、何も言い訳出来ない奴だ。うん。詰んだ。
しかしながら何故か逆に冷静であった。
だってこの後の展開が分かるもん。処刑だろ? 分かってるっての。
俺は洗濯物をカゴに詰めてリビングへ戻る。
「おはようございます」
エフェクトにキラキラが付いたかの様なイメージで前髪を掻き分けながら出来るだけ爽やかに言ってのける。
ここまで来たら開き直るしかない。
リビングでモーニングコーヒーを楽しんでいたお父さんがコチラを見て口を開く。
「ふふっ。君は本当に隆次郎にそっくりだな?」
「え?」
ぶん殴られる位の覚悟があったので、こんなに優しく言われてコケそうになった。
「隆次郎も昔、恵くんのパンツの匂いを嗅いでいたよ。ははっ! 懐かしい」
懐かしむ様にコーヒーを飲みながら言う。
聞きたくなかった真実だ。
父さんが母さんのパンツの匂いを嗅いでいた歴史があるなんて、次からどんな顔して父さんと話せば良いのやら。
「その息子がまさか、ウチの娘のパンツの匂いを嗅ぐなんて、血は争えないな」
「いや! ちょっと待って下さい! 今更言い訳ですけど――」
「あっはっは! 分かってるよ! 大丈夫だ。洗濯物を回収してくれたんだろ? ありがとう」
殺されると思ったのに逆にお礼言われちゃったよ。何この人仏様なの?
この仏様は父さんと母さんとどういう関係なの?
「あの……? お父さんは――」
「君にお父さんと呼ばれる筋合いはないが?」
ギロっと睨んで来て、股間が縮み込む。
「ははは! 冗談だよ。1度やってみたかったんだ」
冗談? 今のが? いやいやいや、冗談じゃなくて今マジな顔でしたよ?
「それで? 何か質問かい?」
「あ、はい。父さんと母さんとどう言った関係ですか?」
「あー。そういえばまだ何も言ってなかったか。そうだな……。幼馴染といったところか」
「幼馴染? ですか?」
「ああ。小学生から高校生までずっと一緒だったんだ」
「そうだったんですか」
「隆次郎――君の父とは特に仲が良くてね。色々と世話になったし、世話をしたものだ」
嬉しそうに懐かしみがはコーヒーを口にする。
すると時計を見て「おっと」と声に出して、コーヒーを一気にあおった。
「昔話をしたかったが、行かなくては。涼太郎くんも早速仕事をしに来たのだな。それは関心だか、早く綾乃を起こして学校に行きなさい」
「あ、はい」
「――今から大変だろうが頑張ってくれたまえ」
そう言って親指を突き立てて慌ただしく出て行った。
お父さんの言葉は今日1日学業を頑張って! との労いの言葉だと思ったが、その言葉の真理を理解するのはこの後すぐになる。
時刻は午前7時10分。まだ学校には余裕で間に合う時間だ。
自分の好きな曲が流れているって言うのに、不快な気分になるのは睡眠を邪魔されているからに他ならない。
毎日イヤホンで聴く曲だし、何だったらカラオケでの俺の十八番である。
そんな曲がこの瞬間に限っては本当に鬱陶しい。
寝ぼけた頭と半開きの目で枕元に充電器が刺さってあるスマホを操作し、音楽を止めて時間を確認する。
「――ろ……く……。ろくっ……? 6時? 何でこんな時間に……。昨日の俺は馬鹿か? 後1時間は寝れるぞ……」
スマホを適当に放り投げ、2度寝の快楽へと身を委ねようとした瞬間に昨日の様々な出来事が思い返される。
「――あれだわ……。あの無表情お嬢様を起こす為だわ……」
寝ぼけた声を出し、だるいまだ起きたての身体を無理に起こすのは、まるで鞭を打たれた様な苦しさである。
この眠たいのに起きなければならない瞬間というのはむしろ鞭で身体を打たれた方がマシなのでは? なんて錯覚が起きてしまう。
脳も全然覚醒せず、目も半開き以下の状態、酸素不足で大きな欠伸をしながら自分の部屋を後にする――。
――寝ぼけた頭でリビングに行くと、目が覚める位に綺麗なミディアムヘアの女性がダイニングテーブルで朝ご飯を食べていた。
「兄さん?」
妹の南方 紗雪だ。
妹の事を綺麗だと言うのもシスコンみたいで痛い奴だが、身内贔屓を取り除いても彼女は綺麗な女性と言える。
その証拠に男子から逆にバレンタインチョコレートを貰う程だし、今の時代にラブレターなんて超レアなアイテムも貰う位だ。
中学3年生とは思えない大人びたルックスが為せる技だろう。
だが、どうやら彼氏はいないらしい。
「サユキ……。朝――ふぁ~ぇな……」
「もう兄さん。欠伸しながらだと何言ってるか分からないよ?」
上品かつ可愛らしく微笑むサユキ。
「――うん……。ごみん、ごみん」
こっくり、こっくり頭が船を漕いで寝ぼけた声を出しながらいつもの席に座る。
「どうしたの兄さん? こんなに朝早くに起きて」
「ちょっと……バイト……」
「バイト?」
サユキは首を傾げる。
「バイトってコンビニの? 早朝バイトだと朝学校遅刻しちゃうって前言ってなかった?」
「言ってた……。ウチのコンビニの早朝バイトは6時から9時だから」
俺の言葉にサユキはリビングにある時計を反射的に見る。
「それじゃあ出勤も今の時点でアウトだね。えっと……。そしたら何のバイト?」
そう聞かれて何と答えるのがベストなのか、半分以上眠っている脳ではろくな答えが出なかった。
「――なんというか……。良く言えば執事的な?」
「執事?」
執事なんて現代では非現実なワードにサユキの頭の上には?マークを出す。
「あー……。と……。悪く言えばパシリ的な?」
「パシリ!?」
我が妹は目を丸くして驚いた声を出す。
「そんな……。そんなバイトダメだよ兄さん。パシリなんて……」
「じゃあ執事のバイトという事で……」
「結局どっちなの?」
笑いながらツッコミをいれてくれる。
「今からご主人様を起こしに行かなければならない……」
「そうなんだ。大変だね」
「大変だわ……。でも給料良いから今度サユキに何か買ってやるよ」
「ホント?」
手を叩いて嬉しそうに言ってくる。
「わぁい。何買ってもらおうかな?」
「ふふ……。何でも良いぜ。これから俺は社会人並に金が手に入るからな」
「すごーい。――でも、それって大丈夫? 重労働じゃない?」
「でぇじょぶでぇじょぶ……。多分……」
重労働では……ないよな?
「――俺よりもサユキのがキツくない? いつもこんなに朝早いのか?」
「もうすぐ最後の大会だし、朝練も気合い入れていかないと」
最後の大会とは部活の事だろう。
サユキは中学3年で受験生だが、その前にバスケットに青春を捧げる部活少女でもある。
これまでの3年間に華を添える為に朝も晩も部活動に励んでいるのだろう。
これが彼女が彼氏を作らない理由と言えよう。部活が恋人というわけだ。
「そっか……。もうすぐ夏の大会ね……。それが終われば高校受験か」
「もぅ……。考えたくない事思い出させないでよ」
「ごみんごみん」
「受験勉強分からない所教えてよね」
「約束だからな。俺で力になれれば良いけど」
「兄さん成績良いし教え方上手だから頼りにしてるね。――っと、もう行くね」
「あいあい。いてらー」
サユキは朝食の食器をキッチンのシンクに入れて家を出て行った。
こんな朝早くから女子バスケ部は活動しているのか……。凄いな………。
それにしても、昨日はアヤノとの会話が多かったので、朝のちょっとしたサユキとのやりとりで会話という重要性を再認識する。
やっぱり会話って大事だよな。
そんな事を思いながら母さんがいつも寝ている隣の和室を見てみる。
襖が閉まっているという事はまだ寝ていると言う事だろう。
体調は大丈夫だろうか? 昨日帰って来た時も襖は閉められていたから、まだ回復してないと思われるので少し心配だ。
しかし、無理に起こしてまで体調を聞くのもおかしな話なので、今はそっとしておく事にした。
♦︎
――さて、こんな平日の朝っぱらから相棒のYZF忍250こと【忍たん】に乗るとは思わなかったが、忍たんのおかげで脳が覚醒してくれる。
約8時間振りの病院のバイク置き場。昨日と全く同じ場所が空いていたのでそこに止めた。
てか、これってここから俺も学校へ向かうって事になるんだよな?
家から歩いて20分、自転車で10分で着く学校をわざわざ電車と徒歩で通わなければならないのか……。めっちゃアホみたいな事してるやん。
しかしお金を稼ぐとはしんどい事だ。ここはグッと我慢しよう――。
――すぐに仕事場である高層マンション最上階へ到着する。
朝起こしに来いと言われたが、一体何時に涼太郎アラームを御所望なのか分からなかった。だから起きてすぐに顔を洗い、朝ご飯を食べずに来たのだが――。
――少し早すぎた? まだ午前7時になっていない時間。
いや、この時間に起こして学校に行けば余裕で間に合う時間だ。余裕を持って学校に行くのは大事な事だよな。
俺は昨日同様にカードキーで豪邸の家の玄関を開けた。
「お邪魔ー」
こっそりと言いながら昨日と全く同じ光景の玄関を抜けてリビングへ向かう。
リビングを開けるとそこには誰もいなかった。
お医者様のお父さんはもう出勤したのかな?
医者の仕事は忙しくて朝早いイメージがあるな。
それともトイレなり風呂だろうか? ともかくリビングには誰もおらず、その光景は昨日となんら変わらない風景が広がっている。
そりゃそうだ、昨日出て行ってからそこまで時間が経っている訳じゃないからな。
だからバルコニーを見ても洗濯物は干しっぱなしである。
あー……っと。これでは洗濯物がしけってしまうではないか。昨日回収するの忘れてた。
俺は急いで洗濯物を回収しにバルコニーへ出る。
出てすぐに洗濯物の水色のパンツを触る。そして匂いを嗅いだ。
――いや、これはあれだよ? 洗濯物が乾いたのと、生乾きの匂いがしないかの確認よ?
だが、こんなところを見られればマジもの変態だな。
無意識にアヤノのパンツを手に取ったのは俺の内なる変態性が本性を表した訳か。
「ふっ……。俺も変態という名の神に踊らされた1人というわけ――あ……」
バルコニーからリビングを見ると、ガッツリ、バッチリとスーツ姿のアヤノの父親と目が合う。
いたの? お父さん……。
これは、あれだ……。あれだよ……。うん、何も言い訳出来ない奴だ。うん。詰んだ。
しかしながら何故か逆に冷静であった。
だってこの後の展開が分かるもん。処刑だろ? 分かってるっての。
俺は洗濯物をカゴに詰めてリビングへ戻る。
「おはようございます」
エフェクトにキラキラが付いたかの様なイメージで前髪を掻き分けながら出来るだけ爽やかに言ってのける。
ここまで来たら開き直るしかない。
リビングでモーニングコーヒーを楽しんでいたお父さんがコチラを見て口を開く。
「ふふっ。君は本当に隆次郎にそっくりだな?」
「え?」
ぶん殴られる位の覚悟があったので、こんなに優しく言われてコケそうになった。
「隆次郎も昔、恵くんのパンツの匂いを嗅いでいたよ。ははっ! 懐かしい」
懐かしむ様にコーヒーを飲みながら言う。
聞きたくなかった真実だ。
父さんが母さんのパンツの匂いを嗅いでいた歴史があるなんて、次からどんな顔して父さんと話せば良いのやら。
「その息子がまさか、ウチの娘のパンツの匂いを嗅ぐなんて、血は争えないな」
「いや! ちょっと待って下さい! 今更言い訳ですけど――」
「あっはっは! 分かってるよ! 大丈夫だ。洗濯物を回収してくれたんだろ? ありがとう」
殺されると思ったのに逆にお礼言われちゃったよ。何この人仏様なの?
この仏様は父さんと母さんとどういう関係なの?
「あの……? お父さんは――」
「君にお父さんと呼ばれる筋合いはないが?」
ギロっと睨んで来て、股間が縮み込む。
「ははは! 冗談だよ。1度やってみたかったんだ」
冗談? 今のが? いやいやいや、冗談じゃなくて今マジな顔でしたよ?
「それで? 何か質問かい?」
「あ、はい。父さんと母さんとどう言った関係ですか?」
「あー。そういえばまだ何も言ってなかったか。そうだな……。幼馴染といったところか」
「幼馴染? ですか?」
「ああ。小学生から高校生までずっと一緒だったんだ」
「そうだったんですか」
「隆次郎――君の父とは特に仲が良くてね。色々と世話になったし、世話をしたものだ」
嬉しそうに懐かしみがはコーヒーを口にする。
すると時計を見て「おっと」と声に出して、コーヒーを一気にあおった。
「昔話をしたかったが、行かなくては。涼太郎くんも早速仕事をしに来たのだな。それは関心だか、早く綾乃を起こして学校に行きなさい」
「あ、はい」
「――今から大変だろうが頑張ってくれたまえ」
そう言って親指を突き立てて慌ただしく出て行った。
お父さんの言葉は今日1日学業を頑張って! との労いの言葉だと思ったが、その言葉の真理を理解するのはこの後すぐになる。
時刻は午前7時10分。まだ学校には余裕で間に合う時間だ。
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