終生飼育は原則ですから

被保護編 338年

338年9月2-1

　ともやはさらに忙しくなった。
　軍へ行き商会へ行き、道路工事部へ通い、時間が空けば学校に顔を出す。
　時間を作って研究者に会い、夕食後に帰ってくる事もある。

　彼女の判断で、私も親しくなった方がいい相手の時は誘ってくれるが、ほとんどが男の相手と、いや女でも、楽しそうに話しているのを見ているのが苦しい。
　私とは必要な事以外はしゃべらなくなった。

　元ソサイゾ邸の領から毎日王宮学校へ通う貴族女性が名物になっている。
　普通科と呼ばれることになった学校に不満だった一部の在校生も、庶民に注目を浴びることで機嫌が良くなった。

　ともやは来年度から制服を作る。
　注目を浴びることで服装が華美になっていっている。
「財力がわかるから楽だけどね。その家を調べればいいから。だけど、制服萌えはある」
　萌え。その場にいた全員が不可解な表情になった。そのうち理解するだろう。ともやがやり始めると平民に広がり、共有される。
「制服にあこがれて入りたいと思う人はいるし、制服を低価格で用意すれば、平民も目指しやすくなる」
　人前に出られる服もないからと、勉強や学費以外で諦める層はあるだろう。