終生飼育は原則ですから

被保護編 339年

339年1月5-5

<どうしてこんなことを？　初めてだろう？　汚いとは思わないのか？>
　懐かしい。久しぶりの日本語だ。確かに二人きりだね。
<レイサスもでしょ。レイサスのは汚いとは思わなかった。それよりなんだろう、達成感？　私でもできるんだと。レイサスがかわいいと思ったよ>
　すごい勢いでキスされてまた押し倒された。
　まだしばらくは大丈夫だろうし、今晩はもういいんじゃと思ったけど、レイサスは復活していた。早くない？　これが普通なの？　もう覚悟は決めたほうがいいみたい。
　どうして声が出るのかな。レイサスが上手いせいか？

<ともや、力を抜いて>
　抜けるものなら抜くけど、どうすればいいのか今はわからない。
<じゃあ深呼吸して>
　三回深呼吸をして、息を吐いたときに全部入った。
<痛い？>
　痛くないわけじゃないけど、すごく痛いわけじゃない。違和感？　異物感？　入っているって感じです。
<入れているからね>
　そうですよねー。完全に入ってますもんねー。一つになるってやつですか。
　諦めと言うか、やっちゃったなーと軽く後悔する。王子様を迎えられる女じゃないんで。

　しかし入るもんなんだね。
　ヒトの生殖器は体長に対して巨大らしい。他の霊長類と比較してです。だからセックスはヒトにとってとても重要な行為だったという説がある。

<ふふっ>
<何？>
<日本の神話に「国産み」って話があるの。男神と女神がセックスをして国を産み出す話なんだけど、「我の成り余れるところをもって汝の成り合わぬところを塞がん」ってイザナギが言うんだよね。まさに成り余れるところだなと思って>
<そんな神話があるのか>
<そう。おおらかでしょ。ただ仏教の影響なのか、女神が先にいくと失敗って逸話が入るんだよね>
<それは成功だろう>
<そうなの？>
<女性を、ともやが気持ちよくならないと私もよくない。ただあまり余裕がない。失敗するかもしれない。すまない>
<私はレイサスがいいならいい>
<そんなことを言うな>
　動きながら耳元で<その言葉でいきそうだ>と囁いた。