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被保護編 339年
339年10月11-3
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「・・・ありえない。国の金をこんなくだらないことに遣うおつもりですか?」
そこか。金か。彼女らしい。が、くだらなくはない。
「くだらなくはない。それほどそなたが必要だという事だ。だが私用を責めるなら、私の財産から支給する」
彼女が私を見据える。困惑、怯え、焦り、不安、そういう思いが見える。
私が自分を求めていることを理解できないのか。
ここで抱き締めればわかるだろうか。いや、話がつくまでは立たない事に決めている。
「姫さん、馬鹿なことを考えるな」
護衛が気安い。目障りだ。
「レンツォーリも考えないように。ここには山ほど護衛がいるでしょう。一人で何とかしようとは考えないように」
彼女は周りが見えている。だが私の事は、いや男の事はわからないのか。
「わかりません。なぜこんな待遇で私を迎えようとするのか」
「それを考えていたのか。そなたをソファリスが得ることによる利を?」
「それとわざわざイユリスから奪う利を」
簡単な事だ。それをわかっていない。レイサス王子との婚約が、こんなに遅れたわけがわかった。
単に欲しいだけだ。その為に大事になる。
「そなたを納得させる為に理由を挙げる事は出来ない。本当の理由はまだ言わぬ」
今言っても理解出来まい。
「そなたを奪う事でイユリスに損害を与えたいわけではない。ソファリスにとってもそれほど変化はない。だが、将来の安定の為にはいてもらう必要がある」
イユリスには大きな損害だ。立ち直れない程の。彼女は理解出来ないだろうが。
「一生でなくていい。十年勤めれば私の権限も各所に委譲できるだろう。そうなればそなたも引退できる」
彼女の表情が少し動いた。
執務室のドアがノックされた。
来たか。
彼女の元にペンを持っていかせた。
「時間がない。契約を」
彼女がドアの方を見た。
その表情でわかった。愛しているのだ。気付いていないのか表したくないのかわからないが、彼女はレイサス王子を愛している。
数秒目を瞑り、開いて、契約書に名前を書いた。それはドアが開いて王太子が入ってきた時だった。
間に合った。
そこか。金か。彼女らしい。が、くだらなくはない。
「くだらなくはない。それほどそなたが必要だという事だ。だが私用を責めるなら、私の財産から支給する」
彼女が私を見据える。困惑、怯え、焦り、不安、そういう思いが見える。
私が自分を求めていることを理解できないのか。
ここで抱き締めればわかるだろうか。いや、話がつくまでは立たない事に決めている。
「姫さん、馬鹿なことを考えるな」
護衛が気安い。目障りだ。
「レンツォーリも考えないように。ここには山ほど護衛がいるでしょう。一人で何とかしようとは考えないように」
彼女は周りが見えている。だが私の事は、いや男の事はわからないのか。
「わかりません。なぜこんな待遇で私を迎えようとするのか」
「それを考えていたのか。そなたをソファリスが得ることによる利を?」
「それとわざわざイユリスから奪う利を」
簡単な事だ。それをわかっていない。レイサス王子との婚約が、こんなに遅れたわけがわかった。
単に欲しいだけだ。その為に大事になる。
「そなたを納得させる為に理由を挙げる事は出来ない。本当の理由はまだ言わぬ」
今言っても理解出来まい。
「そなたを奪う事でイユリスに損害を与えたいわけではない。ソファリスにとってもそれほど変化はない。だが、将来の安定の為にはいてもらう必要がある」
イユリスには大きな損害だ。立ち直れない程の。彼女は理解出来ないだろうが。
「一生でなくていい。十年勤めれば私の権限も各所に委譲できるだろう。そうなればそなたも引退できる」
彼女の表情が少し動いた。
執務室のドアがノックされた。
来たか。
彼女の元にペンを持っていかせた。
「時間がない。契約を」
彼女がドアの方を見た。
その表情でわかった。愛しているのだ。気付いていないのか表したくないのかわからないが、彼女はレイサス王子を愛している。
数秒目を瞑り、開いて、契約書に名前を書いた。それはドアが開いて王太子が入ってきた時だった。
間に合った。
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