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LOVE1.TOMORI/奏でてよ、Love song
Song1.)-1
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コンビニで買った大好きなガリガリ君ソーダ味を食べながら夜道を歩くのが私、望月灯璃の1番好きな時間。
「あぁ~、おいしいっ」
でも夜は好きじゃないけど。
何をするにも暗い気持ちになるから。
夜ってだけで。
ただこの熱い夜に抜け出してガリガリ君をおもむろにかじる瞬間がいいんだ。かじった音が映えるんだすごく、気分映えってやつ。
駅前の広場を通らなくちゃいけないのがちょっと萎えるんだけど。
広場って言っても、ただの駅前で特に何があるわけでもなくて。
シンボルである大きな木がどーっんと1本真ん中に立っていてその周りにベンチが置いてある。あとはポストと自販機があるくらい。
田舎の駅前なんてそんなもの。
ここが近道だし、あまりに暗い道はさすがに怖いから妥協してここを通ってる。
街灯があるからってだけで、実際そこまで人が多いわけじゃないんだけどね。
「あ、…今日もやってる」
たまにこの広場で路上ライブをやってる男の子を見かける。たぶん歳は変わらないぐらい。
それがすごく気になる。
つい目で追ってしまって、聞く気もないのに耳をすましてしまう。
だってこんな田舎の駅前の広場でそんなことする人いないし、特に人を集めて聞かせようともしてないから。
ぼぉーっと横目で見ながら彼の前を通り過ぎる…
本当は気になって気になってしょーがないんだけど。
立ち止まって聞きたいんだけど。
なんで歌わないの?って。
アコースティックギターを持ってベンチに座って音を奏でる。
だけど絶対に歌わない。
声は聴かせてくれない。
それが気になってしょーがない。
だってギターから流れるメロディーは私の心をえぐって来るほどいい曲だから。
「…………。」
今日はいつもよりほんの少しだけ涼しかった。
たぶん1℃くらい。
だからちょっとだけ、もう少しだけ聞いてみよっかなってお兄さんの座る隣のベンチに腰かけた。
ガリガリ君食べたら帰ろう。
食べ終わるまでの間、この曲をBGMにしてガリガリ君を楽しもう。
この歌がいいのはもちろんだけど、お兄さんのギターはさらに私の胸をぐりっとえぐって来る。
あんまりギターの上手い下手ってよくわかんないけど、お兄さんはめちゃくちゃ上手いと思う。
だってガンガンと胸に響いてくるから。
すごいな。
私にはこうやって人を引き止める能力なんかないから。
ただの高校生、何も誇れるものなんかない。
サクッと一口かじった。
口の中で溶けるのを待つよとシャリシャリと噛んで食べるタイプの私はガリガリ君を食べるのも早いから、この時間もきっとほんの少し。
にしても…
いい曲だよね、誰の曲なんだろう。
有名な曲じゃないのかな、あんまり音楽には詳しくないから全然ピンと来ないんだよね。
どこか切なくて、でも温かい…
胸の奥をきゅってさせる。
スルスルと耳に入り込んで来るメロディーが心地よくて、自然と微笑みたくなるような優しい曲。
食べ終わってもまだ聞いていたいくらい…
「やば!当たった!!」
最後の一口を食べてふと視線を下ろした時、残された棒に書かれた文字に気が付いた。
え、初めてなんだけど!
夏休み入ってもう30日、1回も当たったことなかったのに!
「やった…っ」
って声を出して気付いた、こっちを見ている視線に。
「……っ」
「…。」
にこっと微笑んだ。
私を見て、ギターを弾くのをやめたお兄さんが。
柔らかく頬を緩めて笑った。
なんて優しい表情で笑う人なんだろう。
奏でていた曲よりもきゅってなった。
心の奥が、鳴ったみたいに。
「中学生が1人じゃ危ないよ」
「な…っ」
にこっと笑って私の目を見て言った。
その言葉に私のスイッチが入る。
「高校生だから!!!」
アタリの書かれたガリガリ君の棒をぎゅっと握ってすぐに立ち上がった。
「帰るっ!!!」
キッとお兄さんを睨むように、ふんっと鼻を鳴らして歩き出した。
スタスタと足早に、イラっとしちゃってどんどんスピードは早くなった。
失礼なっ!!
いくらちょっとちっちゃいからってさ、人よりちょっと小さい154センチだけどさ!そこまでちっちゃくないもん!!
「ひど…っ」
足を止めた信号の前、すでにお店の閉まっているカフェのガラスに光りが反射して私の姿が写っていた。
「…ひどいな、私」
Tシャツに短パン、肩まで伸びた髪の毛を1つに束ねた超ラフな…こんな格好してる私もあれか。しかもキャラクターTシャツって、中学生に思われても仕方ないかも。
「あんな怒らなくてもよかったかも…」
はぁっと息を吐いた。
自分の格好を眺めながら。
「ついでに聞けばよかったなぁ」
“それ誰の曲なの?”って。
知りたかった。
また会えたら、聞いてみよう…かな。
「あぁ~、おいしいっ」
でも夜は好きじゃないけど。
何をするにも暗い気持ちになるから。
夜ってだけで。
ただこの熱い夜に抜け出してガリガリ君をおもむろにかじる瞬間がいいんだ。かじった音が映えるんだすごく、気分映えってやつ。
駅前の広場を通らなくちゃいけないのがちょっと萎えるんだけど。
広場って言っても、ただの駅前で特に何があるわけでもなくて。
シンボルである大きな木がどーっんと1本真ん中に立っていてその周りにベンチが置いてある。あとはポストと自販機があるくらい。
田舎の駅前なんてそんなもの。
ここが近道だし、あまりに暗い道はさすがに怖いから妥協してここを通ってる。
街灯があるからってだけで、実際そこまで人が多いわけじゃないんだけどね。
「あ、…今日もやってる」
たまにこの広場で路上ライブをやってる男の子を見かける。たぶん歳は変わらないぐらい。
それがすごく気になる。
つい目で追ってしまって、聞く気もないのに耳をすましてしまう。
だってこんな田舎の駅前の広場でそんなことする人いないし、特に人を集めて聞かせようともしてないから。
ぼぉーっと横目で見ながら彼の前を通り過ぎる…
本当は気になって気になってしょーがないんだけど。
立ち止まって聞きたいんだけど。
なんで歌わないの?って。
アコースティックギターを持ってベンチに座って音を奏でる。
だけど絶対に歌わない。
声は聴かせてくれない。
それが気になってしょーがない。
だってギターから流れるメロディーは私の心をえぐって来るほどいい曲だから。
「…………。」
今日はいつもよりほんの少しだけ涼しかった。
たぶん1℃くらい。
だからちょっとだけ、もう少しだけ聞いてみよっかなってお兄さんの座る隣のベンチに腰かけた。
ガリガリ君食べたら帰ろう。
食べ終わるまでの間、この曲をBGMにしてガリガリ君を楽しもう。
この歌がいいのはもちろんだけど、お兄さんのギターはさらに私の胸をぐりっとえぐって来る。
あんまりギターの上手い下手ってよくわかんないけど、お兄さんはめちゃくちゃ上手いと思う。
だってガンガンと胸に響いてくるから。
すごいな。
私にはこうやって人を引き止める能力なんかないから。
ただの高校生、何も誇れるものなんかない。
サクッと一口かじった。
口の中で溶けるのを待つよとシャリシャリと噛んで食べるタイプの私はガリガリ君を食べるのも早いから、この時間もきっとほんの少し。
にしても…
いい曲だよね、誰の曲なんだろう。
有名な曲じゃないのかな、あんまり音楽には詳しくないから全然ピンと来ないんだよね。
どこか切なくて、でも温かい…
胸の奥をきゅってさせる。
スルスルと耳に入り込んで来るメロディーが心地よくて、自然と微笑みたくなるような優しい曲。
食べ終わってもまだ聞いていたいくらい…
「やば!当たった!!」
最後の一口を食べてふと視線を下ろした時、残された棒に書かれた文字に気が付いた。
え、初めてなんだけど!
夏休み入ってもう30日、1回も当たったことなかったのに!
「やった…っ」
って声を出して気付いた、こっちを見ている視線に。
「……っ」
「…。」
にこっと微笑んだ。
私を見て、ギターを弾くのをやめたお兄さんが。
柔らかく頬を緩めて笑った。
なんて優しい表情で笑う人なんだろう。
奏でていた曲よりもきゅってなった。
心の奥が、鳴ったみたいに。
「中学生が1人じゃ危ないよ」
「な…っ」
にこっと笑って私の目を見て言った。
その言葉に私のスイッチが入る。
「高校生だから!!!」
アタリの書かれたガリガリ君の棒をぎゅっと握ってすぐに立ち上がった。
「帰るっ!!!」
キッとお兄さんを睨むように、ふんっと鼻を鳴らして歩き出した。
スタスタと足早に、イラっとしちゃってどんどんスピードは早くなった。
失礼なっ!!
いくらちょっとちっちゃいからってさ、人よりちょっと小さい154センチだけどさ!そこまでちっちゃくないもん!!
「ひど…っ」
足を止めた信号の前、すでにお店の閉まっているカフェのガラスに光りが反射して私の姿が写っていた。
「…ひどいな、私」
Tシャツに短パン、肩まで伸びた髪の毛を1つに束ねた超ラフな…こんな格好してる私もあれか。しかもキャラクターTシャツって、中学生に思われても仕方ないかも。
「あんな怒らなくてもよかったかも…」
はぁっと息を吐いた。
自分の格好を眺めながら。
「ついでに聞けばよかったなぁ」
“それ誰の曲なの?”って。
知りたかった。
また会えたら、聞いてみよう…かな。
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