聴かせてよ、ラブソング。

めぇ

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LOVE5.TOMORI/忘れないでよ、Love Song

Song1.)

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文化祭が終わって期末テストが終わったら本格的な寒さがやって来た12月。 

息を吐けば白く曇って手袋をしていても指先が冷える、そんな季節になった。

「うあっべ、すっげー寒くない!?」

「駿二先輩舌回ってないです」

軽音部の部室は夏は超暑いし冬は超寒い。廊下に至っては人通りが少ないこともあって、空気も澄み切っている感じがしてより寒いような気がする。

「奏って今日も来ないの?」

「今日もバイトみたいですよ、ほとんど毎日ですね」

パイプ椅子にちょこんと膝を立てて座り、出来る限り丸くなった駿ちゃん先輩がホワイトボードを磨く折原さんに問いかける。

文化祭が終わってからめっきり部活の頻度が少なくなった。

元々週2回って聞いてたけど、最近は2回もなければ1回あればいい方でそんな貴重な1回でも奏くんは来ていなかった。

いや、実際には来てたんだけど。

ちょっと顔出して、特に何もすることないよねって帰って行った。部室の鍵は駿ちゃん先輩に預けて、バイトの日は鍵当番よろしくって伝えて。

文化祭前は結構部活来てたもんなぁ、バイトできなかったから今その分取り返してるのかも。

「どうする3人でトランプでもする?」

「しませんよ、することないなら帰りますけど」

「藍ちゃん、大富豪出来る?それともポーカー?3人でババ抜きしてもねぇ」

「しないって言ってるじゃないですか」

「あ、灯璃ちゃんは大富豪出来る?」

折原さんの眉がキリッと吊り上がってるのもお構いなしに駿ちゃん先輩は話続けていた。その流れで私に話しかけられるのは若干気まずいのだけど。

あと大富豪もポーカーもできません…。

「あ、あのっ次のイベントはないんですか!?」

駿ちゃん先輩と目が合ったから、とりあえずトランプの話ではなく部活動の話をしてみた。

パイプ椅子も2つしかないし、バンドの練習がないとどこにいたらいいのかイマイチわからなくてただそこに突っ立ってるみたいな状態になっちゃうのがより気まずさを増す。

何かすること見付けて動いてる折原さんさすがだなぁ。

「ん~、しばらくないね」

「ないんですか?あの~…クリスマスとか!」

「学校の行事にクリスマスないし」

それは確かに。ないよねクリスマスなんて、あるのは保育園までかな。

「文化祭が1番のメインだからねうちの!次あるのは…来年の1年生歓迎会?じゃない?」

駿ちゃん先輩もちゃんと軽音部のスケジュール把握してないのかクエスチョンマークが多かった。でもそれくらい活動がないのかな、運動部みたいにわかりやすく大会があるわけでもないし。

「結構空きますね…」

「基本それくらいの部活だからさ。でも奏はそれぐらいのがいいって」

「やっぱ…バイトしたいからですかね?」

「まぁ、たぶんね!」

そーいえば、駄菓子が好きでいっぱい買いたいから~的なこと言ってたよね。

いやだとしてもそんなするかな!?駄菓子だよ!?
そこまで必死にしなくても駄菓子くらい買えるんじゃないかなって思うけど…

「つーかもうすぐクリスマスか~!灯璃ちゃんクリスマス予定あるの?」

「いえ、特には」

「藍ちゃんは今年も家族でクリスマスパーティー?」

「そうですね」

今年のクリスマスが日曜日、学校さえない。

文化祭みたいな行事もないから部活だってないんだ。

ということは、私が奏くんと会えるクリスマスにはならないってことね。

「望月さんは奏に好きって言わないの?」

突然の折原さんの言葉にわっかりやすくフリーズしちゃった。

「………。」

え、聞く?今のこタイミングで聞く??

結局早めに切り上げることになった部活、一緒に下駄箱までやって来た。

履き替えるスニーカーに手を置いたところでもれなくハッキリと聞かれたから。

「好きなんでしょ、奏のこと」

「えっ!?あ…っ、えっと………わかりましたか?」

「なんで急に敬語なの?」

そんなストレートに問われるとは思ってなくて…委縮しちゃった。

しかも折原さんに聞かれるとは。

てかバレてたんだ…!恥ずかしい…っ!!

「そんな顔しないでよ、別に責めてるわけじゃないんだから」

「あ、そんな風には!思ってないから…というか、私なんかが告白しても」

スニーカーを掴もうとした手はスニーカーを掴むことなく戻した。


正直、告白なんて考えたことなかったから。


そんな勇気あるわけないし、私が好き…って言っていいのかもどうなんだろうって感じで。

「ふーん…じゃあ私まだ諦めなくていいのかな」

「えッ!?」

「嘘よ」

文化祭が終わって少し経った頃、折原さんが教えてくれた。



奏くんとのこと。



なんて声をかけたらいいのかわからなくて、そうなんだ…としか言えなかった。

「折原さんは…もう大丈夫?」

すでにローファーに履き替えた折原さんが振り返った。

「もう平気よ」

ぐるっと巻いたマフラーから少し見える口角の上がった口元に笑っていることがわかった。

「それに、私には他にあるから…大切なもの」

「他に…?」

何があるんだろう…
大切なものって、折原さんにとって大切なもの…?

「じゃあ望月さんがんばって、モタモタしてたら誰かに取られちゃうかもよ」

右手をひらっとさせ手を振る。
そのまま歩き出そうとする折原さんをどうしてか引き止めたくなった。

「折原さん!あのっ、私…折原さんのこと好きです!」

…やば、もっと言い方あったんじゃないのコレ。

だって折原さんも眉間にしわ寄せてなんだコイツって顔してる。

違うの、そーゆうんじゃないの。

私が伝えたかったことってそうじゃなくて…

「望月さんに言われてもね」

「で、ですよねっ」

自分のコミュニケーション能力の低さに頭抱える。もっと上手いこと言えないのかな自分、勢いだけで喋り出すもんじゃない。

「でも…ありがと、誰かに好きって言ってもらうのって嬉しいのね」

一瞬、心の中でキュンって音がしたんじゃないかって思った。

私にも笑ってくれるんだ、そんな顔で。

それは私も…嬉しい。

「また明日ね、望月さん」

「うん、明日ね!」
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