隣の男の子たちは私を困らせる。

めぇ

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NEXT4.臨時寮は私を困らせる)

trouble4.)

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キーンコーンカーンコーン…
チャイムが鳴る、1時間目の授業が終わった。

あとどれぐらいで夏休みに入るんだっけ?
1週間、もないか。

今週末から始まるから、あと少しかぁ… 


もうどれくらいかな、斗空と話してないのは。


今も右隣に座ってはいるんだろうけど、顔を向けることができなくてただ窓の外を見るフリをしてる。
こうして時間が過ぎることを待ってるみたいに。

前の席の鞠乃ちゃんも振り返ることがないし、喋ってはくれなくて…


いよいよ本当に1人になっちゃった。


「歩夢ちゃん次移動教室やで」

「え、嘘!?」

アンニュイな気分にひたってる場合じゃなかった、どーりで教室静かだなぁって思ってた!

「どこ!?」

「音楽室、一緒に行こか!」

危ない、智成くんが教えてくれなかったらこのままぼぉーっとしたまま音楽の授業終えるとこだった。

すぐに机の中から教科書を取り出して立ち上がった。
黒板の上にかけてある時計を見れば放課が終わるまであと5分、早歩きで間に合うくらいかな。

いつもより少しだけ早いスピードで廊下を歩く、考え事ばっかしてると他のことに気が回らなくなっちゃうのよくないなぁ…


でも、少しでも目を閉じたら浮かんで来てしまうから。


「なぁ歩夢ちゃん、斗空とケンカしたん?」

「え!?」

「そんな驚かんでも、バレバレやで」

「……そーだよね~」

はぁってまた大きなため息出ちゃった。

考えたくないのに考えちゃう、私と斗空の間にできた溝はたぶん智成くんにはしっかり見えてるんだろうなぁ。明らかに不自然だもんね、うん。

…やばい、またナチュラルにため息吐いちゃった。

「歩夢ちゃんの気持ちもわかるで」

「え?」

そこらじゅうの窓が開いた廊下はどこからも風が入る、夏の風だからそんなに気持ちよくはないけど。

「オレも同じクラスやからなぁ、歩夢ちゃんがどこに立たされてるかよぉわかってるつもりやで」

「……。」

どこに、とはたぶん教室内での私のポジション。
例えばピラミッドみたいな三角形があったらあの私は1番下ね。

「ごめんな、オレ話しかけるぐらいしかできへんくて。女の子たちの縄張りは難しいねんなぁ」

「縄張りって…」

「あれ、ちゃうっけ?」

「ううん、こうして普通に話してくれるだけで嬉しいよ」

学校でも変わりなく話しかけてくれる、それだけで十分救われる。

そうだ、まだ1人じゃなかったね。

「オレが女の子やったらよかったな~」

女の子の世界はちょっと難しいけど。

「明日から女装しよか?あ、でも壮太郎とキャラかぶるな」

「キャラはかぶらないよ」

「かぶるやろ、美少女枠!」

こうして励まそうとして笑わせてくれる、その気持ちは嬉しくて。

「智成くんって本当に誰にでも優しいよね」

それは智成くんのいいところ。

「好きな子にはもっと優しいで?」

グイっと近付いて私の肩の上に腕を乗せる、顔を傾け視線を合わせるようにして。

「優しくするで、いつでも」

キザっぽく声をワントーン下げて、これはこれで智成くんって感じする。そんでもってこの扱いにも慣れちゃったかも。

「ありがとう、じゃあその時が来たらね!」

スッと手を下ろすように促して、微笑み返した。

智成くんも笑ってた。

「でもな、オレだって本音を言えば出て行ってほしくないで?」

「え…」

「壮太郎も泣くほど嫌がってたからな」

あとは階段を上れば音楽室に着く、先に階段を上り終えたところで後ろにいた私の方に振り返った。

「みんな歩夢ちゃんのこと思ってるんよ」

目を細めて微笑んで、そのあとくしゃっと笑った。
その顔には少しだけ照れちゃった。

今日の音楽の授業は夏休み後の合唱コンクールに向けての男女分かれてのパート分け練習だった。

合唱という男女の特性を生かした声楽はいかにパートごと歌えるかにかかっていて、練習も個別でする必要がある。だから男女を分けるため2つの部屋を使って、さらに気まずさ増した女子だけの教室ができあがるわけで… 

みんなに臨時寮に住んでるのバレちゃってるし、誰が住んでるかもバレちゃってるし、たまにこそこそ噂されるのがつらい!

別に一緒の部屋じゃないからね!?
部屋はみんなバラバラなんだよ!?
やらしいって言ったの誰!?

うわぁぁぁ~~~
さっきまで智成くんがいてくれたの本当に助かった~~~!

早く授業終わらないかな、基本はそれぞれ個人で歌の練習だけど先生は1人しかいないんだ男子の方に行ってる時はこっちは無法地帯!

歌に集中しよ、めっちゃ一生懸命歌ってますって…!

「三森さん!」


………え?

今、呼ばれた…


常に繰り返し合唱曲がオーディオスピーカーから流れてる、だから少し聞き取りずらくて聞き間違いかと思った。

「…鞠乃ちゃん?」

呼んだよね?今、私のこと。

「さっきね、隣の隣のクラスで聞いて来たの!」

手を合わせて口角を上げる、曲が流れてるからいつもより大きい声だった。

「転校早まったらしいよ!」

転校…?
あぁ、1学期に転校していくって言ってた子?早まったって…

「夏休み前にはいなくなっちゃうみたいなの」

鞠乃ちゃんとその子はたぶん友達じゃないね、嬉しそうに教えてくれたから。

あ、違うかこれは…


「三森さんはいつ転寮するの?」


私が臨時寮から出て行くのが嬉しいんだ。私に出て行ってほしいんだ。

「早い方がいいよね、こーゆうのは!」

久しぶりに話しかけてくれた、まだ三森さんだったけど。


もし…

もし私が女子寮に入寮したらまた話しかけてくれるのかな?

また歩夢ちゃんって呼んでくれるの?


最初の頃みたいに、また遊びにも誘ってくれる…?

結局、可愛いって言ってたクレープはまだ食べれないまま。


「うん、すぐにでも…」

顔は上げられなかった、きっと笑えないと思ったからただ気持ちを殺して答えることしか。

「行くよ」

できなかったの。
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