君が僕を呼んだから

2章 修行【魔界】

２１話

俺の質問にコカビエルは一旦動きが止まったと思ったら笑いだした。

「あはははっ。予想外だったわ。ラディちゃん、最初に聞く質問がそれなのね？ ふふ、他にも気になることがあるだろうに……まあいいわ。その問いの答えは呼びやすいからよ」

返ってきた返答はシンプルなものだった。

「………呼び捨てでも」
「私はこう呼びたいの」

俺がコカビエルを呼び捨てなのに、ちゃん付けは変だと思ったから呼び捨てでお願いしたかったが、それは却下された。キレイな笑顔で…

「わかりました」

「敬語じゃなくてもいいわよ。というか、敬語は止してね？」

この人、いや悪魔は何かとこだわりがあるらしい。話し方もお願いというような言い方ではなくほぼ命令だ。

「はあ……」
「そこは「ああ」とか「おう」でしょ？」

煮え切らない返事にコカビエルが返事を促してくる。これは、答えなければならないのか……はぁ、もう諦めよう

「ああ、わかった。呼び方の件は了解した。俺ももうそれでいい」

「はーい、言質取ったわよ！ その言葉違えないようにしなさいよ」

「ああ」

「ラディ様、お疲れですか？」
ソフィアが俺を心配そうに聞いてきた。
そんな俺たちをみたコカビエルはソフィアに

「ソフィアちゃん、あなたも」
「私は敬語が通常ですので、コカビエル様と呼ばせていただきますね」

ソフィアは自分も俺と同じことを求められることを予測し、先手を打った。
(悪魔に向かって笑顔だけで黙らせられるのはソフィアしかいないだろうな………)
そんなソフィアにコカビエルは驚きながらも「あー、これならメフィストと相性が………」と呟いていた。

「メフィストがどうした？」
「いや、何でもないわ。そう……じゃあソフィアちゃんはそのままの話し方でいいわ」
「は？ じゃあ俺も「ラディちゃんはダメ」……はい。」

(解せん)