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第2章 【逃走】
暗躍(ストーカー) 1
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時は少し遡り、ゼフィスとユートが初顔合わせをしている頃ジャックはというと……
ある者を召還していた
「おおおおぉぉぉぉ、ご無沙汰しておりますぅぅぅぅ、うう」
「おい、泣くな。うっとおしい。私がここにいることは義弟に言ってあったはずだが」
「えぇ、しかしあの方は貴方様の居所については教えてはくれず、生きているとだけ言うものですから、実は貴方様はもう死んでいるのではなんて噂も出てくる始末でして……うう」
「はぁ~、そういえばあいつそういう奴だったな……生きてるとわかったのだからもう泣くな、ライアン」
「はい! やっと、やっと……あの仕事の山から解放される!」
「お前が喜んでいる理由はそれか!」
「い、いえ。ゴホン では、魔王様、私を呼んだということは隠居はもうやめて国に帰っていただけるということですよね」
「まあな」
「この時を私はお待ちしておりました! 魔王様のことを貶めようとした者共はすでに一掃しております。一応処刑はまだ行わずに、死ねないギリギリのラインで飼い殺しにしていますので遊ぶのでしたらあれらをお使いください」
「貶めようとしてたのは別に煩わしいと思っただけだからどうでもいいが……ライアン、お前私のことを何だと思っているんだ……」
「えっ、殺人衝動が抑えられないイカレた王だと思ってますよ」
「正直に言い過ぎだ!」
ボコッ
「いてぇ! 魔王様、ご自身の力がどれほど強いのかお忘れですか? ほら、殴られたところ抉れちゃってるじゃないですか!」
「魔王である正体を知っててなお、そんな態度を私にとれるのはお前だけだよ」
「そうでしょうとも。自分でもこんなイカレた人に仕えられるのは私だけだと自負しておりますとも」
「自負するなよ……あと、帰ると言ったが条件がある」
そう言った瞬間、ライアンは警戒し始めた
「条件ですか……」
「お前、そんな嫌そうな顔するなよ」
「そりゃあ嫌な顔もしますよ! 魔王様の言う条件なんて、いつもやばいじゃないですか! 私は忘れもしませんよ、あれは休暇が欲しいと言った時の事。休暇をやる代わりにと私に出した条件は、メリューク皇国の宰相様に勝負を挑めって……殺す気ですか! あの方、嬉々として私をバラバラにしようとしてくるし、あの皇帝もそれを笑ってるだけで止めてくれないし……うう、思い出したら吐き気が……」
「何年前のことを言ってるんだ」
「そんな呆れた顔で見ないでくださいよ! はぁ~それで? 今回の無理難題はいったい何ですか?」
「なんだ、やる気じゃないか」
「ええ、魔王様が帰ってきていただけるなら何でもしますよ」
「そうか、そうか。それは良かった。今回の条件は別に死にはしない」
「おお、それは良かったです!」
「まあ、失敗したら私がお前を殺すがな」
「それじゃ意味ないじゃないですか! はあ、で、何をすればいいですか」
「私の天使を手に入れるために暗躍しろ」
「天使? 天使なんて天族の崇拝対象じゃないですか! ま、まさか……天族とも事を構えるおつもりですか。さすがにそれをすると世界が終わると思うんですが……」
「違う。あいつらの天使じゃなくて私の天使だ!」
「さらに意味がわかりません!」
そこから、私の天使であるユートについて説明する。まあ、異世界転移?というのはユートと私だけが知っていればいいから言わなかったが……
「ふむふむ。えー、話しを要約すると、魔王様が殺人したと思われるモノを見てしまい逃げてしまったその少年に魔王様は惚れた。そして、逃げてしまったその少年を何とか自分のモノにしたいということでいいですか?」
「ああ。私が惚れたのはユートが初めてなんだ。何としても、私の妻に迎えたい」
「はいはい。魔王様が恋なんて不思議な感じですね。国にいたときも弄んだら捨てるを繰り返してきた貴方様がね。まあ、面倒だと言って行方をくらませた貴方様が国に帰ってもいいなんて言うということはそれだけ本気なんでしょうね」
「ああ。ユートが妻になってくれるならば私は魔王でも何でもしてやる」
「それは素晴らしい! では、ユート様をお迎えに行きましょう! 今すぐに!」
「おおライアン、お前いい考えがあるのか!」
「ええ、勿論です! 私の種族魔法にかかれば一発で魔王様に惚れさせられますよ!」
ボコッ
「いてぇ!! だからいきなり殴らないでくださいよ!」
「いや、殴るだろ。お前の魔法で私に惚れさせると、それは違うだろ」
「ええ! なぜです?」
そういえば、このライアンという男も惚れられることはあっても惚れたことはないんだった。
「どうやら私は人選を間違えたらしい」
「ええ! どうしてですか! 惚れられたいんでしょう?」
「だから、そうだがそれは違うと言っているだろう。はあ~、術で心を変えるんじゃなく、そうなるように誘導するんだ」
「はぁ、わかりました。それが魔王様のこだわりでしたらそういたしましょう」
どうやらあまり納得はしていないようだが、ユートを手に入れるための計画を二人で立て始めたのだった。
ある者を召還していた
「おおおおぉぉぉぉ、ご無沙汰しておりますぅぅぅぅ、うう」
「おい、泣くな。うっとおしい。私がここにいることは義弟に言ってあったはずだが」
「えぇ、しかしあの方は貴方様の居所については教えてはくれず、生きているとだけ言うものですから、実は貴方様はもう死んでいるのではなんて噂も出てくる始末でして……うう」
「はぁ~、そういえばあいつそういう奴だったな……生きてるとわかったのだからもう泣くな、ライアン」
「はい! やっと、やっと……あの仕事の山から解放される!」
「お前が喜んでいる理由はそれか!」
「い、いえ。ゴホン では、魔王様、私を呼んだということは隠居はもうやめて国に帰っていただけるということですよね」
「まあな」
「この時を私はお待ちしておりました! 魔王様のことを貶めようとした者共はすでに一掃しております。一応処刑はまだ行わずに、死ねないギリギリのラインで飼い殺しにしていますので遊ぶのでしたらあれらをお使いください」
「貶めようとしてたのは別に煩わしいと思っただけだからどうでもいいが……ライアン、お前私のことを何だと思っているんだ……」
「えっ、殺人衝動が抑えられないイカレた王だと思ってますよ」
「正直に言い過ぎだ!」
ボコッ
「いてぇ! 魔王様、ご自身の力がどれほど強いのかお忘れですか? ほら、殴られたところ抉れちゃってるじゃないですか!」
「魔王である正体を知っててなお、そんな態度を私にとれるのはお前だけだよ」
「そうでしょうとも。自分でもこんなイカレた人に仕えられるのは私だけだと自負しておりますとも」
「自負するなよ……あと、帰ると言ったが条件がある」
そう言った瞬間、ライアンは警戒し始めた
「条件ですか……」
「お前、そんな嫌そうな顔するなよ」
「そりゃあ嫌な顔もしますよ! 魔王様の言う条件なんて、いつもやばいじゃないですか! 私は忘れもしませんよ、あれは休暇が欲しいと言った時の事。休暇をやる代わりにと私に出した条件は、メリューク皇国の宰相様に勝負を挑めって……殺す気ですか! あの方、嬉々として私をバラバラにしようとしてくるし、あの皇帝もそれを笑ってるだけで止めてくれないし……うう、思い出したら吐き気が……」
「何年前のことを言ってるんだ」
「そんな呆れた顔で見ないでくださいよ! はぁ~それで? 今回の無理難題はいったい何ですか?」
「なんだ、やる気じゃないか」
「ええ、魔王様が帰ってきていただけるなら何でもしますよ」
「そうか、そうか。それは良かった。今回の条件は別に死にはしない」
「おお、それは良かったです!」
「まあ、失敗したら私がお前を殺すがな」
「それじゃ意味ないじゃないですか! はあ、で、何をすればいいですか」
「私の天使を手に入れるために暗躍しろ」
「天使? 天使なんて天族の崇拝対象じゃないですか! ま、まさか……天族とも事を構えるおつもりですか。さすがにそれをすると世界が終わると思うんですが……」
「違う。あいつらの天使じゃなくて私の天使だ!」
「さらに意味がわかりません!」
そこから、私の天使であるユートについて説明する。まあ、異世界転移?というのはユートと私だけが知っていればいいから言わなかったが……
「ふむふむ。えー、話しを要約すると、魔王様が殺人したと思われるモノを見てしまい逃げてしまったその少年に魔王様は惚れた。そして、逃げてしまったその少年を何とか自分のモノにしたいということでいいですか?」
「ああ。私が惚れたのはユートが初めてなんだ。何としても、私の妻に迎えたい」
「はいはい。魔王様が恋なんて不思議な感じですね。国にいたときも弄んだら捨てるを繰り返してきた貴方様がね。まあ、面倒だと言って行方をくらませた貴方様が国に帰ってもいいなんて言うということはそれだけ本気なんでしょうね」
「ああ。ユートが妻になってくれるならば私は魔王でも何でもしてやる」
「それは素晴らしい! では、ユート様をお迎えに行きましょう! 今すぐに!」
「おおライアン、お前いい考えがあるのか!」
「ええ、勿論です! 私の種族魔法にかかれば一発で魔王様に惚れさせられますよ!」
ボコッ
「いてぇ!! だからいきなり殴らないでくださいよ!」
「いや、殴るだろ。お前の魔法で私に惚れさせると、それは違うだろ」
「ええ! なぜです?」
そういえば、このライアンという男も惚れられることはあっても惚れたことはないんだった。
「どうやら私は人選を間違えたらしい」
「ええ! どうしてですか! 惚れられたいんでしょう?」
「だから、そうだがそれは違うと言っているだろう。はあ~、術で心を変えるんじゃなく、そうなるように誘導するんだ」
「はぁ、わかりました。それが魔王様のこだわりでしたらそういたしましょう」
どうやらあまり納得はしていないようだが、ユートを手に入れるための計画を二人で立て始めたのだった。
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