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第26話 離れていても
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入学式の翌朝。
王立魔法学院の寮は、まだ少しだけ落ち着かない空気に包まれていた。
「……朝から騒がしいな」
ユリウスは制服の襟を整えながら、廊下の様子を窺う。
扉の向こうでは、新入生たちの足音と声が行き交っていた。
「みんな緊張してるんだよ」
そう言いながら、レオンハルトは窓際で外を眺めている。
「初日から授業だし、寮生活も始まるし」
「お前は余裕そうだな」
「ううん。全然」
レオンハルトは小さく笑った。
「ルクシアが王都にいるって思うと、ちょっと落ち着かない」
その言葉に、ユリウスは一瞬だけ視線を伏せる。
「……同感だ」
そこへ、扉がノックされた。
「ユリウス、レオンハルト、行こうぜ」
エリオスの声だ。
「初授業、遅れたら即目立つぞ」
「もう十分目立ってる気もするけど」
セレスの軽口に、場の空気が少し和らぐ。
――初日の授業は、基礎魔力理論。
魔力の流れ、制御、身体への負荷。
思っていた以上に、実践的な内容だった。
「……なるほど」
ユリウスは真剣な表情で講義を聞きながら、ある一文に強く反応する。
『成長期以前に過剰な魔力を持つ者は、制御を誤ると身体に大きな負担をかける』
(……ルクシア)
思わず、拳を握りしめる。
離れているからこそ、
知識を得る意味がある。
守るために、強くなる。
――――――――――
同じ頃。
王都、ノクティス公爵邸。
私は訓練用の部屋で、静かに呼吸を整えていた。
「……ゆっくり」
光が、淡く指先に灯る。
闇は、その奥で静かに揺れている。
以前のような暴走はない。
でも、油断はできない。
「いいですね、その調子です」
そばで見守っているのは、専属の魔術師。
「今日は“出す”のではなく、“留める”練習をしましょう」
「……はい」
(学院、どうしてるかな)
授業。
寮。
新しい環境。
私がまだ知らない世界。
胸の奥が、少しだけきゅっとする。
練習を終えた後、母が部屋に入ってきた。
「無理してない?」
「してないよ」
そう答えると、母は安心したように微笑んだ。
「学院に行ったみんなから、もう手紙が届いているわ」
「……え?」
一気に顔を上げる。
「今朝届いたの。後で一緒に読みましょう」
(はやっ)
思わず心の中で突っ込む。
部屋へ戻り、机に並べられた手紙を見る。
ユリウスの、少し堅い文字。
レオンハルトの、丸くて読みやすい文字。
エリオスたちの、にぎやかな連名。
胸の奥が、じんわり温かくなる。
――――――――――
学院の中庭。
授業の合間、ベンチに腰掛けながらレオンハルトが言った。
「ルクシア、ちゃんと休んでるかな」
「過保護ルールあるし、大丈夫だろ」
「でも心配だよ」
カイが苦笑する。
「俺たちが心配しても、今はできること少ないしな」
ユリウスは、静かに空を見上げた。
「だからこそ、ここで学ぶ」
全員が、無言で頷く。
――――――――――
王都。
夕暮れの部屋で、私は手紙を読み終えた。
「……みんな、元気そう」
安心と、少しの寂しさ。
でも、それ以上に――
(私も、ちゃんと頑張らなきゃ)
学院に行くその日まで。
追いつくために。
並ぶために。
離れていても、
それぞれの場所で積み重ねる時間がある。
その想いは、きっと交差する。
未来の、その日のために。
王立魔法学院の寮は、まだ少しだけ落ち着かない空気に包まれていた。
「……朝から騒がしいな」
ユリウスは制服の襟を整えながら、廊下の様子を窺う。
扉の向こうでは、新入生たちの足音と声が行き交っていた。
「みんな緊張してるんだよ」
そう言いながら、レオンハルトは窓際で外を眺めている。
「初日から授業だし、寮生活も始まるし」
「お前は余裕そうだな」
「ううん。全然」
レオンハルトは小さく笑った。
「ルクシアが王都にいるって思うと、ちょっと落ち着かない」
その言葉に、ユリウスは一瞬だけ視線を伏せる。
「……同感だ」
そこへ、扉がノックされた。
「ユリウス、レオンハルト、行こうぜ」
エリオスの声だ。
「初授業、遅れたら即目立つぞ」
「もう十分目立ってる気もするけど」
セレスの軽口に、場の空気が少し和らぐ。
――初日の授業は、基礎魔力理論。
魔力の流れ、制御、身体への負荷。
思っていた以上に、実践的な内容だった。
「……なるほど」
ユリウスは真剣な表情で講義を聞きながら、ある一文に強く反応する。
『成長期以前に過剰な魔力を持つ者は、制御を誤ると身体に大きな負担をかける』
(……ルクシア)
思わず、拳を握りしめる。
離れているからこそ、
知識を得る意味がある。
守るために、強くなる。
――――――――――
同じ頃。
王都、ノクティス公爵邸。
私は訓練用の部屋で、静かに呼吸を整えていた。
「……ゆっくり」
光が、淡く指先に灯る。
闇は、その奥で静かに揺れている。
以前のような暴走はない。
でも、油断はできない。
「いいですね、その調子です」
そばで見守っているのは、専属の魔術師。
「今日は“出す”のではなく、“留める”練習をしましょう」
「……はい」
(学院、どうしてるかな)
授業。
寮。
新しい環境。
私がまだ知らない世界。
胸の奥が、少しだけきゅっとする。
練習を終えた後、母が部屋に入ってきた。
「無理してない?」
「してないよ」
そう答えると、母は安心したように微笑んだ。
「学院に行ったみんなから、もう手紙が届いているわ」
「……え?」
一気に顔を上げる。
「今朝届いたの。後で一緒に読みましょう」
(はやっ)
思わず心の中で突っ込む。
部屋へ戻り、机に並べられた手紙を見る。
ユリウスの、少し堅い文字。
レオンハルトの、丸くて読みやすい文字。
エリオスたちの、にぎやかな連名。
胸の奥が、じんわり温かくなる。
――――――――――
学院の中庭。
授業の合間、ベンチに腰掛けながらレオンハルトが言った。
「ルクシア、ちゃんと休んでるかな」
「過保護ルールあるし、大丈夫だろ」
「でも心配だよ」
カイが苦笑する。
「俺たちが心配しても、今はできること少ないしな」
ユリウスは、静かに空を見上げた。
「だからこそ、ここで学ぶ」
全員が、無言で頷く。
――――――――――
王都。
夕暮れの部屋で、私は手紙を読み終えた。
「……みんな、元気そう」
安心と、少しの寂しさ。
でも、それ以上に――
(私も、ちゃんと頑張らなきゃ)
学院に行くその日まで。
追いつくために。
並ぶために。
離れていても、
それぞれの場所で積み重ねる時間がある。
その想いは、きっと交差する。
未来の、その日のために。
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