炎と消える_僕を消したアイツ 戻レナイ

石川 直生

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現実2 小学6年生

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4月から 新小学6年生になる。春先のまだ寒い3学期の終業式の後の帰り道。カッチンが、井槻 まりもの通知表をヒョイと取り上げて橋の上から、川に投げ落とす。ヒラヒラと通知表が、水面に落ち流されていく。橋の上には、樹と男子が2、3人いる。
樹「あ~あ。何やってんだよー」
カッチン「どうせ、もう3学期終わったし、いらねーじゃん。わざとじゃねーよ。見せてくんないから」
 まりもは、怒りで震える。どうしよう。お父さんに見せないと、打たれるかもしれない。怒鳴られるかもしれない。まりもは、ランドセルを置いて、急いで橋の下の草むらを下りていく。見ていた男子が囃し立てる。
「泳げ!泳げ!」
「服脱げよーー!」男子も、ランドセルを置いてまりもを、流される通知表を土手に沿って追いかける。

 春休みが終わり、新学期が始まる。瞬と樹、カッチン、そしてまりもは同じクラスになる。伊月 功星は、隣りのクラスになる。瞬は、ガッカリする。まりもが、クラスにくることはなく、先生が体調不良でお休みですと言っていた。瞬は、5年生の夏の放課後から塾に行き始め、樹の誘いを断った。2回ほど断ると誘われなくなったので、ホッとしていた。6年生の新学期から1ヶ月くらい経ったころ、先生が、井槻さんはお家の都合で転校しました、と皆に話をした。昼休みに女子が先生とまりものことを話していた。ヤンチャな男子は、大体校庭に出ていた。瞬も、行こうとしていたが、まりもの話を聞いて教室を出るのをやめる。女子が、先生に話す。男子たちが、まりもに川に入れ!泳げ!服脱げ!って言っていた。そんな話だった。30代くらいの男の先生が、瞬に何か知ってるかと聞いてきた。瞬は、知りませんと答えた。女子たちが、えー?といって非難の目で見てくる。学校では、樹たちといるから。けれど、本当に、放課後に樹たちが何をしているかは知らないし、知りたくもなかった。先生は、井槻さんが、肺炎になりかけて入院、そのあとお家の都合で転校したんだよと話す。先生が、井槻さんから、手紙を預かってる、読みたい子は職員室に今からおいでと言った。川の件の男子に見せるつもりはないから、内緒な、と先生は言った。瞬は、そのときは校庭にいき、サッカーをしたが、放課後に先生のところに行き、手紙を見せてもらった。当たり障りのない内容で、男子(樹や自分)の悪口などは一言もなかった。母と一時実家に帰るので、挨拶と井槻まりもの新住所が、記されていた。22歳の瞬が、住所と名前を小6の瞬のノートにメモる。先生は、他の先生と話している。瞬は、家に帰る。22歳の瞬は、先程のノートを開く。小学6年の自分は、どうしたらバッドエンドから逃れられる?

 小学生の瞬へ 未来からきた瞬に残された時間は、多くはない気がする。もし、自分が消えて、小学生の瞬が困ったことに出会ったらこのノートを読み返して欲しい。
 小学6年生の瞬は、ノートを前にうとうとと睡魔に襲われ始める。22歳の瞬は、ノートにメモ書きを書き始める。

©️石川 直生 2023.
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