21 / 23
現実2 卒業式
しおりを挟む
そっと触れた柔らかいものは、すぐに離れて瞬は、どう反応するのが正解なのかとボンヤリ考える。
功星「瞬」
「ハイ」
「中学は離れ離れだけど、また高校で会おう」
「高校?」
「うん」
「__大分先じゃね?」軽口を叩く。本当は、心臓がバクバクと音をたてている。何故か功星にバレたくない。とにかくいたたまれない。涙を拭く。自分だけが、こんなに余裕がないなんてカッチョ悪イ。落ち着け、鎮まれ、鼓動!
功星の友達が、呼びにくる。それに、大声であとで行くーと答える功星。
瞬「あいも変わらず人気だねー」
功星が、瞬を壁に追い込む。
功星「今の、初チュー?」
「え。……ええ?? そーいやそうかも……ええ??ってかお前は??」言いながら、変な妄想が過ぎる。
瞬「__まさか、たむやんと……??」
「アホなの? たむやんとは、ナンでもナイ!!__も1回しとく?」
「ん……うん」なにこれ。何コレ。なんだこれ……。涙拭きたい。少女マンガだと、ここで最終回なのでは? なんてワケの分からない考えが過ぎる。功星は、瞬の涙とほっぺに優しく口付ける。なのに、雪が溶けるみたいにすぐになくなった。コレはなに? いっつんは__どういう気持ちでこんなこと、するんだろう__もしかして、サッカークラブでは、これってフツーのことなの? 友情とか、慰めてくれたり__とか? わからないワかんない
瞬「どーしよ。もっとしたいんだけど__」
「ええーー? 河本ちゃん……男のコもイケんの?」
「ワかんない。未知すぎて……」
「ね。春休み、2人でどっか行く?」
「……イイの?」
「え?そーじゃなくて! フツーに遊びに行くってこと!」
「あ。そーゆうこと。いくいく!」
「携帯買ってもらう。連絡先教えて」
「ん。__な。たむやんにバレたら、俺、シメられんじゃね?」
「まさか。中学では、樹と離れられそ?」
「うーん。ムリっぽいな。俺、パシリ決定な。あーヤダやだ。部活入って塾行くわ。アイツらといると、ろくなことになんねーし」そろそろ戻ろっか、と2人で体育館に戻る。
小6瞬 アレ??コイツ初チュー誰だよ? なんか話そらされた? 遊ばれてんなー俺。結局、からかわれただけか。……あー。心臓ヤバかった……
功星 あーあ。何やってんだろ俺……。だって大スキとか泣きながら言うから__つい。
もー、樹、樹って__あんなヤツ放っときゃいーのに。河本ちゃんてば、ホントお人好しつーか、バカっつーか。なんでアイツに従順なのって、イラーっとくるよね。あんなヤツ見捨てりゃいーのに。切れない瞬の優しさ__好きなの?ってこっちこそイライラすんだけど??
あのバカには、絶対渡さねーから!!
体育館で、解散になる。
樹「今から、なんちゃらん家集まってゲームなー。瞬、お前も来いよ?」
瞬「悪イ!俺、今日、用事あって帰んなきゃ。ごめんな!」
樹「あっそ。じゃ行こーぜ」4人が体育館を出ていく。1人が、瞬のところにくる。
彼方「瞬。用事って何?」
「ばあちゃんの家に行くの。年だからさ」
「フーン。瞬いないと、ツマんないな……」
「ごめんな。あ、俺、公立中行くわ。国立落っこちた」
「そっか!一緒だね?樹が、喜ぶよ」
「不合格喜ばれても、微妙。……なー、彼方、中学になったら、このグループ一緒に抜けね?」
「え」
「俺、普通に勉強して部活に入りたい。どーせ樹は、そーゆうのバカにしてんだろ?」
「その話は、また2人でしよ」
「ん。オケ」彼方が呼ばれる。
「呼んでるから行くね」
「おー」
その夜、祖母の家で寝ている瞬。母が携帯で何か深刻に話している声で目が覚める。自宅アパートが火事になったと、母がバイクで様子を見に行く。瞬も、祖母の電動自転車で見に行った。遠くから燃えさかる炎を見た。熱くて近寄れない。どうしよう。言い知れない不安が湧き上がってくる。何か新品のものがあったっけ__お年玉、全部燃えちゃったな……。そうだ、買ったまま、読もうと思って封を切っていないマンガ雑誌があったっけ__もう読めないな。録画した歌番組ももうダメだ__そんなことをボンヤリと考えていた。それから、あのヘンな声が聞こえなくなったことに気がついたのは2日も経ってからのことだった。瞬と母親は祖母の家に行った。瞬は、アパートとは学区の異なる中学に入学した。
©️石川 直生 2023.
功星「瞬」
「ハイ」
「中学は離れ離れだけど、また高校で会おう」
「高校?」
「うん」
「__大分先じゃね?」軽口を叩く。本当は、心臓がバクバクと音をたてている。何故か功星にバレたくない。とにかくいたたまれない。涙を拭く。自分だけが、こんなに余裕がないなんてカッチョ悪イ。落ち着け、鎮まれ、鼓動!
功星の友達が、呼びにくる。それに、大声であとで行くーと答える功星。
瞬「あいも変わらず人気だねー」
功星が、瞬を壁に追い込む。
功星「今の、初チュー?」
「え。……ええ?? そーいやそうかも……ええ??ってかお前は??」言いながら、変な妄想が過ぎる。
瞬「__まさか、たむやんと……??」
「アホなの? たむやんとは、ナンでもナイ!!__も1回しとく?」
「ん……うん」なにこれ。何コレ。なんだこれ……。涙拭きたい。少女マンガだと、ここで最終回なのでは? なんてワケの分からない考えが過ぎる。功星は、瞬の涙とほっぺに優しく口付ける。なのに、雪が溶けるみたいにすぐになくなった。コレはなに? いっつんは__どういう気持ちでこんなこと、するんだろう__もしかして、サッカークラブでは、これってフツーのことなの? 友情とか、慰めてくれたり__とか? わからないワかんない
瞬「どーしよ。もっとしたいんだけど__」
「ええーー? 河本ちゃん……男のコもイケんの?」
「ワかんない。未知すぎて……」
「ね。春休み、2人でどっか行く?」
「……イイの?」
「え?そーじゃなくて! フツーに遊びに行くってこと!」
「あ。そーゆうこと。いくいく!」
「携帯買ってもらう。連絡先教えて」
「ん。__な。たむやんにバレたら、俺、シメられんじゃね?」
「まさか。中学では、樹と離れられそ?」
「うーん。ムリっぽいな。俺、パシリ決定な。あーヤダやだ。部活入って塾行くわ。アイツらといると、ろくなことになんねーし」そろそろ戻ろっか、と2人で体育館に戻る。
小6瞬 アレ??コイツ初チュー誰だよ? なんか話そらされた? 遊ばれてんなー俺。結局、からかわれただけか。……あー。心臓ヤバかった……
功星 あーあ。何やってんだろ俺……。だって大スキとか泣きながら言うから__つい。
もー、樹、樹って__あんなヤツ放っときゃいーのに。河本ちゃんてば、ホントお人好しつーか、バカっつーか。なんでアイツに従順なのって、イラーっとくるよね。あんなヤツ見捨てりゃいーのに。切れない瞬の優しさ__好きなの?ってこっちこそイライラすんだけど??
あのバカには、絶対渡さねーから!!
体育館で、解散になる。
樹「今から、なんちゃらん家集まってゲームなー。瞬、お前も来いよ?」
瞬「悪イ!俺、今日、用事あって帰んなきゃ。ごめんな!」
樹「あっそ。じゃ行こーぜ」4人が体育館を出ていく。1人が、瞬のところにくる。
彼方「瞬。用事って何?」
「ばあちゃんの家に行くの。年だからさ」
「フーン。瞬いないと、ツマんないな……」
「ごめんな。あ、俺、公立中行くわ。国立落っこちた」
「そっか!一緒だね?樹が、喜ぶよ」
「不合格喜ばれても、微妙。……なー、彼方、中学になったら、このグループ一緒に抜けね?」
「え」
「俺、普通に勉強して部活に入りたい。どーせ樹は、そーゆうのバカにしてんだろ?」
「その話は、また2人でしよ」
「ん。オケ」彼方が呼ばれる。
「呼んでるから行くね」
「おー」
その夜、祖母の家で寝ている瞬。母が携帯で何か深刻に話している声で目が覚める。自宅アパートが火事になったと、母がバイクで様子を見に行く。瞬も、祖母の電動自転車で見に行った。遠くから燃えさかる炎を見た。熱くて近寄れない。どうしよう。言い知れない不安が湧き上がってくる。何か新品のものがあったっけ__お年玉、全部燃えちゃったな……。そうだ、買ったまま、読もうと思って封を切っていないマンガ雑誌があったっけ__もう読めないな。録画した歌番組ももうダメだ__そんなことをボンヤリと考えていた。それから、あのヘンな声が聞こえなくなったことに気がついたのは2日も経ってからのことだった。瞬と母親は祖母の家に行った。瞬は、アパートとは学区の異なる中学に入学した。
©️石川 直生 2023.
0
あなたにおすすめの小説
壊れていく音を聞きながら
夢窓(ゆめまど)
恋愛
結婚してまだ一か月。
妻の留守中、夫婦の家に突然やってきた母と姉と姪
何気ない日常のひと幕が、
思いもよらない“ひび”を生んでいく。
母と嫁、そしてその狭間で揺れる息子。
誰も気づきがないまま、
家族のかたちが静かに崩れていく――。
壊れていく音を聞きながら、
それでも誰かを思うことはできるのか。
愛された側妃と、愛されなかった正妃
編端みどり
恋愛
隣国から嫁いだ正妃は、夫に全く相手にされない。
夫が愛しているのは、美人で妖艶な側妃だけ。
連れて来た使用人はいつの間にか入れ替えられ、味方がいなくなり、全てを諦めていた正妃は、ある日側妃に子が産まれたと知った。自分の子として育てろと無茶振りをした国王と違い、産まれたばかりの赤ん坊は可愛らしかった。
正妃は、子育てを通じて強く逞しくなり、夫を切り捨てると決めた。
※カクヨムさんにも掲載中
※ 『※』があるところは、血の流れるシーンがあります
※センシティブな表現があります。血縁を重視している世界観のためです。このような考え方を肯定するものではありません。不快な表現があればご指摘下さい。
✿ 私は彼のことが好きなのに、彼は私なんかよりずっと若くてきれいでスタイルの良い女が好きらしい
設楽理沙
ライト文芸
累計ポイント110万ポイント超えました。皆さま、ありがとうございます。❀
結婚後、2か月足らずで夫の心変わりを知ることに。
結婚前から他の女性と付き合っていたんだって。
それならそうと、ちゃんと話してくれていれば、結婚なんて
しなかった。
呆れた私はすぐに家を出て自立の道を探すことにした。
それなのに、私と別れたくないなんて信じられない
世迷言を言ってくる夫。
だめだめ、信用できないからね~。
さようなら。
*******.✿..✿.*******
◇|日比野滉星《ひびのこうせい》32才 会社員
◇ 日比野ひまり 32才
◇ 石田唯 29才 滉星の同僚
◇新堂冬也 25才 ひまりの転職先の先輩(鉄道会社)
2025.4.11 完結 25649字
もうすぐ婚約破棄を宣告できるようになるから、あと少しだけ辛抱しておくれ。そう書かれた手紙が、婚約者から届きました
柚木ゆず
恋愛
《もうすぐアンナに婚約の破棄を宣告できるようになる。そうしたらいつでも会えるようになるから、あと少しだけ辛抱しておくれ》
最近お忙しく、めっきり会えなくなってしまった婚約者のロマニ様。そんなロマニ様から届いた私アンナへのお手紙には、そういった内容が記されていました。
そのため、詳しいお話を伺うべくレルザー侯爵邸に――ロマニ様のもとへ向かおうとしていた、そんな時でした。ロマニ様の双子の弟であるダヴィッド様が突然ご来訪され、予想だにしなかったことを仰られ始めたのでした。
🥕おしどり夫婦として12年間の結婚生活を過ごしてきたが一波乱あり、妻は夫を誰かに譲りたくなるのだった。
設楽理沙
ライト文芸
☘ 累計ポイント/ 190万pt 超えました。ありがとうございます。
―― 備忘録 ――
第8回ライト文芸大賞では大賞2位ではじまり2位で終了。 最高 57,392 pt
〃 24h/pt-1位ではじまり2位で終了。 最高 89,034 pt
◇ ◇ ◇ ◇
紳士的でいつだって私や私の両親にやさしくしてくれる
素敵な旦那さま・・だと思ってきたのに。
隠された夫の一面を知った日から、眞奈の苦悩が
始まる。
苦しくて、悲しくてもののすごく惨めで・・
消えてしまいたいと思う眞奈は小さな子供のように
大きな声で泣いた。
泣きながらも、よろけながらも、気がつけば
大地をしっかりと踏みしめていた。
そう、立ち止まってなんていられない。
☆-★-☆-★+☆-★-☆-★+☆-★-☆-★
2025.4.19☑~
行き場を失った恋の終わらせ方
当麻月菜
恋愛
「君との婚約を白紙に戻してほしい」
自分の全てだったアイザックから別れを切り出されたエステルは、どうしてもこの恋を終わらすことができなかった。
避け続ける彼を求めて、復縁を願って、あの日聞けなかった答えを得るために、エステルは王城の夜会に出席する。
しかしやっと再会できた、そこには見たくない現実が待っていて……
恋の終わりを見届ける貴族青年と、行き場を失った恋の中をさ迷う令嬢の終わりと始まりの物語。
※他のサイトにも重複投稿しています。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる