炎と消える_僕を消したアイツ 戻レナイ

石川 直生

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現実1 瞬と功星

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 瞬は、功星を見ていると辛くなるので、避ける。
「河本ちゃん! 今日、先輩休み。一緒に勉強する?」
「ううん」
「どしたの?」
「ちょっと。風邪かな。ダルいし。帰るわ」
功星「え。送ってくよ。カバン持ったげる」
瞬「やめろって!!」功星が、ハッとする。瞬が、固まる。言っちゃダメだと思うのに、同時に何もかもぶち壊してやれと、もう一人の自分がチラつく。
瞬「お前、ベタベタすんなよ!先輩と__イチャこらしてんだろ? マジキモい!__近付いてくんな!俺のこと__大っキライ、つったくせに!!」
「河本ちゃんのコト、キライなワケないじゃん」功星が、ションボリする。
瞬「あー、ごめん! 本当ごめん。ゴメン……いっつん」泣きたいのは、こっちだよ……
「もー怒ってナイ?」
「ごめん。__言い過ぎた。ごめんな。__なんか俺ヘンでさ。いっつんのこと、ショックで……」
「妬いてくれてんの?」功星の言葉にハッとする瞬。
__そっか。そうだ。そうだったんだ。先輩と付き合ってるって聞いて、スゲー落ち込んで。毎日2人で勉強って聞いて__入っていけないのが、ツラくって。イラついて。いっつんがエロとかすんの、許せなくって__ 2人を見んのが、とにかく無理。いっつんが、声掛けてくれてんのに、何故か傷つけてやりたくなって__ 
ちょっとは苦しめばいい__なんて。ヒドイこと、考えて__

瞬「いっつん。やっぱ、送ってくれる?」
功星「ワかった。いいよ」暗くなった帰り道に、瞬が、功星の手をつなぐ。
「河本ちゃん。手、ベトベト」
「ごめん」瞬が、手を離した。

功星「付き合ってって言ったのにー」瞬 え。
功星「1点足りなかった」
瞬「だって。お前、フザけてるって」
「それは、いつもそーゆうヤツだもん」
瞬「……」そーだったな……。

功星「あ。河本ちゃん。具合悪いのどこ行った?」
「あー。ごめん。いっつんといるの辛くて__嘘ついた。先輩とエロすんの、許せなくって__ごめん!!」
「意外とヤキモチ焼きやさん?」
「意外、つーか、こんなん初めて。で、一人で訳わかんなくなってパニくってた」
「俺が魅力的過ぎんだねw」

功星「まだ、してないよ」
「えっ。ホント?」
「うん。先輩の親厳しいらしくて」
「……」
「__もう、別れる」
「……」

「河本ちゃん、俺と付き合ってくれる?」
コクコクと頷く瞬。最寄り駅に着いてしまったが、離れ難く、同じところを行ったりきたりする二人を闇が包む。
瞬「けど、(男友達で)付き合うって何すんの?」
「束縛?w」
「へーえ」
「何。その棒読み」
「ごめん。どうしていいか、ワかんなくって」
「モノマネしよっか?」
「え。見たい!!」
功星「なんでやねん!!」
瞬が、そっと功星に口付ける。一番星がキラキラと瞬く。

©️石川 直生 2023.

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