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第9話 ついに到達! 地底王宮、謁見の間
しおりを挟むうしろの白色地底人たちが、よだれを垂らしてわたしに迫ってきました。
やっぱり、この有象無象の地底人たちもわたくしの美しさにまいってしまったに違いありません。
わたしは覚悟を決めました。
オオワラジムシに食われるぐらいなら、一応ひとの形をしたこのものたちに身を捧げるほうがマシというものです。
「フングォォォーーッ!!」
唸り声をあげ、地底人たちが飛びかかってきました。
わたしは思わず目をつむったのですが……。
「えっ?!」
地底人たちは次々とわたしの頭を飛び越え、オオワラジムシに向かっていきます。
かといって、彼らはわたしを助けているわけではありません。
むしゃむしゃと音をたてオオワラジムシを食べているのです。
地底人たちはこのムシを常食としているようです。
わたしはすっかり横壁に押しやられ、無視されたような状態です。
やはり、この地底世界ゲリンガは人間の大腸を模した構造になっているのではないでしょうか?
例えるなら善玉菌と悪玉菌の勢力あらそい。どっちが善玉でどっちが悪玉かはわかりませんが……。
わたしは壁伝いに沿って、彼らの争いを横目にしつつ、洞窟をさらに下へ下へとくだっていきました。
坂道は途切れ、開けた平らな場所に降り立ちます。
すると……
洞窟の天井にびっしりと張り付いた土ボタルが一際明るい光を放ちはじめました。
まるで王宮に飾られたシャンデリアのように、四方八方に華やかな光を振りまいています。
「ここは……?」
石造りの謁見の間のような空間です。
前方奥にだれかが座っています。
わたしをみても微動だにしません。
わたしは恐る恐る近づいていきました。
この方がヨモヅナム王子でしょうか?
第10話につづく
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