空手激闘録 ナイハンチャー烈

自由言論社

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第八話 決戦の日、ぼくは……

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『決戦』当日——

 その闘いは、いつもの稽古時間と同じ午後4時きっかりにはじまるという。
 終業後の教室掃除を終えたぼくは、慌てて下駄箱に向かったところ——
「おい!」
 と呼び止められた。
 隣のクラスの不良グループだ。
 リーダー格の名前は赤沢。学年でも有名な不良だ。
 赤沢は背後に仲間を従え、ぼくに因縁をふっかけてきた。
「おまえ、空手を習ってるそうじゃないか」
 やはりだれかが見ていたようだ。ぼくが玄葉台公園で型稽古をやっているのを。
「どんだけ強いのか、おれにみせてくれよ」
 肩をそびやかしていう。まるでチンピラの仕草だ。
「空手はケンカの道具じゃないよ」
 ぼくは動ずることなくいった。師匠との稽古で若干の胆力めいたものが身についている。
「カラテハケンカノドーグジャナイヨ」
 ぼくの口真似をして赤沢はからかう。とことん嫌な人間だ。
 そのとき物音が響いて新たな仲間があらわれた。
 ひとりではない。そいつは岡江くんを連れていた。
 岡江くんはぼくの幼馴染みで、赤沢グループのイジメの標的にされている。ぼくがなんとか助けてあげたいと思っている旧友だ。
 赤沢がけしかける。
「こいつと闘ってみろよ。勝ったらこいつのイジメをやめてもいいぜ」
「嫌だ。ことわる」
 きっぱりといった。
「なんだと。おれに逆らうのか?」
 赤沢がずいと歩を進めすごむ。
 ぼくは赤沢に指を突きつけた。
「おまえと闘う。勝ったらもう、岡江くんには構うな」





 とうとう、この日がきた。
 おれはジャージを脱ぎ捨て、洗濯したての白い道着に袖を通し帯を締める。
 この姿のまま、玄葉台公園に向かう。
 わっくんはすでにきているだろうか?
 おれの一世一代の闘いをどうか最後まで見届けてほしい。
 今日こそ『敵』に勝つ!
 勝たねばならぬ。



    第八話につづく
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