逍遙の殺人鬼

こあら

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コンビニから帰ってきた臼田うすたさんは小走りにこちらに向かって来ている
お待たせーとにこやかな顔で買ったものを見せてくる
どれも片手で食べれるものを買ってきてくれたみたいで、好きなのどうぞと選ばせてくる

じゃぁ、っと選んだのはいちごサンドイッチ
「だと思った」とまるで分かっていたかのように言う臼田うすたさんはニコニコしていた

「はい」とジャンさんに渡したのは焼きそばパンだった
投げられた焼きそばパンは彼の手によってキャッチされ、臼田うすたさんが「ナイスキャッチ」と叫ぶ

僕はコッペパン、と袋を破りはむっと口に運ぶ
私もそれに続いてサンドイッチを食べる
いちごの酸味がかった味とホイップクリームの甘さが絶妙にマッチしていて美味しさが口の中で広がった









(美味しい…)
サンドイッチの味を噛み締めていると隣で食べていた臼田うすたさんの手にはもう、コッペパンはなかった

食べるの早っ

気づけばジャンさんも食べ終わっていて、私が最後だった
少し焦る気持ちで食べる時間を早める
2人を待たせちゃいけない
そう思って急いで食べ終ると、急に手首を触られる

「…っ!?」

「これ…どうしたの?」

それを確認するように手の甲を上にするように見る
そこには先程の輩につけられた、握った跡が表れていた
その青紫色の跡を痛々しそうに触ると顔を上げ「誰?」と聞いてくる

"誰?"と聞かれても困る
知り合いでもないし、そこらへんにいそうな見た目で特に特徴はなかった
返事に困っていると、痺れを切らしたのかジャンさんの方に視線を向けた


「知らねぇ男2人にナンパされてた」

「ナンパ?」

その言葉にピクッと片眉を上げ少し怖い顔をする臼田うすたさん

そんな彼に大丈夫、無事ですよ!とてのひらを見せる
だからそんなに怒らないでください…そう言おうとしたのに、彼は怒るのをやめるどころかもっと不機嫌になってしまった

「どこが大丈夫なの?こんなに跡が残ってるのに!」

今まで聞いたことのない声に体が反射的に強張ってしまう
私を心配しての事だと分かっていても、彼の怒りに負けてしまう


「…でも、何ともなかったですし……」

「何ともない?」

「………」

「そいつらがどんなこと考えてたか教えようか?暗がりに連れてって、嫌がる君の服を脱がせて無理やり犯そうとしたんだよ」

そんな言葉、彼の口から聞きたくなかった…

怒る臼田うすたさんにジャンさんが「かめ」と呼びかけるとッハ、と我に返り「今のは…言葉が悪かった」と謝ってくる
今までの形相を静めると跡のついた方の手首を掴み、はぁ…とため息をする


「大丈夫です…ジャンさんに、助けてもらったし」

精一杯の笑顔で伝える
だからそんな顔しないでください…

「…、それじゃ、行こうか…」

そう言うと私の手を握りしめ歩き出した

手………離さないんだ…

臼田うすたさんも、あんな風に怒ったりするんだ…と考えてしまう
そりゃ仏じゃないし、彼も人間なんだから怒ることだってあるだろう

だけど、何故か意外だと思ってしまう
ジャンさんに蹴られても怒らなかったのに、何故あんなにも怒ったのだろうか?

私はそれを聞けないまま2人の目的地に到着する
もちろん手は繋がれたままだった

「到着ー」と、明るく言う臼田うすたさんはもう怒ってはいなく、今までの彼のように見えた
それに安堵あんどし、お店に目をやる

「っ!!??」

「っさ、入ろうか」

戸惑う私を半ば無理やり動かしお店に入る
来店したここは高級感あふれる誰もが知っているであろうブランドのお店だった

(え?本当に入るの?)

明らかに身の丈に合っていないブランド店に体が震えた
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