逍遙の殺人鬼

こあら

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座って座ってと椅子に促され、私は華奢な女性の隣に座ると「お酒飲む?」と勧めてくる
いやいや、まだ18だから!飲めませんよ!!
丁重にお断りした

「あら、冒険しないタイプ。嫌いじゃないわ」

「顔も中々可愛いじゃない。磨けば光りそうね、そうじゃない?春ちゃん」

「えっと……」(綺麗な人に見つめられると、思わず見が竦んじゃうな…。)

着物の女性がオレンジジュースを「どうぞ」と渡してくる
ストローからジュースを飲む私の姿を、店の従業員と思われる方々が覗き込んでいた

「ジャン、こんなハリネズミみたいな可愛い子どこで見つけてきたのよ」

「かめが連れ込んだんだ、俺じゃねぇ」

そう言うと「ママさん、コーラ」とジャンさんも椅子に座る
ここはスナック?なのかな?
オカマバーとも思える

オレンジジュースを飲み続ける私を見て、ママさん?が「お腹空いてない?」と焼きそばを目の前に差し出してくる
いえっ、と否定しようとするも、お腹からぐうぅぅ…となんとも情けない音を鳴らす









恥ずかしながら、その焼きそばをいただきます…と頂戴した
程よく焼きめのついた麺は、スルスルと口の中へ入ってくる
ソースの香ばしい香りと野菜がいい感じに絡み合っていて、この王道な味に大満足だ
頬に詰め込んでもぐもぐ食べる私を「あら、可愛い」だなんて言って微笑んでくるママさんは「どんどん食べてね」と優しく言ってくる

「お腹空いてたの?」

ふぁいはいいてました…」

詰め込みすぎてちゃんと喋れていない私に「あらあら、大変ね」だなんて反応する
その焼きそばは、お腹が空いていたからなのかすごく美味しく感じ、ぺろっと食べ終わってしまった
ごちそうさまと手を合わせると「お粗末です」と空になったお皿を下げてくれる

「貴方よくジャンと一緒に居られるわね。疲れるでしょうに。」

「はい、すごく」

「おい」

あはははは、と豪快に笑う綺麗な女性、春さん?は大笑いしても綺麗だった
同意したことに不服なのか、ジャンさんは眉を尖らせてこちらを睨んでくる
だから、顔をそむけて彼から視線を離す

「ジャンって存在感半端ないい上に、人を振り回すから長時間一緒にいられないのよね」

「あらやだ、私は振り回されたいわ♡ジャンちゃんに振り回されたぁ~い♡」

私も私もとオネエさん方は手を上げるが、ジャンさんの眼中には無いようで、軽くあしらわれる
確かに、今日の追っかけでそれをこの身で知った
見知らぬ人から追いかけられるとは意外と恐ろしいもので、逃げるのに必死でその時は考えていなかったが、彼はかなり注目を浴びやすい
隠しきれない何かを持っている

「ジャンのこと、好き?」と春さんが直球な質問するもんだから、飲んでいたオレンジジュースが変な所に入りゲホゲホとむせる
全力で横に顔を振り否定した

「まさか!そわなわけ…」

「あははははは!ジャン振られてるー」

「うっせ」

コーラを飲み干すジャンさんはトイレに行くのか席を立った
その行動にさえオネエさん方は、きゃー!などと黄色い声を上げる
はいはい…良ござんしたね

彼の姿が見えなくなると綺麗な女性は身をかがめて「ねえ」と話を続ける

「どうしてジャンのこと好きじゃないの?」

「っえ!どうしてって言われても……」

「顔は勿論身長高いし頭いいし、アッチの方も上手いらしいよ」

「っえ、なんの話ですか?」

なんだかおすすめ物件の説明されているみたい…
立地良し、値段よし、広さよしなのにどうして買わないんですか?と聞かれているみたいだ

その話題になると目の輝きを増して「私も私も気になる!」とオネエさん方が近寄ってくる
井戸端会議じゃないんだから…とママさんが全員分の飲み物を用意する
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