逍遙の殺人鬼

こあら

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昨日の最後、私は確かにジャンさんと話していた
私の知らない自分の過去について聞こうとしてたはず
なのに、何故か脱線し彼にキスされた
そしてそこで記憶は途切れた

以前も彼にキスされて、その先の記憶は残っていない
まさかと思うが、この頭や身体の痛みはジャンさんが何かしら関わっている?

「…もしかして、私に、何かしたりしました?」

「ああ」

「”ああ”って、っな、何したんですか!まさか…」

「飲ませた」

(あ、違かった)

もしかして、してしまったのかと思ったが全く違う回答が返ってきた
でも”飲ませた”とは?
何を飲ませたというのか









レンゲをこちらに向けるジャンさんを、私は目を見開いて見ている
”飲ませた”の続きを早く言って欲しいのに、続けようとはしない
「食え」とだけ言って、お粥を私の口へ運ぶ

「何を…飲ませたんですか…」

「睡眠薬」

「どうしてですか!?」

「あんたうるさいから」

だからと言ってそんなものを飲ませて良いわけない
それが当たり前になったら、この世界はとんでもないことになるだろう
このだるけさや身体・頭の痛みは、睡眠薬の副作用ということなのか?

彼は私の目を見ようとはせず、平面な様子で私にお粥を食べさせようとする
”うるさいから”って…
そんな簡単に、人に薬を盛れるものなのか?

「食え」とお粥を差し出すジャンさんに、食べたくありませんと反抗した
大体、昨日の話だって勝手に終わらせたし
ジャンさんは身勝手だ

「食わなきゃ、力つかねぇぞ」

「力なんて、つかなくても構いません。食べたくないです。」

「怒ってんの?」

「…、私やることがあるので…」

そう言って図星をつく彼から逃げようとすると、まだ痺れが残っていたらしく、立ち上がってすぐによろけてしまった
そんな私を支えるように、長い腕でお腹を捕まえると倒れ込むのを防いでくれる
珍しく優しい手つきで、身を起こしてくれたジャンさんから離れようと身を動かすとグッと後ろに引かれ、彼との距離が縮まる

「悪かった」

「っ!?」

「こんなに眠ると思わなかった」

「え…」

耳元で囁き、簡単に腕から開放すると居間から出て行ってしまう
思わぬ言葉に、私は不思議な感じになる
彼の口から”悪かった”と、謝罪の言葉が出るなんて…

(お粥…私のために作ってくれたのかな…)
テーブルに置かれたそれを見つめてそんなことを思った

「別に、ジャンさんが居るから食べない訳じゃないのに…」

私はその栄養のあるお粥を口に運んで食べた
手の痺れなんか消え、しっかりとその味を噛み締めた

よく見たら普通のお粥よりサラサラとしていて、鶏肉なんかは一口サイズより一回りぐらい小さくカットされていた
都合がいいが、私が食べやすいように作ってくれたのかな?と考えてしまう
その美味しいお粥を私は1人、居間で食べ進める
食べ終わるにはそうかからず、ぺろっと全て食べ終えた

そのタイミングでポケットに入れたスマホが揺れ、私を呼ぶ
それは鳩屋さんで、急いで電話に出た

「すいません、一方的にきってしまって…」

《私のこと忘れるなんて悲しいな。》

「すいません…。」

《この埋め合わせはしっかりと行ってもらうよ。私は待つのは嫌いなんだ。なのにこんなことするなんて、君が初めてだよ。》

「本当にごめんなさい。…どうすれば許してもらえますか?」

《そうだな、いつか私とデートでもしてもらおうかな。また連絡するよ。》

私は再度謝罪をし、通話を終了した
もうすっかり脚の痺れは消え、台所に向かった
台所は荒らされているかと思ったがそんなことは無く、きちんと洗い物も済ませていていた
一人分の鍋が洗われていて、他には残っていなかった
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