逍遙の殺人鬼

こあら

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少しの揺れを感じる中、私は鳩屋さん、潤さんに聞いた
どうして私を助けてくれるのか、こんなにもよくしてくれるのか

「レディ1人を助けることなど、とても簡単なことなんだよ。」

「でも…会ったばかりなのに…」

「私は気分やだ。楽しそうなことはいつでもウェルカムだよ。ちさちゃん、それ。」

「え?指輪…、これが何か…?」

「これから行くところは装飾品は駄目なんだ。スマホは私との連絡手段として許可貰ったけど、指輪はきっと怒られてしまうよ。」

そう言うと「預かっておくよ。」と指輪を要求した
指輪…装飾品が駄目な所って、結構厳しい所なのかな?

臼田うすたさんに貰った指輪は、外す機会が無いままずっと指にはめていた
それを取るのは、若干気が引けた
”外さないでね”そう言われて外さないと誓ったのに、左の中指からそれを外せば、なんとも言えない開放感
だけど、それの虚しさが少し悲しかった









やけに長く感じた乗車は、感じた分遠くに来たみたいで辺りに人気は無い
自然というなの田舎の中にそびえ立つ、一軒の塔
どこかゴシック様式のその建物は、私の背筋を凍らせてくる

「知り合いが教会に居てね。話したら”OK!”って、快く了承してくれたんだ。レディは今日からシスター見習いという名を借りて、好きなだけここに居て良いんだよ。」

「シスター…見習い…。確かに、あまり人は来そうにありませんね。」

「帰りたくなったら、いつでも連絡してくれ。勿論、私に会いたくなった時でも構わないよ。」

ちゅっと手の甲にキスをすると「それじゃ。」とリムジンに乗って行ってしまった
サラッと、よくできるもんだ
私はこんなにも動揺して、頬が熱くなっているのに
緊急時以外に絶対に連絡しないと、決めた

スゥーと息を吐いては、扉をノックした
その音は良く響き、塔中に来客の知らせを伝える

「はい。どなた?」

「っ、鳩屋 潤さんの紹介で来ました、ちさです。」

「…、そう、あなたが。どうぞ、お入りください。」

「はい、失礼します…。」

ご年配のシスターに促され中に入ると、勢い良く扉を閉め外から隔絶させられる
中は暗く、不気味な程に静まり返っている

黙って歩き出すシスターの後ろについて行けば、礼拝堂を抜けて院長室へと到着した
ここで役目を終えたのか、シスターはそそくさと立ち去った

「ふぅ…。鳩屋 潤さんの紹介で参りました、ちさと言います。」

「お入り。」

「…失礼します。」

院長室に入れば、先程のシスターよりもお年を召された方が居た
優しそうな顔をしていると言うのに、何故か身体が強張るほどの威圧感を感じる
危ない人だ
そう、感じさせる

シスターに近づけば「そこにお座り。」と目の前の椅子に座るように言ってくる
素直にすれば、シスターは続けて言った

「話は聞きました。しばらく身を隠したいとか。」

「…はい。」

「詳しくは聞きません。ここは神聖な教会、誰もが救いを受ける場所です。しかし、いくら一時の間と言えど、それ相応の規約を守っていただかなければなりません。」

「っはい、分かっております。」

「ここではシスター見習いとして神にその身を捧げること。神に嘘偽りをついてはなりません。また、シスターの名に相応しく無い言動はしてはなりません。禁欲になりなさい。そして祈るのです。」

____やだ……これじゃあの時と同じだ
施設に居た時と、同じ

院長のその口から出る言葉は、施設に居た時と全く同じで私を縛るものだった
聖書を渡しては、修道服を着るように言ってくる
この黒い服は神に仕える為のもの
この漆黒を身に纏っただけで、縛れれているみたいに窮屈に感じる
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