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「ちさちゃん、ちゃんと話してくれ。僕、ちゃんと聞くから」
分かってる
臼田さんは、いつだって真正面から私の話を聞いてくれていた
馬鹿にしたり、聞くフリなんかしないでちゃんと聞いてくれていた
でもやっぱり、怖い………
私が話してしまったら、何かが堰を切ったように崩れ落ちてしまいそうで
今目の前にいる臼田さんが、私を写すのをやめた瞳の光を消して遠ざかってしまうようで恐ろしかった
_____あのっ……そう言いかけて、言葉を阻むみたいに私の番は奪われる
臼田さんの反対側から「ちょっとちょっと」と横入りが訪れた
「ちーちゃんはうちで預かるんだから、掻っ攫おうとしないでくれますかー?」
飲み物両手に春さんは私達がいる所へと戻ってきた
空はもう紅掛空色を追い抜いて瞑色に成り代わってきているのに、相変わらずサングラスはかけたままだ
「はい、離れて離れてー」と間に入っては、臼田さんから離すように距離を取らせてくる
そして、私に暖かい紅茶の飲み物を渡してくれた
葉のさっぱりした香りとミルクの柔らかさが相まって、少し昂ぶった感情を鎮めてくれる
「はるかさん…、ちさちゃんのことありがとうございました。でも、"ちーちゃん"って…。それに、"預かる"ってどういうことですか?」
「ちーちゃんはちさだから略して"ちーちゃん"。預かるのはこの子が狙われているから。あと、"はるか"って呼ぶなや」
「ちーちゃんはまぁ…良いとして、"狙われてる"ってどういう事ですか?…」
「言葉通り。このか弱い乙女は物騒で野蛮な男に先程囚えられていましたー。なので保護の為、この春さんがお預かりしまーす」
なんだろう…
そのつもりは無いんだろうけど、すんごく馬鹿にされている気分
"か弱い乙女"って…やめて下さい…………
乙女は私には似合わなすぎます…
それにちーちゃんだなんて、今初めて呼ばれましたよ?
臼田さんも"はるかさん"って呼んで…実名ははるかさんなのですか?
「誰ですかそいつ。今何処にいるんですか?」
「亀やめとけ。やっとのことで離れたんだぞ」
少し怖い顔をする臼田さんを「落ち着け」と止める春さんは、彼にも温かい飲み物を手渡した
それを受け取って飲めば、少し落ち着きを取り戻し春さんにありがとうございますと感謝の言葉を告げた
私も春さんから貰った紅茶をゴクリと一口飲んだ
冷めきった身体をながれる温かい紅茶は、私の体温を徐々に上げてくれる
こうやって落ち着いて紅茶を飲めるのが、何とも不思議な感覚だった
ついさっきまで、緊迫した状況に陥っていた
こんな風に誰かと一緒にいれるのも、春さんが助け出してくれたおかげた
それを察したのか、春さんは私の頭を優しく撫でてくれた
風の悪戯でボサボサになった髪の毛を整えるように、髪を梳きながら優しく
その表情は柔らかく、少し目を細めて微笑んでいるのがサングラス越しでも分かった
そんな春さんを見つめていると、横に引っ張られ拘束された
「必要以上に触るのやめてもらっていいですか、はるかさん」
「髪触っただけだろ。ボサボサになってたから」
「僕がやるんで、ちさちゃんに触らないで下さい」
「亀…お前たまに変になるよな」
…いやそれより、2人の間に私を挟むのやめてもらっていいですか?……
髪がボサボサなら自分で直しますから
喧嘩とかしないでくださいよ?…
分かってる
臼田さんは、いつだって真正面から私の話を聞いてくれていた
馬鹿にしたり、聞くフリなんかしないでちゃんと聞いてくれていた
でもやっぱり、怖い………
私が話してしまったら、何かが堰を切ったように崩れ落ちてしまいそうで
今目の前にいる臼田さんが、私を写すのをやめた瞳の光を消して遠ざかってしまうようで恐ろしかった
_____あのっ……そう言いかけて、言葉を阻むみたいに私の番は奪われる
臼田さんの反対側から「ちょっとちょっと」と横入りが訪れた
「ちーちゃんはうちで預かるんだから、掻っ攫おうとしないでくれますかー?」
飲み物両手に春さんは私達がいる所へと戻ってきた
空はもう紅掛空色を追い抜いて瞑色に成り代わってきているのに、相変わらずサングラスはかけたままだ
「はい、離れて離れてー」と間に入っては、臼田さんから離すように距離を取らせてくる
そして、私に暖かい紅茶の飲み物を渡してくれた
葉のさっぱりした香りとミルクの柔らかさが相まって、少し昂ぶった感情を鎮めてくれる
「はるかさん…、ちさちゃんのことありがとうございました。でも、"ちーちゃん"って…。それに、"預かる"ってどういうことですか?」
「ちーちゃんはちさだから略して"ちーちゃん"。預かるのはこの子が狙われているから。あと、"はるか"って呼ぶなや」
「ちーちゃんはまぁ…良いとして、"狙われてる"ってどういう事ですか?…」
「言葉通り。このか弱い乙女は物騒で野蛮な男に先程囚えられていましたー。なので保護の為、この春さんがお預かりしまーす」
なんだろう…
そのつもりは無いんだろうけど、すんごく馬鹿にされている気分
"か弱い乙女"って…やめて下さい…………
乙女は私には似合わなすぎます…
それにちーちゃんだなんて、今初めて呼ばれましたよ?
臼田さんも"はるかさん"って呼んで…実名ははるかさんなのですか?
「誰ですかそいつ。今何処にいるんですか?」
「亀やめとけ。やっとのことで離れたんだぞ」
少し怖い顔をする臼田さんを「落ち着け」と止める春さんは、彼にも温かい飲み物を手渡した
それを受け取って飲めば、少し落ち着きを取り戻し春さんにありがとうございますと感謝の言葉を告げた
私も春さんから貰った紅茶をゴクリと一口飲んだ
冷めきった身体をながれる温かい紅茶は、私の体温を徐々に上げてくれる
こうやって落ち着いて紅茶を飲めるのが、何とも不思議な感覚だった
ついさっきまで、緊迫した状況に陥っていた
こんな風に誰かと一緒にいれるのも、春さんが助け出してくれたおかげた
それを察したのか、春さんは私の頭を優しく撫でてくれた
風の悪戯でボサボサになった髪の毛を整えるように、髪を梳きながら優しく
その表情は柔らかく、少し目を細めて微笑んでいるのがサングラス越しでも分かった
そんな春さんを見つめていると、横に引っ張られ拘束された
「必要以上に触るのやめてもらっていいですか、はるかさん」
「髪触っただけだろ。ボサボサになってたから」
「僕がやるんで、ちさちゃんに触らないで下さい」
「亀…お前たまに変になるよな」
…いやそれより、2人の間に私を挟むのやめてもらっていいですか?……
髪がボサボサなら自分で直しますから
喧嘩とかしないでくださいよ?…
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