逍遙の殺人鬼

こあら

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チクタク、チクタク…
壁掛け時計の音が気になる
今何時だろう?って、時計を確認したのは1分前

ソワソワしてるし、落ち着きが無い
春さんに「後は待つだけだから、休んでおいで。」と部屋に戻された
(夜って何時から?)

朝は3時~10時59分、昼は11時~17時59分、夜は18時~26時59分として表示される
そんな知識は入っているのに、いざとなっては役立たず
どうしようどうしよう…って、焦ってばかりだ

「会うだけなのに、こんなに緊張するなんて」

心臓が口から飛び出そう
こんなにドキドキするのは、私が臼田うすたさんのことを好きだからかな?
そう思うだけで顔が熱くなる
手で仰いでも冷めないこの熱は、私をもっと焦らせた









「後どれくらいで来るのかな…」

もう18時はとっくに過ぎた
もうすぐ来るはず

(変じゃないかな?)
ゴミとか付いていないか、身なりはきちんとしているかを鏡で確認してしまう
上手く笑えるか、ぎこちなく無いか…気になってしまう

「ちーちゃーん、ちょっと来てくれるー?」

「はーい、今すぐー」

ドクンドクンと早く動く心臓を宥めて、春さんの方へ向かう
どうしました?とキッチンに顔を出せば、テーブルを飾るように指示された
その指示に従ってまっさらなテーブルを、私なりに飾った

引き出しからテーブルクロスを取り出して敷き、スプーンとフォーク、大型スーパーで春さんに頼んで買ってもらった花をテーブルの中央に置いた
生花のセンスは私には無いから多種の花を買うのをやめた

ッブッブと振動を確認し、スマホを見れば私が待っていた人からの連絡が入っていた
それを見て思わず口元が緩んだ

臼田うすたさん、もうすぐ着くそうです」

「OK☆じゃ、ピザ焼いちゃいまーす。ちーちゃんはよそった料理、運んでくれる?」

「はい!っあ、朔夜さんに一応言っておきますね。もう少しで夕食ですって」

「えぇー、別にいいわよ。あんな底なしのキモ男なんて、ほっときましょ。」

「嫌いますね…」

「ちーちゃん、世の中アタシみたいにキレイな人ばかりじゃないのよ。キモイ奴もいるし、頭のおかしい奴もいる。ちーちゃんの優しさにつけ込んで利用してくるかもよ。あー恐ろしい。」

やっぱり、こうもお互いに嫌い合って…過去に何かあったんじゃ無かったら、単純にウマが合わないだけ?
朔夜さんは確かに…ちょっと変で傲慢なところはあるけど、嫌いとまではいかない

何なら、ジャンさんの方が危険人物だ
すぐ手を出しそうな物腰と冷たい目
手だってあんなに冷たくって、血が通ってないみたい

春さんは、ジャンさんとは何も問題なさそうなのに朔夜さんだけはダメみたい
2人とも個性が強すぎるからかな?

(プラスとプラスはくっつかない)
反発し合う磁石みたいに、近づくことを認めないのかな?
でも、ジャンさんと臼田うすたさんも全く違ったタイプに思える
なのに春さんと朔夜さんとは違って、結構仲良くしてたような…

(あの頃が懐かしいって感じるのは、これで何度目かな?…)

「ん?」

「どうかした?」

「いや…今、変な音がした気が…。ドスンって、鈍い音が…」

「来たのかしら?」

「私見てきますね」

「そんなに会いたいんだー。早く行ってらっしゃいな。」

ちゃかす春さんに、そんなんじゃないですって無駄に一生懸命否定した
なのに、廊下に通じる扉のドアノブを掴む手は、早く開きたいと言っているみたいだった

ガチャッと扉を開いて真っ先に視界に写ったのは思いがけない人だった
逸る気持ちに一時停止のブレーキが掛かった
淡い色のサングラス越しに鋭い目が私を見ていて、思わず冷や汗をかきそうになった
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