310 / 333
311
しおりを挟む
「だからね、"ツナ"と"シーチキン"は違うのよ。ツナは一般にビンナガマグロやキハダマグロ、カツオなんかで油漬けや水煮の缶詰を言うの」
「……。」
「それでシーチキンは、ツナ缶の商品名なの!tuna=マグロって訳されることが多いのよ」
「分かった、分かった。つまりこれはマグロじゃないって事だな?それでいい?」
「分かったならいいよ。じゃあ、これは?」
「ツナ!」
「シーチキンだよ…」
見た目はほとんど変わらないから、仕方ないと言えば仕方ない…
食べると少し味が違うし、油の感じも違う
料理されればそれはあやふやになるけど…
そんな変なやり取りをしていると、春さんが目に映る
手にシャンパンを持っている春さんは「楽しそうね。」と微笑んでやって来た
主催者は見つかったものの、欲しかった情報は得られなかった様子だった
どうやら本人は情報を持っていなかったようだ
「どうやら明日来るもうひとりの主催者が情報を持っているみたいだわ。今日のは名前を出してるだけで計算もろくにできないようなアンポンタンだったわ。」
「"アンポンタン"…ですか…。それじゃ、今日は収穫なしですね。残念です…」
「そんな悲しい顔しなくて良いのよ。元々3日連チャンって聞いてそんな様な予感はしてたし、それはジャンも同じよ。」
「そういえば、…ジャンさんは?どこに行ったんでしょうか?」
屋敷に入るまでは一緒だったのに、いつの間にか居なくなっていった
ギュウ君も同じくらいの時に一瞬姿を消してさっと戻って来た
トイレにしては長すぎるし…
情報を持っていると疑っていた主催者は、春さんが突撃した
そもそも、どんな情報を求めてやって来たんだろうか?
一緒に行くのよと言われて細かい説明を受けないままやって来てしまった、アウェイな私は何も出来ずにここに居るだけだ
「ジャンならさっき女と一緒に居るの見たわよ。」
「"女"…ですか?誰ですかね?」
「政治家のおばはんよ。きっつい香水とベッタリ塗った真っ赤な口紅が特徴の。アタシ嫌いなのよね。汚染された気分になるから。」
("政治家"…)「それってもしかして…」
私に敵意剥き出しにしてきた、あの人…かな…?
胸の奥ら辺が、ザワッとした
もし当たっているのなら、私は会いたくない
(あの人と…一緒に、居るのかな…?)
腕を組んで
体を密着させて
つけた香水の匂いを移して
作り声と偽物の笑顔に酔いしれているのかな…
「ちさ?」
「ごめん…ちょっと、この人波に酔ったかも。風に当たってくるね」
気持ち悪かった…
勝利の笑みを浮かべるあの人の微笑む顔と、手にしたわと言わんばかりに見せ付ける態度を想像するだけで吐きそうになった
こういう大きな屋敷の良いところは、広い通路のようなベランダと腰掛けられる椅子があることだ
立ってなどいられないくらい気分が悪い
そんな私の背を優しく擦る手に驚いて隣を見る
「大丈夫か?」
「ギュウ君……」
「無理に話さなくていい、これ水。急に…どうしたんだ?さっきまでなんとも無かったのに。」
「…何でもない。ちょっと、疲れただけだよ。ありがとう、心配してくれて」
心配させないようにと少し無理をした
顔に力を入れて、仮面を被るみたいに笑顔作った
それなのにギュウ君は「泣くほど辛いのか?」って痛い所を突っついてくる
泣いた覚えなんて無いのにって思ったのに、頬を伝ったひと粒の涙に動きが停止した
何で泣いてるんだろう?って言ってみても、答えなんて出なくって、もちろんギュウ君も答えは言ってくれない
ただ静かに抱き締めてくれた
顔を隠すように、泣き顔を出さないように
何も言わずにしてくれたその行為に、溜まりかけた涙はまぶたに押しやられて出て行ってしまう
バルコニーに光指す所から一歩遠くに居る私達は誰にも悟られることはなく、私は静かに涙を流した
「……。」
「それでシーチキンは、ツナ缶の商品名なの!tuna=マグロって訳されることが多いのよ」
「分かった、分かった。つまりこれはマグロじゃないって事だな?それでいい?」
「分かったならいいよ。じゃあ、これは?」
「ツナ!」
「シーチキンだよ…」
見た目はほとんど変わらないから、仕方ないと言えば仕方ない…
食べると少し味が違うし、油の感じも違う
料理されればそれはあやふやになるけど…
そんな変なやり取りをしていると、春さんが目に映る
手にシャンパンを持っている春さんは「楽しそうね。」と微笑んでやって来た
主催者は見つかったものの、欲しかった情報は得られなかった様子だった
どうやら本人は情報を持っていなかったようだ
「どうやら明日来るもうひとりの主催者が情報を持っているみたいだわ。今日のは名前を出してるだけで計算もろくにできないようなアンポンタンだったわ。」
「"アンポンタン"…ですか…。それじゃ、今日は収穫なしですね。残念です…」
「そんな悲しい顔しなくて良いのよ。元々3日連チャンって聞いてそんな様な予感はしてたし、それはジャンも同じよ。」
「そういえば、…ジャンさんは?どこに行ったんでしょうか?」
屋敷に入るまでは一緒だったのに、いつの間にか居なくなっていった
ギュウ君も同じくらいの時に一瞬姿を消してさっと戻って来た
トイレにしては長すぎるし…
情報を持っていると疑っていた主催者は、春さんが突撃した
そもそも、どんな情報を求めてやって来たんだろうか?
一緒に行くのよと言われて細かい説明を受けないままやって来てしまった、アウェイな私は何も出来ずにここに居るだけだ
「ジャンならさっき女と一緒に居るの見たわよ。」
「"女"…ですか?誰ですかね?」
「政治家のおばはんよ。きっつい香水とベッタリ塗った真っ赤な口紅が特徴の。アタシ嫌いなのよね。汚染された気分になるから。」
("政治家"…)「それってもしかして…」
私に敵意剥き出しにしてきた、あの人…かな…?
胸の奥ら辺が、ザワッとした
もし当たっているのなら、私は会いたくない
(あの人と…一緒に、居るのかな…?)
腕を組んで
体を密着させて
つけた香水の匂いを移して
作り声と偽物の笑顔に酔いしれているのかな…
「ちさ?」
「ごめん…ちょっと、この人波に酔ったかも。風に当たってくるね」
気持ち悪かった…
勝利の笑みを浮かべるあの人の微笑む顔と、手にしたわと言わんばかりに見せ付ける態度を想像するだけで吐きそうになった
こういう大きな屋敷の良いところは、広い通路のようなベランダと腰掛けられる椅子があることだ
立ってなどいられないくらい気分が悪い
そんな私の背を優しく擦る手に驚いて隣を見る
「大丈夫か?」
「ギュウ君……」
「無理に話さなくていい、これ水。急に…どうしたんだ?さっきまでなんとも無かったのに。」
「…何でもない。ちょっと、疲れただけだよ。ありがとう、心配してくれて」
心配させないようにと少し無理をした
顔に力を入れて、仮面を被るみたいに笑顔作った
それなのにギュウ君は「泣くほど辛いのか?」って痛い所を突っついてくる
泣いた覚えなんて無いのにって思ったのに、頬を伝ったひと粒の涙に動きが停止した
何で泣いてるんだろう?って言ってみても、答えなんて出なくって、もちろんギュウ君も答えは言ってくれない
ただ静かに抱き締めてくれた
顔を隠すように、泣き顔を出さないように
何も言わずにしてくれたその行為に、溜まりかけた涙はまぶたに押しやられて出て行ってしまう
バルコニーに光指す所から一歩遠くに居る私達は誰にも悟られることはなく、私は静かに涙を流した
0
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
愛しているなら拘束してほしい
守 秀斗
恋愛
会社員の美夜本理奈子(24才)。ある日、仕事が終わって会社の玄関まで行くと大雨が降っている。びしょ濡れになるのが嫌なので、地下の狭い通路を使って、隣の駅ビルまで行くことにした。すると、途中の部屋でいかがわしい行為をしている二人の男女を見てしまうのだが……。
あるフィギュアスケーターの性事情
蔵屋
恋愛
この小説はフィクションです。
しかし、そのようなことが現実にあったかもしれません。
何故ならどんな人間も、悪魔や邪神や悪神に憑依された偽善者なのですから。
この物語は浅岡結衣(16才)とそのコーチ(25才)の恋の物語。
そのコーチの名前は高木文哉(25才)という。
この物語はフィクションです。
実在の人物、団体等とは、一切関係がありません。
ちょっと大人な物語はこちらです
神崎 未緒里
恋愛
本当にあった!?かもしれない
ちょっと大人な短編物語集です。
日常に突然訪れる刺激的な体験。
少し非日常を覗いてみませんか?
あなたにもこんな瞬間が訪れるかもしれませんよ?
※本作品ではGemini PRO、Pixai.artで作成した生成AI画像ならびに
Pixabay並びにUnsplshのロイヤリティフリーの画像を使用しています。
※不定期更新です。
※文章中の人物名・地名・年代・建物名・商品名・設定などはすべて架空のものです。
春の雨はあたたかいー家出JKがオッサンの嫁になって女子大生になるまでのお話
登夢
恋愛
春の雨の夜に出会った訳あり家出JKと真面目な独身サラリーマンの1年間の同居生活を綴ったラブストーリーです。私は家出JKで春の雨の日の夜に駅前にいたところオッサンに拾われて家に連れ帰ってもらった。家出の訳を聞いたオッサンは、自分と同じに境遇に同情して私を同居させてくれた。同居の代わりに私は家事を引き受けることにしたが、真面目なオッサンは私を抱こうとしなかった。18歳になったときオッサンにプロポーズされる。
JKメイドはご主人様のオモチャ 命令ひとつで脱がされて、触られて、好きにされて――
のぞみ
恋愛
「今日から、お前は俺のメイドだ。ベッドの上でもな」
高校二年生の蒼井ひなたは、借金に追われた家族の代わりに、ある大富豪の家で住み込みメイドとして働くことに。
そこは、まるでおとぎ話に出てきそうな大きな洋館。
でも、そこで待っていたのは、同じ高校に通うちょっと有名な男の子――完璧だけど性格が超ドSな御曹司、天城 蓮だった。
昼間は生徒会長、夜は…ご主人様?
しかも、彼の命令はちょっと普通じゃない。
「掃除だけじゃダメだろ? ご主人様の癒しも、メイドの大事な仕事だろ?」
手を握られるたび、耳元で囁かれるたび、心臓がバクバクする。
なのに、ひなたの体はどんどん反応してしまって…。
怒ったり照れたりしながらも、次第に蓮に惹かれていくひなた。
だけど、彼にはまだ知られていない秘密があって――
「…ほんとは、ずっと前から、私…」
ただのメイドなんかじゃ終わりたくない。
恋と欲望が交差する、ちょっぴり危険な主従ラブストーリー。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる
