逍遙の殺人鬼

こあら

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「大丈夫、大丈夫だから」と、落ち着かせようとするギュウ君の優しさに私は頑張って震える肩を止めようとした

「私っ、なんで泣いてっ…」

吐ききれないこの想いに、喉は潰れそうで
止まらないこの涙に飲み込まれそうで
何もかもが分からない

「ごめっ…」

「大丈夫。大丈夫だ。」

「すぐっ、…止まるから」

「いーから。誰も見てない。誰も気付いてない。何も聞こえてないから。」

その声が、その言葉が、私の気道を開くみたいに呼吸を整えてくれる
私が泣き虫な事を彼は知っている
私が弱虫な事も、私が一度泣くとネチネチする事も…

泣くなとも、落ち着けとも言わず、ただと優しく背中を擦ってくれる
こんなみっともない姿を晒しておいて何だが、ギュウ君がいてくれて本当に良かったと思っている









「ほら、鼻かんで。」

「うん…、ありがとう。ギュウ君ティッシュ持ってたんだね」

「普通持ち歩くだろ。ポケットの役割を無視しちゃ可哀想だろ?それにちさは持ちたくても持てないだろうと思って。」

「無駄に女子力高いね。この服…ポケットひとつもないの…。おまけにバッグって言ったらバターサイズの小さいやつで、何も入らないの」

「その例えはおかしい…。スッキリした?」

私はコクリと頷いた
私はせっかく春さんにお化粧してもらったと言うのに、泣いたせいで落ちてしまった
元々派手なメイクでは無かったけれど、してもらったことを思うと心が痛んだ

「お化粧…取れちゃった」

貰ったティッシュを見ても、残酷的な色合いにげんなりしてしまう
そんな私にギュウ君は「しない方が良いけどな。」ってフォローしてくれる

「私のこのひどい顔の方がいいって言うの?ギュウ君は変わってるね」

「酷くないだろ。」

「こんな気持ち悪い赤毛で、目の色だって少し変だし、肌も白すぎて病人みたいに見られちゃうし…。これがって言わないなら、何が酷いになるのよ…」

「そんな事言ったら俺はどうなるんだよ?日本生まれの日本育ちなのに、この見た目は色々と誤解が生まれるだろ。それに、気持ち悪いって思ったことないよ。」

確かに、ギュウ君は少し日本人とは違う感じの雰囲気を醸し出してる
日焼けと言われればそう見えるが、鼻筋と良い、堀と良い
よく見たらギュウ君の瞳は真っ黒だ

黒い瞳だと思っても光を当てたり、よく観察すると真っ黒でない事がある
日本人も真っ黒な瞳を持っていると思ってる人が大半らしいが、実は焦げ茶色をしているらしい

「ギュウ君の親は外国人なの?」

「両親は知らないんだ。物心つく前から俺はひとりだったから、親がどんな人だったのか覚えてないんだ。」

「…そうだよね…。私もお父さんとお母さんがどんな人か知らないんだ。ギュウ君はハーフかもね」

「ちさもハーフかもよ。クオーターだったりして。」

まさかと二人して笑けた
似た境遇だからなのか
ずっと一緒にいたからなのか 
私はギュウ君のことを他人事だとは思えない
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