彼は死神

こあら

文字の大きさ
20 / 46

20 「やぁ、母さん。迎えに来たよ。今度はあんたの番だ」

しおりを挟む
何を見てもセツさんを思い出す


自分がどれだけ彼を好きだったかを今さら知ることになる

どれだけシュンさんに触れられても少しも体は反応しなかった

どれだけシュンさんに優しくされても心はときめかなかった




「もう、…会えないのね…。」




ベッドに横になり孤独感に耐える


「もう、頭を撫でてはもらえないのね…。」



目を閉じる


脳裏に彼を思い浮かべる




黒い伸びかがった前髪に漆黒の瞳


整った顔に無駄な肉のないスラッとした体


少しごつごつとした男らしい手


いつも私を支えてくれたたくましい腕


心地良い声


首元にできた傷痕ですら愛おしく思える



私はそのまま眠りについた













「…」

寝室を出て水を飲むためリビングに向かう


(全然眠れねぇ…)



おもむろに歩き行き着いたのは彼女に貸していた部屋だった


そこには貸す前とはあまり変わっていないように思えたが、部屋の中は微かに甘くなっている気がした


ベッドの上には、彼女が出会った日に着ていた服が畳んだまま袋の上に置いてあった



(離さねぇって言ったのに…全然守れてねぇじゃねえか)



『もしもの時は支えてくれますか?』


「こんなに離れて、どうやって支えんだよ…」




ベッドに横たわり、腕で顔を隠す

「俺はまた、大事な奴守れねぇのか…」




「主…。」


「クロ、どうした?」


「リストの確認を…。」


リストの用紙を手渡す


「?今か?っ、…」



「主が待ち望んだ人です。」



「そうだな…。こんなタイミングに…。」


「主っ、…。」


「なに泣いてんだ。ちゃんと言っただろ、黒子になる時に。何があってもその時が来たら止めたりしないって。」


「でも、主っ。」


「それに、クロ。お前にはまだやってもらうことがある。」

























「おや、どうしました?」


「頼みがある」


「君が私に頼み事をするのは、君の魂を狩った時以来ですね。」



「…」


「そういえば、今日だと聞きました。これで君も役目を果たせますね。」


「…」



「別れの挨拶はしないつもりですか?」


黒いを手渡す




「俺の仕事はまだ終わってねぇ」


そう言うとまっすぐ出口に向かう










女性が家の中でテレビを見ている


部屋の中は暗く、テレビの明かりだけが女性の顔を照らしていた


「この番組つまらないわね」


ゆっくりと後ろから近づいて来る男性に気づくことはなく、女性はチャンネルを変える

ソファーに座る女性の真後ろまで来ると男性は包丁を首に当てると、素早く頸動脈を切る


「うぐっ…」

首から大量の血が流れ女性は死んでしまう



その様子を静かに見届けるセツ



死体から半透明の女性が現れる


「どういうこと⁉どうして私が居るの⁉」

自分が2人いて、しかも首から血を流していることに驚きを隠しきれない女性




セツはゆっくり女性の方へ歩み寄る



「…っ⁉お前は死んだはず!私が殺したのに!何でここに居る⁉」


「やぁ、母さん。迎えに来たよ。今度はあんたの番だ」



セツの手には枝切りハサミが握られていた




「っゆ、幽霊。あっちいけ!」

物を掴もうとするが、すぅっと手が物をすり抜けてしまう




「あんたは死んだんだ。あんたに殺された俺が、今度はあんたの命を取る」


「やめろ!来るなぁ‼」



セツは死体に向かい微かにつながっていた線を思いっきり切る



その瞬間女性は何かを失ったかのようになり、倒れこむ


「この世に居続けると俳人になって罪が重くなるだかだから。今度は地獄で奈津ナツが待ってる」



「そんなぁぁぁあああぁぁ…」


嘆く女性を置いてセツは家を出る


葩希アキ…俺今度はちゃんとやれたよ」


空を見上げて呟く



「主。」


「クロ、分かったか?」


「はい。分かりましたよ。」

案内しろと言うと、2人は動きはじめる







しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

性別交換ノート

廣瀬純七
ファンタジー
性別を交換できるノートを手に入れた高校生の山本渚の物語

春の雨はあたたかいー家出JKがオッサンの嫁になって女子大生になるまでのお話

登夢
恋愛
春の雨の夜に出会った訳あり家出JKと真面目な独身サラリーマンの1年間の同居生活を綴ったラブストーリーです。私は家出JKで春の雨の日の夜に駅前にいたところオッサンに拾われて家に連れ帰ってもらった。家出の訳を聞いたオッサンは、自分と同じに境遇に同情して私を同居させてくれた。同居の代わりに私は家事を引き受けることにしたが、真面目なオッサンは私を抱こうとしなかった。18歳になったときオッサンにプロポーズされる。

夫婦交換

山田森湖
恋愛
好奇心から始まった一週間の“夫婦交換”。そこで出会った新鮮なときめき

父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

四季
恋愛
父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

彼の言いなりになってしまう私

守 秀斗
恋愛
マンションで同棲している山野井恭子(26才)と辻村弘(26才)。でも、最近、恭子は弘がやたら過激な行為をしてくると感じているのだが……。

愛しているなら拘束してほしい

守 秀斗
恋愛
会社員の美夜本理奈子(24才)。ある日、仕事が終わって会社の玄関まで行くと大雨が降っている。びしょ濡れになるのが嫌なので、地下の狭い通路を使って、隣の駅ビルまで行くことにした。すると、途中の部屋でいかがわしい行為をしている二人の男女を見てしまうのだが……。

JKメイドはご主人様のオモチャ 命令ひとつで脱がされて、触られて、好きにされて――

のぞみ
恋愛
「今日から、お前は俺のメイドだ。ベッドの上でもな」 高校二年生の蒼井ひなたは、借金に追われた家族の代わりに、ある大富豪の家で住み込みメイドとして働くことに。 そこは、まるでおとぎ話に出てきそうな大きな洋館。 でも、そこで待っていたのは、同じ高校に通うちょっと有名な男の子――完璧だけど性格が超ドSな御曹司、天城 蓮だった。 昼間は生徒会長、夜は…ご主人様? しかも、彼の命令はちょっと普通じゃない。 「掃除だけじゃダメだろ? ご主人様の癒しも、メイドの大事な仕事だろ?」 手を握られるたび、耳元で囁かれるたび、心臓がバクバクする。 なのに、ひなたの体はどんどん反応してしまって…。 怒ったり照れたりしながらも、次第に蓮に惹かれていくひなた。 だけど、彼にはまだ知られていない秘密があって―― 「…ほんとは、ずっと前から、私…」 ただのメイドなんかじゃ終わりたくない。 恋と欲望が交差する、ちょっぴり危険な主従ラブストーリー。

処理中です...