私のダディ

田口夏乃子

文字の大きさ
12 / 19

11話 「四十九日」

しおりを挟む
今日は母の四十九日だ。
福岡に住んでいる母方の祖父母も、わざわざ東京から駆けつけてきて、父方の祖父母やみーちゃんも後からやってきた。

「美由紀ちゃん、元気にしよったね?」

「うん。してた。」

「こんなに大きくなって、びっくりしたばい!」

母方のおじいちゃんとおばあちゃんと話すの、久しぶりだなぁ。

「お義父さん、お義母さん。わざわざ遠くからお越しくださり、ありがとうございます。」

お父さん、礼儀正しい……。

「いえいえ~。清亮さんも、相変わらず変わっとらんね~。紀香の葬儀以来やね。」

「これ、お土産。」

と、おじいちゃんが私に袋を渡した。
これは私の大好きな、博多通りもんだ!
嬉しい!あとで食べよう!

「お兄ちゃん、もうすぐお坊さん、来るって。」

「おう。」

しばらくして、お坊さんが来て、お経を読み上げ始めた。
途中で足が痺れたけど、我慢して最後はありがたいお話も聞けてよかったなぁ。
お経を唱え終わると、今度は母の御骨を持ってお墓へ。
お母さんの御骨は、ひいじいちゃんやひいばあちゃんが眠るお墓に一緒に入れることになった。
ひいじいちゃんが亡くなったのは、お父さんが大学生の頃って言ってたっけ。
ひいばあちゃんは、私がまだ赤ちゃんだった頃に亡くなったって。
私はまだ赤ちゃんだったから覚えてないけど、産まれてからずっと抱っこしてたらしい。
家族が眠るお墓に来ると、色んな思い出が蘇る。
お母さんと笑った時や、怒られた時も、褒められた時も。なんだか懐かしくて。
……お母さん。これからも私達家族を見守ってくださいと、私はそう思いながら、手を合わせた。

お墓を出てから、私の家でみんな集まってオードブルや刺身を食べながら、わいわい楽しんだ。

「美由紀、料理頑張ってるじゃないの~。」

「そう言われると、なんだか照れる……。」

「今度、上級の料理を教えてやるよ!」

「料理上手なら、お嫁に行けばいいのに。」

と、父方のおばあちゃんは、お酒を飲みながらきっぱりと言った。

「あ、相手がいないからいいでしょ!」

みーちゃんの顔、赤くなってる……。

「職場にはいないのか。」

「職場は……男性一人だから。」

みーちゃんの職場は、保育園だ。

「でも、私と4つ年下だよ?」

「年下でもいいじゃなーい。」

「私は年上がタイプなんですぅ!」

と、みーちゃんは頬を膨らました。

「母さん。光玖の運命の人は光玖自身で決めるから、ほっといてやれよぉ。」

「でも、光玖は今年でえーっと……。」

「28だ。」

「そそそ!」

まあた始まった。みーちゃんの結婚話。
親戚一同集まると、こーなるんだよねぇ。

「もーお母さん。結婚はね、そんなに焦らなくても、いつかできるんだから!」

「もう、最近の若い人はマイペースね!」

と、おばあちゃんは、呆れ顔。

「そういえば、美由紀。好きな人でもできたの?」

「……!」

「えっ!?」

お父さんが、赤くなってる私の顔を見て驚いた。

「い、いるわけないじゃん!」

と、私は必死にごまかす。

「正直に話さんね~。」

「どがん男ね~。」

もう……福岡のおじいちゃんもおばあちゃんもノリノリになっちゃってぇ。

「ゴホン!」

あ……お父さんが咳払いをしたから、ようやく収まった。

「そうそう!お兄ちゃんって、のんちゃんとは合コンで知り合ったんだよね~。」

「ブー!」

と、お父さんがビールを吐き出しちゃった。

「光玖!その話はやめろっ!」

「私は知ってるよぉ。」

「美由紀!」

お父さん、恥ずかしがってる。

「紀香ったら、あの時、飲めないのに無理してお酒ば飲んどったらしかよ。」

「そうなんだ。」

「酔っ払った娘をアパートまでおぶってくれたのが、清亮さんやったね。」

「翌日、酔いが覚ますまで、清亮さんがずっと傍にいてくれたとよね~。」

さらにもっと聞けた。父と母の馴れ初め。

「お兄ちゃん、最初っからのんちゃんのこと、惚れてたらしいもんね~。」

「光玖!いい加減にしろ!」

「紀香もそんな清亮のことが、好きになったとよね~。」

「告白はお兄ちゃんの方だったみたいだし!」

「やーめーろ!」

お父さん、照れなくてもいいのに。
こんな賑やかな雰囲気も悪くないな。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

わたしの下着 母の私をBBA~と呼ぶことのある息子がまさか...

MisakiNonagase
青春
39才の母・真知子は息子が私の下着を持ち出していることに気づいた。 ネットで同様の事象がないか調べると、案外多いようだ。 さて、真知子は息子を問い詰める? それとも気づかないふりを続けてあげるか? そのほかに外伝も綴りました。

母の下着 タンスと洗濯籠の秘密

MisakiNonagase
青春
この物語は、思春期という複雑で繊細な時期を生きる少年の内面と、彼を取り巻く家族の静かなる絆を描いた作品です。 颯真(そうま)という一人の高校生の、ある「秘密」を通して、私たちは成長の過程で誰もが抱くかもしれない戸惑い、罪悪感、そしてそれらを包み込む家族の無言の理解に触れます。 物語は、現在の颯真と恋人・彩花との関係から、中学時代にさかのぼる形で展開されます。そこで明らかになるのは、彼がかつて母親の下着に対して抱いた抑えがたい好奇心と、それに伴う一連の行為です。それは彼自身が「歪んだ」と感じる過去の断片であり、深い恥ずかしさと自己嫌悪を伴う記憶です。 しかし、この物語の核心は、単なる過去の告白にはありません。むしろ、その行為に「気づいていたはず」の母親が、なぜ一言も問い詰めず、誰にも告げず、ただ静かに見守り続けたのか——という問いにこそあります。そこには、親子という関係を超えた、深い人間理解と、言葉にされない優しさが横たわっています。 センシティブな題材を、露骨な描写や扇情的な表現に頼ることなく、あくまで颯真の内省的な視点から丁寧に紡ぎ出しています。読者は、主人公の痛みと恥ずかしさを共有しながら、同時に、彼を破綻から救った「沈黙の救済」の重みと温かさを感じ取ることでしょう。 これは、一つの過ちと、その赦しについての物語です。また、成長とは時に恥ずかしい過去を背負いながら、他者の無償の寛容さによって初めて前を向けるようになる過程であること、そして家族の愛が最も深く現れるのは、時に何も言わない瞬間であることを、静かにしかし確かに伝える物語です。 どうか、登場人物たちの静かなる心の襞に寄り添いながら、ページをめくってください。

清掃員と僕の密やかな情状

MisakiNonagase
恋愛
都心のオフィスビルで働く会社員の26歳・高城蓮(たかぎれん)。彼の無機質な日常に唯一の彩りを与えていたのは、夕方から現れる70歳の清掃員・山科和子だった。 青い作業服に身を包み、黙々と床を磨く彼女を、蓮は「気さくなおばあちゃん」だと思っていた。あの日、立ち飲み屋で私服姿の彼女と再会するまでは――。 肉じゃがの甘い湯気、溶けゆく氷の音、そして重ねた肌の温もり。 44歳の年齢差を超え、孤独を分かち合った二人が辿り着いた「愛の形」とは。これは、一人の青年が境界線の向こう側で教わった、残酷なまでに美しい人生の記録。

同じアパートに住む年上未亡人美女は甘すぎる。

ピコサイクス
青春
大学生の翔太は、一人暮らしを始めたばかり。 真下の階に住むのは、落ち着いた色気と優しさを併せ持つ大人の女性・水無瀬紗夜。 引っ越しの挨拶で出会った瞬間、翔太は心を奪われてしまう。 偶然にもアルバイト先のスーパーで再会した彼女は、翔太をすぐに採用し、温かく仕事を教えてくれる存在だった。 ある日の仕事帰り、ふたりで過ごす時間が増えていき――そして気づけば紗夜の部屋でご飯をご馳走になるほど親密に。 優しくて穏やかで――その色気に触れるたび、翔太の心は揺れていく。 大人の女性と大学生、甘くちょっぴり刺激的な同居生活(?)がはじまる。

17歳男子高生と32歳主婦の境界線

MisakiNonagase
恋愛
32歳の主婦・加恋。冷え切った家庭で孤独に苛まれる彼女を救い出したのは、ネットの向こう側にいた二十歳(はたち)と偽っていた17歳の少年・晴人だった。 「未成年との不倫」という、社会から断罪されるべき背徳。それでも二人は、震える手で未来への約束を交わす。少年が大学生になり、社会人となり、守られる存在から「守る男」へと成長していく中で、加恋は自らの手で「妻」という仮面を脱ぎ捨てていく…

還暦の性 若い彼との恋愛模様

MisakiNonagase
恋愛
還暦を迎えた和子。保持する資格の更新講習で二十代後半の青年、健太に出会った。何気なくてLINE交換してメッセージをやりとりするうちに、胸が高鳴りはじめ、長年忘れていた恋心に花が咲く。 そんな還暦女性と二十代の青年の恋模様。 その後、結婚、そして永遠の別れまでを描いたストーリーです。 全7話

お父さんのお嫁さんに私はなる

色部耀
恋愛
お父さんのお嫁さんになるという約束……。私は今夜それを叶える――。

二重のカーテン (スカートの下の黒い意志)

MisakiNonagase
青春
洗濯物の隙間に隠したのは、母としての祈りと、娘のプライド。 かつて、女子高生という生き物はもっと無防備で、自由だった。 44歳の主婦、愛子が朝のベランダで手にするのは、娘たちが毎日履き替える漆黒のオーバーパンツ、通称「黒パン」。それは、令和を生きる娘たちが自らの尊厳を守るために身に着ける、鉄壁の「鎧」だった。 小学校時代のママ友たちとのランチ会。そこで語られるのは、ブルセラショップに下着を売っていた奔放な50代、無防備なまま凛と歩くしかなかった40代、そして「見せないこと」に命を懸ける10代の、あまりに深い断絶。さらには、階段で石像のように固まる父、生徒の背後に立たないよう神経を削る教師……。 一枚の黒い布を通して浮き彫りになる、現代社会の歪さと、その根底にある不器用なまでの「優しさ」。 ベランダに干された黒いカーテンの向こう側に、あなたは何を見ますか?

処理中です...