ヴァンパイア♡ラブforever

田口夏乃子

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第1章

第十三話 「真莉亜、がんばりますっ!」

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「ふーん。」

ジュンブライトが、新聞を読んでいる。
ジュンブライト、めずらしいね。新聞を読んでいるなんて。

「『ヴァンパイア急行殺人事件の犯人逮捕!』かぁ。あれから何年経ったんだろう。たぶん、30年前かなぁ~?」

そんなに犯人、逃亡してたの!?

「あぁ。俺がまだ小さい頃に起きた事件だからなぁ。たぶん、死刑になるだろ。」

ふーん。

「おや王子、新聞を読んでいるんですか。」

ルクトさんがテーブルの上に紅茶を置いた。

「あぁ。『ヴァンパイア急行殺人事件』の犯人が逮捕されたらしい。」

「やっと犯人がつかまったんですか!へぇー。これで、被害者の人も安心してねむりにつきます。」

そうですね。
私はわかりませんけど。

「ところで真莉亜、調子はどうだ?」

あ、うん。いいよ。
私はお腹をさわりながら言った。

「そろそろお前も、勉強したらどーだ?」

勉強?なんの?

「決まってんだろ!母親になるための勉強さ!」

あ。そうだよね。そろそろしなくちゃね。

「あと6ヵ月だから、まだまだ時間はある。」

うん!ジュンブライト、私、がんばるよ!

「おう!ちゃんと、真面目にやれよ!」

うん!


                                 ☆


ふむふむ、なるほどぉ~。

「お、ちゃんと勉強してんなぁ。」

誰かさんとちがってね。

「むか!そんな言い方、ねぇだろ!」

ごめーん。

「どれどれ?」

ジュンブライトが、のぞきこんだ。

「う、うわぁ~。難しそ~う。」

でしょ?

「しかもこんなにたくさん!読めるのか?」

うん。たぶん。

「たぶんかいっ!」

「おやおや、真莉亜さん、勉強熱心ですねぇ。息子とちがって。」

「ちょっ、親父もぉ~!」

「はい。ちゃんと真面目にしていますっ。」

「どれどれ?」

ヒアン様が、のぞきこんだ。

「うわぁ~。大変そう。しかもこんなにたくさん、本を買ってきたんですねっ。」

半分は、リナンさんから借りましたぁ。

「そうですか……。じゃあ、がんばってくださいねっ。」

ありがとうございますっ。
ヒアン様は、向こうへ行っちゃった。
よーし、がんばらないと!
私は再び本を読み始めた。


                                      ☆


ふむふむ、なるほどぉ~。
私はお菓子を食べながら、勉強していた。

「おい、それ、なにしてんだ?」

ん?勉強ですよ、勉強。

「勉強?なんのだ?」

母親になるための勉強ですっ。

「ふーん……せいぜい、がんばれよぉ~。」

ありがとうございますっ。
ネルさん、最近、私に優しくなりましたねぇ。
どうしたんですか?

「い、いや、なんでもないっ。てか、お前に優しくなった覚えはないっ。」

ふーん。

「ほら、集中しないと!頭ん中に入んないぞ!」

あ、はい。
えっとぉ……ほうほう、なるほどぉ~。

「しっかし、これ全部、読むのかよ。」

はいっ。

「ふーん、なるほどぉ~。」

ネルさん、本を読み始めてる!
妊娠してもいないのに!

「へぇー。そうかぁ~。」

「ネルさん、読む必要ないんじゃないですか?」

「は?なんで?」

「妊娠していないから。」

「ちげーよ!あたしはもし、ウルフ一郎と結婚して、子供ができたらどーすればいいのかなぁ?と思って、読んでるの!」

ふーん、なるほどぉ~。

(けど、本当は妊娠しているけどなっ。)

「立派な母親になれるといいですね、ネルさん!」

私は笑顔で言った。

「う……うっせぇ!あー、早くウルフ一郎と、結婚してぇー。」

そんなにウルフ一郎さんのことが好きなんですねっ。

「う……うっせぇー!ところで、この本、借りていいか?」

えっ、それ、リナンさんの本ですよ?

「うっせぇ。どんな本でもいーだろーが。ああん?」

ひぃぃぃぃぃ!い、いいですよ、借りて!
そのかわり、リナンさんに返してくださいねっ。

「おう。」


                                     ☆
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