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第1章

第十六話 「ネルさんとリリアさんの、姉妹だけの話」

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あー、あれを思い出すと、やになっちゃうぜ。

「あら。私はなつかしいと思ってるわよ?」

てめぇ、あたしのことをバカにしてるだろ。
リリアはさらに、ページをめくった。

「あら。これ、ずいぶん最近のやつじゃなーい。」

ああん?
あ、ウルフ一郎と、あたし……。

「あなたが初めてめぐりあった人。そして、大切な人……。」


                                      (2年前)


「ネル、お前のことが、ずっと、好きだった。」

「!?」

「ウルフ一郎!あたしも、あたしも!あんたのことが、好きだった!」

「ネル、ずっと俺様のそばにいてくれるか?」

「もちろん。」

「愛してるぞ、ネル。」

「あたしも。愛してるぞ、ウルフ一郎。」

チュ……。


                                     ☆


……確かに。
ウルフ一郎はあたしにとって、2番目の運命の人だしなぁ。

「2番目ってまさか……。」

「そう。最初の運命の人が、ジュンブライト様だ。」

「うわ、かわいそう。」

うっせぇ。
ウルフ一郎と会えて、本当によかった。
ウルフ一郎のおかげで、この子にも会えたし……。

「どうしたの?」

「あ、いやっ、なんでもねぇ!それよりさ、もっと見よう!」

「ネル……。変わったわね、あなたは。」

へっ?

「あんなに泣き虫だったあなたが、剣士になって、そして、母親になるなんて。思ってもいなかったわ。」

あ、あたしの人生だもん!
これから、この子と生きてくよ。

「そうこなくっちゃね。」

あぁ。
ガチャッ。

「おい、ネル。そこでなにしてんだ?」

その声は……。

「ウルフ一郎!」

あたしはウルフ一郎にだきついた。

「思い出話をしてたのさ。」

「思い出話ぃ?」

ウルフ一郎が首をかしげた。
あぁ。
とっても、忘れられない思い出を。

「そっかぁ。じゃあ、帰るか。」

うん。

「今日の夜ご飯は、肉じゃがだぞぉ。」

やったぁ!あたし、ウルフ一郎の肉じゃが、だーいすきぃ!

「そうか。アハハハハハ!」

……ウルフ一郎。
いつまでも、一緒にいような。

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