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第1章

第二十四話 「ジュンブライト、不器用卒業?」

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「こーして、こーやるんですよ。」

「こ、こうか?」

「あ―!先輩、じゃがいもを丸ごと入れないで!」

「だってぇ、皮のむき方がわからないんだも~ん。」

「はいはい。じゃあ、それから始めますよ。」

「おう!」

ジュンブライト、ギロさんと一緒に、なにつくってるんだろ。

「さぁ~。」

「きっと、マズイものでもつくってるんじゃないですかぁ?」

その時、私はつばをごくんと飲んだ。
確かに。そうかも。
もう、あれは食べたくありません……。


                                   ☆

はあ~。夕食の時間がやってきたよぉ。
神様、仏様、天狗様ぁ~。
どうか、助けてください。
もう、ジュンブライトの料理なんか、食べたくありません。

「おまたせ~。」

はっ、きた!

「はい、俺がつくった、ホワイトシチューだぜ!」

ジュンブライトがふたを開けると、もくもくと、湯気が出てきた。
それを見て、私達はつばをごくんと飲んだ。

「お、おいしそうですぅ……。」

マドレーヌちゃんは、よだれをたらしている。

「マドレーヌ、だまされたらだめよ。きっと、なにかを入れてるみたいだから。」

で、でも、色が全然、グロくない。
ホワイトシチューがむらさき色ではなく、正しい白の色だし。なにもヤバイの入れてないし、それに、おいしそうに見えるし。

「確かに。わたくし、よだれが出ちゃいそうです。」

「もう、出てるじゃないか。」

「そう言う兄さんこそ。」

「さぁ、さぁ!遠慮なくお食べ!ジュンブライト様の特製、ホワイトシチューだ!」

「半分、俺が手伝いましたけどね。」

「みんな、準備はいい?」

「はい。」  「ええ。」

みんなはこくりとうなずいた。
では、いただきます。

「いただきます。」

私達は、ホワイトシチューを、おそるおそるぱくりと食べた。
ふむふむ、ん?あ、おいしい!

「だろ?」

「味が濃くておいしい!」

「ほんと!まるで、三つ星シェフがつくったホワイトシチューみたいですぅ!」

「王子、料理の才能が、少しずつ、芽生えていきましたね。」

「おいしい。」

「こんなにうまいホワイトシチュー、初めて食べた!」

「だろ?ありがとな、みんな!俺がつくったホワイトシチューを食べてくれて!」

「いやだから、半分、俺が手伝ったんですけど!」

ジュンブライト、ありがとうね。
こんなにおいしい料理をつくってくれて。

「ま、真莉亜ちゃん、だから、俺が半分、手伝ったんですけどー!」

これからも、私にいろんな料理を食べさせてねっ☆
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