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第1章

第二十八話 「出産へ」

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私は、医療室に運ばれた。

「う、う~ん。」

「真莉亜ちゃん、しっかり!」

「う、う~ん……あー!」

痛い……ものすごく痛い……。

「真莉亜ちゃん、ファイト!」

あ、ありがとうございます……あー!

「そんなに無理しなくてしゃべらなくていいのに。」

「ほら、汗が出ていますよ、お妃様。」

一人の看護師さんが、汗をふいた。
あ、ありがとうございます……。
一方、お部屋の前では、コックさん、家来さん、召使いさん、ヒアン様、マドレーヌちゃん、ルクトさん、リリアさん、私のお母さん、私のお父さん、琉理、おばあちゃんが集まっていた。

「真莉亜さん、大丈夫かなぁ~?」

「大丈夫ですよ。きっと、元気なお孫さんを産んでくれますよ。」

「……だろーな。」

「お~い、連れて来たぞぉ~!」

「王子!」   「ジュンブライトお兄様!」

「はぁ、はぁ、はぁ。……真莉亜は?」

「今、医療室の中だよ。」

「はぁ、はぁ。……よかった、間に合って。」

「ったく、こんな時にジムに行って、どーする!」

だ、だって、産まれて来るとは知らないで……。

「いいじゃないですか、大王様。」

「そうですよ。」

「……はぁ。ったく、この、バカ息子が。父親になるってのに、そこまで考えないとは。父親として、失格だ。」

な、なんだとぉ~!?

「う、う~ん……あー!」

はっ、真莉亜!

「王子!」

真莉亜ーっ!頑張れぇ~!
ジュ、ジュンブライトの声が……聞こえる……。

「はぁ、はぁ、はぁ。」

「私、心配。お姉ちゃんが無事に、赤ちゃんを産んでくれるか。」

大丈夫だって琉理ちゃん!
俺は、琉理ちゃんの肩に両手を置いた。

「必ず、お前の姉ちゃんは、元気な赤ちゃんを産んでくれる!そう信じようぜっ!」

「お義兄さん……うん、わかった!」

よし、それでいい!

「あ、あーっ!」

「お妃様、しっかり!」

「真莉亜ちゃん、落ち着いてねっ。」

え……えぇ……。

「これはぁ、時間がかかりそうねぇ。」

「あぁ。」

……お願いだ、神様。
どうか、奇跡を起こしてくれ。
そして、赤ちゃんと真莉亜が、無事にいてくれますように。

「う、う~ん。」

「う、う~ん。」

「う、う~ん。」

「う、う~ん。」

「う、う~ん。」

「う、う~ん。」

「う、う~ん。」

「う、う~ん。」

「う、う~ん。」

「う、う~ん。」


                          ー十時間後ー

「う、う~ん。」

「お妃様!頭が出ましたよ!」

「もう少し、もう少しですよ!」

「う、う~ん。」

「ホンギャー、ホンギャー!」

「!?」

ガチャ……。

「赤ちゃんは!?」

「とてもかわいい、女の子が産まれましたよ。」

や……や……。

「やったぁ~!」

俺はうれしくて跳びはねた。
家来達は肩を組んで喜び、召使いとお義母さんと真莉亜のおばあちゃんはうれしくて泣いて、真莉亜のお父さんと、琉理ちゃんはだきあって、おじさんも親父もだきあって、マドレーヌとリリアもだきあって、コックも肩を組んで喜んだ。

「……はぁ、はぁ、はぁ。……赤ちゃんは?」

「ここにいますよ。」

「はい。」

うわぁ~。かっわい~。
私とジュンブライトの子供……こんなに小さいんだね。
こんにちは、赤ちゃん。
私はほほえみながら、赤ちゃんを見つめた。


                                    ☆
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