ヴァンパイア♡ラブforever

田口夏乃子

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第1章

第三十七話 「ネルさん、ウルフ三郎さんと留守番をする」

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お義母さんも帰ったし。今日はいい一日だったなぁ。
はあ。ふかふかの布団、気持ちい~。
カシャッ、カシャッ!
ん?誰か写真を撮ってるぞ?
目を開けると……。
……おい、なに撮ってんだよ。

「あ、いやっ、なにも撮っていませんよっ。」

なにか、背中に隠してねぇか?

「か、隠していません!ほら、ご覧の通り、なにもありませんよー。」

ふーん。ならいい。
あたしは再び、寝始めた。

(ニヒニヒニヒ~。ネル様の寝顔、撮ったぜぇ~。待ち受けにしよっ。)

「早く寝ろ。起きるのが遅くなる。」

「あ、はーい。」

ウルフ三郎は、ベッドに寝始めた。

「ぐー、ぐー。」

あたしは、ウルフ三郎の胸にほおずりをした。

「!?な、なにするんですか、ネル様!」

「あたし、いっつも、ウルフ一郎と寝る時、こーして、寝てるんだ。」

(うっひょー!兄貴、うらやましいぜぇ!それと、サイコー♡)

「そして、言うんだ。「愛してる。」って。」

(うわあにきぃ!ずるいぞ、一人だけぇ!ゆるせん!)

「そしたらあいつも、「愛してる。」って、言ってくれるんだ。」

「お、俺様も、愛してまーす、ネル様ぁ~!」

しっ!大きな声、出すなっ。ガオンが起きるぞっ。

「あ、すみませーん。」

「……あいつにいっつも、背中からだきつかれて、「ねぇ、愛してるんだったら、子供、作ろー。」とか、せめられるんだよぉ。」

(あ、あいつ、結婚式のインタビューで、「もう二人目はつくらない。」って言ってたくせに、うそつきやがって!ゆるさん!)

「って、あのぉ……ネル様?ちょっ、ちょっとぉ、離してくれます?」

「スー、スー。」

「って、もう寝てるしっ。ま、いっか。」

(それより、ネル様の寝顔、かっわい~♡)


                            ☆


二日後。

「ネル様、この三日間、とても楽しかったですっ!」

ウルフ三郎は、目をキラキラさせながら、あたしの両手をにぎっている。
わかったから、もう、離してくれよぉ。

「この三日間は、俺様にとって、大切な宝物ですっ!」

はいはい。
ん?ウルフ三郎の後ろに立っているのは、ウルフ一郎?
ていうか、顔、こえーし。こわーい笑顔になってるし。

「さあ、家に帰ろー、帰ろ……!?」

ウルフ三郎は、ウルフ一郎を見て、口をポカーンと開けて、驚いて、かたまった。

「こっの……変態弟がぁ~!」

「バコーン!」

あーあ。
ウルフ一郎に、空の果てまで、蹴飛ばされちゃった。

「ちっ、二度と人の嫁さんに、近づくんじゃねぇぞ、オラァ!」

ウルフ一郎は、それから、目をハートにしながら、くるりとあたしの方を振り向いた。

「ネルすわ~ん♡会いたかったよ~ん♡」

あたしも。会いたかったよ、ウルフ一郎。

「それとぉ、ガオーン♡元気にちてまちたか?」

「う、う~!あ~う~!あいあい!」

「えへへ。おりこうさんにしてたみたいだな。」

ウルフ一郎はガオンをだっこした。
あぁ。

「あいつになにか、変なこと、されなかったか!?」

あ……あぁ。されなかったよ。

「ふぅ~、よかったぁ~。俺様、心配で心配で、24時間、ずっと考えていたよーん。」

アハハハ。心配してくれて、ありがとう。

「ち、あいつめ!もう二度と、ネルに近づかないようにしてやる!」

あ、もしかしてお前、ウルフ三郎にやきもちやいてるのか?

「や……やいてねぇよ!誰があの、クソ弟にやきもちやくかってんだ!」

うふふ。
顔、真っ赤になってる。かわいい。

「とにかく、よかったな、変なことされなくて。」

ソファーにすわったまま、ウルフ一郎が、あたしをサングラスの奥に光る夜行性の目で見つめて、言った。
あぁ。
ほんとに、よかったぜぇ。
ガチャッ。

「おい、ウルフ一郎!」

えっ!?

「か、母ちゃん!?なんでここに!」

「貴様、ネルの入浴をのぞきしてるんだって?」

「ち、ちがうよ母ちゃん!ご、誤解だって!」

「ネルさんの口からそう言ったんだ!ゆるさん!」

ボカッ!

「あーれー!」

あーあ。逆に自分が、母ちゃんにぶんなぐられて、空の果てまで、飛んで行ったし。

「あう、あう!う、う~!う~!うーうー!」

「ふぅ。これで変態どもは、消えて行った。」

あ……ありがとうございます、お義母さん。

「どういたしまして。」

お義母さんは、あたしに向かって、にこっと笑った。

「うぇーん、うぇーん!」

ああっ!お父しゃんがいなくなって、泣いているんだねぇ。
ったくぅ、だから、男っていうのは、困るんだよぉ。
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